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意地悪をする子どもの心理は?意地悪をする子・される子へのふさわしい対応を解説

この記事を書いた人

横山ミノリ 横山ミノリ

横山ミノリ

  • 小学校教諭

年長と3歳の男の子の母であり、小学校教諭の資格を所持しています。

長男はASD(自閉スペクトラム症)

産後うつと育児ノイローゼになった経験から、”ラクに生きる”がモットーに。

子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。

子どもとの好きな遊びは工作、子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。

4~5歳くらいになると、子どもの間で意地悪をした・意地悪をされたという問題が起こるようになりますよね。我が子が意地悪をしている場合でも、意地悪をされている場合でも、どちらもママの悩みは深いでしょう。

この記事では、子どもの意地悪の背景にある心理と理由を、子どもの発達段階をふまえて解説します。

意地悪をする子・される子、それぞれにできるふさわしい対応もお伝えしますので、子どもの意地悪で悩んでいるママはぜひ最後までお読みください!

 

目次

1.意地悪をする子どもの心理

4~5歳になると、2~3歳でも見られていた、「手が出る」「おもちゃを取り上げる」「順番を守れない」といったことの他に、「悪口」や「仲間外れ」などの意地悪も起こるようになります。

自分のことしか考えられなくてつい体が動いてしまったというものから、相手を意識して、意図的に意地悪をするケースも増えてくる頃です。

社会性も身につき、相手の立場に立って考えられるようになる年齢なのに、どうして意地悪をしてしまうのでしょうか。

ここでは、4~5歳の子どもが意地悪をしてしまう心理を3つ紹介します。

 

1-1.「自分の思い通りにしたい」

子どもの意地悪の多くには、「自分の思い通りにしたい」という心理が隠れています。「自分でルールを決めたい」「自分の好きなお友達とだけ遊びたい」など、自分のやりたいようにやりたいという気持ちです。

そのため、自分の思い通りに動いてくれないお友だちや、一緒に遊びたくないお友だちに対して意地悪をしてしまうのです。

 

1-2.「自分に自信がない」

子どもの意地悪には、「自分に自信がない」という心理が隠れていることもあります。何らかの理由で自分に自信がもてず、お友だちに対して劣等感を感じている子どもに多い心理です。

お友だちより優位に立つためや、自分の立場を守るために意地悪をして、自信を保とうとするのです。

 

1-3.「自分に注目してほしい」

子どもが意地悪をする背景には「自分に注目してほしい」という心理もあります。

「ママや園の先生に自分のことを見てほしい」という気持ちから意地悪をしているかもしれません。これは、自分への愛情を確かめるための試し行動の1つと言えるでしょう。

また、「好きな子の気をひきたい」「みんなの人気者になりたい」という気持ちから意地悪をしてしまうこともあります。この場合、本人に意地悪をしている自覚はなく、遊びの延長となっていることが多いでしょう。

 

2.子どもが意地悪をする理由

子どもが意地悪をしてしまう理由は、自我の発達と、ストレスです。どちらの理由も、意地悪をする子どもの心理と関係しています。

 

2-1.自我が発達してきたから

4~5歳の子どもが意地悪をしてしまう1つ目の理由は、自我が発達してきたからです。

先ほどご紹介した「自分の思う通りにしたい」「自分に注目してほしい」という心理の背景には、急速に発達してきた自我の存在があったのです。この年齢になると、自他認識をもてるようになり、自分と他者をしっかりと区別できるようになります。

自分の好き嫌い、自分のやりたいことやりたくないことがはっきりしてくるので、それに相容れないものに対して、意地悪という反応を取ってしまうのです。

また、4~5歳は、相手の立場に立って考えられるようになってきたとはいえ、まだその能力は未熟です。子どもは、自分が見たり感じたりしているのと同じように、お友だちもとらえていると考えています。

これは「自己中心性」と呼ばれており、幼児の思考に見られる特性の1つです。他者の視点が理解できるようになるのは、7歳頃からだといわれています。

さらに、この年齢の子どもは、感情のコントロールも学習中です。たとえ、相手の立場に立って考えられたとしても、自制心が未熟なため、自分の感情を抑えることができず、意地悪をしてしまうのです。

 

2-2.ストレスを感じているから

子どもが意地悪をしてしまう理由の2つ目は、ストレスを感じているからです。自分のことを受け入れてもらえない、認めてもらえないストレスが意地悪として表れていると考えられます。

ストレスの要因は、厳しすぎるしつけや、過干渉、無関心が挙げられます。このような環境にいると、発達してきた自我を受け入れてもらえず、「自分の思い通りにしたい」「自分に注目してほしい」という心理が強くなるでしょう。

常に周りと比べられることや、条件付きの愛情も、子どもにとってストレスとなります。子どもは劣等感をもつようになり、「自分に自信がない」という心理が生まれるのです。

また、下の子の誕生や引越しなど、環境の変化で一時的にストレスを感じている、自分も年上の兄弟やお友だちから意地悪をされてストレスを感じている、というケースもあるでしょう。

 

3.意地悪をする子どもへの対応

意地悪をする子どもにはどのように関わったらよいのでしょうか。ここでは、意地悪をする子どもへのふさわしい対応をお伝えします。

 

3-1.子どもの話をよく聞く

子どもが意地悪をしていることがわかったら、「何してるの!」「やめなさい!」と真っ先に注意したくなる気持ちはわかります。その気持ちを抑えて、まずは子どもの話をよく聞きましょう。

「誰かを守りたかったから」「1番になりたかったから」など、意地悪をしてしまった子なりの理由があるかもしれません。

子どもの話をじっくりと聞いたあと、どんな理由があっても、意地悪はいけないことであるときちんと伝えましょう。「こういうことをしたら相手が嫌な気持ちになるよ」と意地悪をしてはいけない理由を、具体的に説明します。

まだ共感性が未熟な子どもにとって、相手の立場になって考えるのは難しいかもしれません。そんなときは、子どもにとって1番身近で、大好きなママが思っていることを話すと伝わりやすいです。

例えば、
・「○○くん、○○ちゃんが意地悪をすると、ママは悲しいな」
・「ママが意地悪されたらどう思う?」
と言えるでしょう。

 

3-2.子どもの人格や存在を否定するような叱り方はしない

意地悪をする子どもに対して、その子の人格や存在を否定するような叱り方をしないように気をつけましょう。「意地悪な子だね」「意地悪をする子はいらないよ」などの言葉は言わないようにします。

叱るべきなのは、意地悪という行為であって、その子の人格や存在を否定することではないからです。

 

3-3.意地悪しなかったときに褒める

子どもが意地悪をせずに、自分の考えや気持ちを言葉で伝えられたときや、お友達の考えを尊重してあげられたときには、たくさん褒めてあげます。そうできてママも嬉しいということを伝えましょう。

子どもは、言葉でお友だちとコミュニケーションをとることの楽しさや、相手を思いやることの気持ちよさを学んでいけば、少しずつ意地悪という手段はとらなくなるでしょう。

 

3-4.無条件の愛情を伝える

無条件の愛情とは、子どもの存在そのものを愛することです。他の子と比べたり、行動の成果に注目したりするのではなく、「ありのままのあなたを愛している」という気持ちを言葉と行動で伝えていきましょう。

無条件の愛情を受けた子どもは、自分に自信を持てるようになり、自信のなさから意地悪をすることはなくなるはずです。

また、自我が強くなってきた子どもの「自分で決めて自分でやりたい」「自分のことを見てほしい」という欲求を満たしてあげるようにしましょう。

自我が強めな子どもには、その自我をうまく発揮できる場を作ってあげるとよいですね。

例えば、家でのルールを考えてもらったり、役割分担を作ってお手伝いを任せてみたりするのはいかがでしょうか。また、その子のペースで活動できる場を意識して用意してあげるのもよいかもしれません。

自我が強いというのは、長所でもあります。相手の立場に立って考えることができるようになったら、素晴らしいリーダーシップを発揮するかもしれません。

 

4.意地悪をされた子どもへの対応

次に、意地悪をされた子どもへの対応をお伝えします。

 

4-1.ママはあなたの味方であるということを伝える

意地悪をされて落ち込んでいる子どもに対して、まずは、気持ちをよく聞いてあげましょう。そして「悲しかったね」「嫌だったね」と気持ちに共感してあげます。「話してくれてありがとう」と感謝を伝えると、子どもも話してよかったと思えるでしょう。

子どもはママに話すだけで安心でき、意地悪されていることをそれほど気にしなくなるかもしれません。

意地悪をされた子どもに対して、「ママはいつでもあなたの味方だよ」というメッセージを伝えていきましょう。

 

4-2.ママが間に入って子どもの気持ちを代弁する

時には、ママが間に入って子どもの気持ちを代弁してあげることもできます。相手の子どもを責めるのではなく、嫌な気持ち、悲しい気持ちになったことを伝えてみましょう。

意地悪をされた子どもは、ママが自分の味方になってくれてとても嬉しいはずです。

 

4-3.どうしたらいいか一緒に考える

ママが話を聞いてあげて、子どもの気持ちが落ち着いてきたら、意地悪をされたときにできることを一緒に考えてみるのもいいかもしれません。きっと子どもの気持ちが前向きになるはずです。

「嫌だ」「やめて」言っても受け入れてもらえない場合は、周りのお友だちや大人に助けを求めるように教えましょう。できそうだったら、自分の気持ちを伝えて、相手の気持ちも聞いてみることを提案できるかもしれません。

子どもは、自分ができることを具体的に決めておくと、不安が減るでしょう。

保育園や幼稚園の場合は、ママが事前に先生に情報を伝えておくことができます。子どもに「先生に話してあるからね」と伝えれば、子どもはママがいない場所でも安心できるかもしれません。

意地悪された子どもの話を聞くときには、「意地悪をされたのはあなたのせいだ」と言ったり、「大したことないよ」と言うのはやめましょう。

子どもは、悲しい気持ちをママに受け入れてもらえず、さらに傷つくからです。

また、相手の子どものことを「意地悪な子」だねと言うのもやめましょう。ママから言われたとおりに思い込んで、そのお友達との関係を決めてしまうかもしれないからです。

子ども以上に深刻にならないことも大切ですね。子どもにママの不安がうつったり、ママを心配させたくなくて話すのをやめてしまうかもしれないからです。

 

5.子どもの意地悪に悩むママの心構え

 

5-1.意地悪な子・意地悪される子と決めつけない

子どもが意地悪をしていたり、意地悪をされていたりすると、「意地悪な大人になってしまったらどうしよう」「このままずっと意地悪され続けるのかな」と子どものことが心配で不安になりますよね。

でも、このくらいの年齢の意地悪は発達の過程で起きており、一時的なものがほとんどです。子どもも人とのコミュニケーションの仕方を学んでいる最中なのです。

ですから、今だけを見て、「意地悪をする子」「意地悪される子」と決めつけないようにしましょう。そのような決めつけが、本当の「いじめっ子」「いじめられっ子」を生んでしまうかもしれないからです。

 

5-2.信頼できる環境を整える

4~5歳は「4歳の壁」「中間反抗期」とも呼ばれ、子ども自身も迷いや葛藤が起きている時期です。ママは子どもの将来のことを考えて心配しすぎず、広い心で見守ってあげましょう。

広い心で見守るためには、ママも子どもも信頼できる環境が必要です。

園の先生や周りのママたちとも情報を共有して、可能な限り何でも話せる関係を築けたらいいですね。

 

 

5-3.いじめに発展しそうなときは早めに対応する

子どもの意地悪は、発達過程で起こるものが多いですが、中にはいじめに発展するものもあります。小学校に上がると、親や先生の目が届かない場所が増えてくるので、早めの対応が得策です。

ママがおかしいなと思ったら、園の先生や、相手の親御さんと話し合うなど、早めに対応しましょう。きっと子どもは、自分のことを最優先に考えて行動してくれるママとパパのことを誇りに思うはずです!

 

6.子どもの意地悪は発達してきた自我の表れ!広い心で見守ることも必要。

4~5歳の子どもの意地悪には、発達してきた自我と、ストレスが関係しています。ストレスを取り除くためにできることをしたら、あとは子どもの成長を見守りましょう。

今は、お友だちとのぶつかり合いのなかで、自分と違う考えがあることや、相手の気持ちに寄り添うことを知っていく時期なのです。

ママにとっても、どれだけ子どものことを受け止められるか、味方でいられるか試されている時かもしれません。

この記事を参考にして、問題を親子で乗り越えていっていただけたら幸いです。

 

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