子どものしつけは何歳から必要?元教員ママが効果的な伝え方を解説
この記事を書いた人
猪狩はな
- 司書教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 保育士
2児ママ× 現役国語科教員×ライター!
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
・国語科(専門は古典文学)
・私立中高一貫校講師、公立中学校フルタイム教員を経て私立高校講師として勤務
・3歳と5歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。
「もうすぐ小学校入学。しつけをしたほうがいいか悩んでいる」 「4~5歳の子に対するしつけは、どのように伝えればいい?」
そんなふうにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、4~5歳の子に対する「しつけ」について、元教員で2児のママでもある筆者がわかりやすく解説します。
しつけは何歳から必要なのか、具体的にどのように声をかければいいのかについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.子どものしつけは何歳から必要?
しつけとは「社会の中で健やかに生きていくためのルール・マナーを身につけること」です。
例えば、公共の場での過ごし方、あいさつ、人間関係の作り方、食事の作法などを指します。
こういったルール・マナーは子どもだけで身につけるのは難しいので、大人が教え、導く時間が必要です。
では、しつけは何歳から始めればよいのでしょうか?
1-1.しつけがわかるようになるのは、4歳以降から
しつけが理解できるようになるのは、4歳以降からです。
4~5歳ごろから自我が発達するため、周りの人が自分のことをどう見るのかを気にするようになり、しつけが入りやすくなるためです。
「なぜいけないのか?」「どうしてルールを守る必要があるのか?」を理解し、小さな約束を守ることができるようになってきます。
1-2.0~3歳にしつけは不要?
そうは言っても、0~3歳のあいだもしつけが不要ということではありません。
基本的なマナーやルール、命に関わるような危険な行為については「いけないこと」と伝える必要があります。そのうえで、0~3歳にまず必要なのは、しつけるときの土台となる自己肯定感を育むことです。
しつけをする中で、なかなかうまくいかないことや、時間をかけて力を養う場面も出てきます。そのとき「自分ならできる!」「難しそうだけど、チャレンジしてみよう」という気持ちを生み出すのが、自己肯定感です。
具体的には、以下の2つのポイントに意識を向けると良いでしょう。
- 子どもの気持ちを受け入れる
- できたことを認め、褒める
親子のコミュニケーションを密に取ることで、4歳以降のしつけの土台を作っておきましょう。
2.基本的なしつけの原則2つ
しつけをする必要があるとは言っても、子どもにどのように伝えればいいのでしょうか?
しつけをする際の基本的な原則を2つご紹介します。
2-1.ルールを一貫させる
場面や人によって、ルールがぶれないように徹底しましょう。
例えば「テレビは夕飯のあと、30分」というルールがあるとします。
- 「パパとなら、テレビを見ながらご飯を食べても大丈夫」というように、人によってルールが変わる
- 大人の機嫌や都合で「ご飯を食べたけど、今日はテレビはなし」というように、約束が変わる
など、子どもとのルールがぶれると、しつけもうまく進みません。子どもにとっても「どのように行動すればよいか」がわからなくなり、混乱を招きます。
親子の信頼関係にも悪影響になるので、一度決めたルールは大人も守りましょう。
2-2.パパ・ママが協力して取り組む
どちらかの親にしつけを任せるのではなく、パパ・ママが協力して進めるようにしましょう。
これにより「さっきパパから指摘されたことを、またママから指摘される」といったことを回避できたり、「ママに叱られたあと、パパがフォローに入る」といった役割分担ができたりもします。
また、子どもの園生活や友達に関する話題は、できるだけパパとママの間で共有し、お互いに耳を傾けることが大切です。
「パパ・ママが一緒に自分のことを考えてくれている」という姿勢が、子どもにも伝わりますよ。
3.しつけが必要な場面とは?
どういうときに叱るべき?どのような言動があったらしつけがいる?とお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
育児中に見逃せない「しつけが必要となる場面」を知っておきましょう。
以下のような場面があった場合には、短い言葉で注意し、まずその行動をやめさせます。
そのあと時間を作り、「なぜいけないのか」「これからどうしたらいいのか」「どういうルールが必要か」を子どもと話し合いましょう。
3-1.命に関わる危険な行為
命に関わるような危険な行為があった場合、まずは子どもの行動をやめさせ、なぜいけないのかを冷静に説明します。
そのあと、子どもと「もう二度と同じことはしない」という約束をしっかりと取り交わしましょう。
3-2.自分や周りを傷つける行為
- 他者への乱暴な行為や言葉による暴力
- 自分を大事にしないような言動
- モノを乱暴に扱う・壊す
といった行為があった場合には、厳しく話をします。
どんな状況であっても暴力はいけないことを伝え、周りを傷つけないためにはどのような行動を取るべきかを子どもと一緒に考え、代替となる行動を自分で選べるよう練習しましょう。
3-3.社会的なマナーやルールを破る行為
あいさつ、人とのコミュニケーションの取り方、公共の場所での過ごし方、食事のマナーなど、社会で生きていくうえで守るべきマナー・ルールがたくさんあります。
一度に完璧に身につけるのは難しいことですが、だからこそ、少しずつ丁寧に伝えていきましょう。
3-4.人に迷惑をかける行為
友達が嫌がることをする、静かにするべき場所で騒ぐ、道路でボール遊びをするなど、人に迷惑をかける行為をしていた場合には注意しましょう。
「自分がされてもいやではないから」「自分は楽しいから」と、子どもなりの理屈を伝えてくる場合もありますが、一度話を受け止めたうえで、人と自分との感じ方の違いや、社会生活のルールについて話をしてみてください。
4.しつけをするときのポイント5つ
実際にしつけをする際には、どのように声をかければよいのでしょうか。
しつけをするときに気をつけるべきポイントを5つにまとめました。
4-1.子どもの人格を否定しない
まず大切なのは、子ども自身の人格を否定しないことです。しつけの対象となる「間違った言動」のみを否定します。
■具体例
人格の否定:「性格が悪い」「バカだ」「できないなんておかしい」
↓
言動の否定:「電車で走ってはいけません」「人を傷つけることは言いません」
4-2.子どもの「気持ち」は否定しない
子どもの抱く気持ちを否定しないことも重要です。その言動を取った背景には、子どもなりの理由や心の動きがあったはずです。
まずは子どもの気持ちを受け止めることで、そのあとの話も入りやすくなります。
■具体例
「おもちゃを取られて悲しくなったから、叩いてしまった」
↓
「おもちゃを取られて悲しかったんだね。でも、叩くのはよくないことだね」
4歳になれば、自分の気持ちや状況を自分の言葉で説明できる場面も増えていきます。
ときには大人が「じゃあ、代わりにこっちのおもちゃで遊ぼう」「順番で遊ぶのはどう?」といった代替案を出すなどして、子どもの気持ちをサポートしましょう。
4-3.「できないとき」も受け止める
子どもたちは、まだ成長の途中です。できるときもあれば、できないときも当然あります。親に甘えたくなるときもあるでしょう。
できなかったときも、「そういうときもある」と受け止める心の余裕を持っておきましょう。
「どうして今回はできなかったのか」「どうしたら次回またがんばれるか」を子どもと一緒に考えるのもオススメです。
4-4.結果だけではなく、プロセスも褒める
しつけは「できた」「できない」にフォーカスしてしまいがちです。しかし、仮にできなかったとしても、がんばったり、努力したりしたプロセスは子どもにとって大切な時間です。ぜひ褒めてあげてください。
自己肯定感の育成だけでなく、「できないかもしれないけど、がんばってみよう!」というチャレンジ精神にもつながります。
改善点がある場合は、まずは褒めてから「次はもう少しここをがんばってみよう」と付け加えるかたちで提案してみましょう。
4-5.ほかの子と比べない
「お兄ちゃんが5歳のころはできていたのに…」「隣の席のお友達はできているのに、どうしてあなたはできないの?」と、つい比べてしまうこともあるでしょう。
しかし、子どもの性格や発達、得意不得意は一人ひとり異なります。できたかできていないかを、きょうだいやクラスメイトとは比較しないことが大切です。
子ども本人のなかで比較をして「以前よりできるようになったか」を考えるようにしましょう。
5.元教員ママが実践!子どものしつけと約束のしかた
教員経験者であり、5歳・3歳男児を育児中の私が、実際に取り入れている関わり方をご紹介します。
お子さんの性格に合いそうなものがあれば、参考にしてみてください。
5-1.まずは本人の話を聞き、受け止める
まずは子どもの話を最後まで聞くこと、気持ちを否定せずに受け止めることを心がけています。
親からすると「なぜそんな行動をするのか全く理解できない…」と思うことや、思わず「本当に?」と疑ってしまうような内容が出ることもあります。しかし、どんなことを言われても、まずは受け止めることが大事です。
5-2.なぜ必要なのか?を明確にする
単にルールやマナーを伝えるだけでなく、「なぜそのルールが必要なのか?」「それを守ることでどのようなメリットがあるのか?」もあわせて説明しています。
長男は、理由がわかって納得できたことのほうが守れるためです。
ルールを鵜呑みにするのではなく、「なぜ?」を立ち止まって考える習慣をつける効果もありますよ。
5-3.指示は1つずつ出す
子どもへの指示は1回に1つまでにする「単指示」を意識しています。
■具体例
・ご飯を食べたら着替えて、保育園に行くよ。
↓
・ご飯を食べます。洋服に着替えます。保育園に行きます。
・散歩に行くときは、車に気をつけて、走らないでね。
↓
・散歩のときは、走らない。車に気をつけよう。
たくさんの指示をいっぺんに出されると、「結局なにをすればいいのか」「そもそもなにを言われたのか」がわからなくなってしまいます。
指示は短く、的確に、なるべくそのときに伝えることで、子どもに伝わりやすくなるのでオススメです。
5-4.どうしたらいいかを一緒に考える
例えば、電車の中で騒いでしまう場合について考えてみましょう。
「電車に乗ったら静かにするのが当たり前、それが社会のマナー」と言ってしまえばそれまでかもしれません。しかしそれでは、子どもからすると「頭ごなしに大人からルールを押し付けられている」状態です。
「では、どうやったら静かに過ごせるだろう?」と提案し、子どもと一緒に考える時間を作ります。
「どうしてしゃべってしまうんだろう?」「ただ座っているのが退屈だから」「どうやったら退屈ではなくなる?」「本を読んで過ごせば、大丈夫かも」というように、自分の力で解決方法を探すのです。
親も問題を解決するために考えているよ、一緒にがんばろうという姿勢が子どもにも伝わります。
5-5.目標を見える化する
- 朝の支度ルーティンを見える化した「おしたくボード」を用意する
- 習い事でがんばった記録をノートにつけて振り返る
- 年長になるまでの目標を手帳に書いて確認する
- できたら、カレンダーに好きなシールを貼る
といった取り組みをしています。
「なにを達成したらいいのか」を、目に見える形で親子で共有することで、うっかり忘れてしまった!を防ぐ効果があります。
また、親としても、こちらの気分や裁量で評価の軸がぶれないようにできます。
5-6.できたらたくさん褒める
約束を守れたら、とにかくたくさん褒めます。
「しつけ」で伝えられる内容は、子どもからしたら大変な意志力を使う内容のものも多いです。
長男の場合は「静かに座っている」ことがとても苦手なので、座っていることを求められる場面ではすごくつらいだろうな…と想像します。だからこそ、「できた」と連絡をもらったときには、先生と一緒になって大げさに褒めています。
最終的にできなかったとしても、どれくらいがんばれた?どうだった?と本人に確認し、なるべく過程もあわせて評価するよう心がけています。
6.しつけは親子の信頼関係からはじめよう
しつけをするときに大切なのは「親子の信頼関係」です。
まずは子どものがんばりを認めること、気持ちを受け入れるところからスタートしてみませんか。
適切なしつけを通して、子どもの心と体を健やかに育んでいきましょう。
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