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「ごめんなさい」が言えないのはなぜ?子どもの心理と親が心がけたいこと

この記事を書いた人

久美子 久美子

久美子

  • 臨床心理士
  • 公認心理師

5歳と7歳(小1)の息子のアラフォーママ。

公認心理師・臨床心理士の資格を持っています。

心理士の仕事をしながら、発達心理学の視点も踏まえて、日々、子育て奮闘中。

夫にも積極的に育児に参加してもらい、親子でハッピーになれる時間を模索しています。

我が子が元気いっぱいなのは良いことですが、はしゃぎすぎて人にぶつかったり、食べ物を下に落としたりすることもありますよね。

親としては、すぐに「ごめんなさい」を言ってほしいのに、我が子がなかなか言ってくれないと、焦りやイライラでつい「ごめんなさいは?」と言ってしまうことはありませんか?

ただ一言「ごめんなさい」と言ってくれたらいいのに、どうして子どもは言ってくれないのでしょうか。

今回は、「ごめんなさい」を言えない子どもの心理や、素直に謝れないお子さんにどう接してあげるといいのか、適切な対応方法をご紹介します。

目次

1.「ごめんなさい」は何歳から言えるの?

「ごめんなさい」は、謝罪とも言い換えられますね。

謝罪は2つタイプに分けられます。

1つ目は、大人から怒られることを避けるための「形だけの謝罪」です。これは、難しい用語では「道具的謝罪」と呼びます。

2つ目は、悪いことをしたと非を認める「心からの謝罪」です。これは「誠実な謝罪」と呼びます。

子どもは先に「形だけの謝罪」を習得します。「心からの謝罪」ができるようになるには、ある程度の発達が必要です。

何歳から「心からのごめんなさい」が言えるようになるのか見てみましょう。合わせて、心理学の「罪悪感の研究」も簡単に紹介します。

 

1-1.「ごめんなさい」のサインは2歳頃から

保育園で遊んでいる様子を観察した研究では、1歳半頃には、お友達の頭をなでることができ、2歳頃には、お友達に「ごめんね」と言っていたそうです。2歳でもうごめんなさいが言えるなんて、随分と発達が早いと感じますね。

しかし実際は、2歳頃はまだ善悪の区別がわからないことが多いため、大人の真似をしているだけであったり、悪いことをしたという気持ちにはなっていません。

一方で、「ごめんなさい」のサインは表れてきます。1歳半~2歳頃から、子どもに後ろめたい気持ちが芽生えます。後ろめたい気持ちは、「視線を逸らす」「驚く」「大人の顔色を伺う」という不自然な行動で出てきます。

我が子にこのような行動が見られたら、もしかしたら「悪いことをしてしまったな」とうっすら感じているのかもしれません。

 

1-2.心からの「ごめんなさい」が言えるのは5歳頃から

4歳頃になると、物事の善悪がわかるようになってきます。子どもは、大人から注意されたときに謝れば、それ以上叱られたり、遊びを中断させられることがないと、経験します。

謝まったら相手から許されることを学ぶと、子どもは「ごめんなさい」と言えるようになります。

ですが、4歳頃は親から怒られないように「形だけの謝罪」をしている段階です。別の言い方をすると、「罰を回避」するために、「ごめんなさい」を言っているということです。

ようやく、5歳頃から「自分がなにか悪いことをしてしまった」という罪悪感が芽生えてきます。5歳は発達的に見てもターニングポイントです。

この頃から、「心の理論」と呼ばれる視点を獲得し、相手の立場に立って物事を考えられるようになってきます。そうすると、お友達やママをイヤな気持ちにさせてしまったので、謝ることでイヤな気持ちを取り除いてあげようとします。

心がこもった「ごめんなさい」は、5歳頃から言えるようになります。この頃は、「形だけの謝罪」と「心からの謝罪」を場面によって使い分けたりもします。

また、自分が悪いことがわかっていても、意地を張ってしまったり、親の対応が子どもの気持ちと噛み合わなかったときは、その場で「ごめんなさい」を言えないこともあります。

 

point!:「ごめんなさい」も子どもの成長に合わせることが大切!

「ごめんなさい」という言葉だけなら2歳頃から言えるようになります。罪悪感を伴った「ごめんなさい」は、発達に時間が必要で5歳頃から言えるようになってきます。

2歳~4歳までは、自分が悪いことをした自覚がほとんどないので、時期的にも「ごめんなさい」と言う練習をさせるといいです。お友達を泣かせてしまったら「ごめんなさい」を言おうねと言葉で繰り返し教えていきましょう。

5歳以降は、罪悪感が芽生えてきます。自分が悪いことをしたと感じることは、子どもにとってもつらいものです。すぐに「ごめんなさい」が言えなかったとしても、ちゃんと罪悪感はあったりするので、お子さんを責め過ぎないように注意しましょう。

 

コラム:罪悪感てなんだろう?

罪悪感とは、「後悔」や「自責」などの自分へのネガティブな感情の一つです。家庭でのルールや躾の中で育まれます。

実は「罪悪感」には、ポジティブ面があります。それは、お友達と仲直りしたいという気持ちにさせてくれることです。

例えば、ケンカしたりおもちゃを取り合いすると、お友達との遊びも中断しなくてはなりませんよね。子どもには一秒でも早くさっきのように遊びたいという思いがあります。

そんなときに罪悪感があると、「自分のせいでお友達がイヤな思いをしたなら、自分から謝らないとさっきのように遊べない」と考えることができます。そうすると、自分から「謝ろう」という発想になれるのです。

つまり、罪悪感が「ごめんなさい」を言う後押しをしてくれます。さらに、「罪悪感」にはもうひとつポジティブな面があります。

罪悪感は、自己嫌悪に似ていますので、自分を自分で嫌うなんて、自分のことが大好きな子どもたちにしてみたらとてつもないストレスです。できれば、二度とそんなストレスは感じたくないのです。

だから、「次はやらないようにしよう」と、気をつけるようになります。つまり、罪悪感を覚えるシチュエーションを回避することが、結果的にお子さんのルール違反の抑止力になるということです。実は、罪悪感はとても大事な感情なんです。

 

 

2.子どもが素直に謝れるようになるサポート方法

もし、子どもが「だって……」と口をへの字にしているときは、ほとんどが子どもにも言い分があるときです。自分が悪かったと非を認めることは、大人でも勇気がいります。小さな子どもならなおさらですよね。

特に幼児期の子ども同士のトラブルは、誰かが必ず仲介しなければ、解決に至れません。どんな風に接してあげれば、素直に謝れるようになるのか、親ができる「ごめんなさい」を言えるサポート方法を紹介していきます。

 

2-1.子どもの思いをしっかり聞いてあげる

話も聞かずに、頭ごなしに謝らせようとするのはNGです。まずは、その状況を受け止め、子どもの気持ちをしっかり聞いてあげましょう。何があったのか、その経緯を丁寧に聞き取り、そのときどんな気持ちだったのか子どもの気持ちも聞いてあげましょう。

例えば、お友達を叩いてしまった場合は、まず、親が相手の親にきちんと謝罪をしてから、今度は子どもの言い分をしっかり聞きます。「びっくりしたね。自分では気をつけていても、ぶつかることはあるよね。〇〇はどのくらい悪かったと思う?」などと聞いてみましょう。

子どもは自分ばかりが悪いのではないと親がわかってくれるだけで、「自分は親から尊重してもらえている」と安心します。

ママが信じてくれているんだから大丈夫と思えることで、意地を張る必要がなくなり、「やっぱり自分が悪い部分もあったかもしれない」と心に余裕が出てきます。気持ちが軽くなると、素直に「ごめんなさい」を言いやすくなります。

大人の揉め事でも、片方だけの意見を聞いて「あなたが悪い」と決めつけることはしないですよね。子どもでも同様で、とくに親の目の届かないところで起こったケンカは、双方に十分なヒアリングを行う必要があります。

必要な情報を得てから、親は謝罪させる必要があるのか判断できます。そして、子どもには、一連のやりとりの中でいったい何が良くなかったのか、こんなときお友達はどう感じるものなのか、一つ一つ学習させていきましょう。子どもの気持ちに共感してあげることで、心を開いてくれるようになります。

 

2-2.なぜ謝れなかったのか、事実を整理して教えてあげる

[2-1. 子どもの思いをしっかり聞いてあげる]で述べたように、子どもの思いをしっかり聞いてあげることで、子どもが謝れなかった理由を探ることができます。

子どもは自分の気持ちを全て言葉にすることはできません。うまく表現できなくてもやもやしている、なんてこともあるでしょう。

怒られるのが怖くて謝れなかったかもしれませんし、周囲の反応が気になって不安で何も言えなかったのかもしれません。ごめんなさいが言えない理由を子ども本人もわからないこともよくあります。

そんなときに、「さっきは、こういう気持ちになっていたから謝れなかったんだね」と代弁してあげましょう。大人が事実を整理してあげることで、子どもは自分のことを理解でき、さらに親が気持ちをわかってくれたと、安心できます。

同じようなトラブルは今後も繰り返すかもしれません。心理的に落ち着いてくれたら、次回は気をつけようねという言葉も聞き入れてもらえます。「次、こういうことがあったら、◯◯くんが“ごめんね”って言ってくれたら、仲直りできるよ」と伝えてみましょう。

 

2-3.迷惑をかけた相手に親が一緒に謝る

親が見ている前でお友達と遊具の取り合いになる、なんてことはよくあります。「◯◯ちゃんも、それやりたい」と一人が言い出すと、次々に「わたしもやりたい」と一つの遊具に集まってくる光景は、日常茶飯事ですね。

親としても、放っておくことができないのが、我が子が一人ではなく他のお友達と遊んでいるときではないでしょうか。相手の親がその場にいる場合は特に、なにかトラブルが起きたら早急に和解しないといけないと気が気ではないですよね。

お友達を叩いてしまったなど、我が子が謝ってほしい場面で、ちゃんと謝れていないときは、親が先に「ごめんね」とそのお友達に謝りましょう。ママが謝っている姿を見ることで、子どもは観察学習の機会を得ることができます。

また、その後に「お友達の◯◯ちゃん、イヤだったんだって。だから、一緒に謝ろう」と理由を説明しながら促すと、こういうときは謝るんだなと学習します。

そして、一緒に「ごめんね」と言うことで、声に出して謝る練習ができます。「ごめんね」を実際に言う練習ができる機会もとても貴重です。すぐに本人から「ごめんね」の言葉が出なくても、繰り返し促すことで、観察学習はなされていきますので焦らずに見守りましょう。

その場で「ごめんね」が言えなかったら、お家に帰ってからママと二人だけで「ごめんね」のやりとりの練習をするのもオススメです。筆者は、息子とよく二人だけで温かい雰囲気を作って「ごめんね」を言う練習していました。まずは、親が良い見本になることですね。

 

2-4.謝ることで「仲直り」できる:謝るメリットを伝えよう

「なんのために謝るの?」この答えをお子さんにしっかり伝えましょう。人は進化の過程で「仲直り」というスキルを身に着けてきました。謝って仲直りしたほうが集団生活でのメリットが圧倒的に多かったからです。

謝罪することで、相手からの許しを得やすくなり、相手からの攻撃や罰が軽減されます。

大学生を対象にした研究では、悪いことをした人が謝ることで、ネガティブなイメージが良くなったり、与えられるはずの罰が軽くなることが見出されています。幼児期の子どもを対象とした研究でも同じ結果でした。

謝ってくれたらたいていは許せます。許すこと自体に「癒しの効果」もあるそうです。

筆者にも覚えがありますが、その場で謝ってくれなかった友人が、あとからでも「あのときはごめんね」と謝ってくれたら「それなら許せるな、よかった」と感じますよね。

つまり、謝ることは相手との信頼関係の回復とも言えます。特に仲良くしたいと思っている相手に対しては、謝罪する人が多いという研究結果がありますが、それも頷けます。

ごめんなさいを言うことで、大好きな人と「ずっと仲良くいられるよ」、「ごめんなさいを言ってくれたら、ママはイヤな気持ちとバイバイできるよ」とお子さんに伝えてみましょう。

 

2-5.絵本から親子で「ごめんなさい」を学んでみる

ケンカや仲直りをテーマにした絵本はたくさんあります。絵本を読みながらお子さんと一緒に「ごめんなさい」を考えてみるのはいかがでしょうか。

「ルールを守るのはどうしてかな?」「ルールを守れないのはどうしてかな?」と、やりとりをしながら読み聞かせてみましょう。

▶ おすすめ絵本①
ちいさないっぽ いっぽくんのごめんね(作・絵: とよた かずひこ)

※Amazonにて取り扱いなし。近隣の図書館や書店をチェックしてみてください

<あらすじ>

いっぽくんとれおくんはバケツを取り合って、泣いてしまいます。
どうやって仲直りするのでしょう。

 

▶ おすすめ絵本②

ごめんね ともだち(作: 内田 麟太郎 絵: 降矢 なな)

>>「ごめんね ともだち」Amazon販売ページ

<あらすじ>

ともだちのオオカミとキツネが大喧嘩してしまいます。二人ともなかなか「ごめんなさい」が言えません。
どうなるのでしょう。

 

▶ おすすめ絵本③

ヒヒヒヒヒ うまそう(作:宮西 達也)

>>「ヒヒヒヒヒ うまそう」Amazon販売ページ

<あらすじ>

ティラノサウルスがひろったたまごから、ふたごのトリケラトプスがうまれました。ふたりはそっくりなのにケンカばかり。
仲直りできるのでしょうか。

*****

仲直りのきっかけは、些細なところにあったります。絵本を読みながら、ケンカから仲直りまでのプロセスを親子で現実の場面と重ね合わせながら読んでみてください。

 

2-6.叱られているときにとってはいけないNG行動を教える

発達障害や、とくにアスペルガー傾向のあるお子さんは、社会のルールよりも自分のルールを優先しがちです。成長すると、遅刻しても「ごめんなさい」と謝らずに平然としていたり、物を取ってもらっても「ありがとう」と言えなかったりします。

お礼や謝るタイミングがわからないまま成長してしまうと、大人になって人間関係で大変な苦労をします。心の中では、反省していても、相手に伝わらずに余計に相手を怒らせてしまうこともあります。

また、ADHD傾向のあるお子さんは、大人から「言い訳」しているように見えてしまいがちです。そのため、誤解を受けやすいです。

本人は言い訳をしているつもりはないのですが、「なんでこんなことしたの?」と聞かれたら、謝る前に素直に理由を説明してしまいます。

「言い訳」したことでさらに怒られた結果、嫌な体験として記憶され、その後は「ひたすら謝り通す」パターンや「無口」パターンになっていく子もいます。

小さいうちから、叱られているときにとってはいけないNG行動を教えていくことが有効です。

例えば、人から注意されたり叱られたときは、

①相手が言い終えるのを待ってから、「ごめんなさい」と謝る
②自分の言い分や相手が誤解しているときは、先に謝ってから、あとから理由を説明する

というように、「上手な叱られ方」を身につけておきたいですね。

 

point! 親がわかってくれたと思ってもらえたときがチャンス

「ごめんなさい」と素直に謝れる子どもに成長するには、親のサポートが必要です。ベースには親子の信頼関係があります。

ルールを破ってしまったとしても、我が子を尊重する姿勢を忘れないことで、子どもは素直になることができます。

なぜ謝ることが大事なのか、謝ることで相手がどんな気持ちになるのか、大人になっても役立つ社会スキルを小さいうちから教えてあげたいですね。

 

コラム:やっぱり子どもは親の目が一番気になる?

幼児期の子どもに守ってほしいルールは、たくさんありますよね。 例えば、滑り台の順番を守ることや、お友達を叩いたり蹴ったりしないことなどです。

保育園なら、危ない場所に入らないことやお昼寝をしているお友達に近づかないというのもあるでしょう。

さて、このような大人が決めたルールを破ってしまったとき、子どもは誰の目を一番に気にするのでしょうか。 答えは、もちろん親の目です。 なぜなら、親がその子に一番たくさん躾をしてくれる大人だからです。

ある研究では、子どもがルール違反をしたとき、その前後で親の姿をちらっと確認していることがわかっています。 悪いことをすると、親から注意されると学習しているので、「いまのは、注意されないかな?」と親の反応を見ているのです。

親の反応を見ながら、「これはOK」「これはダメ」と自分なりに善悪を判断しているなんて、すごいですよね。 早い子は1歳から、親の姿を確認しているそうです。やっぱり、子どもは親の反応を一番に気にするということですね。

もし、遊んでいる最中に我が子が親の目を見てきたら、素直に喜んでいいでしょう。なぜなら、親子の信頼関係が作られている証でもあるからです。

親を確認する行動は、ルールを守らなかったら、注意されるかもしれないというネガティブな思いだけでなく、何かあったとしても「ママはちゃんと私のことを見てくれてる」という安心感もあります。

子育ての極意である「子どもに目をかけて」の部分ですね。ご家庭でルールや躾を根気強く繰り返し教えていくことが、「ごめんなさい」を言える下地作りになるはずです。

 

 

3.すぐにごめんなさいが言えなくても大丈夫!

人が「ごめんなさい」と言うのは、お互いの関係が悪くなるのを避けたいからではないでしょうか。まずは、謝ることが関係修復であることを伝えましょう。

特に子どもは純粋ですから、悪気があってトラブルになることは少ないはずです。発達の途中であるがゆえに、失敗したり誤解されたりしてしまうことも多いです。どうしたら、仲直りできるのか、相手から許してもらえるのか、根気強く教えてあげましょう。

もちろん、その場ですぐに「ごめんなさい」が言えなくても大丈夫です。「ごめんなさい」と言ったらちゃんと許してもらえた。お互いに、許し許される体験を繰り返して、人間関係を学んでいきます。

そのサポートを一番身近なママとパパがしてあげることが重要です。ぜひ、親自身がお手本になってあげてください。

 

主な参考文献
・深津さよ子・岩立京子)(2021)幼児期初期の罪悪感の芽生えとしての“後ろめたさ”の表出。保育学研究59(1)33-44
・田村綾菜(2009)児童の謝罪認知に及ぼす加害者の言葉と表情の影響.教育心理学研究57,13-23
・藤野京子(2023)自身の行為に対する謝罪に影響を及ぼす要因の検討.教育心理学研究71.26-37
・對馬 陽一郎(著),林 寧哲(監修),安尾 真美(著)(2018),ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本,翔泳社

 

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