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言い訳する子どもにはどう対応する? 「だって」を繰り返すこどもの心理とは

この記事を書いた人

平尾しほ 平尾しほ

平尾しほ

  • 言語聴覚士

言語聴覚士免許を所有、児童発達支援センターでの勤務経験があります。

特に遊びの中でのことばの育ちを意識して個別療育を行っていました。

現在小学校2年生の息子がいます。

個別療育でのたくさんのご家族とのかかわりと子育ての経験を合わせて、皆様に分かりやすくお伝えしていきたいです。

「最近子どもが何かと『だって』と言うようになった」
「言い訳されると、ついイラっとしてしまう」

など、子どもが素直に行動せず、言い訳するようになったことに頭を抱えるパパやママも多いのではないでしょうか。

この記事では、言い訳をする子どもの心理に迫り、言い訳の増える4,5歳の子どもの発達や親の対応についてご紹介します。

言い訳をする子どもとの向き合い方を知ると、お互い気持ちよくコミュニケーションがとれるようになるでしょう。具体的な声かけの例も参考にしてみてくださいね。

目次

1.子どもの言い訳とはどんなもの?

何を言っても「だって」と言い訳する。子どもの言い訳を頻繁に耳にすると気になりますよね。

ここでは、そもそも言い訳とはどんなものなのか、子どもが言い訳をするようになる時期とその背景にある発達について述べていきます。

 

1-1.言い訳は自分の行動に了解を求め、正当化する言葉

まず、言い訳という言葉は「そうせざるをえなかった事情を説明して、了解を求めること」と定義されています

たとえば、「はやく片付けなさいと言ったでしょ!」という親の言葉に対して「だって、妹もまだ遊んでるもん」と子どもが応答したときは、「妹も遊んでるからいいでしょ?」と了解を求めていることになり、言い訳といえるでしょう。

自分の言動を正当化するという意味合いもあり、「妹も遊んでいるから、僕だって遊んでていいでしょ!」と伝えたいとも考えられます。

 

1-2.意見を主張する・考えを伝え交渉するための言い訳も

言い訳というとよくないイメージが強いですが、必ずしも悪ではありません。

言い訳は「物事の筋道を説明すること」とも定義されています

●「どうしてこのやり方でやったの?」
→「だって、こうしたほうが簡単だから」

と、自分の意見を主張していることもあります。また、

●「どうしてこれがほしいの?」
→「だって、今学校の授業で○○を勉強してるから…」

のように、自分の意見を伝え交渉するときにも使われます。

子どもに問いかけて、返答が「だって」から始まるとついイラっとしてしまうかもしれません。しかし、言い分に近い「だって」もあることを頭に入れておきましょう

 

1-3.子どもの言い訳は4,5歳ごろから

子どもは4,5歳ごろによく言い訳をするようになります。この頃になると、大脳の発達とともにさまざまな力が育ってきます。

● 善悪を判断する力「これをしたら/してなかったら、良い/良くない」
● 予測、推測する力「これをしたら/してなかったら、怒られる、注意されるだろう」
● 筋道を立てて考える、行動する力「こうしたら、こうなるから、こうしよう」

過去の経験もふまえて、怒られることや注意されることを予測して、それを回避するための行動を筋道立てて考えて言い訳をします。

つまり、ある程度言語での表現力が育っていないと言い訳をするのは難しいのです

5歳ごろになると助詞や接続詞を使い、複雑な内容を示すことがだんだん上手になってきます。

筋道をたてて考える力と言語能力の向上が相まって、言い訳ができるようになると言えるでしょう。

 

2.言い訳をする子どもの気持ち

4,5歳になると、予測したり筋道を立てて考えたりする力が育ってきます。それにともなって、親にとっては言い訳ととれる子どもの発言が増えるのです。

では、言い訳をする子どもの気持ちはどんなものなのでしょう?

 

2-1.怒られたくない

子どもは怒られるのを避けたいときに、言い訳をすることがあります

自分が「よくないことをしてしまった」と認識しており、何とか怒られる状況を避けようと頭を働かせます

過去に怒られた記憶から、咄嗟に言い訳が口から出ることもあるでしょう。

たとえば、ゲームをやめる時間になったけれどまだやめたくないとき。

正直に言うと怒られることが予測できるので、それを避けるために「だって○○くんはもっと長くやってるもん」などと言うことがあります。

 

2-2.パパやママに嫌われたくない

「よくないことをしたら、パパやママに嫌われてしまうのではないか」と心配になり、言い訳をする場合もあります

「こういう理由があると、悪い子と思われないかな?」と考えて、理由を探します。

たとえば、大切なコップを不注意で割ってしまったとき。大切なものを壊して嫌われたらいやだと思い、素直に謝れず「だって手が滑ったんだもん」などと言い訳をすることもあります。

純粋にパパやママが大好きで、良い子と思われたい気持ちから出てくる言い訳といえるでしょう。その気持ちを汲まずに叱責すると、子どもは不安になってしまうかもしれません。

 

2-3.理由を聞かれたから答えただけ

言い訳しようと思ったのではなく、ただ純粋に聞かれたから答えているだけという場合もあります。

たとえば、「どうしてピーマンを食べないの?」と聞かれ「だって苦いしおいしくないもん」と答えたとき。

料理を用意した大人が聞くと言い訳に聞こえるかもしれませんが、子どもからすると質問に返事をしただけです。

「だって」という言葉は使っていますが、子どもに言い訳しようという意図がないこともあるのです

子どもの考えていることと大人の捉え方にずれがあることもあるので、頭ごなしに「言い訳しないの!」とは言わないよう注意することが必要です。

 

3.これはNG!言い訳をする子どもへの対応例

言い訳をする子どもの気持ちに共感できる部分もありますよね。

しかし、約束を破ったり、繰り返し「だって」と言われたりすると、親として注意することも時には必要でしょう。

ここでは、言い訳する子どもに対するNG対応をご紹介します。

 

3-1.正論や理詰めで責める

子どもは言い訳するとき、自分の取った行動がよくなかったこと、失敗したことを認識しています。

それなのにさらにパパやママから正論で、「言い訳はよくない」と言われるとつい反発したくなってしまうことも

また、自分は悪いことをしたと分かっているため、追い打ちをかけられ、自尊心が傷つくこともあるかもしれません。

子どもが「自分はだめだ」という気持ちを持ってしまうと悲しいですよね。

他者に害を与えかねない、危険につながることなど、正論で叱る必要がある場面もあるでしょう。

しかしそれ以外では大きく構えて正論をかざさず、子どもの気持ちや目線に寄り添いましょう。

 

3-2.子どもの話を聞かない

子どもがなにか言おうとしていても、言い訳に腹が立ち言葉を遮ってしまうこともあるかもしれません。

「言い訳は聞かないよ!」「後から言ってもだめだよ!」と断じて、話を聞かないということのは避けましょう

子どもは自分が思っていることを伝えようとしただけなのに怒られてしまい、「どうせわかってもらえない」と伝えることをあきらめたり、親と話すこと自体を嫌がったりするようになることもあります。

 

3-3.罰を与える

子どもが言い訳をしたときに「言い訳するなら、おやつなし!」などと罰を与えるのも避けましょう

子どもは罰を与えられると、次は罰を与えられることを避けるために、「自分は悪くない」と伝えようとします。

その結果、より多く複雑な言い訳したりエスカレートして嘘をついたりするようになってしまうのです。

また、罰を与えるとパパやママは嫌なことをしてくると認識し、反発することが増えるかもしれません。

良好な親子関係が崩れることになる可能性もあるため、罰を与えることはどんな事情においてもNGです

 

4.言い訳をする子どもにはこんな対応をしよう

では、言い訳する子どもにはどんな対応をするのがよいのでしょう?

ここでは、言い訳する子どもへの対応を「『片付けてね』と声をかけたのに、見に行くとまだ片付いていなかった」という状況を例にして紹介します。

声かけのしかたなど参考にしてみてくださいね。

 

4-1.指摘は、親の気持ちや愛情で挟んで伝える

間違いを指摘したりしてほしい行動をうながしたりするときは、その前後をパパやママの気持ちや愛情を伝えることばで挟むとよいでしょう。

●「片付けてって言ったのにどうして片付けてないの?」
→「だって、妹がまだ遊びたいって言うから」
妹のことを考えてくれたんだね。ありがとう。でももうご飯だから全部片付けてほしいな。ご飯の前にきれいになったら、ママうれしいな~

自分なりに述べた理由を否定されなかったことで、子どもは安心できます

そして、感謝の言葉や「そうしてくれたら嬉しい」という気持ちを一緒に聞けると「ママのしてほしいことやろうかな」という気持ちになりやすいのではないでしょうか。

また、その経験から「ママが喜んでくれたから」と次の行動にもつながりやすく、結果として言い訳を減らすことができるでしょう

 

4-2.子どもが説明できるような問い方をする

片づけていない理由を聞くのでなく、今の状況を子どもが話せるような問いかけをしてみましょう。

●「まだ片付いてないけど、なにかあった?」「なにか困ってる?

「どうして?」「なぜ?」と聞かれると責められているような気持ちになり、焦る子どももいるようです。

怒られないような理由を答えなくては、と思い「だって」と言葉が出てしまうこともあるでしょう。

子どもが言い訳をする状況をつくらなければ、怒るー怒られるの構図になることも減らせます。

理由を問い詰めず、対処法を一緒に考えるという姿勢で子どもの言葉を聞きましょう

親子が互いに気持ちよくコミュニケーションをとるためにもおすすめです。

 

4-3.それは言い訳か?と一旦とまって考える

「だって」という言葉に反応して、イラっとしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、「だって」というワードを使って、実は子どもは自分の意見を主張していたり、ことのなりゆきを説明したりしていることもあります。

●「片付けてって言ったのに、どうして片付けてないの?」
→「だって、片付ける場所が分からないから」 (買ったばかりのおもちゃを持って止まっている)

この場合は言い訳ではなく、主張したい事柄を伝える「言い分」に近いでしょう。子どもの言葉をよく聞き、親に伝えたいことがあるのではないかと見極めることが大切でしょう

 

5.子どもの言い訳には一緒に考える姿勢が大切

この記事では、言い訳をする子どもの気持ちや親の対応について説明してきました。

子どもにもさまざまな気持ちがあるとはいえ、言い訳ばかり聞くと親も疲弊してしまいますよね。

真正面から正そうとするのではなく、親の愛情が伝わる言葉を選び、子どもの話を遮らずに聞くことを意識しましょう

また、本当に言い訳か?子どもの「だって」という言葉に反射的に反応してしまっていないか?という視点も大切です。

「だって」の言葉にとらわれずこどもの目線で考えると、子どもが伝えたいことが見えてくるかもしれません
 

・非認知能力がどうして大事なの?効果は?

・情報を知ることがどうして大切なの?

こちらで詳しく解説中です!

 

 

参考文献
子どもの心の発達がわかる本 小西行郎監修 講談社.2007
イラストでよくわかる0~6歳の発達と保育 金子智栄子監修 成美堂出版.2013

 

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