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反抗期に負けない!子育てアンガーマネジメントのやり方

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

子どもを注意しなければならないとき、みなさんはどのように対処していますか?

最初は優しく声を掛けていても、子どもは聞く耳を持ってくれず、何度目かにはつい大声で怒鳴ってしまう……。

優しいお母さんでいたいけれど、いつも怒ってばかりで自分もつらくなりますよね。

そんなときは、怒りの感情と上手に付き合うための「アンガーマネジメント」を取り入れてみませんか?

アンガーマネジメントをマスターできれば、怒りの感情に支配されて大爆発することが少なくなり、また、怒りを感じる回数自体を減らすことができます。

怒りそのものをなくす方法ではありませんが、お母さんの負担がグッと減り、親子の関係も良好になりますよ。

今回はアンガーマネジメントのテクニックと、「ここぞ」というときにイライラに支配されることなく子どもに効果的に声を掛けられるよう、「子どもに注意するとき」の実践ポイントもあわせてご紹介します。

アンガーマネジメントをマスターして、お母さんにとっても、子どもにとっても、過ごしやすい毎日に変えていきましょう!

 

目次

 

1.「アンガーマネジメント」とは?

「アンガーマネジメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングの方法として、1970年代にアメリカで生まれました。

アンガーマネジメントの目的は、怒りの感情をコントロールすることです。

怒らないことを目指すのではなく、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています。

怒りの感情は相手に伝播(でんぱ)しやすく、怒りの感情に支配されると、ときに建設的なコミュニケーションから離れてしまいがちです。

お母さんが怒りのコントロールをして子どもと接することで、子どもも落ち着いて話を聞くことができるようになります。

また、お母さんが衝動的な感情を上手くコントロールする姿を見せることで、子どもが怒りのコントロールを身につけられる効果も期待できます。

アンガーマネジメントは段階的に行えば誰でもマスターできるものなので、イライラに支配されない日々を目指して取り組んでみましょう。

 

 

2.子どもにイライラ・つい怒ってしまうのはなぜ?

 

2-1.怒りの正体とは?

突然ですが、スーパーで走り回る子どもを想像してみてください。

「もう!こんなところで大騒ぎしないで!」と怒りの感情がわき、イライラしますよね。

注意しても聞かず、手をつなごうとしても逃げられたとなれば、「いい加減にしなさい!」と怒鳴ってしまうかもしれません。

この場合「言うことを聞かない子どもに怒った」と捉えられますが、実は怒りの感情は突然沸き起こるものではありません。

怒りを感じる前には、必ず「悲しい・悔しい・辛い・寂しい・不安」といった「一時的感情」が発生しているのです。

 

・「危ないからやめてほしい(心配)」

・「こんなところで大騒ぎするなんて、たくさんの人もいるのに……(恥ずかしい)」

・「スーパーに入る前に静かにするって約束したのに(期待を裏切られて悲しい)」

 

これらの一時的感情が、怒りを形成しているといえます。

つまり、怒りは一時的感情をもとに生まれる二次的感情なのです。

 

2-2.怒りは決して悪ではない

怒りたくて怒っているお母さんはいませんよね。

「できれば子どもに怒りたくない」「優しいお母さんでいたい」「子どもは褒めて伸ばしたい」と思っている方も多いでしょう。

そんなお母さん方は、この感情をやり過ごしたい!早く怒りを鎮めないと!と、怒りをネガティブに捉えている傾向にありますが、怒りの感情を持つことは決して「悪」ではないということを知っておく必要があります。

「ネガティブで不快な感情」を察知する能力はもともと人間に備わる防御反応であり、女性はとくに怒りを察知するセンサーが強いともいわれています。

むしろ無理に抑圧したり、うまく怒りの感情に気づけなかったりすることで、余計に怒りの感情が増幅してしまったり、気づかないうちに身体や心に悪影響を及ぼしたりすることもあります。

とくに子育ての場面では、お母さんが怒りを示すことで「お母さんは真剣なんだ!」「これは重大なことなんだ!」と子どもに伝わりやすくなるプラスの側面もあります。

大切なことは、怒りの感情に支配されないよう、上手くコントロールすることです

 

2-1.怒りは子どもに対して向けてしまいがち

怒りには3つの特性があります。

身近な人に強くおこる
高いところから低いところへ向かう
人に伝播しやすい

「高いところから低いところへ向かう」というのは、力関係に関してです。

四六時中子どもと一緒にいる子育て中は、親から子どもに向けて怒りの感情が起こりやすい状況といえます。

そして、怒りの感情は人に伝播しやすいので、イライラ怒っているお母さんを見て、子どもも頑なな態度になりやすいのです。

そんな子どもを見てさらにイライラ……と負の連鎖が止まらなくなってしまうこともあるでしょう。

一方でまだまだ精神が未熟な子どもに、怒りの感情をコントロールしてもらうことは難しいですよね。

まずはお母さんが、アンガーマネジメントで怒りの負の連鎖を断ち切り、イライラの悪循環から抜け出しましょう。

子どもと良好な関係が築けるだけでなく、子ども自身がイライラする場面に直面してもうまく切り抜けられるようになりますよ。

また、イライラする出来事があっても、怒りの感情に適切に対処するお母さんの姿をお手本にして、子どももだんだんと怒りの感情をコントロールできるようになるでしょう

 

 

3.アンガーマネジメントのやり方!穏やかな子育ての秘訣

 

それでは、アンガーマネジメントの具体的な方法を見てみましょう。
テクニックは、大きく分けて3つです。

1つずつステップを踏んでいくように段階的に進めていくと、怒りのコントロールができるようになります。

 

3-1.衝動のコントロール

怒りを感じたときに、「カッとなって」「頭に血が上って」と表現されますよね。

この感覚は、人間が怒りを感じると反射的に脳から放出されるアドレナリンが原因です。

アドレナリンが大量に放出されると、心拍数が増え、血圧が上がり、血液量が増加して攻撃の準備が始まります。

アドレナリンが全身を駆け巡るのにかかる時間は、6秒間です。

この6秒間をやり過ごして衝動のコントロールをすることで、冷静に判断できる思考が戻ってくるといわれています。

そのため、アンガーマネジメントのひとつめのステップでは、この6秒間の過ごし方がポイントになります。

6秒やり過ごそうと思って「1・2・3……」と数えるのは要注意です。

これでは「怒り爆発までのカウント」になってしまいます。

そこで、2つのおすすめアイディアをご紹介いたします。

 

①ルーティーンを決める

胸をトントンする・深呼吸をする・「大丈夫。大したことない」と唱える、など。

どの行動も怒りを鎮めるのに効果があると言われており、ルーティーンにおすすめです。

 

②「タイムアウト」をする

すぐに怒鳴ってしまいそうなほど怒りが強いときは、一旦その場を離れて冷静になる時間をもつ「タイムアウト」をするのも1つの手です。

子どもが不安にならないよう、「すぐに戻ってくる」ことを伝えてからその場を離れましょう

 

重要なことは、この6秒間に「どうやって注意しようか」を考えないことです。

ただただアドレナリンが通り過ぎるのを待つために、気をそらしましょう。

 

3-2.思考のコントロール

6秒間をやり過ごしたからといって、怒りの感情がなくなるわけではありません。

次のステップとして、思考のコントロールを行います。
思考のコントロールのポイントは2つです。

 

①「許せること」と「許せないこと」を決める

怒りを引き起こす子どもの言動が、「許せること」なのか「許せないこと」なのかを客観的に判断しましょう。

「許せない」と怒りが湧いてしまうときは、少なからず「期待どおりでなかった」という落胆の気持ちがベースにあります

この「期待する状態」とのギャップを許容することで、怒る回数を減らすことができ、本当に必要なときにだけ怒れるようになります。

 

ここでは「子どもがおもちゃを片付けない」というシチュエーションについて考えてみます。

 

まずは「片付ける」という行為を「期待する状態」「許せる状態」「許せない状態」に区別してみましょう。

レベルをつけて考えることで、客観的に判断しやすくなります。

 

・期待する状態:おもちゃが元の場所にしまってある

・許せる状態:おもちゃがひとまず箱にしまってある

・許せない状態:おもちゃが床に転がっている

 

「許せない状態」以外だったら、ひとまず「よし」としましょう。

そして次回以降は「期待する状態」になるにはどうしたらよいか、お子さんと決めていくと良いでしょう。

重要なのは、いつでもこの基準を変えないことです。

お母さんの機嫌によって「今日は許せない!」となっては、子どもは大混乱してしまいます。

どんなときも同じ価値基準で判断していくことを目指しましょう。

 

②「事実」と「思い込み」を分ける

片付けていないことを怒ったとき、「まったく!いつも片付けないんだから!」と言ってしまうことはありませんか?

本当に、言葉のとおり「いつも」片付けていないのでしょうか。

何度も注意していると、「この間も言ったじゃない!」という思いの延長で、「いつも片付けていない」という思い込みに変わってしまうことがあります。

子どもからしたら「この前はちゃんと片付けたのに……」と、片付けたことを認められていない結果に、余計に反発心が強くなることもあります。

売り言葉に買い言葉にならないよう、「今この瞬間だけ」の事実に対して注意するようにしましょう

このように考えることで、「昨日も一昨日もちゃんと片付けられたのだから、今日は怒らずに伝えよう」と思えるはずです。

 

3-3.行動のコントロール

最後のステップは、行動のコントロールです。

これは、その出来事が「重要か・重要じゃないか」「変えられるか・変えられないか」を判断し、「重要」かつ「変えられる」ことに絞って怒る習慣を身に付けることです。

生まれたときからずっと大切に大切に育ててきたわが子。

ついつい、無意識のうちに親の思い通りになってほしいと望んでしまうこともあるかもしれません。

しかし、子どもがしている行動は本当に怒るほど重要で、変えるべきことなのか、冷静に判断することも大切です。

 

兄弟喧嘩を例に挙げてみましょう。

喧嘩が起こること=一定の年齢では仕方のないこと

つまり「変えることが難しいこと」と考えられます。

一方で

・相手に手を出すしたり、悪く言うこと=良くないこと

つまり「重要なこと」と考えられます。

 

この判断をもとに、喧嘩が起きたことに対して怒るのではなく、子どもが相手に手を出してしまったときに、その良くない行動に対してだけ注意するのです。

ここぞ!というタイミングで口を挟めるよう、静観してみましょう。

怒る回数が減れば、本当に必要なときに子どもの心に届きやすくなりますよ。

行動のコントロールで、怒る範囲を狭くする習慣を身につけましょう。

 

 

4.アンガーマネジメント実践編!子どもへの声掛けポイント

 

ここからは、アンガーマネジメントを身に付けたうえで、実際に子どもに声を掛けていくときのポイントを4つ見ていきましょう。

 

4-1.自分・相手・物を傷つけないように気をつけて

大前提として、「自分・相手・物」を傷つけないことが大切です。

 

「自分」を傷つけないということは、怒りの感情を無視しない、ということです。

怒りの感情が溜まりすぎると、気づかないうちに身体や心を蝕んでいきます。

アンガーマネジメントを行ったからといって、怒りの感情が完全になくなるわけではありません。

適度に気分転換しながら、まずは怒りが蓄積しないようにしましょう。

 

「相手」とは、もちろん子どものことです。

子どもの人格を否定するような言葉を投げかけず、怒りを感じたその「行動」のみを注意するようにしましょう。

 

「物」に八つ当たりしたくなってしまってもグッと我慢。

怒りの感情が残っていると、ドアをバタンと大きな音で閉めたり、コップをガシャンと乱暴に置いたりしがちになりますが、こんな行動は子どもの恐怖心を煽ってしまいますね。

 

「人・相手・物を傷つけない」ことを前提に、声掛けをしましょう。

 

4-2.主語を自分にしてみて

実際に子どもに注意の言葉掛けをするとき、どのように伝えていますか?

主語を「あなた」から「わたし」に変えるだけで、子どもの心に届くメッセージが変わります

 

■例

主語が「わたし」になると、子どもは「責められた」と感じることなく、相手の気持ちだけにフォーカスできるので、「お母さんはそんな気持ちになったんだ、悪かったな」と思えるのです。

 

4-3.伝え方を工夫してみて

重要なことを伝えたいときは、つい声を荒げて「真剣さ」を見せるようにしてしまいがちですが、ボディーランゲージやスキンシップを用いるのが効果的です。

ボディーランゲージは、例えば子どもの目線に合わせてしゃがむ、などです。

目線を合わせることで、子どもにはより真剣さが伝わりますよ。

同じように、手を握ったり、肩に手を添えるなど、スキンシップをはかりながら伝えることも有効です。

 

4-4.問題志向よりも解決志向で具体的に!

注意するときに、「どうして〇〇なの?」「なんで〇〇しないの?」と言いたくなってしまいませんか?

これは原因を探る「問題志向」の言葉掛けになりますが、原因を探ったところで子どもはどうしていいのかわかりません。

それだけでなく、「なぜ・どうして」と言われることで責められている気持ちになり、「だって!」と反発したくなってしまいます。

そんなときは、具体的な解決策を言葉にして伝えましょう。

 

■例

 

注意の言葉も前向きな内容になると、子どもも素直に受け止めやすくなります。

 

 

5.子どもの反抗期にも!アンガーマネジメントで怒りすぎを予防しよう

怒りの感情は扱いにくいので、自分の意識だけではなかなか変えられませんよね。

アンガーマネジメントは続けることで誰でもマスターできるので、子育て中のお母さんにこそ試していただきたい手法です。

お母さんの対応が変われば、子どもも意固地にならずに素直に聞き入れてくれることも増えるでしょう。

怒りをコントロールできるお母さんの姿を子どもに見せて、親子でイライラに振り回されない良好な関係を目指していきましょう。

 

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