3歳・4歳頃のなぜなぜ期とは?大人が質問に答えるときの4つのヒント
この記事を書いた人
haru*(はる)
- 養護教諭
- 心理カウンセラー
養護教諭として小・中学校に7年間勤務し、妊娠を機に退職。
現在は4歳の子どもを育てながら、フェルト生地を使った知育玩具のハンドメイド作品販売「sewing_haru*」の運営と、子育てメディアなどで記事の執筆をおこなっています。
子どもの「好き」をたくさん見つけて増やしていく子育てを目指しています!
物事に対して「なぜ?」「どうして?」と疑問をいだいて質問をする「なぜなぜ期」がやってくる3歳・4歳頃。
たくさんのことに興味関心が向くため、親御さんは「毎日ずっと質問をされている気がする」と感じることも…。
何度も質問をくり返されると、親御さんも疲れてきて、しだいにイライラしてしまいますよね。
でも、「なぜなぜ期」がある理由や質問への答えかたがわかれば、お子さまの「なぜ?」「どうして?」にストレスを感じることも減ってきます。
今回は、「なぜなぜ期がある理由」や「なぜなぜ期で身につく力」についてまとめていきます。
さらに、子どもの「なぜなぜ期」の質問への答えかたのヒントを4つ紹介。
ぜひ、お子さまと話すときのヒントにしてみてください。
目次
1.「なぜなぜ期」とは?
「なぜなぜ期」とは、身近にあるもの(物・者)、事柄、事象など、あらゆるものに対して「なぜ?」「どうして?」と疑問をいだいて質問をする時期のことです。
他者に向かって「なぜ?」「どうして?」と質問をして答えを聞いても、何度でもおなじ質問をくり返すのが「なぜなぜ期」の特徴です。
1-1.幼児期には「なになに期」と「なぜなぜ期」がある
心理学では「なぜなぜ期」のことを「質問期」と呼びます。 質問期は、大きく分けて2つの段階があります。
・「第一質問期」:2~3歳頃の、物や者の名前を聞く時期。「なになに期」とも呼ぶ。
・「第二質問期」:3~4歳頃の、物事に対する原因や理由、目的、結果などを聞く時期。「なぜなぜ期」とも呼ぶ。
第一質問期の「なになに期」では、物や者、事柄の名称をそのまま答えるので、大人にとっては比較的対応がしやすいもの。
これに対して第二質問期の「なぜなぜ期」では、「どうして宇宙はあるの?」のように正解がないような難しい質問をされることがあります。
また、「どうしてライオンは、ライオンっていうの?」など、どう答えたらいいのかわからない質問を投げかけてくることもあり、大人の対応が難しくなることが増えるのです。
1-2.なぜなぜ期で質問をくり返すのはなぜ?
「なぜなぜ期」で質問をくり返すのには、理由があります。
それは、3歳頃に脳神経が急成長することで、生きるために必要な情報をたくさん吸収して記憶に定着させようとしているためです。
人間の脳神経は、3歳頃には大人の8割くらいまで成長します*。
脳内の神経回路が発達するため、たくさんのことに疑問をいだいて知りたがる「質問期」が始まるのではないか、といわれているのです。
脳神経が発達し始める2歳頃には、物や者の名前を知りたがり、質問をたくさんする「なになに期」が始まり、3歳頃になると脳神経が急速に発達していくため、物や者の仕組みをたくさん理解しようとする「なぜなぜ期」に変化していきます。
子どもはくり返し質問をして答えを聞くことで、脳神経に「答え」を覚えさせようとしているのです。
また、問いかけに答えてくれる大人とのやりとりをくり返しおこなうことで、信頼関係が生まれ、お子さまは楽しい気持ちで何度も質問をするようになります。
子どもがくり返し質問をするのは、「質問をする」→「大人が答える」というコミュニケーションを楽しんでいることもあるのです。
*) 国立スポーツ科学センター(図3)スキャモンの発育型より
1-3.「なぜなぜ期」が始まるのは3歳・4歳頃
心理学でいう「第二質問期」でもある「なぜなぜ期」は、もっともたくさんの言葉を覚える3歳・4歳頃から始まることが多いといわれています。
3歳・4歳頃の子どもは、他者の行動や言葉のマネをするようになります。
他者のマネをしていると、自分と他者のちがいに気がつくことが増えて、「僕は右手でスプーンを持つけど、ママは左手で持つのはなんで?」のように疑問をもつことにつながります。
物に対しても、2つを比較してちがいに気がつき「りんごは赤いけど、みかんは黄色なのはなんで?」のように疑問をいだくようになるのです。
このように、3歳・4歳頃から始まる「なぜなぜ期」は、まわりの人を質問ぜめにすることから「恐怖の3歳児」と呼ばれることがあります。
ただ名称をたずねる「なになに期」から、その理由や原因にまで考えを巡らせる「なぜなぜ期」に変わったということは、お子さまが成長をしている証。
「なになに期」や「なぜなぜ期」がまだこないというお子さまも、その子のペースで成長をしています。 親御さんは焦らずに、お子さまのペースを見守っていきましょう。
2.「なぜなぜ期」で身につく力とは?
「なぜなぜ期」は、「質問をする」という行動のことだけを示すのではありません。
3歳・4歳頃に「なぜ?」「どうして?」と疑問をいだくことは、子どもの発達にかかわる重要な力を育みます。
ここでは、「なぜなぜ期」を通じて身につく力を3つ紹介します。
2-1.好奇心が満たされて思考力が身につく
子どもが質問した内容に大人が答えると、「知りたい」という欲求が満たされます。
好奇心が満たされたお子さまは「もっと知りたい!」と、他の物事にも意欲的に興味を示すようになるでしょう。
すると、複数の物や者を比較したり、「これはどういう仕組みなのかな?」と考えたりして、自分自身で答えをみつけだす思考力が身につくようになります。
2-2.探求心・学習意欲がわく
疑問や質問に対する答えを子どもが覚えていくことで、知識がやしなわれていきます。
身につけた知識をもとにして、「これは〇〇だったから、あれはどうなのかな?」と数珠つなぎのように、物事を深く追求しようとする探求心が芽生えていきます。
「物事をもっと深く理解したい!」という探求心は、学習を支える根本ともいえる意欲です。
「これも知りたい!」「この他にも、同じようなものはあるのかな?」のように、様々な物事に興味関心がいき、学びに対しても意欲的に取り組むことができるでしょう。
探求心や学習意欲を引き出すポイントは、覚えた知識や調べた内容をお子さまが教えてくれたときに、「すごい! いっぱい知ってるんだね!」のようにたくさん褒めてあげること。
褒められたお子さまは自信をもつようになり、「学習意欲の向上」にも結びつきます。
2-3.コミュニケーション能力が身につく
「なぜなぜ期」の子どもが「なんで?」と何度も聞いてくる理由のひとつとして、大人とのやりとり(コミュニケーション)を楽しんでいることがあげられます。
コミュニケーションを取りながら、子ども自分が投げかけた質問に向き合って答えることで、「ママ(パパ)はいろいろ教えてくれる!」のように、子どもから信頼感が得られるのです。
大切なのは、子どもの「なぜ?」と思う気持ちに寄り添うこと。
お子さまが「なんでだろう?」と悩んでいることにまずは共感をし、コミュニケーションをとってみましょう。
3.なぜなぜ期|答えかたの4つのヒント
子どもが「なぜ?」「どうして?」と質問をしてきたときに、大人はどのように答えればいいのでしょうか?
とにかく正しい回答をすればよい、というワケではありません。
ここでは、「なぜなぜ期」の質問に対しての答えかたを4つまとめていきます。
おうちでもすぐにできる順番で紹介していきますので、ぜひお子さまと会話をするときのヒントにしてみてください。
3-1.なるべくすぐに答える
子どもが「なぜ?」「どうして?」と聞いてきたとき、お子さまは「その瞬間」に答えを知りたがっているもの。
もし、その場で答えずに後回しにしてしまうと、お子さまの「知りたい!」という意欲を削ぐことになり、あとで話しても聞く耳をもたないこともあります。
子どもの「知りたい気持ち」が低下したら、大人は「せっかく答えたのに…!」とイライラしたりガッカリしたりしてしまいます。
どちらにとっても、いいことはありません。
お子さまからの質問が簡単であれば、その場で答えるように心がけましょう。
忙しくて答えを後回しにするときでも、「答えない」というのは避けたいもの。 「すぐ」でなくても、あとででも、必ず答えるようにすることがポイントです。
3-2.子どもの目線にたって説明をする
子どもからの質問のなかには、難しい説明をしなければならない答えのときがあります。
たとえば、「虹はどうしてできるの?」と聞かれたとします。
虹ができる仕組みを説明するのは難しく、子どもには理解しにくいものですよね。
この場合は、「空に小さな水が飛んでいて、太陽の光がキラキラ光って、いろんな色にみえるんだよ」のように、子どもの目線にたつことを意識して答えてみましょう。
理解しやすいように意識し、お子さまでもわかる言葉にかえて説明してみるのです。
3-3.逆に質問をしてみる
子どもの質問には、基本的には大人が答えることが大切。
ですが時には、「〇〇について、あなた(子ども)はどう思う?」のように、逆に質問するのもよいでしょう。
質問をされたお子さまは、自分で答えをみつけようとして頭をフル回転させます。
想像力を膨らませた結果、自分なりの答えをみつけだすのです。
お子さまのいまある知識で答えをつくりあげることで、「自分で考える力」がやしなわれます。
ぜひ、「逆に質問」をして、お子さまなりの答えを聞いてみてください。
とはいえ、お子さまの考えたものが的外れな答えだった場合、どのように反応をしたらいいのか迷ってしまうこともありますよね。
そんなときは「ママ(パパ)もわからないから、一緒に調べてみよう」といって、図鑑や本、インターネットなどを使って、お子さまと一緒に正解を探してみましょう!
正解をみつけたあと、ぜひやっていただきたいおすすめポイントがあります。
それは、調べたことを実際に試してみる、ということ。 たとえば「図鑑にあった花をみにいこう!」や「調べた虫を探しにいこう!」のように、お子さまに実体験をさせてあげるのです。
実際にみたり感じたりすることで、お子さまはより理解が深まり、「調べるのって楽しいんだね!」と、学びに対して意欲的になりますよ。
3-4.ごまかさずに答える
大人にとっては「知っていて当たり前」のことでも、子どもにとっては「なんで?」と疑問に思うことがたくさんあります。
そのような質問をされたときに、「〇〇くんにはまだわからないこと」「〇〇ちゃんはまだ知らなくていいのよ」のように、答えをごまかさないようにしましょう。
できる限り、子どもにもわかるような簡単な言葉や言い回しで、説明をするように心がけてください。
適当に答えてしまっては、お子さまの「知りたい意欲」を低下させることになります。
お子さまの「知りたい!」という気持ちに向き合って、ごまかさずに答えるようにしましょう。
我が家ではこうしています!
筆者の息子は現在4歳で、「なぜなぜ期」真っただ中です。 「なぜ?」「どうして?」と、くり返し質問をされて疲弊する日々…。
答えるのに疲れた筆者はある日、「逆に質問をしてみる」の答えかたを、連続で使用したことがあります。 しかし、大人からの答えかたが2~3回連続すると、息子は「僕が聞いてるの!ちゃんと答えてよ!」と怒りだしました。 毎回おなじ答えがかえってくると、子どもは「コミュニケーションをちゃんととってくれない!」と感じて、嫌な気持ちになってしまいます。
「答えかたの4つのヒント」は、かたよって使うのではなく、お子さまや大人の状況に合わせてバランスよく使い分けることが大切です。
4.なぜなぜ期|大人がやりがちなNG対応とは?
「なぜなぜ期」の子どもから、毎日のように「なぜ?」「どうして?」ばかりいわれていると、疲れてきて対応がおろそかになってしまうことも…。
それではお子さまの「知りたい!」という気持ちの低下につながってしまいますよね。
ここでは、「なぜなぜ期」に大人がやりがちだけれど、ぜひ避けてほしいNG対応を4つ紹介します。
質問に答えるときの参考にしてみてください。
4-1.質問内容を笑ったり、からかったりしない
子どもの質問は、ときに予想外の質問だったり突拍子もない質問だったりすることがあります。
質問をされた大人はびっくりして、「なにいってるの?」と笑ったり、からかいたくなったりするかもしれません。
しかし、真剣に質問をしているのに笑われたりからかわれたりしたら、誰でも嫌な気持ちになりますよね。
目の前で真剣に質問をしているお子さまを傷つけないように、思わず笑ってしまいそうな気持ちは、心のなかにしまっておきましょう。
4-2.うまく質問できなくても怒らない
たくさんの話し言葉を覚えているとはいっても、まだ子どもです。
考えや気持ちをうまく言葉にできずに、質問するのに時間がかかることもあります。
そのときに大人は、「早くしてよ!」や「何度も聞いてこないでよ!」のように、発言を急かしたり止めたりしないように気をつけましょう。
急かされたり止められたりしたら、お子さまは「まだ話してる途中なのに!」と、悲しい気持ちになってしまいます。
また、「知りたい!」と思っていた意欲の低下につながることもあります。
時間に余裕がないときも、できる限りお子さまが質問を口にするまで待てるような、心のゆとりをもつことも大切です。
4-3.質問に先回りをしない
子どもが質問をしている途中で、「それは〇〇っていうのよ」のように、先回りをして答えてしまうことはありませんか?
お子さまは「せっかく質問を考えているのに!」と、知りたい意欲が削がれることになりかねません。
また、質問をいい終わるまえに大人が先回りをして「これはこうだから、こうなっているのよ。わかる?」のように説明をしてしまうと、お子さまは「自分の考えや気持ちを言葉にするで考える」習慣が身につかなくなります。
大人は先回りをして答えるのではなく、お子さまが質問しようと頑張っているあいだは、言葉が出てくるのを待つようにしましょう。
もし、どのように聞いたらいいのか困っていたら、「〇〇のことをいいたいのかな?」のように、「子どもが自分で質問ができるように」うまく誘導してみてください。
4-4.質問を打ち切らない
くり返し何度でも質問をしてくるのが「なぜなぜ期」です。
聞いている側は何度もおなじ質問をされると、「さっきもいったでしょう!」「もう答えたわよ!」とイライラしてしまうこともありますよね。
しかし、上記のように一方的に言葉を打ち切ってしまうと、お子さまは「拒絶をされた」と感じてしまうこともあります。
お子さまは、「なぜ?」「どうして?」と聞くことで、大人とコミュニケーションをとることも楽しんでいます。
質問を打ち切ることはせずに、たとえおなじ答えでもくり返し教えてあげたり、わからないときには「なんでだろう?」と一緒に悩んでみたり、なるべく対話を続けるように心がけてみてください。
上記のNG対応に気をつけようとは思っても、何度もくり返される質問にはイライラしてしまうもの。
大人は「質問に全部答えなきゃ!」と背負いすぎて、それがかえってプレッシャーになり、何度も質問されることにイライラしてしまうというスパイラルに陥ることもあるでしょう。
しかし、お子さまは質問の正しい答えを知りたいだけではありません。 大人とのやりとりも楽しんでいるのです。
「質問に答える」と身構えすぎず、「お子さまと言葉のキャッチボールをしている」と思うようにしてみましょう。
たまには「いまは〇〇をしているから、終わってから答えるね」のように「あとで」答えることで、お子さまと適度な距離を保つことも必要です。
プレッシャーを感じすぎず、お子さまと言葉のやりとりを楽しむゆとりをもつことが「なぜなぜ期」を乗り越えるキーワードのひとつといえるでしょう。
5.「なぜなぜ期」を大人も一緒に楽しもう
子どもが「なぜなぜ期」に突入すると、毎日「なぜ?」「どうして?」の疑問が投げかけられます。
しかし、すべてを真正面から受け止めて答えるのは大変ですよね。 お子さまの全部の質問に答えなくても大丈夫なのです。
大切なのは、親御さんがストレスを抱えこみすぎずに、お子さまと「なぜ?」「どうして?」を一緒に楽しむこと。
ぜひ、『答えかたのヒント』をバランスよく取り入れて、お子さまの目線にたって一緒に「なんでだろう?」と楽しんでみてください。
関連トピックをご紹介!
・子どものコミュニケーション能力を伸ばそう!具体的な方法や発達目安を紹介
・子どもの想像力を効果的に鍛えるには?具体的な遊び方から習い事まで解説!
・子どもの「聞く力」が大切なのはなぜ?トレーニングや遊びで「聞く力」を伸ばそう!