サッカーは何歳から始められる?メリットやかかる費用を現役コーチが解説!
この記事を書いた人
KANA監督
日本サッカー協会公認C級ライセンス保持。サッカー、フットサル4審判員。
北海道札幌市の小学生男女サッカーチームの監督をしている、数少ないママコーチです。
女の子がサッカーを気軽に始められて、楽しく続けられる環境を作れるように日々奮闘しています。
幼稚園児から大人までサッカーを始める人をサポートすることが目標です。
小学生の子供が3人いて、子育てにも奮闘中です!
「子どもにサッカーをやらせたいけどわからないことが多く、まだ始められてない。」
この記事ではそんな方に向けて、サッカーは何歳からできるの? サッカーをやるメリットって何? 費用はどのくらいかかるの? どんな子にオススメ?といった情報をまとめました。
小学生男女サッカーチームのコーチとしての経験談も交えながら、皆さんの疑問や不安を解決していきますので、ぜひ参考にしてください!
目次
1.サッカーは年中から始めるのがおすすめの理由
サッカーはボールが体や顔に当たったりして、小さい子にはできないスポーツなんじゃないか?と思われる方もいるかもしれません。
実は、サッカーは幼稚園児から70代のお年寄りまでみんなが楽しめる 安全なスポーツです。
そして、サッカーの習い事を始めるのは幼稚園の年中頃がおすすめです。 ではなぜ年中から始めるのがおすすめなのか、その理由を確認してみましょう。
1-1.指導者とコミュニケーションが取れるから
サッカーの練習は指導者の動きを見て真似をするものがほとんどですが、言葉で説明する機会もあります。
ある程度コミュニケーション能力のある年中なら、指示を聞いて練習に取り組むことができますよね。
ちなみに地域のサッカー協会主催の単発のサッカースクールでは指導者の数が多いので、年少さんでも参加できるところもあります。
1-2.自分でトイレに行けるから
少年団も、クラブチームも、スクールも指導者2人で10人かそれ以上の人数を指導します。そのため、毎回トイレについていくのは現実的ではありません。
トイレトレーニング中の子が練習中にお漏らしをしてしまった場合、対応に追われてサッカーどころではなくなってしまいますよね。
また、サッカー場のトイレは和式のところもあります。 これらのことを考えると、一人でトイレに行けるようになる年中さんくらいの年齢が、サッカーを習い始めるのに適した年齢だといえるでしょう。
1-3.自分で靴を履いたり服の脱ぎ着をできるから
シュートを打って靴が脱げてしまった場合や、暑かったり寒かったりして上着を脱ぐ場合に、自分で身支度ができなければ、毎回指導者が全員分の身支度をしてあげなければなりません。
サッカーでは、何もかも身支度をしてあげることはあまりありません。
そのため、年中頃の年齢になり自分で靴を履いたり服の脱ぎ着ができることは、サッカーを習う上では必要不可欠です。
1-4.運動能力の基礎を培う時期だから
人類学者のリチャード・スキャモンによると、神経系は生後5歳までに80%、12歳でほぼ100%の成長を遂げ、一度作られた神経回路はほとんど消えることはないといわれています。
そのため、5歳までに様々な動きをすることで運動神経が良くなることが期待できます。 とくにサッカーは走って蹴ってまた走ってを繰り返すため、体幹が鍛えられます。
体幹を鍛える筋トレもありますが、サッカーで楽しみながら体幹を鍛えられたら良いですよね。
また、スキャモンによると、ヒトの運動能力はゴールデンエイジと呼ばれる時期に著しく発達します。 ゴールデンエイジは、3つの段階に分けることができます。
■プレ・ゴールデンエイジ(3歳~8歳)
・・・さまざまな動作を経験することで、脳が刺激され、運動神経も発達していく
■ゴールデンエイジ(9歳~12歳)
・・・動作を見よう見まねで習得できる
■ポスト・ゴールデンエイジ(13歳~15歳)
・・・筋力や骨格が大きく発達する
年中はプレ・ゴールデンエイジの時期にあたるので、この時期にたくさん体を動かして色々な動きを経験することが大切といえます。
まだ集中力は長持ちしませんが、常に新しいことに興味を持つ時期ですので、さまざまな練習にチャレンジすることができます。
つまり、年中からサッカーを習い始めることで、練習に意欲的に取り組み、運動能力の基礎を培うことができるのです。
では、小学生になってからサッカーの習い事を始めるのでは遅いのでしょうか。 答えは、遅くないです。
小学生はゴールデンエイジの時期のため、動作を見よう見まねで習得できるという特徴があります。
サッカー業界でも小学1〜2年生のカテゴリーであるU-8年代の時期は、目覚めの時と位置づけられ、 これから活動するための体作りをします。
純粋にサッカーが好き、楽しいといった気持ちでサッカーを楽しむことができる時期です。
また小学1年生は、小学校に入学し、生活環境の変化からストレスがたまることがあります。そのストレス解消のためにサッカーで思い切り体を動かすのも良いでしょう。
2.サッカーの習い事を始めるメリット
サッカーの習い事を始めるとたくさんのメリットがあります。
中でも普段小学生を指導している私が、まだサッカーを始めていないご家庭に伝えたい4つのことをまとめました。
2-1.運動神経が向上する
サッカーは鬼ごっこからボールを使ったシュート練習まで、さまざまな練習をします。指導者がそれらの練習を作るときは、各年代に合わせた練習メニューを作ります。
我々の指導者の教本では、12歳以下のU‐12というカテゴリーは、一生サッカーを続けるための基礎技術と運動神経やボールに対する反射などを獲得する時期だと書かれています。
この時期に習得したサッカーの技術は、自転車の乗り方を一度覚えると忘れないのと同じように、選手の中に一生残り続けることでしょう。
また、サッカーは相手の動きを予測しながら動く必要があるなど、頭も使うスポーツなので、頭の柔軟さも向上します。
サッカーをやることで発達する能力は、次の3つです。
- 空間認知能力
- 物事を予測する力
- すばやい判断力
この3つが発達すると、より高度な動きができるようになり、運動神経が飛躍的に伸びます。
2-2.達成感を得られる
サッカーは1つ1つのプレーをつないで試合になります。
そのためパスが通った時、ドリブルで相手をかわせた時、シュートが決まった時、ディフェンスがうまくいった時、ゴールキーパーがファインセーブをした時など、たくさんの場面で達成感を感じることができます。
チャレンジしたことが成功したとき、選手の自己肯定感が向上します。
もしも失敗したとしても、指導者はチャレンジしたことをほめ、失敗から学ばせます。 こういった流れで何事にも臆せず挑戦する力を身につけ、新たに達成感を得て成長していきます。
2-3.挨拶や礼儀を覚えられる
サッカーを始める際は挨拶をしてから練習を始めます。どのスポーツも一緒かと思いますが、終わりには、指導者・保護者・グラウンドや体育館にも挨拶をします。
これはお世話になったときには挨拶をするんだよ、と感謝とリスペクトの気持ちを伝えたいからです。
こうした習慣を身につけることによって、いつでも自然と挨拶やお礼の言葉が出てくるようになります。
2-4.自制心が育まれる
サッカーをプレイしていると、どうしても熱くなってしまう場面が多々あります。
これは大人も子どもも一緒です。 そんなときは怒りに任せて行動するのではなく、冷静になってサッカーをプレイできる余裕を持ちたいですね。
そのためには、普段の練習で自信をつけることが必要です。 練習中だけではなく、家庭でも選手をほめていただくことが、自信に繋がり冷静なプレイができるようになります。
3.サッカーの習い事のデメリットは?
メリットの多いサッカーの習い事ですが、デメリットもあります。
メリットとデメリット、両方を比較してサッカーを始めるか検討してください。
3-1.家族の時間が少なくなる
サッカーは平日2〜4日の練習、週末の練習試合や公式試合と、学年が進むにつれて拘束時間が長くなります。
練習の後は疲れてすぐ寝る、土日は試合というふうになり段々と家族で過ごす時間が少なくなってしまう場合があります。
時間があるときには公園で自主練をする子は、もっと家にいない時間が増えます。
3-2.シューズの買い替えや遠征費での出費が多い
シューズは5㎜単位で買い替えが必要ですし、 外はトレーニングシューズとスパイク、中はフットサルシューズと1年を通して最低3足のシューズが必要です。
また夏の間は毎週遠征に出る場合もあります。そうなると移動費が発生して弁当を作り、間食のおやつを買い、試合の合間に飲むゼリーも必要です。
服も普段来ているものより機能性や通気性が良いものを使用するので、サイズアウトのたびに買わなければなりません。
3-3.ケガのリスクと予防方法
ケガのリスクはどのスポーツも一緒ですし、公園で遊んでいるだけでもケガをすることがあります。
しかし、サッカーでのケガは回復までに時間がかかるものが少なくありません。
例えば、じん帯損傷や骨折、アキレス腱断裂などです。
また、サッカーを続けることで、成長痛も起こりやすく、膝の下が痛むオスグット病や、かかとが痛むシーバー病が特に多いです。これらの成長痛が発症した後は、ケガ同様安静にしなければなりません。
しかし、幼児期のサッカーでは、子どもの体の柔軟性があり、体重も重たくないことから、ぶつかっても大きなケガにつながることはあまりありません。
それでも心配な方は、次のような対策をしておくと良いでしょう。
1.お風呂上りにストレッチをする
お風呂に入って体が温まっているときにストレッチすることで、血行が良くなり筋肉の緊張が緩み通常時よりしっかりとした強度のストレッチができます。
2.親子でランニングをする
幼児期は、サッカーをしているときに転ぶ子が多いです。
転ぶとケガに繋がったり、他の子も巻き込まれトラブルになったりすることもありますが、ランニングをすることで足腰がしっかりし、心肺機能も丈夫になります。
3.体が冷えないように服装を工夫する
寒い日はしっかりと防寒対策をしましょう。
寒い中サッカーをやると、体が硬くなりケガの原因になります。
半そで・短パンの中に薄手の長袖インナーやスパッツ、ピステというかぶりタイプの薄手の上着を着て調整すると良いでしょう。
私が幼児期のサッカーを指導していて多いと感じるのが、さかむけの悪化や爪が割れることです。これはサッカーの前に、爪とさかむけを爪切りで処理しておくと防ぐことができます。
4.サッカーにかかる費用はどれくらい?少年団、クラブチーム、スクールの違いは?
サッカーには、少年団とクラブチーム、スクールがあり、月謝には大きな差があります。詳しく見ていきましょう。
4-1.サッカー少年団の特徴と費用の目安
少年団は昔から地域に根付くチームであることが多いです。強さはピンからキリまであります。
指導者はサッカー経験のあるパパコーチや、地域のおじさんなどで、ボランティアとして指導していることがほとんどです。
運営は保護者が行うため、各家庭の身体的負担は大きくなります。 しかしその分値段が安くなります。
月謝は1000円〜 5000円くらいです。 1000円のところは遠征の際に補助がなく、毎回全額支払いが必要となるでしょう。
月謝が5000円のところは、遠征の時には団費から補助が少し出るでしょう。 少年団は学校で練習することが多く、学校の友達とサッカーをすることができます。
しかし、最近では少子化に伴い、 少し離れた小学校同士の少年団が合併し、練習会場が遠くなっているケースも出てきています。
4-2.クラブチームの特徴と費用の目安
クラブチームは、サッカーを教えることによってお給料をもらっているプロの指導者からサッカーを教わることができます。
クラブチームの指導を求めて遠くからでも入団してくるので、チーム内での競争率が高く、強いチームが多いです。
その代わり月謝は少年団の倍以上で、 だいたい8000円〜20000円近くにもなります。
その他に、チームロゴの入ったジャージやリュック などをお揃いで購入することがあるので、入団時に10000円から30000円ほどがかかってしまいます。
もちろん 遠征費は全額実費です。 自分の学校以外の子たちとサッカーをする機会になるので、交友関係が広がります。 また遠征も遠くまで出かけるので色々な経験をすることができます。
4-3.スクールの特徴と費用の目安
スクールは技術を磨く場所です。少年団やクラブチームと違って対外試合というものがなく、定期的に週に1〜 2回サッカーをしたい選手にオススメです。
また、最近は、チームに所属しながら、自分の強みを伸ばすためのドリブル特化型スクールや、ゴールキーパースクールなどさまざまな種類のスクールがあります。
月謝は5000円から10000円です。 スクールは最初に入会金と指定の練習着を購入することはありますが、その他の支払いはほとんどありません。
たまに、塾の夏期講習のように、集中レッスンがあることもありますが、参加は自由です。
5.落ち着きがない子でもサッカーができる?
サッカーは一つのボールを追いかけてゴールを奪う簡単なスポーツなので、どんな子でもできます。 お子さんが落ち着きなく、多動傾向がある場合でも、健常者のチームで受け入れてくれることがあります。
しかし、 小さいチームだと指導者一人に対し子どもが20人いるなどといった現実なので、手厚いサポートは受けられないかもしれません。
もし近くのチームでの受け入れが難しい場合、身体障害がある子のチーム、精神障害がある子のチームと様々な個性を持った子どもたちでもサッカーをする環境が日本には整っています。
これらを探すためには、各地区のサッカー協会のホームページを検索したり、メールで問い合わせをしたりしてもいいかもしれません。
もしも何かでグラウンドや体育館を飛び出してしまった時、対応してもらえる大人の人数がそろっていることで安心してサッカーができます。
また、できないことがあると大きな声を出してしまうなど、心配なことがある場合は事前に指導者に伝えておきましょう。
指導者である私の経験からお伝えさせていただくと、落ち着きがないのがどれくらいのものなのかにもよりますが、出された指示に反応できれば問題なくどこのチームでも受け入れてくれるでしょう。
実際に、「うちの子落ち着きなくて…」と相談を受けたこともありますが、普段の生活は落ち着かなくても、大好きなサッカーをやるときは集中してくれる子も多いです。
どうしても心配なご家庭は保護者に側で待機してもらい、何かトラブルが起きた時にすぐに対応してもらえるように対策を取ります。
しかし、基本的には子どもは親元を離れて集中してサッカーをしてもらいたいのと、保護者のもとを離れたからできる成長もあるので、お子様だけでお預かりすることが多いです。
6.サッカーを始める年齢やメリット、費用のまとめ
今回はサッカーの習い事に関して、メリットや始める年齢、費用について紹介しました。
ぜひ近くの少年団や、 気になるクラブチームやスクールにコンタクトを取ってみてください。
SNSをやっているところも多いので、まずはDMを送って色々と聞いてみてもいいかもしれませんね。
サッカー少年・サッカー少女が増えることを期待しています。
参考文献
・国立スポーツ科学センター(図3)スキャモンの発育型
・田中,2018,幼児期児童期における運動あそび指導の検討
幼児の習い事に関する記事をご紹介!
・【3歳〜5歳】スイミングはいつから始めるのがおすすめ?発達段階とあわせてご紹介!
・【3歳~】バイオリンは何歳からできる?子どもが習うメリット7選
・リトミックの効果とは?年齢別の活動内容や家庭での実践方法を紹介!