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寝起きの不機嫌な子の原因は?すっきり目覚めるための工夫や対応のコツ

この記事を書いた人

みき みき

みき

  • 高等学校教諭
  • 司書教諭
  • 中学校教諭

高校の国語講師として約8年勤務していました。

中学、高校の教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を持っています。

現在は3人の子育てに奮闘中。

知識や経験を活かせるライターを目指し、勉強中です。

毎朝子どもを起こすたびに「寝起きが悪くて大変」と感じているママやパパも多いのではないでしょうか。

朝の忙しい時間に、子どもがグズグズしたり、泣き叫んだりすると、ついイライラしてしまいますよね。

そんなお悩みをお持ちの方に、子どもが寝起きに不機嫌になる原因とすっきり目覚めるための工夫について解説します。

子どもの生活習慣や睡眠を見直すきっかけにしてくださいね。

 

目次

 

1.子どもが寝起きに不機嫌になる原因

まずは子どもの寝起きが悪い原因について解説します。寝起きが悪くなる原因を少しでも減らして、親子ともに気分良く1日をスタートさせましょう!

 

1-1.睡眠時間が足りない

子どもの寝起きが悪い原因の1つが、睡眠不足です。

小学校低学年(6〜9歳)の子どもの推奨睡眠時間は、10時間とされています。しかし2021年度に行われた調査によると、日本の子どもの睡眠時間は6歳で9時間18分、7歳で9時間、8歳で8時間53分で、すべての子どもの年齢で睡眠時間が足りていないことが明らかになっています。(※1)

諸外国と比較しても、日本の子どもの睡眠時間は最も短いと言われています。

十分な睡眠時間を確保するためには、何時頃に寝るといいのでしょうか。

小学生の平均起床時刻は、6時39分です。(※2)

そこから必要な睡眠時間を逆算すると、夜8時半には布団に入るのが理想です。

しかし最近は、寝る直前までのスマホやタブレットなどの利用によって、布団に入ってもなかなか寝つけず、寝不足になる子どもが増えています。

十分な睡眠時間を確保するためには、早寝早起きを習慣にすることと、入眠しやすい環境を整えることが大切ですね。

 

1-2.眠りの質が低い

子どもの寝起きが悪い原因の2つ目は、睡眠の質の低さが考えられます。

睡眠時間を十分に取っても疲れが取れない、起きたばかりなのに体がだるいなどの症状がお子さんに見られる場合は、睡眠の質が悪い可能性があります。

睡眠の質を下げる原因は、次の3つです。

①ブルーライト

夜寝る前のスマホやタブレットなどを見ると、ブルーライトによって睡眠ホルモンの分泌が抑制され、なかなか寝つけません。

ある調査では、寝る直前まで情報機器に触れる頻度が高い子どもほど、朝布団から出るのがつらいと感じる頻度も高いことが明らかになっています。(※3)

②睡眠環境

枕の高さや寝室の温度、寝具やパジャマが合わないことも、寝つきの悪さにつながることがあります。

入眠時の光や音環境、温度や湿度なども、睡眠時にストレスを感じないように環境を整える必要があります。

③子どもの健康状態

幼児期は、アデノイド(鼻の中にある組織が肥大化したもの)などの鼻の病気によって呼吸が妨げられて、睡眠障害を引き起こすことがあります。

また、最近は肥満の子どもが増えていることも睡眠の質に影響しています。小学校高学年から中学生においては肥満による「睡眠時無呼吸症候群」が多く見られるそうです。(※4)

 

1-3.自律神経の乱れ(起立性調節障害)

子どもの朝の不機嫌は、自律神経のバランスが崩れることで起こる「起立性調節障害」の可能性もあるかもしれません。

起立性調節障害によって、十分な血流が体や脳に行き届かないと、立ちくらみやめまいを感じ、朝起きることが困難になることもあります。

午前中は調子が悪くても、午後になると昼間元気に活動できるなこともあるため、甘えやサボりなどと誤解されることも多い病気です。子ども自身も「起きたくても起きられない」というストレスからさらに症状が悪化することもあります。

10歳から思春期の子どもに多い病気ですが、小学生全体の5%が罹患すると言われており、決して稀な病気ではありません。気になる場合は、起立性調節障害に対応している病院を受診することをおすすめします。

 

2.睡眠不足が子どもにもたらす影響

睡眠不足がもたらす弊害は、寝起きの悪さだけではありません。学業面、情緒面、健康面の3つの観点への影響を紹介します。

 

2-1.学業面への影響

睡眠時間が足りないと、日中に眠気を感じることで集中力が下がります。その結果、授業についていけなくなったり、勉強への興味が薄れてしまったりするなど、学業面に影響が出ることがあります。

睡眠は体や脳を休めるだけでなく、記憶の整理や定着を行う役割もあります。日中の学習内容を定着させるためには、十分な睡眠をとることが不可欠です。

また、朝起きられないと学校を遅刻する、または休む頻度が増えます。文科省の調査では、不登校のきっかけについて小学生の4人に1人が「朝起きれない」と回答(※5)していることから、生活リズムの乱れは学校生活にも支障をきたす可能性があると言えます。

 

2-2.情緒面への影響

小学生を対象に、睡眠習慣の違いがメンタルヘルスに及ぼす影響について調べた論文(※6)によると、

睡眠不足を感じている子どもは、そうでない子どもよりも「ちょっとしたことでカッとして、我慢できないことがある」「急に怒ったり、泣いたり、うれしくなったりすることがある」などの項目に「当てはまる」と回答した割合が高いことが明らかになっています。

睡眠不足は体の不調だけでなく、子どもの情緒の安定にも大きく影響します。

 

2-3.健康面への影響

夜ふかしによって、朝なかなか起きられないと、朝食をしっかり食べる時間がない子どももいるでしょう。

朝食を抜くと、体の力が出ないため、午前中の活動に支障をきたします。脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足するため、集中力や記憶力の低下にもつながります。

また睡眠不足は免疫機能を低下させ、風邪をひきやすくなります。夜型の生活リズムは、肥満の生活習慣病になる危険性も高めるなど、健康面にも悪影響を与えます。

 

3.朝機嫌が悪い子の起こし方・対応のコツ

子どもが朝機嫌よく起きてくれたら、ママやパパも穏やかな気持ちで1日を始められそうですよね。子どもがスッキリ起きるためのちょっとしたコツを紹介します。

 

3-1.朝日を取り入れる

太陽の光は朝起きやすくするポイントです。子どもの起床時間の15分前になったら、寝室のカーテンを開けておきましょう。

朝、太陽の光を浴びると体内時計をリセットすることができるので、すっきりと目覚めることができ、生活リズムも整いやすくなります。

 

3-2.朝のルーティーンを決める

朝のルーティンを作るのもおすすめです。

やることを明確にすることで、寝起きは不機嫌でも、順番にルーティーンをこなすうちに子どもも目覚めていきます。

どの順番で朝の支度を進めるか、あらかじめ子どもと一緒に決めておくのもいいですね。朝の支度を自分でできるようになると、子どもの自信にもつながりますよ!

 

【3人の子育てに奮闘中!筆者の体験談】

わが家では、朝起きたらすぐに歯磨き→着替え→朝食というルーティーンを決めています。

朝は時間がないため、つい「早くして!」と急かしたくなりますが、なるべく我慢して見守るようにしています。

子どもに声をかけるときは、「歯磨き終わった?」ではなく、「何するんだったかな?」と尋ねます。

するとわが家の子どもは、「今からやるから言わないでね」と自分から動くようになりました。

 

3-3.好きなもので楽しく目覚める

夜寝る前に朝起きたときの楽しみを話すのもおすすめです。

「早く支度ができたらいつもよりかわいい髪型ができるよ」「マンガの続きが読めるよ」などと朝の楽しみを伝えてから眠ると、張り切って目覚めるかもしれません。

好きなものは心を動かす力があります。朝、自分で起きる練習として、目覚まし時計を子どもに選ばせるのもおすすめです。

 

3-4.部屋の温度を適温にする

室温が低いと布団から出る意欲が湧きにくいです。大人でも冬の朝は、布団から出るのが苦痛ですよね。

エアコンなどで部屋を室温を22〜23℃ぐらいまで暖めておくと起きやすくなりますよ。

布団のそばに靴下や羽織るものを用意しておくのもおすすめです。

 

3-5.優しく起こす

なかなか起きてこない子どもにしびれを切らして「早く起きなさい」「早く起きないと遅刻するよ!」と大きな声を出していませんか。

朝起きるのが苦手な子どもに対して、ママの怒鳴り声は逆効果です。朝の不機嫌を悪化させる原因となります。

寝起きの悪い子どもを起こすポイントは、安心感を与える「優しい声がけ」です。子どものそばに寄り添って「〇〇ちゃん、起きてね」と頭を撫でたり、背中をさすったりします。

朝起きるまでに時間がかかる場合は、起床時間よりも早めに声をかけておくといいでしょう。

朝は家事や身支度で忙しいママも多いと思いますが、なるべく子どものそばで少し時間がかかっても、ゆっくり・優しく起こすを心がけてみてくださいね。

 

4.朝すっきり目覚めるための生活習慣

朝スッキリ起きるための生活習慣について解説します。習慣化してしまうとすんなり起きてくれるようになるかもしれません。色々と試してみて、子どもにあったものを見つけてくださいね。

 

4-1.朝食をとる

朝食をとると脳のエネルギー源である「ブトウ糖」が補給され、すっきりと目覚めることができます。

ある調査では、「毎日朝食を食べる子供ほど、学力調査の平均正答率及び、体力テストの合計点が高い傾向」が明らかになっています(※7)

朝食はお子さんが日中元気に活動するためのエネルギーとなります。時間のない朝でもスムーズに食べられるメニューを工夫しましょう。

 

4-2.日中はしっかり体を動かす

夜ぐっすり寝るためには、日中の過ごし方も大切です。

昼間、日光を浴びてしっかり体を動かすことで、体が疲れて、夜のスムーズな入眠につながります。快適に眠ることができれば、翌朝もすっきりと目覚められますよね。

質の良い眠りのためにも、天気のいい日は外に連れ出して、思いっきり体を動かす機会を作ってください。

 

4-3.お風呂と食事は寝る3時間前までに済ませる

寝る直前のお風呂と食事はなるべく控えましょう。良質な睡眠のためにはぬるめのお湯に10分程度浸かるのがベストです。お風呂で一時的に上がった体温が下がるタイミングで布団に入ると寝つきが良くなります。

また食後にすぐに寝ると、体は消化を優先するため、睡眠の質が悪くなることがあります。お風呂と食事は、寝る3時間前までに済ませるのが理想です。

【共働き家庭におすすめの時短術】

共働きで帰宅後から寝かしつけまでに時間がない場合は、時短できるように工夫します。

例えば、帰宅時間に合わせてタイマーでお風呂をセットしておき、帰宅後はお風呂に直行すれば、寝る頃には体温が下がってスムーズに入眠できます。

平日の食事作りは頑張りすぎないこともポイントです。週末の作り置きをレンジで温めるだけで済ませたり、朝、夕飯の下ごしらえを終えておき、フライパンで炒めるだけなどすぐ食べられるように準備しておくとスムーズですよ。

 

4-4.寝室にタブレットなどを持ち込まない

光は睡眠に悪影響を及ぼします。タブレットやスマホの使用は、なるべく就寝の2時間前までに済ませ、寝室には持ち込まないことを徹底しましょう。

また、夕方以降は部屋の照明を暖色系に変えて、寝る1時間ぐらい前には部屋の明かりを少し落としておくと、リラックスして眠りやすくなりますよ。

 

4-5.寝る前のルーティーンを決める

寝る前のルーティーンを決めておくと、スムーズに入眠しやすくなります。

絵本の読み聞かせのほか、目を瞑って深呼吸する、親子でハグをするなど、子どもに合ったものを見つけるといいでしょう。

わが家では、寝る前の簡単なストレッチを日課にしています。

布団に寝たまま伸びをしたり、両手両脚を天井に向けてブルブルと振るわせたりすると、全身の力が抜けリラックスして入眠できますよ。

 

4-6.週末も決まった時間に寝起きする

平日と休日との生活に差はありませんか。「休みの前日に夜更かしをする」「朝遅くまで寝る」などは生活リズムが乱れる原因となります。

「休みの日ぐらいゆっくり寝ていたい」と思ってしまうママやパパもいるかもしれませんが、休日も平日と同じ時間に寝起きしましょう。

 

5.根気強く向き合って朝の不機嫌を乗り越えよう

朝すっきりと目覚めるためには、日中や夜の過ごし方も大切です。会話ができる年齢のお子さんであれば、朝の過ごし方について親子で話し合うのもおすすめです。

今回紹介した方法を取り入れて、お子さんが心地よく目覚めるためのサポートをしていきましょう。記事の通りにうまくいかないことがあっても焦らずに、お子さんにあった目覚めの方法を模索してみてくださいね。
 

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参考文献
※1:BRAIN SLEEP,睡眠偏差値調査結果報告 2021年KIDS
※2:学研敎育総合研究所,小学生白書WEB版 小学生の日常生活・学習に関する調査,2022年9月
※3:株式会社リベルタス・コンサルティング,平成 26 年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」-睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査-(96ページ),2015年3月
※4:亀井 雄一,睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響,eヘルスケアネット
※5:文部科学省,不登校児童生徒の実態調査(5ページ),2020年
※6:江村実紀,水野眞佐夫,小学生における睡眠習慣の違いがメンタルヘルスと体力に及ぼす影響について,2016年6月
※7:農林水産省,平成28年度 食育白書 第2部 食育推進の具体的取組,2017年5月30日

 

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