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園で友だちができない不安を解消!家庭でできる心がけ3選を現役保育士が紹介

この記事を書いた人

なな なな

なな

  • 高等学校教諭
  • 保育士

早稲田大学在学中に放課後等デイサービスでアルバイトとして勤務。

一般企業に就職後、子どもの人生に関わる仕事がしたいと思い、保育園で働きながら保育士資格を取得しました。

現在は保育士として勤務しています。

「子どもと一緒に楽しむ」ことを大切に、子どもと接しています!

「お迎えに行くといつも一人で遊んでいるように見える」「友だちの話を聞いても答えてくれない」など、園で友だちと楽しく過ごせているのか不安に思ったことはありませんか?

保育園で初めて友だちができ、一緒に遊ぶ楽しさを知る一方で、実は「一人遊び」も子どもたちの発達には重要です。

今回は子どもたちにとって一人遊びがどういう時間なのかにも触れながら、友だちと楽しく遊べるように家庭で心がけられるポイントを3つご紹介します。

子どもが園で安心して楽しく過ごすためには、まずは家庭が安心できる環境であることが大切です。

保育士の立場から、実体験も交えてお伝えしますので、ぜひ家庭での声かけや接し方の参考にしてみてください。

目次

1.「友だちがいない」ように見える?一人で遊ぶ3つの理由

「お迎えに行くといつも一人で遊んでいるように見えるけれど、友だちをうまく作れているのかな…」
そんな不安を抱えている保護者の方も多いのではないでしょうか。

保育士として働く筆者も「うちの子は友だちがいないんでしょうか…」と保護者の方に相談されたことが何度もあります。

しかし、友だちがいないから仕方なく一人で遊んでいるというわけではなく、「一人遊び」をするのにはいくつかの理由があります。

まずはその理由を知り、お子さんがどのような成長段階にいるのかを理解しましょう。

保護者の方が安心して、お子さんに合ったサポートをすることが大切です。

ここでは一人遊びをする3つの理由をご紹介します。

 

1-1.同じクラスの子と好きな遊びが異なる

保育園や幼稚園は1クラスあたりの子どもの数が学校などよりも少なく、月齢や男女比に偏りがある場合もあります。

■性別
実際、筆者の担任している年少クラスは、男女比は4:1で女の子の方が圧倒的に多いクラスです。もちろん、一緒に遊んでいるときもありますが、筆者のクラスは男女で好きな遊びがはっきり異なります。

普段は男の子は男の子同士、女の子は女の子同士で遊ぶことが多いので、同性の友だちが欠席だったり、早い時間にお迎えが来たなどの理由で、1人で遊んでいるのをよく見かけます。

■月齢
月齢の差は年齢があがっていくにつれ目立たなくなっていくものの、同じ年齢のクラスでも子ども一人一人成長段階が異なります。

例えば、身長は5歳から6歳までの1年間で平均6センチ伸び、身体の成長に伴って運動能力や理解力は短期間で大きく成長していきます。

できることが増えていくにつれ、遊びも変化していくので、たとえ同じクラスとはいえ、4月生まれと3月生まれでは、好きな遊びが違うのも納得ですよね。

一人遊びをしているのは、同じクラスにお子さんと同じ遊びをやりたい子がいないだけという可能性もあります。

小学校にあがったり、より大きな集団に入ると、好きな遊びが一緒で波長の合う友だちが見つかるケースも多いですよ。

 

1-2.一人遊びが好き

園では、子どもの協調性を育むなど様々な目的で保育士が計画した集団遊びをする時間と、子どもそれぞれが好きな遊びをする自由遊びの時間が設けられています。

大人でも、友人と出かける時間も一人で集中して何かに取り組む時間もどちらも好きという方は多いのではないでしょうか。

子どもも同じように、集団遊びでは、友だちと一緒にルールのある遊びをしたり、みんなで工作などの製作活動を楽しむ一方で、自由遊びの時間では、折り紙やパズルなどを好み、一人で集中して遊びたいという子もいます。

お迎え時間などで保護者の方が見かけるのは個々が好きな遊びをする時間であることが多いので、いつも一人で遊んでいるように見えるだけかもしれません。

この場合、「友だちができない」のではなく、友だちと遊ぶことも一人遊びもできる、ということなので、大きな心配をする必要はありません。

保護者の方が見かけないタイミングでは友だちと一緒に遊んでいることもあるので、心配な方は保育士に日中の様子を聞いてみることをおすすめします。

 

1-3.年齢的に友だちと遊ぶことが難しい

子どもははじめから友だちと遊べるわけではありません。
だいたい年少クラスの年齢になると、少しずつ同じクラスの「友だち」を意識しはじめます。

■0歳児クラス
立ったり歩いたりすることができるようになって行動範囲が広がり、様々なものに興味を持つ時期です。

ご家族や担任の先生などが見てくれている安心感を感じながら、探索活動を楽しみます。

人の表情から場面の意味を読み取ることも少しずつできるようになるため、身近な大人と「バイバイ」「どうぞ」など簡単なやり取りをしながらコミュニケーションを学んでいきます。

■1歳~2歳クラス
言葉の理解が進み、「○○ほしい」「××やる」など主張が激しくなる時期でもあります。

自我がはっきりしていくなかで友だちがやっている遊びが気になり、同じことを真似してやる「平行遊び」をするようになります。

関わりながら遊ぶことは少ないのですが、同じ遊びをして安心感を得ながら楽しんでいます。

■年少クラス
相手の気持ちや状況を少しずつ考えられるようになり、友だちと遊ぶ楽しさに気づき始めます。

友だちと話をしてルールやイメージを共有しながら、ごっこ遊びやブロック遊びをするようになっていきます。

身近な周りの人との関係性をだんだんと広げていき、友だちと遊ぶことを楽しめるようになっていくのです。

お子さんの年齢での発達の目安や遊びの段階を理解することで、次はどんなステップを踏めばよいのか理解することができます。

子どもの遊びがどのように発達していくかはこちらの記事で詳しく説明しているので、気になる方はぜひご覧ください。

>>CONOBAS 集団行動が苦手?子どもの発達心理と親ができる「遊び」のサポート

 


ここまで3つの理由をご紹介してきましたが、いずれの場合もそこまで不安に思う必要はありません。

一人遊びをしているお子さんでも、年齢が上がったり、場所が変わったりすると「一緒に遊びたい!」という子が見つかり、自然に友だちができるケースもあります。

お子さんが「友だちと遊びたい!」と思ったときに、大事になってくるのがコミュニケーションです。

自然と「一緒に遊ぼう」と声をかけたり、気持ちを伝え合ったりできるよう、お家でできることを3つ紹介していきます。

 

2.自然と友だちに声がかけられる子になろう!お家でできること3選

友だちと遊ぶ楽しさを感じるようになるのはだいたい年少くらいからですが、コミュニケーションの土台は「バイバイ」や「ちょうだい」ができるようになる1歳前から形づくられていきます。

まだまだ一人遊びが楽しい0~2歳児のお子さんも、だんだんと言葉で伝えられるようになってくる年少以上のお子さんも、「友だちと遊びたい!」と思ったときに自然に声かけができるように、お家で心がけられる3つのことをご紹介していきます。

 

2-1.言葉で伝える練習をする

言葉もコミュニケーション能力も発達途中の子どもたち。

大人がサポートをしながら少しずつコミュニケーションをとることができるようになっていきますが、「子ども同士で自分の気持ちを上手く言葉にする」「友だちが何をしたいか見て察する」のはなかなか難しいことです。

そこで、家庭では簡単な欲求を伝える練習から始めてみましょう

例えば、おやつのときなどにおかわりが欲しいときに、「おかわりちょうだい」と保護者の方に伝えることは、自分の気持ちを伝える練習になります。

1歳半から2歳ごろの簡単なコミュニケーションができるようになってきた時期には、「かして」「ちょうだい」「やって」など、簡単な単語で伝える練習をしてみましょう。

言葉が出ない場合は、保護者の方が耳元でささやいてあげてください。

2歳以降、少しずつコミュニケーションがスムーズにとれるようになってからも無言で手伝ってしまうのではなく、困っている様子のときには「どうしたの?」と聞き、要求や自分の気持ちを言葉で伝える習慣をつけましょう。

ただし、まだまだ自分の気持ちを伝えるのには、気持ちを認識し整理するための時間が必要です。

先回りして「○○なんだよね」など代弁したり、何も言わずに保護者の方が決めてしまうのではなく、お子さんが自分の気持ちを言葉にできるまで少し待つことも大切です

 

2-2.人が嫌がることを理解できるようにする

保護者の方が嫌だと思うことをお子さんがされたとき、どうしていますか?

「子どもだからしょうがない」「言ってもわからない」と我慢してしまうこともあるかもしれませんが、嫌だったことを伝えることも大切です

そのままにしてしまうと、いけないことや相手が嫌がることだとわからずに、園で友だちにも手をあげてしまったり、おもちゃを横取りしてしまうことに繋がる場合があります。

伝える時のポイントは、頭ごなしに怒るのではなく、「○○されて嫌だったよ」というように、されたことに対してどんな気持ちになったかを丁寧に伝えてあげることです

言葉にできずにイライラして手が出てしまう場合は「使いたかったんだね」と共感し、「かしてって言ってみよう」など、どうすればよかったかを代弁し、言葉で伝えることを促してみるのもよいでしょう。

 

2-3.ありのままの状態を認めてあげる

「自分が愛されている」という自己肯定感は、子どもが成長し、世界を広げていくうえで心の土台となる非常に重要なポイントです

まずはご家族でお子さんとよい関係を築くことを心がけましょう。

ぎゅっと抱きしめて気持ちを伝えるのはもちろん、絵本の読み聞かせ後に「聞いてくれて嬉しかったよ」と伝えてみるだけでもお子さんへの愛情は伝わります。

子どもは自分の存在を認めてもらえていると感じることが、安心へとつながります。

保護者の方に認めてもらう経験を通じて、少しずつ友だちや園の先生たちも「信頼してよい人」「安心できる人」と感じ、交流の幅を広げていくようになります。

 

3.子どもが友だちと楽しく遊べるように、保育士が保育園で行っていること

ここからは0、1、3歳児クラスの担任経験のある筆者が、保育園で友だちと楽しく過ごせるように、実際にやっていることを2つご紹介します。

 

3-1.伝え方を提案する

子どもたちが一人で集中して遊んでいる場合、「みんなと遊んだら?」などの声かけはしません。

これまで述べたように、一人遊びには理由があり、友だちと遊ぶ時間と同じくらい大切な時間だからです。

しかし、友だちの様子や使っているおもちゃをじっと見ていたり、ぼーっとしていたり、言葉でのやりとりの方法がわからなくて困っている様子のときには「『いれて』って言ってみたらいいんじゃない?」などのコミュニケーションの取り方を伝えるようにしています。

また、1歳~3歳でまだ言葉が出ない場合は、「貸して」と両手の手のひらを上にして叩き、身振りで伝える方法を教えることもあります。

身振り手振りでのコミュニケーションは家庭でも簡単に取り入れることができます

はじめから一人で実践するのは難しいので、まずは保護者の方がお子さんの手を取って、一緒にやってみてください。

3か月ほど経つと自分ひとりで気持ちを伝えられるようになることが増えてきますよ。

 

3-2.他のクラスの友だちとの交流の機会をつくる

同じクラスの友だちがやっている遊びに興味が持てない場合でも、年下の子のお世話が好きだったり、年上の子に甘えながら一緒に遊んでもらうのが好きだったり、同学年とは違う関わり方で友だち関係を築けることがあります

そういった場合は、散歩や自由遊びの時間を他のクラスの子と一緒に過ごし、仲良く交流できる時間を作るようにしています。

年上の子に気持ちを受け止めてもらえると、自身の年齢のクラスに戻ってからも気持ちが安定し、落ち着いて同学年の友だちと遊べる子もいます。

ご家庭でも、いつもと違う公園などに行き、歳の離れた友だちと遊ぶ機会をつくるとよいかもしれません。

 

4.園で友だちと楽しく過ごすために大切なことは、家庭で子どもと信頼関係を築くこと

今回は子どもが一人遊びをしている理由と、友だちと仲良く遊べるようになるために必要なコミュニケーション能力を育む家庭での心がけのポイントをご紹介してきました。

子どもが友だちを作り、楽しく遊べるようになるには、はじめに家庭で保護者の方としっかりと信頼関係を築くことが大切です

お子さんが大好きな保護者の方が園を信頼していると、敏感に感じ取り、園や先生を安全な場所だと感じることができます。

まずは保護者の方が保育園や友だちのことを信頼できるよう、心配なことがある場合は園の先生に相談してみてください。

家庭や保育園など子ども自身が安心だと感じる場所で身近な大人との関わりや一人遊びの経験を十分に積み、少しずつ友だちとの関わりを楽しめるようになっていきます。

焦らず、お子さん自身のいまの状態を理解し、「友だちと遊びたい」と思ったときにスムーズにコミュニケーションを取れるように、ご家庭でも今回ご紹介したことを意識してみてくださいね。

 

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