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子どもにイライラ!カッとなるのをやめたい!叱りすぎが子どもの脳に与える影響と叱った後の対処法

この記事を書いた人

たなかれいこ たなかれいこ

たなかれいこ

  • 心理カウンセラー
  • 保育士
  • ペアレントトレーナー
  • カラーセラピスト

子どもと関わる仕事がしたいと、保育士資格を取得しました。

障害児者福祉に5年ほど関わる中で、保護者さんの大変さを実感し、現在はペアレントトレーニングをはじめとする子育て支援の事業を行っています。

プライベートでは小2の娘と暮らすシングルマザーです。

娘と一緒にいろいろな体験やお出かけをするのが楽しみです。

ついカッとしてしまう…。叱りすぎて反省…。

CONOBASには多くのママ・パパから子育てに関するお悩みが寄せられています。

中でも多いのが「子どもの問題行動」に関するお悩みです。

そのお悩みのほとんどで「ついつい叱りすぎてしまった」「大人げなくカッとなってしまった」「反抗期だとわかっていても強く言いすぎてしまった」などと、「叱ってしまった」ことに対して反省や後ろめたさを感じているご様子がうかがえます。

「叱ること」はなんとなくいけないことだと思っているけど、どうしても叱ってしまう…そんな葛藤を抱えていませんか?

今回は保育士、心理カウンセラーの資格を持ち、現在はペアレントトレーナーとして子育て支援の場で活躍されている、たなかれいこさんにお話を伺いました。

(CONOBAS編集部)
 

たなかれいこさん(以下たなかさん): 

今回は、CONOBASに寄せられたママからのお悩みにお答えしながら、大人はどうして叱ることをやめられないのか、叱り続けた時の子どもへの影響を脳の発達の観点から説明します。

イライラの対処法と叱ってしまったときの対処法も合わせて紹介していきます。

この記事でイライラする気持ちと上手に付き合うヒントを見つけてもらえたらうれしいです。

 

目次

 
 

1.どうして大人は叱るのをやめられないのか

CONOBAS編集部(以下(編)): ついつい叱ってしまう…というお悩みを抱えているママから実際にCONOBASにお悩みをお寄せいただいています。

「叱ること」はやめられないのでしょうか。

たなかさん: 「ついつい叱ってしまう」というお悩み、とても共感します。

わたし自身が小学2年生の女児の母です。脱いだ服はその辺へ脱ぎっぱなし、おやつのゴミはおきっぱなしという娘に対するイライラと日々戦っています。

いけないとは分かっていても、叱ってしまうこともあります。

私たち大人はどうして叱ってしまうのでしょうか。

また、しつけをするためには叱る必要はあるのでしょうか。脳科学の観点から考えてみましょう。

 

1-1.大人が「叱る」をやめられない理由

たなかさん:実は、「叱る」行為で人は喜びを感じてしまうのです。

動物には、行動の後の結果に「ごほうび」があるとその行動をする頻度が高くなるというメカニズムが備わっています。

例えば、買い物をするとスタンプが溜まるお店があります。

スタンプが溜まる達成感や溜まったスタンプによる割引のお得感などで、またお店へ行きたくなると思います。

この達成感やお得感がわたしたちへの「ごほうび」です。

 

(編):確かに「ごほうび」があると、何度もその行動をしてしまいますね。

ですが「叱る」ことと「ごほうび」は一見繋がりがないように感じます。なぜ人は「叱る」行為で喜びを感じるのでしょうか?

たなかさん:叱るという行為にはとても即効性があります

「おもちゃ片付けなさい!」と言うと、子どもたちは慌てて片付けますよね。

そうすると、大人は「自分が叱ったことで片づけをした」と満足した気持ちになります。

相手が自分の言葉に従っていると感じることを「自己効力感」と言います。

また、大人はおもちゃを片付けない子どもを「悪いことをしている」と認識し、悪いことをしているから叱っていると思っています

悪いことをしている相手に罰を与えると、人は満足した気持ちになります。これを「処罰感情の充足」と言います。

大人は叱ることで「自己効力感」と「処罰感情の充足」という2つのごほうびを得られるので、叱ることを止められないのです。

(編):叱っていると「子どもに謝ってもらう」「反省させる」ことがゴールになっていることがあると反省しました…。
自分がしてほしいことを相手がしてくれることに満足してしまう心理があるんですね。

 

1-2.叱らないとしつけはできないのか?

(編):「叱るのは良くない」と思っていてもしつけのためには必要、というときもありますよね。

「叱る」ことと「しつけ」の関係性はどのようにとらえたらよいのでしょうか。

たなかさん:結論からお伝えすると、叱らなくてもしつけをすることはできます。

そもそも「しつけ」とはこのように定義されています。

子どもの人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為

(引用)体罰等によらない子育てのために~ みんなで育児を支える社会に ~ 厚生労働省 体罰等によらない子育ての推進に関する検討会

 

例えば「自分で使ったものを片付けない」「約束を守らない」という理由で叱るとき、大人は子どもたちに、社会で生きていくための礼儀作法や、社会で生活していくうえでのルールを身につけてもらいたいと思っているのではないでしょうか。

一方で、叱られた子どもの立場に立ってみましょう。

叱られた子どもは、とてもストレスを受けている状態です。

人々はストレスを受けると、その場から逃げるか、それともその危険の元と戦うかという「闘争・逃走反応」が生じます。

大人より立場の弱い子どもには「戦う」ことは難しいですよね。

そのため、とりあえず大人の言う事に従って、このストレスから「逃げる」選択をします。

とりあえず逃げているので、何が悪かったのかを理解していない事が多く、「何度言っても同じことで叱られる」という事が起こるのはそのためです。

つまり、しつけのために叱っても、子どもには何が悪いのかが伝わっていないことが多く、「叱る」ことそのものがしつけにはなるとは限らないということです。

 

(編):なるほど。では叱らずにしつけを行う場合に意識するポイントはありますか?

たなかさん:

  • 「しつけ」は本来子どもに「恐怖」を感じさせるものではない
  • 社会で自立して生きていけるすべを身につけるものである

ということに立ち返ると、「しつけ」をする際には

  • 肯定文で伝える
  • やり方を伝えたり、見本を見せる

ということが大切になっていきます。

例えば
子どもに走って欲しくないところでは、「走らないよ!」と怒鳴るのではなく、「ゆっくり歩こうね」と肯定文で伝えてみましょう。
おもちゃを片づけない時、もしかしたら子どもはどうやって片づけの方法が分からないのかもしれません。

「一緒に片付けよう」と言って親が見本を見せるのも大切です。

また、絵本をつかったり、実際の生活の中でルールを伝えることもおすすめですよ。

 

 
 

2.「叱る」が子どもの脳に与える影響とは、子どもの脳が委縮する!?

(編):さきほど叱られているときの子どもはストレスを受けていると説明していただきました。

親としても「叱る」のはなんとなくよくないことだと感じている方も多いと思います。具体的に良くない点はどのようなところなのでしょうか。

たなかさん:叱られているとき、子どもたちはどのように感じているでしょうか。

「悪いことをした」と思い、反省している子もいるかもしれません。

しかし、多くの子どもは「恐怖」や「ストレス」も感じています。

ストレスが積み重なると、心身へ悪影響を及ぼします。
例えば、うつ病は脳がストレスを受けてしまうため起こる病気です。

ストレスで脳の機能が正常に働かなくなることがあるのです。
次に叱られたことによる「恐怖」や「ストレス」が発達途中の子どもの脳にどのような影響を与えるのかを説明していきます。

 

2-1.叱ることで傷つく子どもたち、マルトリートメントとは

たなかさん:「マルトリートメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

(編):初めて聞きました。叱ることと何か関係はあるのでしょうか。

たなかさん:「マルトリートメント」とは「子どもを傷つける行為のすべて」です。
大人が子どものためを思ってやったとしても、子ども自身が傷ついていればそれは「マルトリートメント」なのです。

マルトリートメントには、次の4つがあります。

身体的マルトリートメント(叩く、罰として長時間正座させるなど)
心理的マルトリートメント(ほかの子と比べる、「あなたはだめだね」など言葉の暴力、夫婦喧嘩を見せるなど)
ネグレクト(面倒を見たくないからという理由でスマホやゲームなどを子どもに与えたままにする、子どもに食事を与えない、学校へ行かせないなど)
性的マルトリートメント(嫌がっている子どもとお風呂へ入る、親が全裸で部屋をウロウロするなど)

参照:防ごう!まるとり マルトリートメント

子どもを叱ることは日常的によくあることです。

「きつく言いすぎてしまった」「思わず手が出てしまった」というときもあると思います。

なかには、「叱らなければ分からない」「分からせるためには、これくらいは仕方がない」と思っている方もいるかと思います。

しかし、叱る行為はエスカレートすることがあり、それが子どもに恐怖を与えることにつながる場合もあります。

そこで、「マルトリートメント」ということばが使われるようになってきました。

これくらいならしかたがないと思って叱っている行為そのものに対して、注意喚起をすることができます。

 

(編):なるほど。つまり「マルトリートメント」の中に「叱りすぎ」や「子どもを傷つける叱り方」が含まれていて、その行為に対して警鐘をならすことができるんですね。

たなかさん:その通りです。「マルトリートメント」をしたことがない親はほとんどいないのではないかと思います。

わたし自身も子どもを叱ってしまうことがあります。

ここで大切なのはまずは「自分がマルトリートメントをしてしまっているかも?」と気づくことです。

例えば「何回言っても出来ないダメな子ね」といった子どもを否定するような言葉は、もちろん心理的マルトリートメントになります。

また、大人が何気なく「早くしなさい!」ときつく言ったとき、子ども自身が恐怖を感じていれば心理的マルトリートメントです。

もし叱る際に叩いてしまったのであれば、それは身体的マルトリートメントになります。

「マルトリートメント」という言葉を使うことで、すべての人に子どもとの関わり方を考えてもらうきっかけになって欲しいです。

 

2-2.叱ることが子どもの脳に与える影響

(編): 「叱りすぎ」や「子どもを傷つける叱り方」といった「マルトリートメント」。子どもにはどんな影響があるのでしょうか。

たなかさん:人間の脳というのは、胎児のころから思春期もしくは成人期にかけて発達していきます。

脳の部位により発達しやすい時期は異なりますが、胎児期、乳幼児期、思春期は外部からの影響を受けやすい時期だと言われています。

マルトリートメントを受けた子どもの脳は、健全な発達をしている子どもの脳に比べて変形していることが研究で明らかになっています。

そして、学習意欲の低下や非行、うつなどの精神疾患が起こる、又は悪化することが分かってきました。

変形してしまった子どもの脳は、適切な関わりをすることで回復する可能性があります。

例えば、カッとなって怒鳴ってしまった後に、子どもに対して怒鳴ってしまったことを謝るなど、子どもの不安な気持ち、悲しい気持ちを少しでも軽減させることです。

まずは自分の行動がマルトリートメントなのか、そうではないのかを振り返ってみましょう。そして、適切な関わりを心掛けるようにしましょう。

 
 

3.子どもにイライラ…叱る以外の対処法は?

(編): 小さなお子さんだと「言っても聞いてくれない」「何度も同じことをする」など、どうしてもイライラしてしまう場面も多くありますよね。

そんな時の対処法はあるのでしょうか。

たなかさん: 親だってひとりの人間です。イライラすることがあっても仕方ありませんよね。

ただ、イライラを子どもにぶつけるのではなく、上手に対処する方法を学びましょう。

イライラとうまく付き合うヒントを2つご紹介します。

 

3-1.アンガーマネジメントでイライラに対処

たなかさん:まずは、イライラした自分に気づきましょう。

怒りの感情は6秒待てば治まると言われています。そのことを利用して以下の2つを行ってみましょう。

・深呼吸をする

深呼吸することで自律神経が整い、副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になることで、緊張や興奮が和らぎリラックス効果が期待されます。

・親がその場を離れる

その場を離れることで気持ちを切り替えることができます。

わたしがよく行っているのはその場を離れることです。

トイレに入り、深呼吸をして落ち着かせます。

アンガーマネジメントにはイライラを抑える方法がたくさんあります。

自分にできる方法から試してみましょう。

 

3-2.イライラしない、叱らないために環境を整えよう

たなかさん:叱らないといけない状況が起きないようにすることも大事です。

例えば、子どもがバスに乗るといつも騒いでしまう場合、他の人に迷惑になってしまうことを心配したお母さんはついつい「静かにしなさい!」ときつく言ってしまいますよね。

この場合、もしかしたら子どもは「バスの中で騒ぐと他の人の迷惑になる」ということが分からないのかもしれません。

「バスに乗れてうれしいだけなのに、なぜかいつも叱られる。」と思っているかもしれません。

そんな時はバスに乗る前にどうしたら良いのかを伝えましょう

「バスに乗る時は他の人の迷惑になるといけないから、アリさんの声でお話ししようね。」などと伝えます。

または、「次のバス停まで静かにしていられたら勝ち」などとゲームにしてしまうのもよい方法です。

 
 

4.つい叱りすぎてしまった!そんな時の対処法

(編):気持ちを押さえようと思っていても、気づいたら叱っていた…後から反省、ということもありますよね。叱りすぎてしまった後にできるマルトリートメントのケアはあるのでしょうか。

たなかさん:イライラが抑えられず叱ってしまうことはあると思います。叱ってしまった事実はどうしようもありません。

大切なのは、叱られた子どもへのケアです。

 

4-1.上手に叱り終える

たなかさん:「叱る」原因となった行動が無くなったら叱ることをやめましょう

例えば、「おもちゃ片付けてね」と何度言っても片付けない子どもがいます。

お母さんが「いい加減にしなさい!」とカミナリを落とすと、子どもは慌てて片づけを始めます。

この時、片づけを始めたらそこで「叱る」をやめましょう。

悪い例は、「何度言ったら分かるの?使い終わったらちゃんと片付けてって言ってるでしょ!」などとグチグチ言い続けてしまうことです。

余計なことまで言いたくなってしまう気持ちはとてもよく分かります。

しかし、子どもが片付けを始めた時点で問題は解決しているはずです。

わたしはこんな時、何かの修行だと思ってグッと我慢しています。

良い例は「大きな声を出してごめんね。片づけてくれてありがとう。」と伝えることです。

しかし激怒していると、やさしい言葉をかけるのは難しいこともありますよね。

そんな時は、「ありがとう」だけ伝えて、気持ちを落ち着かせましょう。

気持ちが落ち着いたら、改めて子どもに気持ちを伝えてみましょう。

(編):途中から自分のイライラをぶつけることが目的になってしまっていることがあると反省しました。

「叱ること」を終了する、できるだけ意識してみます。

 

4-2.親の気持ちを伝える

たなかさん:どうして叱ってしまったのかを子どもに伝えることが大切です。

親は、不適切な行動をやめて欲しくて叱っていますが、ただ叱るだけでは子どもには何がいけなかったのか、どうすればよかったのかが伝わりません

気持ちを落ち着かせてから、なぜ叱ってしまったのかを伝えます。

そして、親自身は子どもにどうしてほしかったのかを伝えましょう。

例)
「ごめんね。お母さん、急いでたんだ。だから、靴を早く履いてほしかったんだよ。」
「電車の中には他の人もいるよね。うるさいのが嫌な人もいるかもしれないよ。他の人が嫌な気持ちにならないように、お母さんは静かに座っていてほしかったな。」

 

4-3.子どもの話を聞く

たなかさん:子どもが不適切な行動をしてしまった理由を聞いてみましょう。

子どもにも、何か理由があるのだと思います。

子どもも大人も、気持ちが落ち着いたときに「どうしてそんなことしちゃったのかな?」などと、やさしく聞きましょう。

子どもが話をしてくれたら、その気持ちを受け止めてあげましょう。

幼児期の子どもでは、まだ言語化が難しいこともあると思います。

そんな時は気持ちを代弁してあげて、どうすれば良かったのかを一緒に考えてあげてください。

(編):叱るときに、こちらの気持ちを伝えるだけで子どもの気持ちを聞けていませんでした…。

たなかさん:叱っている時は、親も子も気持ちが高ぶっているので、お互い余裕がなくなっても仕方ありません。

落ち着いてから話す時間をとってみてください。

 

4-4.子どもへの愛情を伝える

たなかさん:大人に叱られた子どもは、とても不安な気持ちを抱えています。

「ぼくの事嫌いだから叱るのかな?」と思っているかもしれません。

(編):幼少期、母親に叱られたとき「嫌われた」と思って大泣きしたことがありました。

たなかさん:その気持ち、わかります。自分たちを守ってくれるはずの親や身近な大人に叱られるのはショックなのです。

ショックな気持ちをケアするためにも、叱った後は、子どもに「○○君、大好きだよ」「あなたは大切な存在なんだよ」ということを伝えてあげましょう。

そして、ぎゅっと抱きしめてあげましょう。子どもに安心感を与えることができますよ。

 

4-5.手が出てしまった時はどうする?

(編):お悩みの中には「つい手が出てしまった…」というお声も寄せられています。こんな時はどうすればよいのでしょう。

たなかさん:わたし自身も一度、子どもの手を叩いてしまったことがあります。

具体的な状況は覚えていませんが、「いけない事を分からせるため」に叩いた記憶があります。

当時1歳半くらいだった娘は、びっくりした様子でぽかーんとしており、悪いことをしてしまったことはわかっていないようでした。

「手を出した」ことによって、子どもが自分の行為を反省したり、何が悪かったかを理解するとは限りません。

言葉で伝えることに越したことはないのです。

 

①まずは気持ちを落ち着ける

たなかさん:もし叩いてしまった自分に気が付いたら、まず「叩く」行為は終わりにしましょう。

そして、自分自身の気持ちを落ち着けるようにします。

気持ちが高ぶったままでは、適切な対応が出来ません。

 

②子どものケアを

たなかさん:叩いてしまう状況はいろいろあると思います。

「危険な行動をやめさせたかった」、「怒りで思わず叩いてしまった」などです。

そんなときも、基本的な対処法は同じです。

手が出てしまったときも、これまでに紹介をした「上手に叱り終える」「親の気持ちを伝える」「子どもの話を聞く」「子どもへの愛情を伝える」という対処をしましょう。

そして、叩いていてしまったことをしっかりと謝ることが大切です。

どうしても叩くのをやめられない、繰り返し手が出てしまう、というときは専門家にも相談してみてください。

 
 

5.「叱ること」に関するおすすめ育児本の紹介

(編):現在数多くの「叱り方」や「声のかけ方」に関する育児本が出版されていますが、たなかさんおすすめの本を教えてください。

たなかさん:わたしの「子育てバイブル」を含め、今回の「叱ること」に関するおすすめの本を3冊紹介しますね。

 

子育てハッピーアドバイス

たなかさん:1冊目はわたしの子育てバイブルになっている本で、スクールカウンセラーなども行っている精神科の先生が書かれた本です。

かわいいイラストでマンガも書かれているので、とても分かりやすくなっています。

この本から学んだ「子どもの気持ちを受け止めること」を、放課後等デイサービスで働いていた時に心掛けていました。

例えば、子どもの話にしっかりと耳を傾けたり、気持ちを代弁したりすることを意識していました。

実際に、イヤイヤ言っていた子どもが落ち着いて活動に参加したり、癇癪を起こしていた子も落ち着いたりする様子がみられました。

やはり「子どもの気持ちを受け止めること」は大切なのだなと実感しました。

このシリーズには「10代からの子育てハッピーアドバイス」や「忙しいパパのための 子育てハッピーアドバイス」などもあります。

今でも定期的に読み返している本です。

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〈叱る依存〉がとまらない

たなかさん:叱ることについて、臨床心理士さんが書かれた本です。

叱ることのメカニズムや、叱ることに依存してしまう怖さが分かりやすく書かれています。
また、<叱る依存>にならないための考え方や方法も書かれています。

叱ることに効果を感じていなかったわたしは、この本を読むことで叱ることが科学的にも効果が薄いことが理解できました。

とは言え、私自身が完全に叱ることが無くなったとはいえません。

まだまだ、私自身の訓練も必要なのだと感じています。

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ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント 

たなかさん:「親子でできる」というのがポイントです。

マンガで書かれているので、とても分かりやすくなっています。

ストレッチや深呼吸など、子どもと一緒に取り組んでみると親子で一緒にアンガーマネジメントを学べます。

子どもが小さくてまだ理解できないとしても、まずは一緒にやってみるのがおすすめです。

いくつかの対処法が書かれているので、自分に取り入れやすいものから試してみましょう

具体的な事例もあり、自分に合う対処法が見つかると思います。

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6.「イライラ」「叱りすぎ」をやめるには…まずは親自身をケアしましょう

(編):「叱る」ことの子どもへの影響、叱ってしまったあとのケアについてわかりやすく教えていただきありがとうございました。

「イライラして叱る」ということは親自身としてもストレスがたまることだと思います。

たなかさん:その通りです。「叱る」ことは子どもにとって良い影響を与えるものではないことをお話ししましたが、もちろん親にとっても良い影響はありません

叱る前、叱っている最中のイライラだけでなく、強く叱ったことで、子どもからの信頼を失くすかもしれません。

また、脳は主語を認識しないと言います。

子どもに言った言葉はそのまま自分に返ってきます。そして、自分の脳も傷つけているかもしれません

(編):確かに「言い方が良くなかったかな」と反省するときは、自分の気持ちも落ち込んでいる気がします。

自分の心を穏やかにするためにも、子どもへの伝え方を見直す必要があるんですね。

 

たなかさん:現代では、イライラしないでいることは難しいことだと思います。

ただ、イライラしやすいというのは疲れているサインかもしれません。

私自身、体調があまりよくなかったり、イライラしやすくなっていると感じたときは、できるだけ休むようにしています。
自分の体調を把握するだけでも、イライラの予防にもなりますよ。

なかなか休む時間が作れない方も多いと思います。
そんな方には5分間の瞑想や、読書でもストレスが解消されます。

叱る自分を手放すために、自分をケアすることも大切にしてみてください。

 

<編集後記>

「叱り過ぎはよくない」「広い心で子どもを受け入れよう」と言われても、実際子どもを前にすると、ついカッとなってしまったり、イライラして強く叱ってしまうこともあるのではないでしょうか。

親は大人でもありますが、一人の人間です。

「叱りすぎ」で子どもの気持ちを傷つけないことはもちろん、「自分自身の心を守るため」「親子で穏やかにすごすため」という目的で、普段の叱り方や関わり方を見直してみるといいかもしれません。

 

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主な参考文献
・友田 明美(2017)子どもの脳を傷つける親たち NHK出版新書

 

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