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約束を守らない子どもにイライラ!約束を守れない理由と親の接し方

この記事を書いた人

かわもと かわもと

かわもと

  • 高等学校教諭
  • 公認心理師
  • 中学校教諭

中学校教諭、高等学校教諭、公認心理師の資格を所持しています。

大学卒業後、療育施設にて勤務していました。

現在は、0歳の子どもを育てながら、子育てに役立つ記事を執筆しています。

得意なことは、絵本の読み聞かせ、歌遊びです。

「ゲームは1時間でおしまいと言ったのに、時間を過ぎても全然やめない」

「ご飯の時間までに宿題を終わらせると約束したのに、夜寝る前になっても終わってない」

子どもが約束を守らないことに悩んでいませんか。

子どものためを思って約束をしているのに、いつも約束を破られてしまうとイライラしてしまいますよね。

この記事では、公認心理師の資格を保有し、療育施設での勤務経験のある筆者が、子どもが約束を守らない理由や、子どもの発達段階にあった約束のコツ、親の接し方について紹介します。

 

目次

 

1.子どもが約束を守れるようになるのはいつから?

子どもが約束が守れるようになる年齢の目安は、4〜5歳頃といえるでしょう。

4〜5歳頃の子どもは、ルールを理解し、自分の考えを言葉で伝えられるようになることで、友達と楽しく遊べるようになります。

友達との関わりを通して、自分とは違う人の視点で物事を見られるようになり、友達や親の気持ちを想像できるようになります。

約束をするときも、「約束を破ったら、親がどんな気持ちになるのか」「守らなかったら、親に叱られる」など、親の気持ちや先のことを想像できるようになり、約束を守れることが増えてきます

また、1歳半から3歳頃まで続くイヤイヤ期は、自我の芽生えによって、親からの制止や禁止を嫌がることが多い時期ですが、4〜5歳頃になると、言語能力や脳の実行機能が発達することで、自制心が育まれていきます。

例えば、有名な心理研究「マシュマロテスト(※1)」では、クッキーを2枚得るために目の前にあるクッキー1枚をどれだけ我慢できるかを調査しました。

実験の結果、「2歳以下は1分」「3歳は2分」で目の前のマシュマロを我慢できずに食べたのに対し、「4歳では4分以上」「5〜6歳は10分以上」待つことができました。

約束を守るには、「自制心」が必要です。4歳頃になると、自分の気持ちをコントロールできるようになることで、親との約束を守れる頻度が増えてくるでしょう。

 

2.子どもが約束を守れない4つの理由

4〜5歳頃から少しずつ約束を守れるようになるといっても、実際のところは、個人差も大きいです。

「うちの子はすぐに約束を破るから困る!」と悩む親御さんも多いのではないでしょうか。

ここからは、子どもが約束を守らない理由を解説します。

 

2-1.抽象的な約束で、子どもに伝わっていない

子どもと約束するとき、「おとなしく」「ちゃんと」などの言葉を使っていませんか?

言葉の意味が抽象的でわかりにくい約束は、子どもにうまく伝わりません。

なるべく具体的な表現に言い換え、ジャスチャーなどでわかりやすく伝えるように心がけましょう。

おすすめの言い換え例:

・「おとなしくしてね」→「お話しないよ」「(口の前に人差し指を立てて)『しー』だよ」
・「ちゃんと片付けて」→「おもちゃをかごに入れてね」「クレヨンは引き出しに入れてね」

 

2-2.難易度の高い約束をしている

片付けが苦手な子どもに「ご飯の時間までにおもちゃを全部片付けてね!」とお願いしても、できないことが多いですよね。

この場合は、約束のハードルを下げるのがポイントです。

おもちゃを1つ片付けられたら、次は2つ、3つと少しずつレベルを上げていきます。

難易度の高い約束をすると、子どもは約束を守りたくても守れることができず、自信を奪う可能性もあります。

なるべく子どもの年齢や発達に合わせて、守りやすい約束を意識しましょう。

「小さな約束を守れた」という成功体験をたくさん積ませることが大切です。

おすすめの言い換え例:

・「ご飯の時間までにおもちゃを片付けて」→「ママと一緒におもちゃを片付けよう!ママは電車をカゴに入れるから、〇〇ちゃんはお人形をこの箱に入れてくれる?」

 

2-3.約束を忘れてしまった

幼児期は記憶力が未発達なので、目の前に遊びなど楽しいことがあると、約束を忘れてしまうことも多いです。

この場合は、約束を視覚化するといいでしょう。

例えば、約束をイラストや文字にして、部屋の見える場所に貼っておくと良いでしょう。子ども自身に貼ってもらうのもいいですね。

療育施設では、室内を走らないという約束があり、「走らないカード」を壁に貼っていました。

子どもが約束を忘れて走り出したら、「見てみて!」とそっとカードを指さすという関わり方をしていました。

「走らないカード」を見ると、子どもも「あ、そうだった!」と思い出し、落ち着いて歩いてくれることが多かったです。

タイマーもおすすめ!

タイマーは時間を音で知らせてくれるので、忘れ防止になります。

時計の数字にシールを貼って、「長い針がシールのところにきたらおしまいね」と伝えると、約束の時間を確認することができます。

 

2-4.約束を守る必要性が分からない

約束の目的が子どもに伝わっていないと、守ってもらえないことも多いです。

子どもと約束をする際は、約束を守ってほしい理由や親の気持ちなどを言葉で伝えるようにしましょう。

療育施設でも、「教室では走らないよ。〇〇ちゃんが走って転んだら、先生も悲しい気持ちになるよ」と伝えていました。

頭ごなしに「〇〇しちゃダメ!」と叱るのではなく、「なぜダメなのか?」を冷静に伝えることで、子どもも素直に話を聞き、走らないように気を付けることが多かったです。

おすすめの伝え方:

・「テレビをずっとみていたら、目が悪くなるね。大好きな〇〇ちゃんの目が悪くなったらパパも悲しいな」
・「電話してる時、静かにくれたら、ママはお話聞けて嬉しいな」

 

3.約束を守る子どもを育てる、親の接し方

子どもが約束を守るようになるためには、親はどのように子どもに接したらいいでしょうか。

ここでは、子どもと接する時のちょっとした工夫や心がけについてまとめました。

 

3-1.親も約束を守る

子どもは親が思う以上に、親の姿をしっかり見ています。

日常でも、ママやパパの仕草や口癖を真似したりすることはよくありますよね。

子どもが約束を守らなくて困ると悩んだら、まずは親が手本になり、約束を守る姿勢を大切にしましょう。

例えば、食後に食器の片付けをして欲しいときに、親のどちらかが片付けなかったら、子供も「ママ(もしくは、パパ)が守っていないから、守らなくてもいいか」と思ってしまいます。

親が約束をきちんと守る姿を見せることで、子どもも「頑張ろう!」と思えるようになります。

 

3-2.子どもが約束を守れた時は、認めてほめる

どんなに小さな約束でも子どもが守ることができたら、認めてほめましょう。

「当たり前にできること」は、ついほめるのを忘れてしまいます。

些細なことでも親が認めてほめることで、子どもは「できた!」という喜びや自信が湧き、次のモチベーションとなります。

また、「ママやパパは、自分のことをしっかり見てくれている」という安心感にもつながります。

ほめるときは、子どもの行動や努力の過程を具体的に伝えるのがポイントです。

「最後までお片付けできたね」「帰ってすぐに手を洗ったね」など、言葉にして伝えましょう。

家族がいる前でほめるのも効果的です。例えば、パパが仕事から帰ってきたら、「今日は、〇〇ちゃんがご飯の時間をしっかり守れたよ」などと嬉しそうに報告します。

人前で褒められる経験を通して、子どもは「約束を守ってよかった」と実感することができ、自信ややる気にもつながります。

 

3-3.「約束=ポジティブなもの」というイメージ付けをする

「約束=面倒で大変。守れなかったら親に怒られる」など、ネガティブなものとして約束を捉えている子どもも多いですよね。

この場合、「約束を守ったら良いことがある」と、約束のポジティブな要素を子どもに伝えます。

約束のポジティブな伝え方の例:

・「お片付けしようね。お部屋がピカピカになって気持ちいいよ」
・「お友達とおもちゃを順番に使おうね。お友達も喜んで、〇〇ちゃんとまた遊んでくれるよ」

 

療育現場でも、教室を走り回っている子どもに対し、「走ったら遊べないよ」ではなく、「椅子に座ったら遊べるよ」とポジティブな声かけを心がけていました。

「ご飯を食べないと遊べないよ」ではなく、「ご飯を食べたら遊べるよ」と、普段の言い方を少し変えるだけでも、子どもの行動は変わります。なるべく子どもがメリットを感じる言葉を選びましょう。

また、約束にゲーム要素を取り入れると、楽しみながら守れるようになる子どももいます。

ゲーム要素を取り入れた約束の例:

・「お人形さんをお家に帰してあげたら、喜ぶよ」
・「帰ったら手を洗おうね。手のバイキンをやっつけちゃおう」
・「タイマーが鳴るまでにお片付けできるかな?よーい、スタート!」

 

お子さんのタイプに合わせて調整してくださいね。

 

4.【3〜4歳向け】子どもと上手に約束するコツ

ここでは、3〜4歳の子ども向けに、上手な約束のコツをご紹介します。

 

4-1.親が手本を見せて練習する

3〜4歳の子どもは、まだ衝動を抑えるのが難しい年齢です。

友達と関わる経験も少ないため、おもちゃの貸し借りでトラブルが起きやすい時期でもあります。

その場合は、まず親が手本を見せて、一緒に練習するのがおすすめです。

まず、パパとママの2人で、実演します。ぬいぐるみや人形を相手役にしても良いです。

・パパ:「これ、貸して!」
・ママ:「いいよ」

だけでなく、

「まだ使ってるからちょっと待ってね」「終わったら貸すね」など、おもちゃの貸し借りで、起こりそうなやり取りをいくつか見せるのがポイントです。

その後は、子どもに練習をしてもらいましょう。

親が手本を見せておくと、少しずつ友達との関わり方やルールを学び、実践できるようになっていきます。

 

4-2.絵本で伝える

3〜4歳の時期は、まだ言葉で伝えるだけではうまく理解できないお子さんも多いでしょう。その場合は、「約束を守ることの大切さ」を絵本で伝えるのがおすすめです。

口頭で約束の大切さを伝えるよりも、絵や物語を通したほうがイメージが湧きやすく、記憶に残りやすいからです。

「約束を守ったらどんなうれしいことがあるのか」「守れなかったらどうなってしまうのか」などを物語の主人公と一緒に体験することができます。

以下、約束をテーマにしたおすすめの絵本を紹介します。

①すっくのこんなときってなんていう?おうちのなかで

「子どもがなかなかあいさつをしてくれない」とお悩みの方におすすめの絵本です。「おはようございます」「いただきます」など家の中でよく使われる言葉を覚えることができます。

>>文・たかてらかよ、絵・さこ ももみ『すっくのこんなときってなんていう?おうちのなかで』ひかりのくに出版

②ひとりじめ

おもちゃを独り占めしてしまう子どもに、読み聞かせにピッタリな絵本です。ブランコやりんごを独り占めするこぐまさんを通して、友だちと仲良くする方法を学べる一冊です。

>>文・本間正樹、絵・いもとようこ『ひとりじめ』佼成出版社

③カケ・マケちゃんとかたづけエルフ

片付けが苦手な「カケ・マケちゃん」が、上手に片付けをできるようになる冒険物語です。成長していく「カケ・マケちゃん」に影響されて、子どもも思わず片付けをしたくなるかもしれません。

>>文・絵、リナ・ジュタウテ『カケ・マケちゃんとかたづけエルフ』世界文化社

 

5.【5〜6歳向け】子どもと上手に約束するコツ

 

5-1.親子で話し合う

5〜6歳になると、コミュニケーション能力が高まります。友達と遊ぶ時も、ルールを提案したり、交渉したりできるようになります。

5〜6歳の子どもには、親子で約束を話し合って決めるのがおすすめです。

「どんなことに気をつけようか? 遊ぶ時の約束を決めよう!」と親から質問を投げかけて、子どもから約束事を提案してもらいましょう。

約束を自分で決めることで、「きちんと守ろう!」という責任感を持てます。「親に自分の主張を聞いてもらえた」という安心感にもつながります。

親子で約束を守ることで、「一緒に頑張ろう」と思う気持ちも湧きやすいでしょう。

 

5-1.ポイント制を取り入れる

遊びや集団のルールを理解できるようになったら、ポイント制を取り入れるのもおすすめです。

約束が守れたら、ポイントカードやカレンダーにシールを貼ったり、ハンコを押したりします。全部または〇個溜まったら、ご褒美を用意してもいいでしょう。

ポイント制には、

  • やるべきことを意識させることができる
  • できたことが見える化できる
  • できたことをみんなで共有できる
  • 小さなことでも達成感が味わえる

などのメリットがあり、子どものモチベーションを高め、楽しみながら約束を守る体験が重ねられます。

以下の「ポイント制を取り入れる時の注意点」を確認して、子どもに約束を守ることの大切さや意味を理解してもらえるような関わりを心がけてくださいね。

ポイント制を取り入れる時の注意点:

1.子どもに約束の目的や理由を伝える。あくまでも「自分のため」であると伝える。

2.子どもが約束を守れたら、ポイントをあげるだけではなく、約束を守れたことや頑張ったことをほめる。

3.子どもが約束を破った時は、「次は頑張ろうね」と声をかける。「今日はできなかったから、ポイントはなしだよ」という否定的な言葉は控える。

4.ご褒美はささいなものでも良い。モノではなく、お出かけなどの「体験」をご褒美にするのもおすすめ。

 

 

6.結果を急がず、親子で楽しく約束を守ろう!

子どもが約束を守れるようになる時期、約束を守れない理由とその対処法、親の接し方、年齢別の約束を守れるようになるコツをお伝えしました。

子どもが約束を理解し、覚えて、実行できるようになるには、時間がかかります。

子どもの発達段階に応じて、約束を視覚化したり、親が手本を見せたりするなど、焦らずに根気強く教えることが大切です。

子どもは何度も失敗を繰り返しながら、少しずつ成長するものです。

「頑張ろう!」とする姿勢を認めて、どんな小さなことでもほめてあげるようにしましょう。

「ゆっくり、少しずつ」を意識して、親子で楽しく約束を守れるといいですね。
 

・非認知能力がどうして大事なの?効果は?

・情報を知ることがどうして大切なの?

こちらで詳しく解説中です!

 

参考文献
※1:秦野悦子・近藤清美(編),『公認心理師カリキュラム準拠 発達心理学』医歯薬出版,2020年

 

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