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子どもの「ママ見て!」はいつまで続く?子どもの心理と対応のコツ

この記事を書いた人

横山ミノリ 横山ミノリ

横山ミノリ

  • 小学校教諭

年長と3歳の男の子の母であり、小学校教諭の資格を所持しています。

長男はASD(自閉スペクトラム症)

産後うつと育児ノイローゼになった経験から、”ラクに生きる”がモットーに。

子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。

子どもとの好きな遊びは工作、子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。

毎日繰り返される、お子さんの「ママ見て!」に対して、「いつまで続くのだろう」「どんな心理があるのかな」と疑問を抱いたことはありませんか?

家事などで忙しく、気持ちに余裕がないときに、何度も「ママ見て!」と言われると、正直疲れてしまいますよね。

イライラを隠せず、おざなりな対応をとってしまうことに罪悪感を抱いているママもいるのではないでしょうか。

実は、子どもの「みてみて!」にはある心理的欲求が隠されています。

この記事では、「ママ見て!」という子どもの心理と、子どもの健やかな成長を促すふさわしい対応について解説します。

子どもの「ママ見て!」に疲れてしまったときの対処法も紹介しますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです!

 

目次

 

1.子どもの「ママ見て!」はいつまで続くの?

子どもは成長の過程で、ママやパパに自分の行為を「みてみて!」とアピールする時期があります。

子どもの「ママ見て!」はいつまで続くのでしょうか。「ママ見て!」のよくあるパターンについても紹介します。

 

1-1.子どもの「ママ見て!」いつからいつまで?

子どもの「みてみて!」は、何歳頃から始まるのでしょうか。

子どもは8〜9か月になると、自分の興味のあるものや新しく見つけたものを、指差しして教えてくれるようになります。これは「共感の指差し」とも呼ばれており、「ママ見て!」という気持ちの表れです。

さらに、1歳半〜2歳になって言葉が増えてくると、ママに見てほしいという気持ちを言葉で表すようになり、「ママ見て!」は3〜4歳にピークを迎えます

この時期の子どもは自分でできることが増え、新たな発見や初めての体験などを、周囲の信頼する大人に「みてもらいたい」「共有したい」という気持ちが強くなります。

なんでも「みてみて!」とアピールする子どもの様子は、「みてみて期」とも呼ばれているそうです。これは学術的な用語ではありませんが、3〜4歳の子どもの姿をよく表した言葉ですよね。

お子さんの個性や発達によっては、4歳を過ぎても、「ママ見て!」が続く子もいます。

 

1-2.「ママ見て!」のよくあるパターン

幼児期の子どもによくある「ママ見て!」のパターンを紹介します。

パターン①:自分の姿や自分が作ったものを見てほしい

自分の作ったブロックや、描いた絵を見せたいときや、すべり台で1人で滑るとき、高いところから飛び降りるときにもよく「ママ見て!」と言います。

子どもはいつでも大好きなママやパパに見てもらうことで、自分の存在を認めてもらいたいと思っています。

パターン②:自分と同じものを見て共感してほしい

テレビの好きなシーンや、おもちゃを落とすとき、何かを発見したときにも、子どもは「ママ見て!」と言います。

大人にとっては、「何が面白いの?」「どこを見てほしいの?」と不思議に思うこともあるかもしれません。

子どもは毎日が初めての連続です。自分の発見や、喜びをママやパパにも伝えて、共感してほしいと思っています。

子どもがどんな気持ちで「ママ見て!」と言っているのか、想像しながら、わが子の「ママ見て!」リストを作ってみると、お子さんの興味や個性を知るきっかけにもつながりますよ。

 

2.「ママ見て!」という子どもの心理

子どもの「ママ見て!」に隠された心理について、マズローの欲求5段階説をもとに、解説します。

子どもの気持ちがわかると、「ママ見て!」に対しても、少し余裕を持って対応できるかもしれません。

マズローの欲求5段階説とは?

マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの階層に分け説明した心理学理論です。

「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つがあり、低い階層の欲求が満たされることによって次の段階の欲求を求めるようになり、最終的には自己実現を望むとされています。

 

2-1.ママに見守っていてほしい(安全欲求)

鉄棒やすべり台など、1人でチャレンジしたいことがあるけど怖くて勇気が出ないとき、子どもは「ママ見て!」ということがあります。

ママに見守ってもらうことで、安心感を得たい・安心できる場所で過ごしたい(安全欲求)と思っているのです。

子どもにとって、ママは「心の安全基地」です。ママへの信頼感があるからこそ、ママが見ているだけで、子どもは安心して思いっきり楽しむことができます。

 

2-2.ママに構ってほしい(社会的欲求)

ママに構ってもらうことで、愛情を感じたいという気持ちから「ママ見て!」ということもあります。

家事や下の子のお世話などで忙しいときや、ママ友とのおしゃべりで盛り上がっているときなどに、お子さんの「ママ見て!」の頻度が高くなることはありませんか。

これは、子どもが「自分だけに注目してほしい」という気持ちの表れです。ママが家事や下の子のお世話、おしゃべりなどに気を取られ、自分に注目してくれないことにヤキモチを焼いているのでしょう。

 

2-3.ママに認めてほしい(承認欲求)

「みてみて期」には、子どもの承認欲求も関係しています。承認欲求とは、「できた自分、がんばった自分を認めてほしい、自分の気持ちに共感してほしい」という欲求です。

子どもはまず、1番信頼しているママに「認められたい」という欲求を持ちます。ママに見てもらうことで、「自分の存在や自分の行動を認めてもらえた」と感じることができます。

子どもの「みてみて」を満たすことの大切さ

「ママ見て!」に丁寧な対応を心がけることで、子どもは安心感や愛情で満たされます。大好きなママやパパから認めてもらうことで、自己肯定感が高まり、新たなことに挑戦する意欲にもつながります。

また、幼少期に自己肯定感を育むことで、「今のままの自分でいい」と思えるようになり、大人になってから強すぎる承認欲求に悩むことも少なくなります。「みてみて期」は、子どもが自分らしく生きていく土台を作るチャンスといえるでしょう。

 

3.子どもの成長を促す!「ママ見て」へのふさわしい対応

子どもの「ママ見て!」には、どのような対応をすればいいのでしょうか。お子さんの成長を促すためのポイントをお伝えします。

 

3-1.なるべくすぐに対応する

子どもが「ママ見て!」と言ったら、できるだけすぐに対応するのが望ましいです。なぜなら、子どもは「今」を生きていて、今この瞬間の自分をママに見てほしいと思っているからです。

家事や下の子のお世話などで忙しいときは、「ママのところに持ってきて見せてくれる?」と声をかけます。

どうしても手を離せないときは、「待たせてしまう理由と、待ち時間」をお子さんにも理解できる言葉で伝えます。

例:
・「ママ、今、お皿を洗っていて、手があわだらけなの。長い針が5のところに来るまで待てる?」

お子さんが待てたら、「ありがとう」と感謝を忘れずに伝えることも大切です。

すぐに見てあげられない場合でも、子どもの気持ちを受け止める関わりを心がけましょう。

 

3-2.体と視線を子どもに向ける

「ママ見て!」と言われたら、家事などの手を休めて、体と視線を子どもに向けましょう。

目を合わせて微笑むなど、子どもにも「ちゃんとあなたのことを見てるよ!」と伝わる態度をとります。目線をスマホに向けたまま、声だけで「はいはい、すごいね〜」と伝えるだけでは、子どもは納得しません。

大袈裟なリアクションを取る必要はないので、お子さんの気持ちに共感する関わりが大切です。

例:
・子「ママ見て!」→ママ「どれ?見せて!」
・子「ママできたよ!」→ママ「やったー!できたね!」
・子「すごい?」→ママ「うん、すごいね」

など、おうむ返しで大丈夫です。

 

3-3.質問をする

お子さんの「みてみて!」には、ママやパパから質問をするのもおすすめです。

「どうしてこれを作ろうと思ったの?」「今どんな気持ち?」などとお子さんに尋ねます。

お子さんがママのそばにいるうちは、親子で一緒の時間を共有しましょう。

ママのそばでお子さんの心が満たされれば、次の活動や遊びに取り組む意欲につながりますよ。

 

4.子どもの欲求を満たすために普段からできること

「ママに見守っていてほしい」「構ってほしい」「認めてもらいたい」など、子どもの「ママ見て!」には、さまざまな欲求が表れています。

それらの欲求を普段の生活で満たしておくと、お子さんの「みてみて!」も落ち着いてくるかもしれません。すぐに効果は出なくても、毎日少しずつ続けてみてくださいね。

 

4-1.子どもに安心感を与える方法

1日5分間、子どもに視線を向けて、見守る時間を作ります。

実際にやってみると、たった5分でも、何もせずに子どもを見るのは長いと感じられるかもしれません。

いつもママが見てくれている安心感が得られることで、子どもものびのびと遊ぶことができるようになりますよ。

子どもと目が合ったら微笑むだけで十分です。手を振ったり、声をかけたりするものいいですね。

 

4-2.子どもに愛情を伝える方法

スキンシップを日課にしましょう。手を握る、頭を撫でる、抱っこするなど、昼寝から起きたときや、幼稚園や保育園から帰ってきたときは、多めにスキンシップをとります。

少し離れていた時間の「愛情」を充電するイメージです。スキンシップによってママの幸せホルモンも分泌されるので、親子ともにハッピーになれますよ!

 

 

4-3.子どもを認める方法

子どもの話をよく聞きましょう。お風呂や寝る前など、親子でリラックスしているときがおすすめです。

1日に数分でもいいので、家事などの手を休めて、子どもと向き合う時間を作ってみてください。

また、子どもを褒めるときには、結果ではなく「過程」に注目するようにします。「大好きだよ」「ありがとう」と言葉にすることによっても、子どもの承認欲求を満たすことができます。

条件付きの愛情ではなく、子どもの存在そのものを認めることが大切です。

 

5.「ママ見て!」に疲れたときの対処法

子どもの見て見てアピールにしっかりと応えてあげたいけれど、できないこともありますよね。ついイライラしてしまうこともあると思います。

ちゃんと子どもを見てあげられない自分に罪悪感を抱いてしまうママも多いのではないでしょうか。

ここでは、「ママ見て!」にイライラしてしまう原因を分析し、疲れてしまったときの対処法をご紹介します。

 

5-1.なぜ「ママ見て!」に疲れるのか

「ママ見て!」にイラっとしてしまう原因は大きく分けて3つ考えられます。

①時間的、心身的に余裕がないから
②自分がやりたいことに集中できないから
③見て見てアピールに飽きたから、子どもが見せてくるものが面白くないから

①と②に関しては、毎日少しずつでも自分の時間を作ったり、睡眠時間をしっかりを確保したり、家事の時短を試してみることで解決するでしょう。

ここでは、③について考えます。子どもがアピールしてくる内容を変えることはできないので、ママの行動を変えてみましょう!

 

5-2.ママ見て!に疲れたときの対処法1:周りの人を巻き込む

子どものアピールがママだけに集中すると疲れますよね。そんなときは、周りの人を巻き込んでしまいましょう!

例えば、その場にパパがいる場合は「すごい!パパも見て!」と言って、パパにリアクションをお願いしてみます。ママとは違う反応が返ってきて、子どももママも楽しめるかもしれません。

もし巻き込めそうな人がその場にいないときは、スマホで動画を撮ってみるのはいかがでしょうか。子どもが見せたい人にテレビ電話してみてもいいかもしれません。

動画の場合は、ママの反応も一緒に撮っておくと、自分と自分のことを見てくれるママを客観的に見ることができるので、子どもの喜びは倍増します。思い出として見返すこともできるのでおすすめの方法です。

 

5-3.ママ見て!に疲れたときの対処法2:ママのしたいことに巻き込む

子どもからのみてみて攻撃には、ママからのみてみて攻撃で応戦してみるのもいいかもしれません。

例えば、ママが自分の好きな遊びを楽しそうにしながら、「みてみて!」と言えば子どもは興味津々で寄ってくるでしょう。遊びでなく、家事に巻き込むのもおすすめです。料理をしているところだったら「みてみて美味しそうでしょ?味見してくれる?」と言ってみるのいいかもしれませんね。

子どもは単に、ママと関わりたいと思っているだけの場合もあるので、ママと一緒に何かできれば満たされることが多いです。

 

5-4.ママ見て!に疲れたときの対処法3:その場を離れる

その場を離れることで、気持ちをリセットするのも良い方法です。例えば、長めにトイレにこもってみたり、「ママ、ちょっと疲れちゃったから、休憩しまーす」と明るく伝えて、別の部屋に避難するのもいいかもしれません。

子どもはママの笑顔が見たいので、ママがイライラしていたり元気がなかったら不安になってしまいます。そんなときに必要なのはリフレッシュです。その場を離れるのは逃げではなく、子どもと笑顔で向きあうための積極的な行動なのです。

 

6.「ママ見て!」は大切な成長過程!焦らずじっくり子どもと向き合おう

この記事では、「ママ見て!」という子どもの心理と、ふさわしい対応について解説しました。

「みてみて期」は子どもが自分らしく生きていく土台となる、大切な成長過程です。疲れたら休憩しながら、焦らずにじっくりと子どもと向き合っていきましょう。

「ママ見て」は「ママ大好きだよ」のサインです。子どもの気持ちに応えるたびに、ママ自身も満たされていくのを感じるのではないでしょうか。

この記事が「みてみて期」に奮闘しているママの力になれたら嬉しいです!

 

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参考文献
・林 洋一 ,『最新図解 よくわかる発達心理学』,ナツメ社,2022
・河井英子,『子どもの心を“荒らす親”“整える親”―感情コントロールができる子に育てる』,PHP研究所,2012
・岸本健,『なぜ赤ちゃんは指さしをするのか』,心理学ミュージアム,2016

 

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