image-1343

イヤイヤ期の癇癪はどう対応する?放置するより「タイムアウト」が効果的!

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

多くのパパ、ママが経験する子どものイヤイヤ期。

何でも自分でやりたいこの時期は、思ったようにできないジレンマから、手がつけられないほど泣きわめいたり、目の前のことを何でも「嫌だ!」と拒否したり…覚悟はしていても、先が見えなく辛い時期ですよね。

今回は、2歳3歳の癇癪の対処法として「タイムアウト」をご紹介します

タイムアウトは、この時期に伸ばしたい「自分の気持ちをコントロールする力」と「自分の気持ちを言葉であらわす力」の成長を手助けしてくれる子育て法です。

親子ともに大変な時期ですが、子どもの心の成長をフォローしながら、上手く乗り切りましょう!

 

目次

1.イヤイヤ期はいつ?どうして癇癪を起こすの?

イヤイヤ期は一般的に1歳前後から始まり、2歳頃にピークを迎え、3歳~4歳にかけてだんだんと落ち着いてくるといわれています。

イヤイヤ期に突入すると、今までご機嫌に過ごしていたのに、突然何に対しても「イヤ!」と拒否したり、欲しいものを買ってもらえなくてお店で大泣きしたり、食事、歯磨き、お風呂や着替えなどもスムーズにできなくなるので、ママは対応に手を焼いてしまいますね。

そもそもなぜイヤイヤ期は起こるのでしょうか。

ここでは2・3歳の発達段階にそって原因を説明していきます。

 

■2歳児の発達の特徴

理解力や手先の器用さも増してくるので、できることがどんどん増えてきて、大きく成長を感じられる時期です。

少しずつ自我が芽生えてくるので、「こうしたい!」「あれはしたくない!」という自己主張が生まれます。

一方で、まだ一人だけではできないことも多いため、子どもの中では「できること」と「できないこと」のギャップから生まれるイライラが募ります。

さらに言語能力も発達段階のため、その思いを言葉にできず、さらにイライラしてしまいます。

自分の気持ちをコントロールする「前頭前野」も発達の途中なので、大声で泣いたり、暴れたりと手のつけられない状態になりやすくなります。

 

■3歳児の発達の特徴

自分の「やりたいこと」「やりたくないこと」がはっきりとし、自己主張がさらに強くなっていきます。

言語能力は2歳児よりも発達し、語彙が増えていきますが、自分の感情をうまく言葉にできないこともしばしばあり、そのもどかしさから癇癪を起こしてしまうこともあります。

また、この時期はだんだんと自分以外の他者とコミュニケーションをとれるようになっていく時期です。

しかし社会性は発達途中のため、相手との会話で主張がぶつかり、自分の意見が通らないと癇癪をおこしたり、手が出てしまったりすることもあるのです。

 

「甘やかしすぎたかな?」「育て方が悪かったかな?」と出口が見えなく、つらい時期になりやすいですが、実は、この時期は子どもの成長にとってとても重要なのです。

なぜならこの難しい時期を経て、子どもは自分の気持ちをコントロールする力や、言葉で表現する力をゆっくりと身に付けていくからです。

心が健やかに成長している証なので、前向きに捉えて過ごしていけるとよいですね。

 

2.イヤイヤ期に癇癪を起こした時、どう対応すれば良い?

 

子どもの成長にとって重要とはいえ、子どもが癇癪を起こしたときにどう対応して乗り越えれば良いでしょうか。

実際によくある場面として、食事中にイヤイヤの癇癪が始まり、食器を床に落としたり、フォークを振り回したりしているところを想像してみてください。

このような状態に、どう対応しますか?

 

2-1.大切なことは「寄り添って代わりに言葉にする」

まずは、「どうしたの?危ないから、やめようね。」と声を掛けるママが多いのではないでしょうか。

危険を避けるために、子どもの手から振り回しているフォークを取り上げることもあるかもしれません。

危険を回避したら、まずは「どうしてそんなことをするの?〇〇が嫌だったのかな?」と聞き、気持ちに寄り添ってあげましょう。

自分の思いを言葉にして伝えられない時期は、大人が気持ちを代弁してあげることで、気持ちが落ち着きやすくなります。

 

2-2.癇癪が起きたら「放置する」よりも「タイムアウト」

さて、そんなふうに気持ちに寄り添おうとしても、一筋縄ではいかないのがイヤイヤ期。

手がつけられなくなり、最終的に「放置して落ち着くまで待つ」しかない場合もありますよね。

しかし、放置することに対して「この対応で良いのかな?」と罪悪感をお持ちのママも多いのではないでしょうか。

親身に話を聞こうとしても癇癪が収まらなかったり、放置することでさらに泣きわめいてしまったり…ママもだんだんと悲しくなったり、イライラしたりしますよね。

そんな時は、お子さまが自分で気持ちをコントロールできるようになるとっておきの方法「タイムアウト」を実践してみませんか?

ママも前向きな気持ちで実践できるので、イヤイヤ期をうまく乗り切るためのヒントになるかもしれません。

 

3.癇癪の対応法「タイムアウト」とは~イヤイヤ期を乗り切るヒント~

 

3-1.タイムアウトは自分の気持ちをコントロールする習慣を身につける訓練

タイムアウトとは、子どもが癇癪を起した際に、特定の空間で「どうしてそのような気持ちになったのか」などを振り返り、自分の気持ちを落ち着ける時間を設ける対応法のことです。

アメリカ発の昔ながらの子育て法で2〜5歳くらいの子どもが対象になっています。

自分の気持ちをコントロールする力を伸ばす効果があるので、イヤイヤ期の癇癪の対応としても有効です。

決まった手順に沿って行うものなので、誰でも取り組めるところがポイントです。

 

3-2.タイムアウトは障害をもつ子どもの支援としても有効

タイムアウトは、発達障がいや知的障がいを持つ児童を支援する場でも、援助方法のひとつとして使われています。

自分の怒りの感情をコントロールできなくなったときに、自らタイムアウトに入る児童もいます。

コントロールしにくい感情の扱い方を知っているということは、子どもにとっても過ごしやすさにつながるのかもしれませんね。

 

4.「タイムアウト」の方法6ステップ

 

それでは、さっそくタイムアウトの方法について見てみましょう。

 

4-1.【STEP1】癇癪が起きたらまずは「受容と共感」を行う

タイムアウトは「自分の気持ちをコントロールするための訓練」ですが、大前提として、信頼できる身近な大人が、気持ちに寄り添う姿勢を見せることが重要です。

望ましくない行動をとったら、まずはその危険な行動をやめさせた上で、「そっか、〇〇が嫌だったんだね。」と気持ちを代弁してあげましょう。

もちろん、人に危害を加えたり、自分が危険にさらされるようなことをしている場合は例外ですが、ありのままの姿を受け入れられていると実感できることは、子どもにとって重要です。

安心感につながり、気持ちが落ち着きやすくなるでしょう。

 

4-2.【STEP2】タイムアウトの事前告知をする

言葉で寄り添った結果、その行動をまだ止めない場合は、「それをやめないと、タイムアウトをするよ。」と目を見て端的に伝えます。

親はこの時、感情的になりやすいですが、決して「言うこと聞かないなら、タイムアウトだよ!」などと脅すような言い方はしないようにしてください。

タイムアウトは、罰を与えたり、脅しに使うものではないのです。

「その行動を続けるかどうかは、本人の判断に任せる」というスタンスで、あくまでも冷静に、必要最低限のことを淡々と伝えることがポイントです。

もし、ここでその行動が収まったら、思いっきり褒めてあげましょう。

タイムアウトを続けていくと、徐々に自分の気持ちをコントロールできるようになるので、この段階で済むことが増えてきます。

収まらなかった場合は、タイムアウトに進みましょう。

 

4-3.【STEP3】タイムアウトを開始する

タイムアウトを開始するときは、子どもに「どうしてタイムアウトをするのか」目的を明確に伝えます。

例:「食器を振り回しているのをやめないから、タイムアウトをするよ。」

ここでも、努めて冷静に振る舞いましょう。

「タイムアウトはお仕置きではない」という認識を持つことが重要です。

一方、子どもは泣き叫んだり、暴れたりすることもあるでしょう。それに気持ちを引っ張られることなく、淡々と子どもをタイムアウトのスペースに連れて行きましょう。

「何がいけなかったのか、よく考えてみてね。」と伝えて、その場を離れます。

タイムアウトの時間は、年齢✕1分を目安にします。2歳なら2分、3歳なら3分です。

タイムアウトの間、もしかしたら子どもは大泣きをしているかもしれません。

しかし、ここで目を合わせたり、泣いていることを叱ったりしないようにしてください。

タイムアウトのスペースから出てしまった場合は、再度タイムアウトをすることを伝え、時間を計り直しましょう。

 

4-4.【STEP4】タイムアウトを終了する

タイムアウトの時間が終了したら、子どもの元へ行きます。

たとえ子どもが泣き続けていたとしても、タイムアウトは規定の時間で終了です。

「タイムアウトはこれでおしまいだよ。」と声を掛けてください。

タイムアウトを続けていくと、徐々に泣き続ける時間が短くなっていくことを実感できるかもしれません。

これは、子どもが気持ちのコントロールをしはじめた証拠と言えます。

 

4-5.【STEP5】タイムアウトが終わったらいけなかったことを伝える

タイムアウトの終了を告げたら、向かい合って子どもの目を見ます。

「何がいけなかったのか」と「どうすれば良かったのか」を一緒に振り返りましょう。

ここで、子どもが「何がいけなかったか」を言葉にできれば望ましいですが、「わからない。」と答えた場合でも問題ありません。

ママがわかりやすく端的に伝えましょう。

例:「食器を振り回してスプーンを床に投げていたね。人に当たったら危ないから、やってはいけないよ。」

こちらも同様に、時間内に自分の行動を振り返ることができるようになれば、タイムアウトの効果が出ていると言えます。

 

4-6.【STEP6】タイムアウトを終えたことを褒める

最後は、タイムアウトを終えたことを褒め、精一杯抱きしめましょう。

ここでのフォローがとても大切です。

子どもにとってタイムアウトが「ママに嫌われたかも!」と恐怖心を抱くものであってはなりません。

タイムアウトの間泣き続け、「何がいけなかったのか」を答えられなくとも、気持ちを切り替えて、最後は精一杯褒めることを徹底しましょう。

このフォローがあるからこそ、子どもは「ママに見放された!」と不安になることなく、タイムアウトを受け入れられるようになっていきます。

 

5.「タイムアウト」5つのメリット

 

それでは、タイムアウトがもたらすメリットとはどのようなものなのか、詳しく見てみましょう。

 

5-1.危険を回避できる

まずは、癇癪を起こしている場から離れ、専用に用意したスペースに連れて行くことで、危険を回避できるメリットがあります。

泣き叫んだり、大暴れしている子どもを連れて行くのですから、タイムアウトのスペースは、できるだけシンプルで安全な空間にしましょう。

 

5-2.子どもが冷静になれる

癇癪を起こした子どもは、泣いたりしているうちに「なぜ泣いているのか」自分でもわからなくなることがあります。

その場を離れ、視覚的にも落ち着いたスペースに移動することは、心を落ち着けるきっかけになります。

 

5-3.トラウマになりにくい

望ましくない行動を取った罰として、暗い場所や閉鎖された場所に閉じ込められると、子どもは大人が想像する以上に心に傷を負い、トラウマになることがあります。

タイムアウトは、恐怖を与えないスペースを作ることで、子どもの心に傷を残さないというメリットがあります。

 

5-4.気持ちをコントロールする習慣が身につく

タイムアウトは、罰を与えることで行動を抑制する方法ではありません。

あくまで、自分の気持ちをコントロールする訓練なのです。

タイムアウトの手順と環境を用意することで、その過程を手助けしてあげましょう。

 

5-5.ママもクールダウンできる

気持ちをコントロールできるといった意味では、ママも同じです。

決まった手順に沿って行うことで、子どもの泣き声や大暴れにイライラしたり、放置して罪悪感を抱えたりすることが少なくなります。

「子どもが気持ちをコントロールする過程を手助けをしている」という認識できる点も、冷静でいられることに役立ちます。

 

6.タイムアウトの注意点

 

タイムアウトのメリットがわかったところで、ここれはタイムアウトをより効果的に活用するために、注意しておきたいポイントを順番に見てみましょう。

 

6-1.事前にタイムアウトの方法を説明しておく

スムーズにタイムアウトを行うためには、子どもが落ち着いている状態のときに、タイムアウトの方法をあらかじめ伝えておくことが大切です。

いざ子どもがの癇癪が始まり、こちらの声も耳に届かなくなった状態でタイムアウトのスペースへ連れて行っても、子どもは泣き叫んだり、その場を離れようと大暴れしたりするでしょう。

「タイムアウトはどのようなものなのか」「どのような状態になったらタイムアウトがあるのか」を日頃からわかっていることで、子どももパニックにならずに応じやすくなります。

 

6-2.タイムアウトの決まり文句を作る

癇癪を起こしている子どもは、こちらの声が耳に届かない場合も多いでしょう。

タイムアウトをする前の「事前告知」や「開始の合図」、「終了の合図」は端的に、「それをやめないと、タイムアウトをするよ。」といった決まり文句を作ってわかりやすく伝えることが重要です。

子どもの中でタイムアウトの手順が明確になることで、余計なパニックを引き起こさずに済みます。

 

6-3.タイムアウトを行う環境を固定する

タイムアウトをするスペースは、その環境づくりも大切です。

部屋の隅に椅子を置いてスペースを作ったり、刺激の少ないシンプルな別室に座らせたりするだけでも大丈夫ですよ。

重要なのは、いつも決まった場所で行うようにすることです。

もし、外出先でタイムアウトをしなければならない場合は、一度車の中に戻ったり、人気のない落ち着いた場所を選んだりすることで、自宅と同じように実施することができます。

その場合は、子どもが集中できるよう、壁に向かって立たせたりするなど工夫をしましょう。

 

6-4.タイムアウトのやり方を固定する

タイムアウトは、いつも同じルールに沿って行うことで、子どもがその手順に慣れ、より効果を発揮します。

子育てに関わる大人が同じルールに沿って実施できるよう、その手順を家庭内で共有しておくことが重要です。

 

7.イヤイヤ期にはタイムアウトを使って子どもの成長をサポートしよう

 

成長の証として嬉しい反面、ママにとっては辛い時期でもある「イヤイヤ期」。

成長には欠かせない時期だからこそ、前向きに乗り切りたいですよね。

タイムアウトは、1度で子どもが見違えたように成長するような、魔法の子育て方法ではありません。

何度も繰り返すことで、少しずつ効果が現れてくるものなので、根気強く向き合っていきましょう。

繰り返していくうちに、徐々に泣き止むまでの時間が減り、「何がいけなかったのか」言葉にできるようになり、最後はタイムアウトをする回数までもが減ってくることを実感できるかもしれません。

そこに至るまでの時間には個人差がありますが、イヤイヤ期の対処法のひとつとして、ぜひ取り入れてみてください!
 

こんなお悩みはありませんか?

・発達がゆっくり…?
・〇歳でこれくらい出来ていて普通なの?
・調べてもよくわからない

 

ランキング

カテゴリー一覧

人気のタグ