子どもの生活リズムが乱れる原因や影響!整えるためのヒント
この記事を書いた人
haru*(はる)
- 養護教諭
- 心理カウンセラー
養護教諭として小・中学校に7年間勤務し、妊娠を機に退職。
現在は4歳の子どもを育てながら、フェルト生地を使った知育玩具のハンドメイド作品販売「sewing_haru*」の運営と、子育てメディアなどで記事の執筆をおこなっています。
子どもの「好き」をたくさん見つけて増やしていく子育てを目指しています!
毎朝子どもがなかなか起きなかったり、食事時間にしっかり食べてくれなかったりすることはありませんか?
幼稚園や保育園に入園したばかりの頃はとくに、毎日がバタバタで大忙しですよね。
新しい生活に慣れるまでは、生活リズムが乱れることもあるかもしれません。
しかし、幼稚園や保育園に慣れてきた4歳頃は、1日のスケジュールが組みやすく、子どもの生活リズムを整えるベストタイミングだといえます。
今回は、子どもの生活リズムが乱れる原因や影響について触れた上で、子どもの生活リズムを整えるためのヒントを紹介します。
ご家庭で取り入れられそうな内容を参考にしてみてください。
目次
1.子どもの生活リズムを整えるとは
人には、もともと『体内時計』というものが備わっています。24時間周期に合わせて、体内のリズムを整えるのです。
しかし、「朝は〇時に起きる」「お昼ご飯は〇時に食べる」のように、生活リズムが決まっていないと、この体内時計が正しく動かなくなることにつながります。
1日の生活サイクルをある程度決めていないと、休日などに「朝はのんびり過ごそう」や「お昼は少し遅くなってもいいかな」となることもあり、そうした小さなことがきっかけで生活リズムは乱れ始めます。
生活リズムの乱れは、心と体の時間の感覚をルーズにし、体内時計が狂う原因となり得ます。
体内時計が正しく働いていないと、本来の食事時間にお腹が空かなかったり、就寝時間に眠くならなかったり、生活リズムがさらに乱れてしまうでしょう。
そうすると、疲れやすくなる・頭が働かなくなるなど、心身の不調にもあらわれて、悪循環に陥るのです。
2.子どもの生活リズムが乱れる原因と影響
ここでは、子どもの生活リズムが乱れる習慣や環境についてお伝えします。
2-1.子どもの生活リズムを乱す習慣とは?
子どもの生活リズムが、しだいに乱れる習慣には、つぎのようなものが挙げられます。
①朝遅くまで寝ている
②朝食をとらない
③夜、明るい環境で遅くまで起きている
これらのライフスタイルの基点が乱れると、「頭がぼーっとする」「食欲がなくなる」「夜眠れず、朝起きられない」など、身体への影響が出ることにつながります。
“なんとなく…”という程度でも、身体が不調だと、生活全般に支障をきたすこともありますよね。
健康的に生活をするために大切なのは、朝はなるべく決まった時間に起きて、ごはんをしっかりと食べ、夜もできるだけ決まった時間に眠ってじゅうぶんな睡眠をとる、という基点を動かさないことです。
2-2.子どもの生活リズムには環境も影響する
子どもの生活リズムには、ほかにも種々の要素が影響します。影響が出やすい要素を6つにまとめました。
①食事のタイミング……朝食はとっているか、間食の量は適切か
②食事の悩み……落ち着いて食べているか、偏食はあるか
③子どもの特性……気になるクセはあるか、気持ちの落ち着き具合はどうか
④子どもの遊び……外遊びはあるか、テレビやゲームの頻度はどうか
⑤家庭の保育環境……母親が就労しているか、保育ありか
⑥両親の状況……母親の健康面、子育ての不安、父親のサポートがあるか
子どもは、お世話をしてくれる大人の生活リズムに合わせて過ごしています。
そのため、子どもの生活リズムには親の状況(就労や健康状態など)が影響する場合もあるのです。
大人のライフサイクルが乱れていると、一緒に過ごす子どもにも影響が出やすくなることもあります。
特に、ごはんやお風呂の時間が遅くなることは、子どもの生活サイクルを乱す要因となり得るものです。
子どもの生活リズムは、さまざまな要素が相互的に作用して、均衡が保たれているといえるでしょう。
3.子どもの生活リズムを整えるカギは睡眠!
生活リズムを整えるうえでカギとなるのが、『睡眠習慣』です。
家庭環境や就労状況などによっては、生活リズムを整えるためのたくさんの要素のなかで、なかなか変えにくいものもあるかもしれません。
そのなかでも、比較的直しやすく、ライフサイクルを整える最初のステップにしやすいのが、睡眠習慣です。
睡眠は、ただ夜に寝るだけではありません。
なるべく毎日、おなじタイミングで寝て、起きる時間も一定に保つことが肝要です。
それが生活リズムを整えるきっかけになり、日中「眠くて頭が働かない」となりにくくなりますよ。
また、眠っているあいだはホルモンが活性化するため、お子さまの発達をうながすことにもつながります。
3-1.子どもの生活リズムを整える上で、睡眠が大切な4つの理由
理由①体の発達を促す
子どもは、夜眠っているあいだに、細胞をつくる手助けをするホルモンが分泌されています。特に成長に必要なホルモンは、夜中の24時頃に熟睡しているときにたくさん分泌されます。
睡眠時間が削られるとホルモンの分泌が減り、子どもが成長できる時間も削られてしまうことにもつながります。よく寝て成長ホルモンを活発化させるために、「寝る子は育つ」ともいわれています。
理由②抵抗力がつく
睡眠中に分泌が促進されるメラトニンは、細胞を守る働きがあるホルモンです。メラトニンは、幼児期に多量に分泌されるものですが、夜更かしをすると分泌量が抑制されてしまいます。
睡眠をとってメラトニンの分泌を促進すると、感染症などへの抵抗力を高める働きへとつながります。しっかりと睡眠をとれば、病気になりにくい体をつくることになるといえるでしょう。
理由③ 回復力があがる
成長ホルモンは、身体の成長をうながしたり、疲労回復をしたり、脳や身体の修復をする役割を担っています。ノンレム睡眠といわれるとても深い睡眠(夜中の24時頃)のときに、集中して分泌量が増えるのです。
理由④集中力がつく
神経伝達物質のセロトニンは、朝の光を浴びることで活性化し、分泌量が増えます。セロトニンの活性が下がると、精神的に不安定になり、イライラして攻撃性や衝動性が高まる場合もあります。
十分な睡眠をとって朝の光を浴びることで、セロトニンを活性化し、集中力を高めたり感情をコントロールしたりすることができますよ。
3-2.子どもを睡眠へ誘うためのヒント
子どもは、環境の変化に敏感です。
いつもより長めにお出かけをしたときや、いつもより遅い時間にお風呂に入ったときなど、少しでも環境に変化があると、興奮したり不安になったりして、なかなか眠れなくなることもあります。
変化を最小限にして、お子さまがよく眠れるようにするために、ぜひやっていただきたい習慣があります。
それは、就寝前に毎日決まったルーティーンをすることです。
たとえば、寝るまえにはまず歯磨きをし、そのあとに一緒に絵本を読んだり、大好きなぬいぐるみと一緒にベッドに入ったり、おなじ流れを毎日繰り返すのです。
寝るまえの行動をルーティーン化することで、お子さまは「いま絵本を読んだから、もう寝る時間になるんだね」と、就寝時間を意識するようになります。
これは入眠儀式と呼ばれていて、子ども自身が寝る時間を意識することで、生活リズムを整える基盤づくりにもなるでしょう。
まだ時計が読めないお子さまにもわかりやすいので、おすすめですよ。
ただし、入眠儀式には向かない習慣もあります。
激しい運動、スマホやゲームで遊ぶ、音楽を大音量で聴く、のようなことは、心や身体を興奮状態にさせるため、寝るまえの習慣には向いていません。ゆっくりとリラックスできるような入眠儀式を取り入れてみてください。
休日になると、朝はゆっくり過ごしたいこともあるかもしれません。
しかし休日であっても、ライフサイクルを崩さずに一定に保つことが大切です。
特に子どもは、脳や身体が成熟途中なので、生活周期が未完成です。
夜はなるべく決まった時間に布団に入り、休日であっても朝は決まった時間に起きることで、しだいに生活リズムを覚えていきます。
休日の過ごしかたこそ、生活リズムを整える基盤をつくることにつながるといえるでしょう。
「睡眠不足のチェックリストや早く寝てもらうための方法」について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
「寝ない子ども」を早く寝かせる方法!<寝不足チェックリスト付>
4.子どもの生活リズムを整える1日の過ごし方
生活リズムを整えるためには、睡眠以外にも、食事と遊びをバランスよく取り入れることが大切です。
ここでは例として、日中子どもと過ごす時間が長いご家庭の場合の、生活リズムを整えるためのヒントを、日常生活の時間順に沿って紹介していきます。
とはいっても、すぐに変えることが難しいご家庭もありますよね。
普段の生活のなかで改善できる習慣もあるので、「これならできそう!」と取り入れられる項目がみつかるかもしれません。
ぜひ、参考にしてみてください。
4-1.朝の光を浴びる
朝起きたときのポイントは、太陽の光を浴びることです。
朝の光は、神経伝達物質のセロトニンの分泌を活性化させます。
セロトニンの分泌量が増えると、眠りモードがリセットされて活動モードに切り替わります。
天気が雨だったとしても、起きたらまずはカーテンを開ける習慣をつけることが大切です。
外が暗いときは電気の光などで明るくして、脳と身体に「朝だよ」と教えるようにしましょう。
4-2.朝食をとる
起きたばかりの胃に食事が運ばれてくると、「食べ物を分解しよう!」と働き始めます。
活性化した体内は血液循環がよくなり、睡眠中に低くなっていた体温があたためられます。
血液のめぐりがよくなると、脳や身体にエネルギーを届けて補給してくれるのです。
朝の食事は、生活リズムを整える土台づくりとして大切なものです。
いままで朝食をとる習慣がなかった場合、最初はあまり食べられないかもしれません。
でも、少しずつからでも大丈夫ですよ。毎日おなじ時間に食べられるように、習慣をつくってみてください。
4-3.身体を動かして遊ぶ
大人も子どもも、昼間に身体をたくさん動かせば、夜は疲れて眠くなるものですよね。
日中の活動量は、夜の眠りを左右します。
昼間にいかに動くかが、生活リズムを整えるカギのひとつだといえるでしょう。
特に午前10~12時は、身体がもっとも目覚めて活発になれる、運動に最適の時間です。
この時間を目安にしてたっぷりと遊び、夜の眠りに備えることがポイントです。
4-4.お昼寝は長すぎないようにする
お昼寝をたくさんすると、夜に眠れなくなるお子さまもいるのではないでしょうか。
生活リズムが未完成の子どもの身体は、お昼寝をしすぎると「長く寝ているから、いまは夜なのかな?」と、脳や身体が勘違いをすることもあるのです。
夜に眠れなくなるようであれば、お昼寝は午後3時頃を目安に起こすようにしてみましょう。
胃のなかのお昼ごはんが消化された午後3時あたりに起こすと、眠気もすっきりして、また活動的になれます。
しかし、熟睡しているときに起こすと、機嫌が悪くなったり泣いてしまったり、後々大変なことになる場合もありますよね。
起こすときに、おすすめのタイミングがあります。
それは、寝返りを打ったときや、寝息の音が変わったときなど、眠りが浅くなってから起こしてみるのです。
眠りが浅いときであれば、起こしやすい可能性があるので、ぜひ試してみてください。
もし寝始める時間が遅くなった場合でも、起こす時間はなるべくおなじ時間になるように心がけてください。
4-5.夕食は寝る2時間前くらいまでにとる
夕食の時間が遅くなると、その後のやることが詰まっていき、寝る時間も遅くなってしまいますよね。
遅い時間に寝ると、朝起きられないこともあります。
そこでおすすめなのが、夕食の時間は寝る2時間前くらいまでにとることです。
人は、胃のなかに入った食べものを消化するまでに2~3時間かかるといわれています。
もし寝る直前に食事をした場合、体は食べものの消化を最優先してしまい、浅い眠りになる可能性があるのです。
お昼寝のときは、浅い眠りでも少しスッキリしてまた動ければいいのですが、夜は1日の疲れをとるためにも、しっかりと眠ってほしいですよね。
質の高い睡眠をとるためにも、寝る時間をあらかじめ決めておき、その2時間前くらいまでには夕食を済ませておくようにしましょう。
4-6.お風呂は寝る1~2時間前くらいまでに入る
人間の体温は、目が覚めると上がっていき、夕方にかけて下がり始めて、体温が低くなったときに眠くなります。
眠くなったときに人の手足はあたたかくなるため、「体温が上がる=眠い」と思うかもしれません。
しかし実際は、手足から体の熱を出して体温を下げて、一部分があかたたかくなっています。
体のなかの体温を下げて、自然と眠くなるように、身体が調整をしているのです。
もし寝る直前に熱いお風呂に入った場合、せっかく下がり始めた体温をまた上げることになります。
体温が上昇した身体は睡眠モードではなく活動モードになるのです。
活動モードになってしまうと、夜に寝かしつけをしても、なかなか寝てくれないこともあります。
お風呂に入るおすすめのタイミングは、寝る時間の1~2時間前です。
入浴後は一時的に上がる体温も、布団に入るときには適温になるため、寝つきがよくなるのです。
また、熱いお風呂に浸かってしまうと、寝るまでに体温が下がりにくくなります。
少しぬるめのお湯(約40℃)にゆっくりとあたたまれば、寝るまでに体温がほどよく下がり、スムーズに睡眠モードにつなげられますよ。
【コラム】子どもの生活リズムが乱れやすい時期とは?
筆者が、養護教諭として学校に勤務をしていたときに、児童生徒の生活リズムが乱れやすい時期がありました。
それは、休み明けです。特に、長期休み明けのときは、生活周期が乱れてしまった児童生徒が体調を崩し、保健室が溢れかえっていました。
休みのあいだは通園通学がありません。朝早くに起きなくても遅刻しないため、のんびり過ごしてしまうこともあります。
しかし、生活サイクルを安定させるには、休みの期間もおなじリズムで過ごすことがポイントです。
せっかくの休みなので、ゆっくりしたいこともありますよね。そんなときには、まずは朝起きてカーテンを開け、朝の光を浴びましょう。
脳と身体に「朝だよ」と教えてから、のんびりと休日を過ごしてみてください。
5.生活リズムは幼児期から整えよう!
幼児期は、お子さまが大人になったときに、基盤となるための生活周期をしっかりと身につけていく大切な時期です。幼い頃から生活リズムが乱れてしまうと、そのままのライフサイクルが正しいものと認識して育ってしまいます。
まずは、睡眠時間を安定させて、子どもの生活リズムを整える土台づくりをしていきましょう。
子どもの脳や身体は発達途中なので、いまからでも正しい生活リズムに戻すことができます。毎日継続していくことで、少しずつ整えていきましょう。
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