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子育てに活かせる心理テスト!性格診断「エゴグラム」うちの子はどんなタイプ?

この記事を書いた人

久美子 久美子

久美子

  • 臨床心理士
  • 公認心理師

5歳と7歳(小1)の息子のアラフォーママ。

公認心理師・臨床心理士の資格を持っています。

心理士の仕事をしながら、発達心理学の視点も踏まえて、日々、子育て奮闘中。

夫にも積極的に育児に参加してもらい、親子でハッピーになれる時間を模索しています。

親子なのに性格が違うな~と思ったことはありませんか?

「注意しても、ちっともわかってくれない」「やる気を出してくれない」など、我が子の性格に悩まされることもあるでしょう。

「うちの子はどんな性格傾向(特性)をもっているのだろう?」「どんな関わり方が望ましいのだろう」と気になったら、心理テストをしてみませんか。

今回は、病院や教育現場でも使用される性格検査「エゴグラム」についてご紹介します。

我が子の性格の特徴を理解することで、

子どもへの心配感や不安、イライラといった子育て問題を減らすことができます。

また、親自身の性格傾向を知ることで、

子どもの個性や才能を伸ばすコミュニケーションがとりやすくなりますよ。

「エゴグラム」で楽しくお子さんとママ・パパ自身の性格を分析してみましょう。

 

目次

 

1.心理テスト「エゴグラム」とは?│信頼性のある性格タイプ診断ツール

私たちは自分の性格を知っているようでよくわかっていません。

心理テストから自分の性格がわかれば、「行動パターン」を予測したり、適切な行動に変えるたりすることができます。

 

1-1.エゴグラムの特徴│心に秘めた5つの特性で性格傾向をチェック

エゴグラムは、私たちの持つ「心のエネルギー」を5つに分けたものです。

簡単に言うと、誰でも5つの性格(キャラクター)があって、どの性格が強いか、弱いかでその人の性格傾向がわかります。

エゴグラムでは、私たちの性格を以下の3つから成り立っていると考えます。

  • 親の影響を受けて育った自分(ペアレント:P)
  • 大人になった自分(アダルト:A)
  • 子ども時代の自分(チャイルド:C)

Pはさらに父性と母性の2つに分けられます。

父性は厳しいお父さんのイメージで【批判的な父親(クリティカルペアレント:CP)】と呼ばれます。

反対に、母性は優しいお母さんのイメージで【養育する親(ナーチャリングペアレント:NP)】と呼ばれます。

Cもさらに【自由な子ども(フリーチャイルド:FC)】と【順応な子ども(アダプティッドチャイルド:AC)】の2つに分けられます。

一人ひとり「心のエネルギー」の配分は違うため、配分が多いキャラクター、あるいは少ないキャラクターの特徴が強く現れます。

「心のエネルギー」の配分は、その人の立場、役割でも変わります。

人は不思議なもので、その場その場で無意識に自分の好きなエネルギー配分をしているのです。

 

1-2.エゴグラムをドラえもんのキャラで理解すると?

それでは、5つのキャラクターを理解しやすいように、「ドラえもん」で考えてみましょう。

 

▶ 批判的な父親(クリティカルペアレント:CP)

CPのイメージはジャイアンに近いです。

CPの特徴は「批判的な父親」で、ジャイアンは、乱暴者だけど、いざというときには頼りになるリーダーシップをとれるガキ大将です。

 

▶ 養育する親(ナーチャリングペアレント:NP)

NPのイメージはしずかちゃんに近いです。

NPの特徴は「養育的な母親」で、しずかちゃんは、優しくてしっかり者。花や動物を愛し、困っている人を放っておけないタイプです。

 

▶ 大人になった自分(アダルト:A)

Aの特徴は「理性的な大人」です。

ドラえもんは、22世紀の猫型ロボットで、どんなピンチのときも冷静に判断して、のび太に適切な「ひみつ道具」で助けてくれます。

まさに、ドラえもんはロボットだけあって理性的ですね。

 

▶ 自由な子ども(フリーチャイルド:FC)

のび太とスネ夫のイメージが近いです。FCの特徴は「自由な子ども」です。

のび太は、勉強もスポーツも苦手な怠け者ですが、自然や動物が大好きで、ママに怒られていても基本的には自由でいたいタイプです。

スネ夫も、家がお金持ちで新しいおもちゃをなんでも買ってもらい自慢するお坊ちゃんで、まさに自由なタイプです。

 

▶ 順応な子ども(アダプティッドチャイルド:AC)

ACの特徴は「従順な子ども」です。出来杉くんのイメージが近いです。

出来杉君は、勉強もスポーツも得意で、さらに性格もいい優等生です。もちろんイタズラや乱暴もしないので、学校の先生からの評価も高いです。

ドラえもんのキャラクターでイメージすると、わかりやすくなったと思いませんか?

 

1-3.子どものエゴグラムは何歳から受けられる?

エゴグラムは小学生から受けられます。具体的には、小学生(低学年版・高学年版)、中学生版、高校生版の4種類があります。

質問項目は50問で、短い時間で答えられます。

小学生版と中学生版では、両親用もありますので父親と母親のエゴグラムも作成できます。

 

1-4.エゴグラムの注意点│正しく診断するために知っておきたいこと

エゴグラムは、質問に自分で答えるタイプの心理テストです。

このような自己記入式のテストは、自分が「人に見せたい自分」を無意識に選んでしまうと言われています。

答えたときに、これは自分の「希望」なのか、それとも実際の行動頻度の多さなのか、どちらが根拠になっているのかで結果が変わります。

そのため、エゴグラムに回答するときは、具体的な自分の行動を思い出して回答すると良いでしょう。

家族に回答してもらうこともできます。

例えば、ママ自身が回答したあとに、もう1度パパに回答してもらうことで「パパから見た自分」を知ることもできます。

また、「家での自分」「職場での自分」「友達の前での自分」など、役割に応じたいろいろな自分視点から複数回答してみるのもオススメです。

筆者の場合は「家での自分」と「職場での自分」を比べて見たところ、「職場での自分」のほうがCPとAが高くなりました。職場では、マニュアルや納期を守る必要があるため、厳格さと合理性が強まるのかもしれません。

お子さんであれば、「家での自分」と「学校での自分」を比べてみてもいいでしょう。もし、「学校での自分」のACが高すぎる場合は、学校では我慢したり、頑張り過ぎているかもしれません。

5つのキャラクターの「心のエネルギー」は、相対的に一番強いエネルギーが反応しやすいため、家や職場など、環境や状況によって自分のエゴグラムをうまく使い分けられる人ほど、ストレスに強いと言えます。

 

性格の心理テストと受けられる場所

心理テストは、メンタルの問題が生じたときや、発達を促したいときに実施して情報を得ます。

心理テストには、知能テスト、発達テスト、性格テストなどがあり、大人用と子ども用があります。

「エゴグラム」は性格テストの1つで、インターネット上で無料で受けることができます(占いのように作成されたエゴグラムも存在します)。

心理学を提唱した精神科医のエリック・バーン博士の理論(交流分析)が元になっています。エゴグラムは、弟子の精神科医のジョン・M・デュセイが考案しました。

日本では、東京大学医学部心療内科TEG研究会が日本人向けに作成した東大式エゴグラム(TEG)がよく使われており、進路や職場の配置を決める判断材料としても使われています。

エゴグラムは、病院やクリニックで心理カウンセラーやコーチングの専門家から受けることができます。

このような専門の先生から受ける心理テストは、統計的な方法をもとに作成されているので、結果には信頼性があります。

 

2.子育てにエゴグラムを取り入れるメリット

「なんでそんなに頑固なの?」「すぐに落ち込むんだから…」など、子どもに対する「なぜ?」を理解するには、子どもの性格傾向を知ることが大切です。

うちの子はこんなタイプなんだなと知っておくことで、イライラしたり不安に思う気持ちをなだめて、適切な関わり方を考えることができます。

また、子どもだけでなく、親自身の性格傾向も捉えておくと良いでしょう。

自分自身のタイプを把握しておくことで、ついやってしまいがちな行動パターンや、子どもとのやりとりでの失敗を防ぐことができます。

ここでは、「エゴグラム」が子育てに活かせる点やメリットを紹介します。

 

2-1.性格が視覚化される

エゴグラムは、性格をグラフで表せるので、誰がみてもわかりやすいことがメリットです。どのキャラクターが高くて、どのキャラクターが低いのかも視覚的にわかります。

親自身の性格も視覚化されることで、お子さんのグラフと見比べることができます。親子で似ているところと、まったく似ていないところが浮き彫りになるでしょう。

きっと、ご自分の「FC」と比べてお子さんの「FC」の高さに驚かされるでしょう。あるいは、お子さんの「A」や「AC」の低さが年齢相応なことにも気づくと思います。

例えば、我が子に対して「なんでそんなに自分ばっかりなの?」「周りの目が気にならないの?」と、不満に感じていたことが、子どもの目線でなかったことにも気づきます。

子どもは「FC」中心の世界に生きていて、成長するにつれて「A」や「AC」の部分を獲得していきます。

親子でエゴグラムの得点に差があるほど、親が子どもの性格に理解を示してあげましょう。

エゴグラムを取り入れることで、子どもの性格を受け止めたり、まだ足りていない面を伸ばしていく目安を知ることができます

我が子をひとりの個性ある「個人」として、尊重するきっかけになるでしょう。

そして、親自身も他者から尊重される個性を持った「個人」なのだと、自分の性格特性を認めてあげてください。

 

2-2.なりたい自分(性格)に変えられたかわかる

子育てでは、親自身が自分の性格に苦労したり、後悔することもありますよね。

エゴグラムは、「もっとこんな自分になりたい」と思ったときにも活用できます。

例えば、「子どもに理詰めで強く言い過ぎるクセをなんとかしたい」と悔やむ場合は、性格的にCPが強かったり、Aが強い人だったりします。

そんなときは、「今度は、NPを高められるように、優しい言い方で伝えてみようかな」と考えて行動してみましょう。

逆に、「子どもにダメってちゃんと言えなかったな」と言いなりになりがちなCPが低い親なら、「もう少しCPを高められるように初めにルールを決めたり、時間には厳しくしてみようかな」と考えて行動してみましょう。

このようにグラフを見て、自分がどのキャラクターを高めたいか(低めたいか)を考えたり、数カ月後にまたエゴグラムをして、なりたい自分になれたか、確かめることができます。

 

2-3.育児不安になるタイプがわかる?

育児不安になりやすいママは、エゴグラムにも特徴があらわれます。

2003年に乳幼児の母親を対象に育児不安とエゴグラム(ここでは新版TEGというエゴグラム)をとった研究では、育児不安がほとんどなかったママのエゴグラムは、FCが高く、ACが低い「自分も他者もOK」タイプでした。

FCのイメージはのび太とスネ夫でしたね。FCが高いと、子どもの目線で遊べたり、子どもの気持ちを共感できます。また、あれこれ考えないので、のびのび育児ができます。

その反対で、育児不安になりやすいママは、ACが高い傾向にありました。

ACのイメージは出来杉くんでしたね。ACが高すぎると、育児に熱心になりすぎて、自分のできていないところを探したり、情報や他の人の言うことに振り回されて、ますます育児不安に陥っていきます。

育児不安になりやすいママは、自分の自由な時間を持てなかったり、遊び心を忘れてしまっているため、普段からストレスが溜まりやすい状態です。

このようにエゴグラムは、ママの育児不安の状態を予測するスクリーニングにもなります。

ママは、自分のACが高すぎていないか、FCが低すぎていないかチェックしてみましょう。

ACが高すぎる場合は、自分を大事にする目的で、育児のサポートを受けたり、自分の時間を作って余裕を持てるようにしていきましょう。

 

<コラム>どんな「保育者」が理想的? 保育士のエゴグラム研究からわかったこと

育児のプロである保育士さんにエゴグラムを実施した研究を紹介します。

この研究では保育士さん自身が理想的だと考える「保育者」のイメージがわかりました。結果としては、理想の保育者イメージはNPとAをしっかり持っていることでした。

ドラえもんで例えると、NPのイメージはしずかちゃんでしたね。

NPは、子どもの成長を促進したり、受容的で相手の話に耳を傾け、親身になってお世話をするため、保育士で求められる職業スキルとも一致します。

また、「よかったね」「えらいね」「大丈夫よ」などの言葉がけで子どもを良い気持ちにさせてあげられることも、求められるスキルといえるでしょう。

次にAのイメージは、ドラえもんでしたね。Aがあると、客観的な判断ができるので、安定した保育環境を作ることができます。

保育士さんの理想としては、しずかちゃん(NP)とドラえもん(A)のどちらも平均的に持っていたいというのは頷けますね。

 

3.親子で心理テスト!性格タイプ診断「CONOBAS簡易版エゴグラム」

CONOBASで作成した体験版のエゴグラムです。

お子さんの日頃の様子を思い出して、お子さんのエゴグラムを回答してみてください。

エゴグラムは、場面設定によって結果が変わりますので、「我が子との関係」を想定して答えてください。

ママやパパもぜひ自分でも回答してみてください。

 

3-1.「CONOBAS簡易版エゴグラム」

このエゴグラムでは、お子さん(あなた)の行動パターンについてお聞きします。あまり考え込まずに感じたままお答えください。

質問項目を読んで、お子さん(あなた)に「あてはまる」ときは、「◯」、「あてはまらない」ときは「✕」をつけてください。

なるべく、「◯」か「✕」で答えてください。どうしても決められないときは「どちらでもない」の「△」をつけてください。

また、この質問では、対象となるお子様のご家庭での様子、お子様の親への関わり方を思い浮かべながらお答えください。

お子様の年齢によっては未熟だなと思う項目もありますので、「✕」をつけて結構です。

ママやパパが回答されるときは、またはじめの質問からご自身のご家庭での自分を思い浮かべてお答えください。

 

【質問項目】20項目・〇✕△の三択回答

  1. ルールがあれば必ず守る
  2. 困っている人をみると放っておけない
  3. 論理的にわかりやすく説明できる
  4. ユーモアがありジョークが好き
  5. 嫌なことも我慢してしまう
  6. 相手の失敗に厳しい
  7. 相手の長所は褒める
  8. 客観的な事実にもとづいて判断する
  9. 好奇心が強い
  10. 遠慮がちで消極的である
  11. リーダーシップをとる
  12. 世話好き
  13. 何事も冷静に判断できる
  14. 自分の欲求に素直
  15. 人の目が気になる
  16. 責任感が強い
  17. 相手に対して親切である
  18. 感情に流されない
  19. 自由な発想ができる
  20. 人間関係ではかなり気をつかう

 

3-2.「CONOBASお試し版エゴグラム」採点

回答を元に、それぞれのキャラクターの合計得点を出しましょう(最高8点)。

【採点】それぞれの質問項目で◯は2点、△は1点、✕は0点とします。

  • CPの質問は、「1」,「6」,「11」,「16」
  • NPの質問は、「2」,「7」,「12」,「17」
  • Aの質問は、「3」,「8」,「13」,「18」
  • FCの質問は、「4」,「9」,「14」,「19」
  • ACの質問は、「5」,「10」,「15」,「20」

 

診断目安

● 0点~3点「低い(緑ゾーン)」

● 4点~6点「ちょうどいい(黄色ゾーン)」

● 7点~8点「高い(赤ゾーン)」

 

あなたの中で1番高得点だったキャラクターと1番低い得点だったキャラクターが、あなたの好みや性格特性を表しています。

 

4.心理テスト「エゴグラム」で読み解く性格傾向パターン

お絵描き

ここでは、エゴグラムから統計的に分かっている性格傾向のパターンをご紹介します。

 

4-1.エゴグラムのタイプとパターンからわかることは?

まずは、CPとNPのどちらが強いかで、ざっくり2つのタイプに分けることができます。

他者肯定タイプは、CP<NPです。

他者否定タイプは、CP>NPです。

次に、FCとACのどちらが強いかで、ざっくり2つのタイプに分けてみましょう。

自己肯定タイプは、FC>ACです。

自己否定タイプは、FC<ACです。

例えば、筆者の場合は①と③が当てはまるので、①と③を組み合わせると、「他者肯定・自己肯定」タイプとなります。

「あなたもOK、私もOK」と考えて行動するので、対人関係での悩みはあっても少ない方だと思います。

①と④が当てはまる人は、「他者肯定・自己否定」タイプで、「あなたはOKだけど、私はダメ」という考えや行動をとりがちです。自分を責めてしまったり、他人と比較してしまうので、落ち込みやすいでしょう。

 

4-2.エゴグラムで見る代表的な「親の性格タイプ」パターンは?

幼児期のママにエゴグラムを取ると、以下の3つのタイプが多かったそうです。

あなたのタイプはどれに1番近いですか?参考にしてみてください。

 

①しずかちゃん&ドラえもん融合タイプ(NPとAが同じくらい高い、ACが低い)

NPとAのどちらも備えているタイプ。

温かい母性的な面と理性的な面があるため、安定した親子関係が築けるでしょう。

世話好きでボランティア精神にあふれますが、ACが低いためたまにおせっかいになるところがあります。

②しずかちゃんタイプ(NPが最も高く、CPとACが低い)

NPが強いため、面倒見がよく思いやりが備わっています。日本人に最も多いパターンです。

③ドラえもんタイプ(Aが最も高く、次にNPとFCが高い)

Aが高いため知的で判断力があり、NPとFCも高いので周囲へのおもいやりもあり、遊び心もあり、周囲とうまく付き合える適応タイプ。

CPとACが低すぎると、周囲と合わせることができなくなります。

 

他にも、2つ代表的なパターンを紹介します。

「N」パターン

CPとFCが低く、NPとACが高いため、グラフの形は「N」に見えます。

先に挙げた、「他者肯定・自己否定」タイプと同じです。自分を抑えて周りに尽くすため、ストレスが溜まりやすい性格です。

医療の世界では、このパターンはメンタルヘルスに注意が必要と言われています。

また、ある研究では、このタイプはインターネットにハマりやすいそうです。理由は、現実よりも自分のことをわかってくれる仲間がネット上では得られやすいこと、匿名や架空の人物になれることで自由にのびのびできることが挙げられます。

「逆N」パターン

「N」パターンと正反対になります。CPとFCが高く、NPとACが低いです。

周囲のことを考えずに自分を主張するタイプです。神経が図太いようにも見えますが、なんとアーティストはこのタイプが多いそうです。自分を貫ける要素はアーティストには必要ですね。

また、人の話を聞かずにやりすぎてしまうので、その結果、体を壊してしまう人もいるそうです。

 

4-3.エゴグラムで見る「子どもの性格タイプ」傾向のポイントは?

子どもはFCが高いのが自然ですので、FCが高い方が安心です。

逆に、子どもの年齢に不釣り合いなほど、ACが高い場合は、メンタルヘルスに影響がないか注意が必要でしょう。

Aの要素は、発達とともに育っていきますので、低くても今は気にしなくて大丈夫です。

ただ、Aが低いとゲームやネット依存になりやすくなりますので、とくに中学生以降は、Aを高める関わり方が必要でしょう。

筆者の小学1年生の息子と5歳の娘のエゴグラムをつけてみました。なんとなくこれかな?という具合でつけています。

表の「低い」「ちょうどいい」「高い」のコメントと照らし合わせると、だいたい当てはまっていると思います。

息子と娘のエゴグラムはとても似ていて、CP(5点)、A(3点)、FC(8点)、AC(1点)は共通でした。差があったのはNPのみで、息子より娘の方が高くそれぞれ3点と7点でした。

娘はおままごとやペットのお世話が好きなので、NPは高くつけました。2人とも園や学校に行くようになって、AとACの部分は増えたと思います。

やはり、FCは高いので自己中心的でわがままです。

子どもの精神的な発達でも「自己中心性」な時期に該当するので、親としては、NP、CP、Aの部分を使い分けて、根気強く付き合おうと思います。

 

<コラム>子育てにはCPとNPの両方が大事

幼児期の子どもの発達には、父性的な関わり(厳しさや理想の追求)と母性的な関わり(優しさや共感性)のどちらも重要です。

父性的と母性的はそのままエゴグラムのCPとNPに置き換えて考えることができます。

子どもはCPとNPの両方に触れて育つ中で、子ども自身の中に父性と母性が取りこまれていきます。これを心理学では「内在化」と呼びます。

心の中に「ママ」と「パパ」の要素がちゃんとある状態です。

内在化ができることで、実際に親がいない場面でも、子どもの中にある父性と母性の部分をバランスよく使って、良い人間関係を築くことができます。

母親のCP的な言葉がけは、子どものACの部分に受け止められます。

これは躾の場合に効果的ですので、ママは自分の中に適度にCPの部分を持っておくと良いでしょう。パパの場合も同様です。

母子関係はやはり特別で、母親のNP的な言葉がけは、子どものFCの部分を活性化させると言われています。

母と子の信頼関係を作るためには、このやりとりはとても大事です。

子育てにはCPもNPもどちらも必要ですが、ママに限ってはCPよりもNP多めで我が子に接すると良いでしょう。

 

5.エゴグラム・タイプ別:子どもの性格に合った親の関り方とNGな声掛けは?

親は、無意識に自分の要望を我が子に押し付けてしまうことがありますよね。

親子関係がなんだかうまくいっていない、子どもの性格に合った関わり方をしたいときに、エゴグラムの結果から解決策を考えてみましょう。

 

5-1.いい子のAC(出来杉くん)が高いタイプにはNPで関わろう

💡 ACを抑えるポイントはFC「自由な子どもの心」を高めること

ACが高い子は、大人の前では良い子でいようと頑張り過ぎてしまいます。高すぎるACを抑える場合は、もう1つのFCを高めましょう。

ACが高い子は自分自身のことも満足させてあげると良いです。

具体的な方法としては、お子さんに自分の気持ちを表現させるように声掛けをしてみましょう。

また、お子さんの好きなことをして楽しめる時間を作ってあげると、FCを高めることができます。

自分の気持ちを相手に伝えるなら、「アサーション」という方法も役立ちます。

お子さんの気持ちをじっくり聞いてあげる時間を親がとってあげると良いでしょう。

みんなの前ではなかなか表現できませんが、1対1で落ち着いた環境だと、自分の気持ちを話しやすくなります。

<NGな対応>

例えば、CPが高い親は、ACが高いお子さんにプレッシャーを与えてしまっているかもしれません。

ゲームばかりしている我が子にイライラしてしまい、つい「〇〇をやらないなら、ゲームをさせないよ」と脅したり、一方的に責める言葉を言ってしまうことはありませんか?

あるいは、「宿題は必ずやるべきだ」「テストは100点を取らないといけない」という考えで、子どもに接していたりしませんか?

そんなとき、CPの自分を一旦置いておいて、NP的な関わりをしてみることで、子どもが不機嫌になったり、萎縮したりすることを防げるかもしれません。

NP的な関わりの具体例は、共感や思いやり、受容といった子どもの成長を促す関わり方です。

日頃から、「よかったね」「大丈夫だよ」「~してあげるよ」「私に任せて」といった声掛けで、お子さんを安心させたり、勇気づけてあげましょう。

 

5-2.A(ドラえもん)が低いタイプとFC(のび太)が高いタイプにはAで関わろう

💡 Aを高めるポイントは「客観視」すること

Aが低い子は、感情で行動してしまうため、無計画になってしまいます。

FCが高い子も、自己中心的で気が短い性格です。

こんなときはどちらもAを高めることがポイントです。キーワードは「自分を客観視」させることです。

具体的な方法としては、1日24時間の時間の使い方を表や円グラフにして描きだしてみるといいでしょう。

睡眠時間、学校や習い事、身だしなみ、余暇の時間に色分けして塗ると見やすいです。

ゲームや動画視聴の時間管理を見えるようにスケジュールとして張り出したり、制限時間のアラーム設定をするといいでしょう。

睡眠時間を8時間以上取るためには、夜は何時までに寝る必要があるのか逆算し、寝付くまでのルーチンを決めておき、時計を見ながら行動することを習慣にしてしまいましょう。

実際にゲーム時間や寝る時間を守れたら、ご褒美シールをあげたり、お子さんが喜ぶご褒美を考えてあげると続けるモチベーションになります。

Aを高めることで、ネット依存やゲーム依存を防ぐことにも繋がります。

親のAが低い場合もあります。その場合、FCが高いお子さんに理性的に対応できず、手を焼いてしまうこともあるでしょう。

そんなときは、親がAを高めた関わりをすることで(先に挙げたスケジュールや時間管理を教えてあげる)、子どもに合理的にルールを守らせることができるでしょう。

合理的なAを意識した声掛けとしては、「具体的にいうと~」「要するに~」と言ってみることです。Aの要素を高める練習になります。

このようにうまくいかないやりとりを振り返り、関わりを変えてみると、うまくいく事が多いです。

エゴグラムを活用することで、親子関係のストレスを減らすことに繋がります。

 

<コラム>子どもの性格傾向と学習スタイル│対面授業派?オンライン授業派?

たくさんの絵本

対面授業が向いている子、オンライン授業が向いている子を紹介します。

心理学の研究から、人とコミュニケーションを積極的に取る学生は、動画を見る授業よりも対面での授業のほうが成績が高かったそうです。

逆に、コミュニケーションをあまり取りたがらない学生は対面よりも動画の授業のほうが成績がよかったそうです。

ある大学では、学科ごとにエゴグラムを行い学生の性格傾向を調べたところ、音楽関係の学生は、CPとNPが高く積極性にコミュニケーションを取る人が多いことがわかりました。

逆に情報関係の学生は、CPとNPがやや低かったそうです。

今後は、一人ひとりの性格特性から対面授業か映像視聴授業か選べる日がくるかもしれませんね。

エゴグラムから、対面かオンラインのどちらが効果的に学習できるかヒントになるのはありがたいですね。

 

6.性格診断「エゴグラム」を子育てに活かそう!

エゴグラムの結果を知ることで、お子さん(あるいは親自身)の対人関係での行動パターンを予測したり、対人関係で起きやすいネガティブな考え方や行動をポジティブな方に変えていくヒントになることがわかりましたね。

まさに、「自分が変われば、相手も変わる」です。

すぐにはうまくいかなくても、エゴグラムで親子関係がいまどうなっているのか気づければ、良い解決作が思い浮かぶでしょう。

エゴグラムは医療や教育で使われるツールですが、子育てにも取り入れてみてください。

 

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主な参考文献
佐藤 美佐子,心模様は万華鏡:TA・交流分析の心のはなし自我状態・エゴグラム,けやきBOOKS,2021
伊藤隆,エゴグラムで「こころ」を見てみよう,茨城産業保健総合支援センター さんぽいばらき 第29号,2007
・日野秀俊,中学生におけるパソコンによるインターネットへの依存傾向とエゴグラムとの関連性.学校教育研究(25)63-73,2013
・山下美称,乳幼児をもつ母親の育児不安と自我状態ー乳児期と幼児期の比較を通じてー the journal of nursing investigation p10―18,2003
・後藤守・後藤恵美子・金澤克美・高久宏一,これからの保育に求められる保育者像に関する臨床心理学的研究ーエゴグラム・パターンの分析を通してー,北海道教育大学紀要第51巻第2号52-61,2001
・日野秀俊,中学生におけるパソコンによるインターネットへの依存傾向とエゴグラムとの関連性,学校教育研究(25)63-73,2013
・川島眞,心理検査による学生の心理特性把握の試み,尚美学園大学芸術情報研究21 37-47,2012

 

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