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「寝ない子ども」を早く寝かせる方法!<寝不足チェックリスト付>

この記事を書いた人

久美子 久美子

久美子

  • 臨床心理士
  • 公認心理師

5歳と7歳(小1)の息子のアラフォーママ。

公認心理師・臨床心理士の資格を持っています。

心理士の仕事をしながら、発達心理学の視点も踏まえて、日々、子育て奮闘中。

夫にも積極的に育児に参加してもらい、親子でハッピーになれる時間を模索しています。

大人の寝る時間に合わせて子どもが起きていたり、

寝る前に“ちょっとだけ”と見たスマホに夢中になって、なかなか寝付けなくなったりと、

さまざまな要因から、子どもたちの寝る時間が遅くなっています。

「明日も学校があるし、早く寝てほしい」と悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。

今回は、子どもの寝かしつけでお悩みのママとパパに、ご家庭でできる睡眠不足のセルフチェックや、早く寝てもらうための方法についてわかりやすく・詳しく解説します。

また、子どもの睡眠の問題発達障害といった点にも注目しています。

 

目次

 

1.これは睡眠障害? 気になる症状のチェックポイント

日中に強い眠気がある場合は、子どもの睡眠障害かもしれません。

特に、昼間の眠気で困っている子どもの多くが睡眠不足が原因であると考えられています。

お子様に、気になる症状がないか注意して見てあげてください。

 

1-1.寝られない子どもの観察ポイント

子どもたちの訴える睡眠不足の症状は、①~④のタイプに分かれます。

①眠れない
②寝すぎる、または眠い
③朝起きて夜眠ることができない
④寝ている間の異常な行動

この症状はそれぞれ、以下の睡眠障害に対応します。

①⇒不眠症 (乳児・幼児の夜泣き、学童・思春期の不眠症など)
②⇒過眠症 (睡眠不足症候群、ナルコレプシーなど)
③⇒睡眠覚醒リズム障害 (夜型睡眠など)
④⇒睡眠時随伴症 (夢遊病、夜驚症、むずむず脚症候群など)

とてもよく寝ているようなのに、昼間も眠たくて仕方がない場合や、小学生になっても12時間以上寝ないと日中に眠くなる場合は「過眠症」かもしれません。

「過眠症」も、入眠困難や中途覚醒などと同様に睡眠障害の代表的な症状です。

「過眠症」は、まだまだ認知度が低いため、周りから「意欲がみられない」と誤解されることもあるようです。

 

1-2.親ができる子どもの睡眠不足のチェックリスト

お子様の睡眠不足を調べるチェックリスト(尺度)があります。

子どもを対象にした主観的な日中の眠気を測定するための質問票ですので、ご家庭でご活用ください。

カッコ( )内に書かれた数字を記入欄にメモし、最後に数字を全部足して合計点を出します。

21 点以上で日中の強い眠気があると判定されます。

 

子どもの日中眠気尺度(The Pediatric Daytime Sleepiness Scale : PDSS 日本語版)

 

また、以下の様子が見られる場合は、睡眠専門医による診断・治療が望ましいです。

・夜中に突然大声で叫び、パニックを起こす

・手足のムズムズ感や違和感、痛みで眠れない

・夜中に歩き回る

・夜普通に寝ているが、日中眠そうにしていたり居眠りしたりする

・寝る時間が遅くて不規則な生活が続き、直せない

・睡眠が十分に取れなくて頭痛や体調不良が続いている

・落ち着きがなく、衝動性がある

 

1-3.睡眠障害は発達障害に伴いやすい

発達障害のある子どもでは、睡眠の問題を引き起こしやすく、高い割合で睡眠障害が認められると言われています。

発達障害に合併しやすい睡眠障害には、

・入眠障害:寝かせようとしてもなかなか寝ない
・睡眠リズム障害:寝る時間が不規則である
・不眠:夜中に中途覚醒して1~2時間一人で遊んでいる、もしくは朝早く目覚めてしまう

などがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)や自閉症スペクトラム障害(ASD)では、高頻度で睡眠障害を合併することが知られています。

自閉症スペクトラム障害の症状の一つである「こだわりの強さ」などの要因から起こる行動性不眠もあります。

発達障害では、前頭前野などのさまざまな脳領域の機能低下がみられ、さらに神経ネットワークの問題が指摘されています。

睡眠障害によって脳機能が悪化するおそれがありますので、早期に治療をはじめることが推奨されています。

 

1-4.悪夢を見るのはなぜ?

子どもが怖い夢を見たと言ってくると、心配になりますよね。

我が子も、3歳頃に怖い夢を見たあとに、寝ぼけてパニックになったことがありました。

抱っこして話かけてもママのこともわからない、話が通じない状態で、半分夢の中のようでした。泣き疲れて眠ると、朝には普段どおり起きてきたので、ほっとしたのを覚えています。

さて、子どもの夢に関係する問題は「ねぼけ」や「異常行動」などに代表されます。

これは、睡眠と覚醒の境界の状態で起きるとされ、睡眠時随伴症群と分類されます。

悪夢で目が覚めてしまうと、再び寝ることは困難です。3~6歳の子どもでは50%が悪夢を経験し、数週間から数ヶ月で減少するそうです。

お子さんが怖い夢を見たら、まず落ち着かせてあげてください。

また、お子さんが夢の話をしてくれたら、その話に耳を傾けてあげてください。

 

 

2.睡眠習慣の改善方法、寝かしつけのコツを紹介

睡眠不足や生活リズムの乱れはご家庭での工夫で改善できることも多くあります。

睡眠の質が良くなると、家族全体の生活の質(クオリティーオブライフ)を上げることに繋がります。

 

2-1.寝不足でも朝早く起こして体内時計を正常に

睡眠習慣を改善する基本は、なるべく同じ時刻に起きること、朝は光で体内時計をリセットすることです。

例えば、その日の子どもの睡眠が不十分でも、次の日の朝は普段の時間に通り起こします。

ここでは、「夜にしっかり寝ていないので朝早く起こすのはかわいそう」は不適切となります。

あえて寝不足を作って、夜に寝るようにします。

良質な睡眠は、朝起きてから夜寝るまでの昼間の活動の「結果」ですので、寝つきや眠りの質は昼間の活動により決まります。

朝に起こして、体内時計を正常に育たてることがポイントです。

 

体内時計を整えるポイント!

お子さんが、なかなか起きない場合には、

カーテンを開けて日の光が入るようにしてみましょう。

私は、子どもが寝る部屋には遮光カーテンはつけず、朝は日光が部屋に入るようにしています。日光が入ることで子どもは自然と起床時間に起きられています。

 

2-2.日光を浴びて、テレビやゲームは寝る前は控えよう

朝早く起きれたら、午前中にしっかり日光を浴びましょう。

明るい光はメラトニンの分泌を抑えますので、睡眠障害の治療にも用いられています。

朝、光を浴びることは夜間のメラトニン分泌時刻を早め、眠くなる時間帯を前にずらすことになります。

一方、夕方に光療法を行うと眠くなる時間帯が遅くずれることが明らかになっています。

深夜のテレビ視聴、スマホ・タブレッドのゲームは大脳を活性化し、入眠障害、中途覚醒の要因となります。

ご家庭では子どもが眠る時刻の少なくとも1時間前からは、テレビやゲームを控えることを心がけましょう。

 

メラトニンのバランスを整えるポイント!

日光を浴びるのは「午前中」にしましょう。

午前に浴びることで夕方以降にメラトニンが分泌されます。

目が覚めてもボーッとしている場合は、朝ごはんを食べるなど、体が活動しやすい状態にしてあげましょう。

朝食は、身体のリズムを整えるだけでなく、メラトニン分泌やセロトニン(覚醒を調節するホルモン)にとって重要です。

 

2-3.「早く寝なさい」はNG? 寝る前の効果的な声かけのポイント

子どもがなかなか寝てくれないと「早く寝なさい」と言いたくなりますよね。

しかし、子どもは「まだ遊びたい」と言ってきたり、「なんで早く寝るの?」と聞き返してきます。

そんなとき、筆者もつい「子どもは早く寝るものなの。よその子は8時には寝てるんだよ」と頭ごなしに言ってしまいます。ですが、この理由では子どもは納得しません。

子どもを寝かしつけるときは、寝るとどんな良いことがあるのか、理由を説明しましょう。

寝ている間に身体も脳も成長すること、たくさん寝ると注意力や記憶力が高まることを子どもにわかりやすく伝えてもいいでしょう。

例えば、「寝ると体力を回復できるから、明日もたくさん好きなことできるように身体を休めてあげようね」と、眠ることのメリットを伝えましょう。

あるいは「スマホやタブレットも充電が必要でしょ? ママも○○ちゃんも今日減った分のパワーが、寝ると回復できるよ」と伝えると、イメージしやすいかもしれません。

 

 

3.早く寝かせる科学的なアプローチ「行動療法」の応用

睡眠に問題のある子どもに対して、親はどのように対処したらいいのでしょうか。

効果的な行動療法的アプローチを研究事例も合わせて紹介します。

 

3-1.眠りを促す就寝ルーティン

就寝ルーティンとは、入眠儀式とも言われ、「寝る前に決められた一連の行動を規則正しく行う」ことです。

具体的には、入浴から就寝までを30分以内に終わらせます。

ある研究では、寝る前の子どもの癇癪に悩む親が、就寝ルーティンを4週間続けた結果、効果が得られたと報告されています。

就寝ルーティン例子どもが眠気を感じはじめたら……

①トイレに行き、②お風呂に入り、③パジャマを着て、④ベッドに入り、⑤絵本を読む

なぜ就寝ルーティンが睡眠の質を改善させるのでしょうか。

その理由は、継続の効果と体温リズムが整ったことが影響しています。

入浴で上がった深部体温が、就寝ルーティンを行っている間に下がってきますので、そのままスムーズに眠りに入れます。

 

就寝ルーティンのポイント

・就寝時間と起床時間がバラバラにならないこと

・寝る前の20~30分は、だいたい一定のスケジュールになっていること

 

 

3-2.好ましくない行動には反応しない

少し驚きの方法ですが、行動療法の技法「無視」の手続きを用いた海外の研究をご紹介します。

子どもは親から注目されたいと思っています。逆に言えば、親から注目されない行動はやらなくなります。

睡眠に置き換えると、子どもが夜泣きをすると、親はすぐに反応します。

この親の即座の反応を子どもは「親から注目されている」と認識します。すると、夜泣きを引き起こす「強化」因子になります。

注目しない、つまり夜泣きを「無視」することで子どもは夜泣きという行動を取らなくなると考えることができます。

子どもの睡眠問題には、「無視」の手続きがもっとも効果的だと考える研究者もいます。

 

 

4.寝かしつけの定番!読み聞かせや子守歌のリラックス効果は?

昔から行われてきた絵本の読み聞かせや子守歌は、寝かしつけに効果があると言われています。

リラックスするための心理学的手法を応用した絵本も紹介します。

 

4-1.絵本の読み聞かせ

読み聞かせは、絵本や本を子どもに読んで聞かせることで、言語能力や想像力、情緒の発達を促進させる効果があります。

近年、日本でもスウェーデンの行動心理学者の「おやすみ、ロジャー」が寝かしつけの本として話題になっています。

リラクゼーションを目的として、子供の寝つきを良くするために書かれた絵本です。

自律訓練法というリラクゼーションのテクニックにより、「もっと、もっと」「ゆっくり、ゆっくり」など力を抜く言葉がけを繰り返すことで眠りを促します。

読み聞かせの絵本を選ぶポイントは、まずは子どもの年齢や興味に沿ったものを選んでください。

子ども自身が眠るための心や身体の状態を意識するきっかけとして、心理学的手法を応用した寝かしつけの絵本も有効です。

 

 

4-2.子守歌、ヒーリング音楽

子守歌は、子どもにとって心地よく、古今東西で子どもの寝かしつけに使われています。

子守歌を聞くことで、子どもの心拍数が安定することがわかっています。

早産の赤ちゃんに子守歌と波の音などを聞かせた結果、心拍数が減少し、吸引行動が増加したそうです。

また、寝る前にヒーリング音楽を聞くと、α波が出始めて副交感神経の働きが高まり、交感神経が落ち着いてきます。

そのためリラックスでき入眠しやすくなります。

寝かしつけるときに、親も一緒にヒーリング音楽を聞くことで、ストレスが軽減されます。

筆者も毎晩、ヒーリング音楽をBGMにして寝かしつけの絵本を読んでいます。

自然の音や穏やかな音楽を聞いていると気持ちが落ち着いてきて、親子でリラックスできていると感じられるのでオススメです。

 

4-3.寝る環境を整える

寝室は「眠るだけのお部屋」にしましょう。

寝室に大好きなおもちゃがあると、ついつい「まだ遊びたい」「まだ寝たくない」という気持ちが芽生えやすくなります。

成長して自分の部屋を持つようになったら、寝室は寝具と最低限の家具のみにした方が、入室した瞬間に「睡眠スイッチ」が入るようになるそうです。

 

5.「早く寝なさい」から「おやすみなさい」へ

子どもの睡眠リズムの獲得は、その子の一生の宝になります。

そして、保護者の生活の負担も軽くなり、楽しい子育てにつながります。

ご家庭でできる睡眠習慣や環境の改善、寝かしつけの方法を試してみてください。

もし、お子さんに睡眠に問題があると感じたら早期に対処法を考え、睡眠専門の病院などに相談してみましょう。

 

また、睡眠のメカニズムや「睡眠不足」の影響について、以下の記事でまとめています。
>>よく寝る子は勉強もできる!小学生の理想的な睡眠時間や「睡眠不足」の影響は?

こちらもぜひ、チェックして子どもの睡眠について理解を深めてみてくださいね◎

 

 

主な参考文献
Komada Y, Breugelmans R, Drake CL, Nakajima S, Tamura N, Tanaka H, Inoue S, Inoue Y. Social jetlag affects subjective daytime sleepiness in school-aged children and adolescents: A study using the Japanese version of the Pediatric Daytime Sleepiness Scale (PDSS-J). Chronobiology International. Chronobiol Int. 2016; 12:1-9.
・柴田光規,特集 子どもの眠り 夢の役割,小児内科49(8)1084-1087,2017
・林恵津子,発達障害のある子どもに見られる睡眠の問題,共栄学園短期大学研究紀要 第22号 119-131,2006
・宮崎総一郎・古谷真樹,特集 子どもの眠り 子どもへの睡眠指導,小児内科49(8)1084-1087,2017
・毛利郁子,特集 子どもの眠り 疾患と睡眠障害 発達障害と睡眠障害,小児内科49(8)1158-1161,2017

 

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