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子育てにおける「放任主義」って悪いこと?~自由に育てることのメリット・デメリット~

この記事を書いた人

狩野淳 狩野淳

狩野淳

  • 公認心理師
  • 臨床心理士

大学、大学院にて発達心理学と臨床心理学を専攻していました。

臨床心理士と公認心理師の資格を保有しております。

子ども達とその保護者の方の支援を仕事にしており、子ども達へは主に応用行動分析を認知行動療法用いて、保護者の方にはブリーフセラピーを使ったアプローチを行っています。

もうすぐで1歳になる男の子がいて、毎日癒されています!

「子どもをもっとのびのびと育てたいけれど、ケガをしないか心配」「失敗体験から、引っ込み思案になったらどうしよう」と悩んでしまうことはありませんか?

また、「ある程度子ども本人に任せたいけれど、『放置している』と周りの人に思われないか心配」と感じてしまうことはありませんか?

そんなお悩みをお持ちの方へ、自由に育てる「放任主義」のメリット・デメリット、3歳程度からできる自主性を伸ばしていく関わり方について紹介していきます。

小さいうちから自主性を育て「できた!」という経験を積み重ねていくことで、お子さんの人生はより豊かなものになっていきます。

放任主義で子どもを育てていくことは楽なことではありませんが、子どもと親にプラスに働くことは間違いないでしょう。ぜひ、お子さんへの日々の関わり方の参考にしてください!

 

目次

1.放任主義とは?子どもは放っておいても勝手に育つ?

子どもを見ていて「いつの間にこんなことが出来るようになったの!?」とびっくりしたことはありませんか?

子どもにはもともと「生きる力」が備わっています。もちろん大人の力を借りることもありますが、ある程度成長すると「あれをしてあげなきゃ」「これもやってあげなきゃ」と心配せずとも育っていきます。

逆に過保護的に育ててしまうと、自分で何とかしようとする意志が弱くなり、人に依存しやすい性格になりやすいともされているため、ある程度「放任」することが子どもの成長につながるとも言えます

 

1-1.放任主義とは

では、放任主義とはどのようなものなのでしょうか。

辞書によると放任主義とは「自由気ままにやらせて、干渉しない主義」と出てきます。

これを子育てに当てはめると「子どものやりたいことに口を出さない」「やらせてみて事の成り行きを見守る」といった具合になるでしょう。

ただ放っておくものではなく、子どもの主体性を尊重し、子どもに自由に暮らしてもらうことが「放任主義」ということですね。

 

1-2.放任主義のメリット

次に、放任主義のメリットについて紹介していきます。 子どもを自由に育てることでどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は特に大切なポイントを3つ紹介します。

第1に、子どもの自主性を育てることができます
価値観に囚われない自由な発想のなかで、「自分で決める/選ぶ」楽しさを感じることが、自主性の向上に繋がっていきます。

第2に、行動力が身につきます
自分のやりたいことを否定されずできるので、「やりたい/知りたい」という気持ちと「やってみよう」という気持ちが直結してすぐに行動に移せる子どもに育ちます。
行動すればもちろん失敗することもありますが、そこから改善点を学習することができるので、今後に生かせる柔軟性も身につきます。

第3に、親御さんが楽観的になれます

初めは不安な気持ちもあるでしょう。しかし1度子どもに任せてみて、成長を感じ始めると「うちの子なら大丈夫」「いざというときに助けに入れば大丈夫」と肩の力を抜いて考えることができるようになります

そうすると広い視野で子どもを見られるようになるため、ゆとりのある子育てができるようになるでしょう。

 

1-3.放任主義のデメリット

しかし一方で、放任主義は考え方やスタンスを間違えると悪い影響を及ぼすことがあることも知っておきましょう。

常にどんな場面でも放任していると、周囲の人に「あの人は手を抜いて子育てしている」と思われたり、子どもに「自分のことを見てくれていない」と思われたりしてしまうこともあります。

そうなれば親として孤立するだけでなく、子どもとの信頼関係も崩れてしまいます。 子どものためを思って任せているつもりが、子育てに悪影響を与えては本末転倒です。

また状況や頻度、周囲の捉え方によっては児童相談所や警察に連絡されて「虐待をしている」という疑いをかけられてしまう可能性もあります。

 

2.放任主義とネグレクトの違いとは?

放任主義は、子どもの自主性や行動力を育むなどのメリットも多いですが、一歩間違えると、親が意図しない方向に進んでしまう危険性があるのも事実です。

子どもにとってプラスとなる「放任」にしていくためには、どんな関わりをしていけばいいのでしょうか

次は「放任主義とネグレクトの違い」について確認していきましょう。

 

2-1.ネグレクトとは「養育せずに放任すること」

ネグレクトとは虐待のひとつであり、「幼児・高齢者などの社会的弱者に対し、その保護・養育義務を果たさず放任する行為」と定義されています。

子どもの自主性を育てるためにあえてする「放任」と、食事を与えない、着替えさせないといった「ネグレクト」は全く違いますが、混同されることが少なくありません

厚生労働省によると、ネグレクトにはいくつか種類があります。

身体的ネグレクト…長期間1人で放置したり、成長に必要不可欠な食物を与えなかったりする。
医療的ネグレクト…予防接種や病気の治療を受けさせない。
情緒的ネグレクト…情緒的支援(勇気づける/励ます/そばに寄り添う)をしない。
教育的ネグレクト…教育を受けさせない、主席させない。

幼少期にネグレクトを受けた場合、適切な対人関係が築かれず、人格にも大きな影響を及ぼすとされています。

このようなネグレクトを行っている、もしくは行っている可能性があると判断されると、児童相談所に一時保護という形で子どもと引き離されてしまいます。

虐待は少しでも可能性があれば通報するのが国民の義務となっています。もちろん通報されたケースがすべて虐待だったというわけではなく、周囲の勘違いということも少なくありません。

しかし、「虐待と思われた」ことによるショックは大きいもので、子育てに対する自信を失ってしまいます。

 

2-2.ネグレクトにならない・混同されない「放任主義」のために

それでは、ネグレクトにならない、思われない「放任」をするにはどうすればいいのでしょうか。

例えば「外に遊びに行きたくない」「病院に行きたくない」という子どもに対して、否定したりしかりつけたりしても意味はありません。

そんな時は、子どもの行動に対して「きっかけ」を作ってあげてください。 例えば、「買い物に出かけたいんだけれど、お手伝いしてくれない?」と誘えば来てくれるかもしれません。

たとえ断られたとしても無理に連れ出そうとせず、「そっか」と流れを切ってしまうことで「やっぱり行く」「明日行く」とつながってくることもあります。

作るのは「きっかけ」であって「線路」ではないため、子どもに「こうなってほしい」とこだわらないことが大切です

また、周囲の大人とコミュニケーションを取っておくことも重要です

夫婦間はもちろん、ご近所や保育園/幼稚園の先生との関係性を日頃から築き、子育てのスタンスや子どもの状況をそれとなく伝えておくだけでも理解が得られやすいでしょう。

 

3.〜放任主義を参考に〜自主性を伸ばす関わり方とは

放任主義は一歩間違えると虐待ととられてしまうこと、虐待と思われない放任の仕方について確認してきました。

次に、「放任」をポリシーとして子どもに関わる際のポイントについてお話していきます。

完全な「放任主義」ではなくとも、日常の子どもとのやり取りの中で取り入れられる部分がありますので、参考にしてみてください。

 

3-1.先回りせず、まずはやらせてみる

親としては、「失敗してほしくない」「傷ついてほしくない」という気持ちがあるのは当然です。我が子を愛するがゆえに、干渉的になってしまうのは自然なことです。

しかし、人の成長、特に心の成長にはある程度の失敗や挫折は必要不可欠です

危険なとき、怪我をする恐れがあるとき以外は子どもの様子を見守りながら、手や口を出したい気持ちをグッと抑え、いろいろな経験をさせてあげてください。それらの経験が子どもの自主性を伸ばしていきます。

 

3-2.行動に移した段階で褒める

子どもは必ずしも効率的でスマートな方法を取るとは限りません。大人からすれば「こうすればいいのに」「もっとうまくいく方法があるのに」と思うかもしれません。

しかしそれは、子どもが体験していく中で自ら感じ、修正していくものです。

親は子どもが行動に移せた段階で、「よくできたね」「すごいね」と認め、褒めてあげるだけで十分なのです

そうすることで、子どもが自ら考えて行動へ移す場面が増え、試行錯誤していく中でよりよい学びへとつながっていきます

 

3-3.親自身が結果にこだわらない

「親自身が、子どもの行動の結果にこだわらない」ということも大切です。

親の物差しで子どもの言動を「成功」「失敗」と評価していくと、子どもは親や大人の評価を気にして行動するようになります

自分で行動するのではなく、外からの報酬(大人に褒められる、お菓子をもらえる)を目標に行動するようになると、自主性が損なわれていきます。

心理学ではこれを「アンダーマイニング効果」と言います。

結果は、子ども自身の感じ方で変わってくるものです。親は8割、9割の完成度を求めてしまうかもしれませんが、子どもは5割で満足しているかもしれません。

そこで親の価値観を押し付けてしまうと、「パパとママのためにやらなきゃ」「求められるところまで頑張らなきゃ」と考えるようになってしまいます。

親はその過程や行動の始まりに注目し、褒めていくことが重要なのです

 

4.「放任主義」は自主性を育むきっかけになる

放任主義のメリットとデメリット、放任主義とネグレクトの違い、自主性を伸ばす関わり方のポイントについて解説してきました。

放任主義は子どもを信じて任せること。ただ放っておくということではありません。

むしろ、いつでも子どもをフォローする体制を整えたり、子どもの自主性を伸ばすためのアプローチを考えたりと、決して楽な子育ての仕方ではありません。

しかし、親が綿密に大変な面を担うからこそ、子どもは多くのことを学び、知識や経験を蓄積することが出来るのです

放任主義は、子どもの人生をより豊かにする可能性を秘めています。是非みなさんの子育てにも、そのエッセンスを取り入れてみてください!

 

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参考文献
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「ネグレクト」

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