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【2歳・3歳】子どもが「わざと飲み物をこぼす」理由と適切な対応法

この記事を書いた人

白山七衣 白山七衣

白山七衣

  • 心理カウンセラー
  • 幼児教室講師

メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。

幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。

現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。

お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。

休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!

一人で飲み物を上手に飲めるようになってきたにもかかわらず、子どもが「わざと飲み物をこぼす」ようになって困っているパパママもいらっしゃるのではないでしょうか。

「どうしてわざと飲み物をこぼすの?」「わざと飲み物をこぼす子どもへの対応法は?」と悩んでいらっしゃいませんか?

この記事では、2~3歳のお子さんの発達段階を踏まえたうえで、「わざと飲み物をこぼす」理由とおすすめの対応法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

1.2~3歳ってどんな時期?子どもの発達の様子

2~3歳は、運動機能や手指の機能が発達して、少しずつ自分でできることが増えてきます。

同時に、イヤイヤ期や第一次反抗期といった心の発達においてもさまざまな側面が表れ始める時期でもあります。

「わざと飲み物をこぼす」という困った行動も、お子さんの脳や心の発達と大きく関連しています

ここでは、2~3歳のお子さんの脳や心の発達の様子を確認してみましょう。

 

1-1.心の発達

2~3歳頃は、自分でやりたいという意欲が高まり、自分の欲求を言葉で表して伝えようとする気持ちが強まります。

こうした自我の芽生えや発達により、自己主張することも増え、思い通りにいかないと癇癪を起こしたり、乱暴な行動をとったりすることがあります。

イヤイヤ期、第一次反抗期と呼ばれるこの時期は、子育ての大変さを強く感じるときでもありますよね。 しかし、自我の発達を受け止め、適切に対応することで、お子さんはしっかりと心の成長をとげていきます。

お子さんの心が伸び伸びと成長するサポートをしてあげましょう。

 

1-2.脳の発達

お子さんは、五感の刺激を受けながら、身体の成長とともに脳がどんどん発達していきます。

「スキャモンの発達曲線」をみると、神経系の発達は2歳頃から急速に進み、4~5歳頃には成人の約80%まで発達していることがわかります。(※1)

小児科医の成田奈緒子先生によれば、脳は3つの階層に分けられ、中心部から「①からだの脳」「②おりこうさん脳」「③こころの脳」に分類されます。(※2)

①からだの脳
呼吸、体温調節など生きるために欠かせない機能

②おりこうさん脳
勉強やスポーツに関わる機能

③こころの脳
判断力や想像力など人間らしい能力に関わる機能

脳は、通常①②③の順に徐々に発達していきます。

2~3歳頃においては「③こころの脳」の発達が未熟で、自分の気持ちや欲求を上手にコントロールするのは難しいことが多いです。

脳が発達し、さまざまな経験を積むことで、お子さんは気持ちのコントロールも少しずつできるようになっていきます。

五感の刺激や十分な睡眠を大切にし、脳の順調な発達をサポートしてあげましょう。

 

2.子どもが「わざと飲み物をこぼす」2つの理由

マグやコップが上手に持てて、一人で飲み物が飲めるようになってきたのにもかかわらず、わざと飲み物をこぼす行動にイライラすることがあるかもしれません。

2~3歳頃のお子さんは、なぜわざと飲み物をこぼすのでしょうか。ここでは、大きく分けて2つの理由をお伝えします。

 

2-1.【理由①】第一次反抗期

2歳前後は第一次反抗期が始まり、自分の思い通りにいかないと物に当たる行動をとることがあります。

大人が怒ることがわかっていて、わざと飲み物をこぼすことで反抗的な態度を示すことがあります。その行動の背後には、以下のような子どもの気持ちが隠れています。

  • パパママの愛情を確かめたい
  • パパママの注意を引きたい
  • 自己表現がうまくできないイライラ
  • 感情のコントロールが難しく、自分の気持ちをうまく制御できない葛藤

多くの場合、わざと飲み物をこぼすのは、パパママの気を引きたい、甘えたい気持ちや、自己表現がうまくできなくてもどかしい気持ちの裏返しの行動なのです。

 

2-2.【理由②】好奇心の表れ

2~3歳になると、身体の発達に伴ってさまざまな事ができるようになり、行動範囲も広がっていきます。

脳も急速に発達し、身の回りのものに対する興味が高まります

お子さんは興味を持ったものに対して、自分で触ってみたり、調べてみたりする探索行動を通じて、新しいことを学び取ろうとします。

「コップの中身はどうなっているのだろう?」「コップが倒れるとどうなるのかな?」といった疑問や好奇心から、わざと飲み物をこぼす行動をとることがあります。

また、周囲の人々に対しても興味や関心を抱くようになります。そのため、「これをこぼしたら大人はどんな反応をするかな?」と探っていることもあります。

 

2-3.2つの理由を見分けるポイント

2つの理由を見分けるには、お子さんの表情に注目してみましょう。

お子さんは、不機嫌な様子で床に飲み物を投げつけたり、コップを手で払いのけるようにして飲み物をこぼしていませんか?このような場合は、第一次反抗期の行動が表れていると考えられます。

一方、お子さんが不思議そうに、あるいは目を輝かせてわざと飲み物をこぼす場合、お子さんの心は好奇心で満ちています。新しい発見を楽しんでいることを示しており、これから先をワクワクして待っていることでしょう。

このように、お子さんの行動に表れる感情や態度を観察することで、行動の背後にある理由を理解しやすくなります。

適切な対応法をとるためにも、2つの理由に基づいた「わざと飲み物をこぼす」行動があることを踏まえておくといいですね。

 

3.【理由別】わざと飲み物をこぼしたときの対応法

お子さんが「わざと飲み物をこぼす」とき、どのように対応するのが良いのでしょうか。

ここでは、理由別におすすめの対応法をご紹介します。

 

3-1.第一次反抗期の場合

第一次反抗期でお子さんがわざと飲み物をこぼす場合、頭ごなしに叱ってしまうと状況は悪化する可能性があります。

まずは、お子さんの気持ちを受け止めてあげましょう。その後、毅然とした態度で飲み物はわざとこぼしてはいけないことを伝えましょう。

伝える際は、子ども自身を否定する言葉ではなく「飲み物をわざとこぼすのはいけないよ」「こぼさないように飲もうね」と、行動だけに焦点をあてた簡潔な注意を行いましょう。

お子さんとしっかり向き合い、目を見ながら伝えることで、お子さんはパパママの真剣な気持ちを感じ取ります。

お子さんが落ち着いたら、「○○ちゃん大好きだよ」と抱きしめて愛情を示してあげましょう。

パパママに受け入れられていることを感じると、お子さんも安心して、気持ちが安定します。

少し時間がかかるかもしれませんが、反抗期はいずれおさまります。焦らず、パパママの愛情を伝えながら見守っていきましょう。

 

3-2.好奇心の場合

好奇心から飲み物をわざとこぼす場合、飲み物をわざとこぼしてはいけないことを、理由を添えて繰り返し説明しましょう

「大事な身体の中に入れる飲み物は大切にしようね」とか「こぼすとお部屋や洋服がよごれてしまうね」などと何度も繰り返し伝えることが大切です。

また、お子さんの好奇心に他の方法で応えることも効果的です。

例えば、お子さんが飲み物に興味を持ち、液体が流れる様子を知りたいという好奇心が見られたら、安全な環境で「実験遊び」の機会を作ってあげましょう。ただし、これは食事の一部ではなく、実験としての遊びであることを説明しましょう。

実験を通じて水や飲み物を触ってみたり、コップから流したりすることで、わざとこぼす行動が自然に減少することがあります。

お子さんはけじめを持った行動を身につけ、知的好奇心も高めることができます。

 

4.わざと飲み物をこぼしたときのNGな対応法

「わざと飲みものをこぼす」行動は、日常生活のルールの中では好ましくありません。

正しい行動を促すことは重要ですが、お子さんの発達の妨げになってしまうような対応法もあります。

ここでは、NGな対応法を確認しておきましょう。

 

4-1.否定的な対応をとる

「こぼしちゃダメじゃない」「そんな悪いことする子はもう知らない」など、強く叱責したり突き放したりする否定的な対応は避けましょう。

否定的な対応はお子さんの自己肯定感を下げてしまう可能性があります。

自己肯定感が下がると自信をなくしたり、新しいことに積極的に挑戦する意欲が育たないことがあるので気をつけたいですね。

 

4-2.無視する

何度注意しても直らないと、もうほっておくしかないと思うこともありますよね。 しかし、お子さんの行動を完全に無視するのはおすすめできません。

わざと飲み物をこぼすことは許される行為なのだと勘違いしたり、親の注意を引くために行動がエスカレートする可能性があるからです。

2~3歳のお子さんは、自分との関わりや、コミュニケーションを通じてさまざまな刺激を受けて成長しています。

お子さんの発達をサポートするために、適切な関わり方を心掛けましょう。

 

4-3.大きなリアクションをとる

急に飲み物をひっくり返して派手にこぼすと、つい大きな声をあげてしまうこともありますよね。 しかし、わざと飲み物をこぼしたとき、大きなリアクションをとるのはなるべく避けた方が良いでしょう。

大人のリアクションを見て、お子さんが目を輝かせている様子に出会ったことはありませんか?大人が大きなリアクションを示すと、お子さんは「大人の注意を引くことに成功した!」と感じることがあります。

反応してもらえるのが面白くて、またやりたくなってしまうことがあります。 できるだけ冷静に、落ち着いた態度で接しましょう。

 

5.わざと飲み物をこぼすのも成長の証!温かくサポートしよう

第一次反抗期や好奇心の表れは、お子さんにとって大切な成長過程です。 わざと飲み物をこぼす行動もこの一環で、お子さんの脳や心の発達に関連しています。

2~3歳頃は身の回りのものに興味を持ち、少しずつ世界を広げていく時期です。

物事の善悪やルールも理解し始める年齢なので、日常の中でルールを示しつつ、お子さんの好奇心や発達をサポートしていくことが大切です。

お子さんはパパママの愛情を感じながらすくすくと成長していきます。

わざと飲み物をこぼす行動にイライラすることもあるかもしれませんが、、これも成長の証だと受け止め、愛情をたっぷり示しながらお子さんの成長を見守っていきましょう。
 

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参考文献
※1:国立スポーツ科学センター(図3)スキャモンの発育型
※2:『「発達障害」と間違われる子どもたち』成田奈緒子 (著)

 

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