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子どもの想像力を効果的に鍛えるには?具体的な遊び方から習い事まで解説!

この記事を書いた人

さたけ のぞみ さたけ のぞみ

さたけ のぞみ

  • 作業療法士

自宅へ伺う訪問リハビリテーション、発達障害がある子どもへの療育など、作業療法士として15年勤務しています。

造形・アート、自然体験活動などを通して、子どもたちを支援し、また子どもたちから日々沢山のことを学んでいます。

プライベートでも2人の娘と、森でのお散歩や創作活動を一緒に楽しんでいます!

「想像力が豊かな大人になってほしいけど、具体的にどうすればいいの?」

「想像力は大事だと思うけど、将来何につながるのか知りたい」とお悩みではないですか?

人とは違う個性が求められる時代に、想像力豊かなアイディアが考えられると強力な武器になります。

子どもの豊かな想像力を育むには、幼児期の過ごし方が大切です。

この記事では、作業療法士である著者がわが子と実践している効果的な想像力の鍛え方をご紹介します。

想像力を鍛えるメリットや、想像力は何才から鍛えた方が良いのか?といった点についても解説します。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

 

目次

1. 想像力について知ろう

ここでは想像力について、重要な事柄をおさえていきましょう。

 

1-1.「想像力」とは?メリットは?~育むのに最適な時期~

想像力とは、「目に見えないものを、頭の中で思い浮かべる能力」のことです。

「目に見えないもの」とは現実にあるものだけでなく、実際には存在しないものや過去・未来など時間を越えたものも含まれます。

人間は想像力を使うことで、新しいものを生み出し、豊かなストーリーを思いつくことができます。

 

朝日大学法学部准教授である山崎広光は、

「想像力は共感から生み出される力」として捉え、「想像力」と「共感」の関係について以下のように論じています。

“共感は想像力を本質的な契機として含む。想像力は知覚と同質の働きをすると同時に、現前の対象から自由な働きである。
それゆえに、想像はそれ自体が感情を喚起するものであり、しかも直接性を越えた様々な手がかりによって他者の内面を推し量ることを可能にする。
そのことによって共感は“いま・ここ”の状況を超えて他者のありように向かうことができる。”
『共感と想像力』朝日大学一般教育紀要:引用元

 

また、霊長類学・人類学の第一人者である山極壽一は、人間独自の力として「高い共感力」を見いだし、

「共感力」と「対話」の能力が、「想像力と創造力」に広がったと考察しています。

“(前省略)共食や共同保育によって育てられた高い共感力で、人間は一生涯自分が出てきた共同体にアイデンティティを持ち続け、そして集団というものを強く意識することになりました。そこに7万年ぐらい前に言葉が登場して認知革命が起こり、共感と対話という能力が結びついて想像力と創造力が拡大することになります。”
ゴリラを追って―京大理学部発の人類学とその行方:引用元

 

つまり想像力は、相手の気持ちに寄り添い、理解するために必要不可欠な能力であり、

将来必要になるさまざまなスキルの土台となります。想像力を鍛えるには、「共感」を繰り返すことが重要だと言えるでしょう。

 

1-2.想像力を鍛えるメリット

想像力を鍛えると、「創造力」が育まれると言われています。創造力とは「独自の方法で新しいものを作り出す能力」のことです。

自由な発想に基づく「想像力」があるからこそ、新しいものを生み出す「創造力」が発揮されます。

また、想像力とは「共感する力」とも深い関係があります。

相手の気持ちを想像した上で、考えたり話したりコミュニケーションする力であり、社会性を高めるためにも大切な能力です。

共感力が高い人は他の人から信頼されやすく、他の人と協調して働きやすくなります。

このように想像力は、他のさまざまな力につながる大切な能力なのです。

 

1-3.想像力を鍛えるなら3〜5才がおすすめ

少し専門的な話になりますが、発達心理学の知識を参考に見てみましょう。

想像力を鍛えるには、3〜5才の時期がおすすめです。

発達心理学では、想像力には「表象」という力が不可欠と言われています。

表象とは心理学用語で、「心に思い浮かべるイメージ」のことです。

例えば「犬」を想像してみてください。目の前に犬がいなくとも、頭の中に犬の姿が思い浮かんできます。

表象が発達していなければ、犬の姿を思い浮かべることは難しいでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんは、その場に無いものを想像することはできません。

この表象という力は1才半ごろより発達し始め、本格的に発揮できるようになるのが3〜5才と言われています。

3〜5才になると、表象を使った遊びを存分に楽しめるようになります。

例えばヒーローになりきったり、お絵描きで空想の動物を描いたりと想像力豊かな遊びが展開される時期です。

そのため、3〜5才の時期は遊びを通して想像力を鍛えるのに適した時期と言えます。

では想像力を鍛えるにはどんな遊びが効果的なのでしょうか。

次に、想像力を鍛える遊びを具体的にご紹介していきます。

 

2.効果的に「想像力」を鍛える遊び3選

作業療法士であり、2児の母でもある著者が想像力を鍛えるおすすめの遊びを3つ詳しく説明していきます。

どの遊びも著者が保育現場や家庭で実践しているものなので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

 

2-1.自然の中で過ごす

自然の中には、いろんな形の雲や色とりどりの葉っぱなど、子どもの想像力をかきたてる素材があふれています。

自然の素材は人工的なモノと違って自由な見方ができるため、想像力の幅を広げてくれます。

子どもの発達には目で見るだけでなく、匂いや音、触れた感じなど様々な感覚刺激が大切です。

自然素材に触れ、匂いをかぐことで「五感」から子どもの想像力を刺激することができます。

特別な場所に行かなくても、近くの公園で十分です。

季節ごとに変わる自然の変化を味わいながら、おままごとや創作など季節の素材で遊んでみましょう。

我が家の場合、近隣の自然豊かな公園で遊んでいます。

ある日は娘たちとお花や葉っぱを食べ物にみたてて、お弁当を作る遊びをしました。

100均のラッピング素材をお弁当箱に用意したところ、茶色い実を「唐揚げ」にし、

お花や砂を合わせて「ふりかけ」にするなどお店屋さんになりきって、娘たちはメニューを想像していました。

 

2-2.絵本を読む・お話を聞く

想像力を鍛える方法として「絵本を読む、お話を聞く」のもおすすめです。

人が何かを想像するときには、たくさんの経験や知識が必要と言われています。知っているもの同士の組み合わせから、新しいものを思いつくからです。

例えば想像上のペガサスも、馬と鳥の翼を組み合わせたものです。

たくさんのお話を見たり、聞いたりすることで、土台となる経験が蓄積し想像力を豊かに育むことができます。

絵本を読むことはとてもよいのですが、お話を耳で聞くことも有効です。

耳でお話を聞くと頭の中で自由にイメージを思い浮かべられるので、独創的な発想が生まれやすい傾向にあります。

お話を聞く題材として、昔話の読み聞かせ本がたくさん出版されています。YouTubeやラジオで聞けるお話の朗読も上手に活用してみてください。

 

2-3.ごっこ遊び

ごっこ遊びとは、おままごとやヒーローごっこなど役になりきる遊びです。

ごっこ遊びで役割の「ふり」をするためには、役割に対するイメージが必要になります。

役割や設定のイメージを豊かにすることで、想像力を鍛えることができるでしょう。

ごっこ遊びは、イメージを持てるようになる2才頃からできると言われているので、想像力が発達する3〜5才にはピッタリの遊びです。

イメージを他者と共有するトレーニングや、お友だちと協調性をもって遊ぶための学びにもつながりますので、大人も積極的にごっこ遊びに参加することをおすすめします。

 

3.「想像力」を伸ばす!おすすめの習い事

習い事ではいろいろな経験を積むことができ、子どもの世界が広がりますね。

子どもの興味関心にあうことが大切なので、体験して検討されるとよいでしょう。

 

3-1.造形

絵を描くことや工作などアートを学べる「造形教室」。

アートは日常生活から離れた自由な発想を育むといわれています。

カラフルな絵の具、毛糸、空き箱など、様々な素材にふれることもよい刺激になるでしょう。

頭の中に浮かんだ発想を、絵や工作で実際に形にすることで、創造力も鍛えることができますね。

 

3-2.演劇やダンス

演劇やダンスでは身体を動かすことを通じて、テーマや役柄に沿って自分を表現します。

テーマを全身で感じ役柄を演じることが、他人の感情を想像し、共感する力を育む機会になります。

公演や発表会でステージを経験できるので、大勢の前で自分の殻を破ることにつながるでしょう。

演劇やダンスは演劇教室、ダンススタジオなどで習うことができます。また市民劇団や子どもの劇団が劇団員を募集している場合もあります。

 

3-3.ロボット教室

ロボット教室では、プログラミングやロボット作りを学べます。

レッスンでは、簡単なロボット教材を使ったり、プログラミング言語を使用します。

ロボットを動かすために必要な要素を考えることで、必要な手段を考える想像力だけでなく、論理的な問題解決能力も高めることができます。

 

4.子どもの「想像力」を育むための親の関わり方

子どもの想像力を高めるために、親はどのような関わり方をすればよいのでしょうか。

ここでは子どもの想像力を鍛えるために大切な関わり方について、詳しくお伝えしていきます。

 

4-1.時間にゆとりをもって遊ぶ

想像力を鍛えるには、あれこれ思いをめぐらす気持ちのゆとりが必要です。

「やるべきこと」に追われていたり、気持ちが焦っていると、自由に考える気持ちになれませんよね。

子どもが想像を思いめぐらす余裕をもてるように、スケジュールにゆとりをもって遊びの時間を確保してあげると良いでしょう。

親自身がなかなか時間を確保できない方は、「15分・30分だけ」でも時間を設けて、一緒に想像力を鍛えてみましょう。

 

4-2.子どものイメージを否定せず、一緒に楽しむ

子どもの自由な発想は、現実的にあり得ない設定も多く、大人には理解しにくいものかもしれません。

「それは本当は〇〇だよ」とつい指摘したくなりますが大人からの指摘が多すぎると、子どもは自分で考えずに大人に正解を求める傾向があります。

「お母さんは〇〇になろうかな」と子どもの想像の世界に参加したり「〇〇はどんな色かな?」など質問したりすると、一緒に遊ぶことができ、さらに想像力を高められるでしょう。

 

4-3.親自身のリフレッシュを大切にする

子どもの想像力を鍛える遊びをするには、親自身も気持ちの余裕が必要です。

余裕がなくて、つい子どもを急がせたり、子どもにきつい言い方をしたりしてあとで自己嫌悪……という経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

「心に余裕がない」と思ったら、やるべきことの手をいったん止めて、休憩しましょう。

自然に触れてボーっとしたり、好きなことに没頭したりすると、リフレッシュに有効です。

週末に山や川辺など自然が多いところに出かけて、子どもを自由に遊ばせながら、ママやパパはゆっくり森林浴を楽しんでみてはいかがでしょうか。

普段育児を頑張っている自分をほめてあげて、気分転換することも時には必要です。

 

5.親子で楽しみながら、「想像力」を鍛えよう!

今回の記事では、想像力はどのような能力なのか、また子どもの想像力を鍛える方法について解説してきました。

想像力豊かな発想や他者への共感力は、大人になっても役立つ大切な能力ですね。

想像力は特別な環境でなくても、少し意識するだけで鍛えることができる能力です。

親子で楽しみながら、想像力を鍛える遊びをぜひ実践してみてください。

 

主な参考文献
・発達障害と作業療法 基礎編:岩崎清隆著,三輪書店,2004
金丸 智美,表象の発達 情動的関係性との関連,淑徳大学研究紀要. 総合福祉学部・コミュニティ政策学部,2021
山極 壽一,ゴリラを追って―京大理学部発の人類学とその行方,巻頭記事『令和2年度 第59回玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会を開催』,2020
山崎 広光,共感と想像力,朝日大学一般教育紀要 37,25-43,2011

 

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