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叩く、つねる、押す…3歳児の「手が出る行動」への適切な対処法!

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

30代主婦・小2の女児の子育て中です。

社会福祉士の資格を持っています。

児童や高齢者などを対象とした福祉の分野に従事しており、

相手の心に寄り添いながら、その人の力を引き出せるような援助を心がけてきました。

現在は、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中です!

きょうだい喧嘩が始まると、すぐに叩き合いになってしまう。

上手くできないことがあると、泣きながらママを叩く。

このような我が子の行動に、お困りではありませんか?

何度言っても聞かないし、このままお友だちに怪我をさせてしまったら、どうしよう……と追い詰められてしまうママも少なくないのではないでしょうか。

子どもが叩くのには原因があると言われていますが、それは必ずしも「親が叩くから」や「愛情不足だから」とは限りません。

今回は、3歳くらいの子どもの「手が出てしまう」原因を明らかにしながら、望ましい対応についてご紹介します!

 

目次

 

1.どうして叩くの?手が出てしまう原因とは

叩いたり、押したり、つねったり……子どもが手を出してしまう場面は様々です。

大人からすると「言葉で言ってくれればいいのに!」と思うところですが、子どもには子どもなりの理由があるようです。

子どもが手を出してしまう原因とは、いったい何でしょうか。

 

1-1.子どもは「制裁」の意味で叩く

まず確認しておきたいのが、子どもが手を出すときは、理由があるということです。

宮城教育大学の教授である越中は、『攻撃行動に対する幼児の善悪判断の発達的変化』という研究の中で、幼児は「挑発的攻撃よりも制裁としての攻撃を示すことが多い」と報告しています。

つまり、子どもは理不尽な状況や不愉快な思いに対して「ダメだ!」という意味で叩いたり、押したりしているというのです。

言語能力が発達し、自分の気持ちを言葉にできるようになってきたとはいえ、まだまだ過渡期の3歳児。

感情のコントロールも苦手なので、「手っ取り早く自分の要求を通す手段」として、手が出てしまいがちです。

子どもに言葉で伝えることを促す一方で、親自身の行動が子どもにとって理不尽なものになっていないか、振り返ってみることも大切かもしれません。

 

1-2.本人が叩かれる環境に置かれている

2つめの原因として、本人を取り巻く環境で「叩く」「押す」「つねる」といった行為が常態化していることが挙げられます。

躾のために親が叩くのはもちろんのこと、きょうだい喧嘩などもそれに当たるので、振り返ってみましょう。

とくに、歳の近いきょうだいの場合は、「口で勝てないから押し倒す」「やり込むために叩く」といった具合に、手が出がちです。

暴力での脅しに成功体験を重ねると、子どもはおのずとその手段を選ぶようになりますので、早めに対処しましょう。

また、ひと昔前まで一般的であった「お尻叩き」についても、見直す必要がありそうです。

子どもの攻撃性を強めたり、認知機能の発達を阻害したりと、発達に悪い影響を与えるとの研究結果も出ていますので、要注意です。

「体罰ってほどでもないでしょう?」と、ついついお尻叩きや手を叩くなどの軽いおしおき(暴力)をしてしまいがちですが、まずは親の行動から変えていきましょう。

 

1-3.甘えたい気持ちを発散している

3つめの原因として挙げられるのは、親への甘えたい気持ちを「叩く」といった形で発散している場合です。

とくに、幼稚園や保育園では手が出ないのに、家だけでそのような行動が見られる場合は、この傾向が強いでしょう。

他者への認識の強まりとともに、「自分の思い通りにしたい。けれども、全てが叶うわけではない」という葛藤の中にいる3歳児。

いけないことだとはわかっていつつ、「どうしてわかってくれないの!」と、共感してほしい思いから手を出してしまうのです。

これも、原因の1つめに挙げた「意にそぐわない状況への制裁」と考えることができますね。

「愛情不足なのかな?」と心配になってしまいますが、子どもの心がどんどん成長している証でもあるので、安心してください。

子どもにとって家庭が安心できる場所なのは素晴らしいことなので、頭ごなしに叱るのではなく、外で頑張っている子どもの気持ちを受け止めながら、違う形で発散するよう促しましょう。

ポイントは、条件付きの愛情にならないよう、「ママはあなたが大好きよ」というように、子どもの自己肯定感を高める声掛けをすることです。

そして、”ここぞ!”というタイミングは逃さないよう、子どもが「ねえねえ」と声を掛けてきたときは、目を見てしっかりと向き合いたいですね。

 

2.叩かれたらどうする?〜NG対応〜

ここからは、実際の対応の仕方についてご紹介します。

まずは、避けたい「NG対応」4つをみてみましょう。

これらは効果がみられないだけでなく、逆効果やそれ以上のデメリットも生じる恐れがあるので、要注意です。

 

2-1.「威圧的に叱る」はNG

子どもが手を出したとき、つい大きな声で「コラ!」と叱っていませんか?

ガツンと叱った方が効果的かと思いきや、大きく怖い声にビクッと驚いて怯むだけで、実は本質的な効果はそれほど見込めません。

それだけでなく、その後の注意の言葉が耳に入りづらくなり、「なぜいけないのか」を考える余裕まで潰してしまうので、避けましょう。

また、泣くほど叱ったり、謝ることをゴールに設定しないことも重要です。

泣いて謝る姿を見ると、一見反省しているように思えますが、3歳くらいの子どもは「怖かった」の記憶が優先的に残ってしまいます。

結果はすぐには出ないものと心に留めて、「子どもの心に届く」叱り方を根気強く続けていきましょう。

 

2-2.「真剣に取り合わない」はNG

子どもに叩かれたとき、実際、大して痛くない場合もありますよね。

そんなときに、何事もなかったかのようにスルーしたり、「も〜、やめて」と軽く受け流さないよう気をつけましょう。

今はまだ許容範囲であっても、「どこまでならOKか」は、幼い子どもには見当がつきません。

とくに、きょうだい喧嘩の中で手が出ることは「子ども同士だから当たり前」と思ってしまい、意外と見過ごされがちです。

徐々にエスカレートする前に、望ましくない行動があった時点で対処しましょう。

 

2-3.「泣きマネをする」はNG

子どもに叩かれたとき、泣きマネをして事の重大さを伝える方も多いかもしれませんが、この対応も望ましいとは言えません。

初回に取り入れてみて、びっくりしてやめるのであれば効果的だったといえますが、その後も叩く行動が収まらないようであれば、やめましょう。

3歳の幼い子どもと言えど、ウソ泣きしているのを見抜きますし、繰り返しているうちに耐性がついてしまいます。

子ども自身も、都合が悪くなったときに泣きマネをして乗り切ろうとするなど、デメリットが大きくなるので避けるのがベストです。

 

2-4.「親が叩いて教える」はNG

子どもが叩いたとき、同じ痛みを経験させて、わからせようとするのはNGです。

「体罰でしつけるのはよくない」と頭で理解していても、実際に叩かれた場面では「どうしたら叩くのはダメとわかってくれるだろう」と必死になってしまいますよね。

子どもに事の重大さが一向に伝わらない場合は、なおさらです。

「子どもが叩いてしまう原因」でもご紹介したとおり、本人が叩かれる環境におかれることは、叩いてしまう悪循環を生み出します。

友だちやきょうだいに対して、同じように「ダメな行動だとわからせるため」に同じ行動をとることにもつながるので、避けましょう。

 

3.叩かれたらどうする?〜OK対応〜

では、実際に子どもが叩いたとき、どのように対応すればよいでしょうか?

効果的な方法を3つご紹介します。

3ステップになっているので、順番にチェックしてみてくださいね。

 

3-1.行動を止める

子どもが叩いたとき、まずは手を押さえるなどして行動そのものを止めましょう

そして、毅然とした態度で手短に「叩きません!」と伝えます。

「叩いちゃダメ」や「叩くと痛いよ」など、制止させるための言い回しは様々ありますが、まだまだ幼い3歳児には、望ましい行動を「短く・わかりやすく」伝えるのがおすすめです。

興奮が収まらず、ひどく叩くような場合は、ギュッと身体を抱きしめて落ち着かせるのも有効です。

叩いたことを決してあやふやにせず、しっかり制止し、子どもの目を見て「禁止」を伝えましょう。

 

3-2.叩いた理由を聞く

次に、なぜ叩いてしまったのか、子どもに理由を聞きましょう。

子どもの心の中に伝えたい気持ちはあっても、どのように伝えたらいいのかわからず、泣いてしまうこともあるかもしれません。

言葉が拙い時期なので、「〇〇が嫌だったの?」「△△したかったの?」と気持ちを言語化させられるようサポートをしながら、話を進めましょう。

このステップは、子どもの行いを責めるためのものではなく、叩かない選択肢として言語化させる訓練のひとつでもあります。

回数を重ねるごとに自分の想いを言葉にできるようになるので、穏やかな口調で忍耐強く付き合いましょう。

 

3-3.端的な言葉で「どうするべきか」を伝える

子どもに叩いた理由を聞いたあとは、「〇〇が嫌だったんだね。だから叩いちゃったんだね」と、子どもの気持ちを一旦受け止めるステップが大切です。

共感の姿勢を見せることで子どもの心も落ち着き、その後の話合いがスムーズになります。

その上で、叩くのはいけないこと、そのようなときはどうしたらよいのか、望ましい行動を端的な言葉で伝えられるといいですね。

集中力や記憶力がそれほど長続きしない時期なので、時間を掛けて叱らず、要点を絞ることを意識しましょう。

そして、子どもが重要なときこそしっかりと耳を傾けてくれるよう、叱り方の習慣を見直すことも大切です。

日頃から必要以上のことで叱ったり、「ダラダラ叱り」になったりしないよう、意識してみてください。

 

4.叩かれたらどうする?~対応のポイントとは?~

ここからは、手が出る子どもとの向き合い方について、対応のポイントを3つご紹介します。

適切な対応をしたからといって、すぐに効果が出るものではありません。

日々の暮らしの中で、以下の3点を意識しながら、ゆとりを持って成長を見守りましょう。

 

4-1.叩きたくなってしまったときの対処法を教える

子どもの手が出る問題に対しては、対症療法よりも事前の予防が重要です。

何度も叩く行為を繰り返してしまうときは「叩くのではなくて、どうするんだっけ?」というように、子どもに考えさせる声掛けをしましょう。

また、日頃から「叩いてはいけない」ことを口頭で説明しておくことも効果的です。

「もしお友だちに叩かれたら、怒ってもいいけど、叩き返したらいけないよ。叩き返さずに、言葉でやめてと伝えようね」というように、子どもが落ち着いている状態のときに伝えましょう。

 

4-2.夫婦で対応を統一させる

子どもが叩いてしまったときの関わり方について、パパとママの対応を統一するようにしましょう。

パパを叩いたら大きな声で叱られたのに、ママは「えーん」と言ったとなると、子どもは混乱してしまいます。

「どのような場面でも、誰でも叩くことはいけない」ということが子どもに伝わるよう、毅然とした態度で対応しましょう。

また、いつ・どのような場面で子どもの手が出るのか、夫婦で情報を共有しておくことも大切です。

どのような場面で手が出るのかが予想できるようになれば、未然に防ぐこともできます。

 

4-3.普段叱らない人にも協力してもらう

子どもの手が出る行動がなかなか収まらないときは、祖父母や幼稚園、保育園と連携するのも有効です。

「最近手が出て困っていること」「どのような場面で出やすいのか」「手が出たらどのように声掛けしてほしいか」を伝えておきましょう。

とくに、祖父母は親の子育てのやり方を尊重するあまり、口出ししないスタンスであることも少なくありません。

いつも子どもを叱るのが親御さんである場合、普段叱らないようなおじいちゃん・おばあちゃんに真剣に注意されることで、事の重大性に気づくこともあります。

事情を話して、協力してもらうのもオススメです。

 

5.悩みすぎは禁物!即効性は求めず、根気強く向きあいましょう

子どもが手を出してしまう問題は、親御さんからするととても深刻な悩みですよね。

「いつか誰かに怪我をさせてしまったらどうしよう」「このまま暴力的な人に育ってしまうかも」と思うと、気長に成長を見守るなんて難しいかもしれません。

しかし、3歳くらいの子どもは、誰かを痛めつけてやろうと思って手を出すというより、自分の不快な気持ち、納得できない状況への抗議である場合がほとんどです。

叩きたくなってしまったときの正しい対処法を学び、叩くよりも自分の気持ちをわかってもらえることに気がつけば、徐々に手が出る回数も減ってくるでしょう。

発達の具合は十人十色です。考えすぎず、根気強く子どもと向き合っていきましょう。

 

 

主な参考文献
越中 康治,攻撃行動に対する幼児の善悪判断の発達的変化
,広島大学大学院教育学研究科紀要_第三部_第55号,227-235,2006

 

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