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人のせいにする子どもの心理とは?家庭でできる関わり方を元保育士が解説!

この記事を書いた人

工藤りえ 工藤りえ

工藤りえ

  • 幼稚園教諭
  • 保育士

幼稚園・こども園にて12年勤務。主にクラス担任と障害児保育を経験してきました。

特に障害児保育に関心を持ち、子どもの自己肯定感を高める関わり方を勉強しています。

小1・2歳の兄弟がおり現在は、ママ向けWebマガジンや保育メディアなどで記事執筆を行っています。

得意なことは、ダンス、歌遊び、読み聞かせ、リトミックです。

「都合が悪くなるとママやパパのせいにする」
「自分が悪いのに認めず周りの友達のせいにする」
お子さんに対してこのようなお悩みを抱えていませんか?

本記事では、4歳〜6歳の子どもが何でも人のせいにすることにお悩みの方へ、「なぜ人のせいにするのか?」「親はどのように関われば良いのか?」を、筆者が実際に保育現場で関わった事例を踏まえてご紹介します。

人のせいにする我が子にお悩みの方は、ぜひご覧ください。

 

目次

1.人のせいにする子どもの心理は?

子どもによって個人差はありますが、早いと3歳頃から人のせいにする子が見られ、特に4歳~6歳頃の我が子の発言に悩むママが多くいらっしゃいます。

人のせいにする子どもは決して少なくありません。

「人のせいにするのは意地悪な性格だから?」と不安になる方もいらっしゃいますよね。

しかし、幼児期の子どもは悪意から人のせいにすることは滅多にないでしょう。

相手に不快感を与えたい、というような気持ちで人のせいにしている訳ではないことがほとんどです。

では、なぜ人のせいにするのか?子どもの心理についてお話ししますね。

 

1-1.周りからどう見られているかが気になる

誰かのせいにして自分は悪くない、と主張する子は、完璧主義なことがあります。

自分が周りからどう見られているのか、常に評価が気になる子ですね。だいたい4歳頃からそういった子が見られます。

周りの評価を気にするあまり、自分のマイナスな面を知られたくなくて人のせいにすることを覚えていきます。

自分を良く見せたい、褒めてほしいといった気持ちから、悪気なく人のせいにしてしまっていることが多いでしょう。

「間違いがなければ自分が褒めてもらえる」といった失敗を許さない状況を、自分の中で作り上げている子によく見られます。

 

1-2.自分を守ろうとしている

「怒られたくない」という気持ちから、自分を守ろうとする「自己防衛」のために人のせいにする子がいます。

特に大人から大きな声で怒られた、叱られて怖い思いを経験した、といった子に多く見られますよ。

子どもにとって、大人は自分を守ってくれる絶対的な存在です。そのため、大人に怒られることを避けて自分を守ろうとし、人のせいにします。

誰も怒らないような些細なことでも、「もしかしたら怒られるかも知れない」という不安から、人のせいにすることが多いでしょう。

 

1-3.自分に責任があることに気がついていない

幼児期の子どもに多く見られるのが、自分に責任があることに気がつかず人のせいにしているパターンです。

大人からすると、「どう考えてもあなたが良くない」と感じることも、子ども本人はわかっていないことが多くありますよ。

子どもは、自分本位で生きています。そのため、自分が楽しく過ごすために活動の選択をしているのです。

相手と自分の考え方はそれぞれ違うと理解するのは5〜6歳頃だと言われており、自分の気持ちを飲みこんで相手を尊重できるのは小学生あたりからではないでしょうか。

自分の視点から物事を考えるのが精一杯な幼児期は、「自分が正しい」と思うことが少なくありません。

 

2.人のせいにする子どもに家庭でできること

人のせいにする我が子を見ると「このまま何でも人のせいにする大人になったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃいますよね。

どのように関わればよいか迷うこともあるでしょう。

人のせいにする子どもには、家庭でもできることがあります。

ここでは、親が子どもにできることをご紹介しますね。

 

2-1.頭ごなしに叱らない

人のせいにする子どもは、叱られることに敏感な子が多いでしょう。叱られなくないと思うあまり人のせいにし、自分を守らなければならないと思い立ってしまうのです。

ママは、怪我につながることや社会のマナーに明らかに反してしまっていること以外は、なるべく頭ごなしに叱らないよう心掛けましょう。

「〇〇が悪い」と子どもが言ったときは、「そう思うんだね、どうしてそう思ったか教えて?」とまずは子どもの気持ちを聞き出してみると良いですね。

例えば、子どもがおもちゃにつまづいて転んだときに人のせいにした場合は、「おもちゃが散らかっているとつまづいて転ぶことがあるよ。一緒に片づけてみよう」など、人のせいにする以外の方法を提案してみると子どもはイメージしやすいでしょう。

毎日忙しく大変なママは、感情的になってしまうこともあります。できるだけ、まずは一呼吸置いて子どもに気持ちを聞いてみてくださいね。

 

2-2.やりたいことを止めず見守る

子どもがやろうとしていることの結果をつい先に伝えてしまうことはありませんか?

例えば、「水たまりで遊びたい」という子どもの声に「服が濡れる」「今から出かけるのに着替えがないからだめ」などと先に言ってしまうと、子どもは挑戦したい気持ちがしぼんでしまいます。

もちろん、予定があるときや余裕がないときは先回りの言葉がけをしても仕方ありません。

しかし、子どもがやってみたいと伝えてきたことは、危険なこと以外はできるだけ見守る姿勢を取ることをおすすめします。

子どもが何か失敗したときは、ママが解決策を提案しましょう。

例えば、お茶をこぼしてしまったらすぐに拭けば良いですよね。

お茶をこぼしてしまったことは、わざとでない限り悪いことではありません。

「お茶を拭けば大丈夫だよ」「こぼさないように、テーブルの真ん中にコップを置いてみようか」など、失敗しても学びがあり、次から気をつけたらよいことを伝え続けてあげましょう。

大好きなママの言葉は、子どもへの影響力が非常に大きいです。失敗はいけないことではないと伝え続けることで、子どもも自信がついていきますよ。

挑戦し続けると自信がつき、人のせいにすることが少なくなるでしょう。

 

2-3.親も誰かのせいにしていないか振り返る

子どもにとって、1番身近な大人である親の言葉は最も影響力があります。

無意識に人と比べたり、何かのせいにしていたりといった発言をしてはいませんか?今一度、パパとママの発言を振り返ってみるのがおすすめですよ。

大人にとっては何気ない言葉でも、子どもは重く受け取っていることもあります。些細なことでも怒りすぎたり、子どもの頑張りより結果を褒めることはありませんか?

子どもは大人の期待に応えようと頑張りすぎてしまうことがありますよ。

「もしかしたら何かのせいにする発言をしてしまっていたかも?」「自分は何かしたときに謝れているだろうか?」と、自身の行動を振り返り改善しようとすることは、親も更なる成長ができる貴重なチャンスです。

心穏やかなときに、パパとママでご自身の発言についてお話してみるのも良いでしょう。

 

3.人のせいにする子どもと保育現場で関わった事例

人のせいにする子どもは少なくありません。

保育の現場でも出会うことが多く、それぞれの子どもに適した関わりをしていますよ。

ここでは、筆者が実際に保育現場で経験した事例をご紹介します。

 

3-1.勝敗へのこだわりが強い年長Aくん

年長のAくんは、勝ち負けがある遊びのときに、「勝ち」へのこだわりが非常に強い子でした。特にチームで競う遊びは、負けるとお友だちを名指しで責め立てることが多くあったのです。

Aくん自身も泣きながらお友だちに向けて傷つく言動を繰り返し発してしまうため、職員間でAくんへの関わり方を相談し、統一しました。

例えば、「今日はリレーをするよ。勝っても負けてもみんなでやるから楽しいよ」と、勝ち負けがある遊びの前には予告を徹底し、あらかじめ勝敗がつくことを知らせます。予告するときに、負けても学びがあることを伝えるようにしました。

「リレーは負けても工夫したら勝てることがあるんだよね」など、悔しい以外の気持ちを伝え続けます。

するとAくんは、はじめは負けると泣いていましたが、負けは悪いことばかりではないと知っていきます。負けたあとお友だちと作戦会議をして、また勝負に挑戦していくようになりました。

時間をかけて経験を積み、負けることへのイメージを変えることで、Aくんはこだわりが和らぎましたよ。

 

3-2.失敗は隠し通したい年中Bちゃん

年中のBちゃんは、どんな小さな失敗でも誰かに知られることを極端に嫌がる子です。

クレヨンを床に落とした、昼食時に食べ物がテーブルに落ちた、遊具のお片づけ場所を間違えた、と言うように、大人からすると失敗とも呼ばないようなことすら許せなかったのです。

そこで、成功体験を積み重ねて自信が身につくよう、Bちゃんに声掛けするときは、「大丈夫!」を常に意識するよう職員間で統一しました。

例えばBちゃんが物を落としたときも、「大丈夫。拾ったら良いんだよ」と一緒に拾って安心させるよう関わります。

信頼できる大人の先生が言う「大丈夫」は、Bちゃんにとって自信が持てるようになるおまじないでした。

Bちゃんがお友達とのやり取りで自信がもてないときや小さな失敗で戸惑っているときも、「大丈夫だよ」と伝えて解決策のヒントを声かけし続けたのです。

Bちゃんは、今まで失敗だと思っていたことが、「次は〇〇したら大丈夫なのだ」と見通しが持てるようになり、かたくなに隠すことが減っていきました。

お家でもママに、「間違えても、こうしたら良いんだよ!」と教えてくれるようになったそうです。

人に解決策を伝えられるのは、自分の考えに自信があるからこそです。Bちゃんは、表情も明るくなり、お友だち関係も広がっていきました。

 

4.人のせいにする子どもほどたくさん認めて安心感を与えよう

我が子が人のせいにする姿は、親として見ているのがつらいときもありますよね。

人のせいにする子どもは、自分に自信がないことが多いです。

パパとママが、子どもの素敵なところをたくさん認め、言葉で伝えてあげてください。

抱きしめて「大好きだよ」と伝えるだけでも、子どもは「愛されている」と実感できます。

失敗しても「大丈夫」を伝え、次に活かす大切さをお子さんに知ってもらいたいですね。

ママのお悩みが少しでも解決に近づけることを願っています。

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