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すぐ拗ねる子どもへの対応法は?適切なサポートで健やかな成長へ!

この記事を書いた人

白山七衣 白山七衣

白山七衣

  • 心理カウンセラー
  • 幼児教室講師

メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。

幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。

現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。

お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。

休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!

3歳~5歳くらいのお子さんをお持ちの方の中には、「気に入らないことがあるとすぐ拗ねる」「ちょっと注意するとすぐ拗ねる」といった行動に悩まれている方も多いのではないでしょうか。

「イヤイヤ期」を終えたと思ったら、今度は「拗ねる」。次々やって来る子育ての問題に疲れがたまることもあるかもしれません。

でも、大丈夫です。この時期の「拗ねる」行動は、心が順当に発達し、「~したい」という欲求を持てている、自我がしっかり育ってきている証でもあるのです。

お子さんの「拗ねる」気持ちに適切に対応すれば、自然に収まっていきます。

今回は、3歳~5歳のお子さんが「拗ねる」ときの気持ちを理解し、適切に対応する方法をご紹介します。具体的な声掛けの方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

1.どうして拗ねるの?

3歳くらいになると、社会性が発達し、ルールを理解して守ったり、他人の気持ちを理解してコミュニケーションが図れるようになってくる一方で、自己主張が強まり、心がより複雑に発達してきます。

しかし、3歳~5歳頃は、まだ自分の気持ちをコントロールできず、上手に自己表現ができないことで、大人から見ると困った行動が増えるように感じられます。「拗ねる」のも、そうした困った行動の1つといえるでしょう。

ここでは、「拗ねる」とはどんな状態か、子どもが「拗ねる」とき、背後にはどんな心理状態があるのかを探ってみましょう。

 

1-1.「拗ねる」とは?

「拗ねる」とは、広辞苑によれば「ねじけて我を張る。不平がましく人に従わない。」と定義されています。

3歳~5歳くらいのお子さんが「拗ねる」と、親や周りの人の言うことを素直に聞き入れられず、そっぽを向いてしまったり、怒り出したり、泣き出したりして機嫌が悪くなります。

いったん拗ねると、なかなか機嫌が直らなかったり、周りの人を嫌な気持ちにさせてしまって、その場の雰囲気が悪くなることがあります。

お子さんが拗ねたとき、親はお子さんの「困った行動」に目が行きがちですが、実はその背後には感情や理由が隠れています。

大切なのは、「拗ねる」行動の背後にある「気持ち」に目を向けて、対応することです。

 

1-2.子どもが拗ねる背後にある心理状態

お子さんは、どうして拗ねるのでしょうか?

3歳~5歳頃のお子さんが拗ねたときの行動は、2歳頃のイヤイヤ期と似ていますが、心理状態は少し変化しています。その心理状態は次のようなものがあります。

  • 自分の気持ちをしっかり伝えたいのに、うまく表現できず、わかってもらえない歯がゆさやいらだち
  • 正しい行動に気づいていても、自分の気持ちをコントロールできない心の葛藤
  • 勧められたことに対して、うまくできる自信がない不安な気持ち
  • 他の人と比べられて、あるいは比べられるような気がしてプライドが傷つく
  • 周りの状況がわかっているがゆえに、自分の思い通りに事が運ばないことに対する不満やいらだち

3歳~5歳頃には社会との関わりが増え、自我が育ち、心の発達が進んでいます。

自分の気持ちだけでなく、周りの状況を理解し、他人の気持ちに気づいたり、考えたりすることが少しずつできるようになっています。

そのため、自分の気持ちが周りの状況や、他の人の気持ちとうまく合わないことに対する心の葛藤が「拗ねる」行動として表れているのです。

 

2.拗ねる子への対応法【4つのステップ】

拗ねて困った行動を起こしているお子さんに対しては、「拗ねる」行動の裏にある心理を理解した上で適切に対応することが大切です。

ここでは、お子さんの拗ねる気持ちを収めて、自分で気持ちをコントロールできるようになる対応法を、4つのステップにそってご紹介します。

 

2-1.【ステップ1】気持ちが落ち着くまで見守る

まずは気持ちを落ち着けられるように、少し待つことから始めましょう

拗ねてそっぽを向いてしまったり、泣きわめいたりしているときに、あれこれと言葉掛けをしても耳に入っていないことが多いようです。

お子さんが自分から気持ちを話し出すこともあるので、待つことが大切です。

なぜ拗ねてしまったかわからないときでも、「どうしたの?」「なんで泣くの?」などせかさず、話しはじめるまで見守るといいですよ。

お子さんは自分の気持ちを分かってほしい、本当はうまく伝えたいと考えています。けれどうまく表現できずに「拗ねる」という行動で伝えようとしているのです。

せかさず見守ることで、お子さんが自分の気持ちを整理して話そうとする力を引き出すことができます。

 

2-2.【ステップ2】気持ちを受け止め、共感する

少し落ち着いて話し始めたら、お子さんの気持ちを受け止め、共感しましょう

「そうなんだね。こうしたかったんだね」「これがいやだったんだね」など、お子さんの言葉を繰り返すだけで大丈夫です。

自分の気持ちを受け止めてもらえると安心するので、次のときも自分の言葉で伝えようとしてくれるようになります。

 

2-3.【ステップ3】アイメッセージで親の気持ちを伝える

お子さんの気持ちを受け止めた上で、親の気持ちはパパママを主語にした「アイメッセージ」で伝えましょう

「パパはこう思っているよ」「ママはこう感じているよ」などと伝えるのです。

「アイメッセージ」とは、アメリカの心理学者トーマス・ゴードン博士が提唱したコミュニケーションの方法です。

「私」を主語にして気持ちを伝えることで、投げかけられた気持ちに対してどう判断し、どう行動するかは相手にゆだねられるので、相手を一方的に責めることなく、尊重することができる方法だと考えられています。

お子さんの自己主張や主体性を尊重しつつ、コミュニケーションを取ることができます。

 

2-4.【ステップ4】最後は自分で決めさせる

最後に、お子さん自身がどうするかを決める機会を与えましょう

お子さんは自分の気持ちを表現する力を養い、「拗ねる」行動を減らす手助けとなります。

「どうする?」「どうしたい?」と聞いただけではなかなか答えられないこともありますので、「こうするのはどうかな?」と具体的な提案をしたり、「○○か△△どっちがいい?」と選択肢を示してあげましょう。

お子さんが自分で納得して決められれば、自分で考えて気持ちをコントロールする力がだんだん身についてきます。

<対応ポイント:親の気持ちの持ち方>

いろいろ理解できるようになってくる年齢とはいえ、まだまだ発達段階の途中です。完璧を求めすぎないようにしましょう。

「拗ねることができるほど成長したんだな」とか、「気持ちがどんどん複雑になっているんだな」と考えることで、親の気持ちも少し楽になるのではないでしょうか。

拗ねているお子さんに向き合うときは、厳しく接するのではなく、さらっと受け止めたり、ユーモアを交えたり、自由に話せる雰囲気を作ることが大切です。そうすることで、お子さんも自分の気持ちを言葉で表現しやすくなります。

また、兄弟姉妹やお友達と比べる言葉掛けは避けましょう。お子さんの個性を尊重し、ありのままを認めて、見守っていきましょう。

 

 

3.拗ねる子への【NG対応】

ここでは、逆効果になる可能性のある「NG対応」とその理由についてご紹介します。

 

3-1.無視する

拗ねているお子さんに対して完全に無視する、何の言葉掛けもしないというのは避けた方がよい対処法です。

拗ねているお子さんを全く無視してしまうと、お子さんは無力感を強く感じ、自信をなくしたり、投げやりな気持ちが生まれたりすることがあります。

 

3-2.否定したり、強く叱責する

拗ねているお子さんの態度や言葉を否定したり、強く叱責するのも避けましょう。

否定したり、強く叱責すると、お子さんの自尊感情を傷つけてしまう可能性があります。

自尊感情が傷つくと、自分に自信が持てなくなって、他人と比べて落ち込んだり、失敗からなかなか立ち直れなかったりといった傾向が出てくることがあります。こうした傾向は、「拗ねる」行動を長引かせる原因にもなってしまいます。

 

3-3.言いなりになったり、ご機嫌取りをする

お子さんが拗ねると、気持ちを落ち着かせたい、その場を収めたいとの思いから、お子さんの言いなりになったり、機嫌が直るようなものを与えてしまったりすることがありますが、これは避けましょう。

無意識のうちに、お子さんは拗ねれば言うことを聞いてもらえる、自分の欲しいものを与えてもらえると感じて、「拗ねる」行動が続いてしまう可能性が高まります。

大切なのは、お子さんに「拗ねてもいいことはないな」、「拗ねても何も変わらないな」と感じさせることです。ご機嫌取りをしないように注意しましょう。

 

4.子どもが拗ねたときの【対応事例集】

実際に子どもが拗ねたときにはどんな言葉掛けや、対応の仕方が良いのでしょうか?

ここでは、具体的な事例を挙げて、適切な言葉掛けや対応方法をご紹介します。

 

4-1.自分の意志が通らなくて拗ねる場合

例えば、一緒に買い物に行ったときに、お菓子コーナーでお菓子をせがんでも買ってもらえないと、拗ねてその場を離れないということはよくあります。

こういう場合は「お菓子はお家にあるから、今日は買わないよ」と言って、さっとその場を離れましょう。

お子さんが泣いて動こうとしない場合は、少しの間辛抱してその場で待ってあげましょう。

パパやママがお菓子を買うつもりがないことを示すことで、お子さんも徐々に諦めるでしょう。拗ねることが何の解決にもならないことを学べます。

お子さんが落ち着いたら、「次に来るときはお菓子を買うね」「どんなお菓子が食べたいか考えておいてね」といった計画を立てたり、我慢したりする習慣を促しましょう。

 

4-2.注意されるとすぐ拗ねる場合

「ご飯をこぼしているよ」「靴下が反対だよ」など、ちょっとしたことを注意しただけで機嫌を損ねて拗ねてしまうことがあります。

こういう場合、少しユーモアを交えて話したり、他のことで気を逸らしたりすることがおすすめです。機嫌を取るような言葉掛けや、状況が改善するまで強く注意するのは避けた方がよいでしょう。

「机を一緒に拭こうか」とか「靴下を履き直す?」くらいの短い言葉掛けで、正しい行動を促しながらお子さんの気持ちを聞いてあげましょう

 

4-3.やる前から拗ねて逃げたり、できないとふてくされる場合

習い事の場でよく見られる光景です。

自分がやろうと思っているときに、自分より先にお友達が上手にできたりすると、やる気をなくして横を向いてしまって、ふてくされてしまうことがあります。いくら「やってみよう」とか「できるよ」などと声をかけても一向に見向きもしません。

こんな時は、あまり深追いせずに「今日はやらないの?」「じゃ今度にしようか?」など、さらっと対応して終わりにしましょう

さらっと終わってしまうと「やっぱりやってみる!」と言い出すかもしれませんし、その日はもうやらないこともあります。それで一生できないというわけではないので、お子さんの気が向いたときにまたやれば大丈夫です。

お子さんは、その間に自分でどうするかを考えていることがあるので、その時間を大切にしてあげましょう。

少し時間が経って気持ちが落ち着いてから「やってみる?」とか「○○ちゃんのやりたいことある?」などと自分の気持ちを整理したり、言葉にしたりする機会を作ってあげるのもいいですね。

 

4-4.ゲームや遊びで負けると拗ねる場合

家族でゲームをしているときに負けると、怒って泣いてしまうことがありますよね。

悔しい気持ちを経験することは大切なことです。次は勝ちたい、うまくなりたいといった向上心を育てますし、自分の気持ちをコントロールすることを学ぶ良い機会にもなります。でも拗ねて怒ったり、泣いたりするのには困ってしまいますね。

まずは、「悔しかったね」くらいの言葉掛けで共感を示し、しばらく泣かせてあげましょう。 同情したり慰めすぎると、お子さんは「拗ねること」が優しくしてもらえる方法と感じてしまうことがあります。

お子さんが落ち着いたら「どうする?」「もう一度やる?」などの言葉掛けをしてあげましょう。もう興味が持てないようなら他のことへ移ってもいいですし、「もう一度やる!」と言うかもしれませんね。

お子さんの意志を尊重して、自己決定力を養っていきましょう

手がつけられないほど怒ったり、泣いたりするようであれば、普段落ち着いているときに、「怒りを収める方法」を考えてみるのもいいですね。例えば、『おこりたくなったらやってみて!』の絵本がおすすめです。

『おこりたくなったらやってみて!』 オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ 作/主婦の友社2019年

この絵本では、ユニコーンの子ども・ガストンが呼吸法を通じて感情をコントロールし、気持ちを切り替える様子が描かれています。

お子さんはガストンと一緒に呼吸法をまねているうちに、自分で気持ちを落ち着ける方法がわかってくるかもしれません。

>>「おこりたくなったらやってみて!」 Amazon販売ページ

 

 

5.子どもの拗ねる気持ちを理解して、健やかな心の成長へ導こう!

心の発達は、お子さん一人ひとり異なります。同じ環境で育った兄弟姉妹でも、それぞれ違った発達の様子に驚くこともあるのではないでしょうか。

「拗ねる」行動は、幼くて可愛らしい一時的なものでもあります。お子さんは嬉しいことや楽しいことばかりではなく、さまざまな負の感情も体験し、それらに向き合いながら成長していきます。

お子さんの個性を大切にして、健やかに成長していく様子をゆっくりと見守っていきましょう。
 

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