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幼児教室とは?通うメリットや費用、教室の選び方を元講師がわかりやすく解説

この記事を書いた人

白山七衣 白山七衣

白山七衣

  • 心理カウンセラー
  • 幼児教室講師

メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。

幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。

現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。

お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。

休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!

本格的な習い事を始める前に、幼児教室に通うと良いという話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、初めて幼児教室を検討する際、

  • 幼児教室ってどんなところなの?
  • 何歳から通い始めればいいの?
  • 費用はどれくらい?
  • 幼児教室に通うとどのようなメリットがあるの?

など、いろいろな疑問をお持ちの方も多いことでしょう。

この記事では、幼児教室の種類や費用、通うことのメリット、お子さんに合った幼児教室の選び方などについて、詳しく解説します。

また、元幼児教室講師としての経験をもとに、お子さんの具体的な取り組み例や、親御さんからの相談事例も交えながらお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

1.幼児教室とは

幼児教室とは、0歳~6歳までの小学校入学前の子どもが通う教室の総称です。教室の内容にはさまざまなものがあります。

ここでは、代表的な教室の種類と通い始める年齢の目安について紹介します。

 

1-1.幼児教室の種類と通い始める年齢の目安

幼児教室は次のような種類に分かれます。
通常、「幼児教室」と言った場合には、知育系の幼児教室を指すことが多く、初めての習い事として選択する方も多くいます

【知育系】1歳~
子どもの心と知能の発達を促します。多様な知育教材を使って五感を刺激することで、子どもの様々な能力を引き出します。また、保護者への子育て支援も行います。

【学習系】4・5歳~
就学期の学習の基礎になる力を養います。主にプリント教材を使用し、国語、算数、英語など、科目別の学習を行います。

【語学系】2・3歳~
英語など外国語でのコミュニケーション能力を養います。講師が主導するレッスン型の教室だけでなく、保育園や幼稚園のような環境で、子ども同士が英語でコミュニケーションをとる形式の教室もあります。

【スポーツ系】3歳~
水泳や体操などを通じて、子どもの身体の発育を促し、運動能力を高めます。

【音楽・芸術系】3歳~
音楽や絵画を楽しむことを通じて、子どもの潜在能力を引き出したり、専門的な技能を身につけたりすることができます。同時に、想像力や表現力も育てられます。

【小学校受験系】4・5歳~
小学校受験を目指す子どもを対象に、受験科目の対策から面接の対策まで行います。

※知育系・語学系・スイミングなど、親子一緒にレッスンを受ける場合は、0歳から可能な教室が多いです。

 

1-2.幼児教室の形態

幼児教室は形態も様々です。独立した教室、ショッピングモール内に併設された教室、塾の一部、私立幼稚園のプレスクール、オンライン教室などがあります。

特に独立した教室では、教育体系がしっかりしていて、独自の特色を持った教室も見受けられます。

 

2.幼児教室に通うメリット

幼児教室は、知識や技能の習得だけでなく、様々なメリットがあります。ここでは、幼児教室に通うメリットについて解説します。

 

2-1.子どもの潜在能力を引き出す、将来の可能性を広げる

乳幼児期のお子さんは、あらゆる面で大きな可能性を秘めています。

スキャモンの発達曲線によれば、脳に関わる神経系の発達は、5歳頃までに急速に進み、6歳頃には大人の90%程度まで発達します。この急速な発達期に五感に適切な刺激を与えることで、お子さんの心や知能は大きく成長します。

幼児教室では、年齢に適した様々な刺激を受けることができ、お子さんの中の潜在能力を引き出して、将来の可能性を大きく広げることができます。

 

2-2.子どもの適性や興味のあるものに気づくことができる

お子さんは幼児教室での様々な体験を、まさに砂が水を吸うようにぐんぐん吸収します。特に好きなことや興味のあることは、吸収速度も速く、自分から積極的に取り組みます。

例えば、知育系の幼児教室では、様々な知育教材を使用しますが、パズルに興味を示す子、数字に興味を示す子、歌を覚えるのが得意な子、地図や国旗をたくさん覚える子と様々です。

多様な教材に触れることで、お子さんの適性や興味のあるものに気づくきっかけになります。本格的な習い事を始める前に、お子さんの適性や興味のあるものを知っておくと、習い事も決めやすいですね。

 

2-3.自己肯定感が高められる

幼児教室では、年齢に合った教材を使って、細かいステップを踏んで成長できるようにプログラムを組んでいます。そのため、お子さんが楽しみながら、一つひとつ「できた!」という達成感を感じることができます

講師からは、たくさんの褒め言葉や応援がもらえ、お子さんは自己肯定感をしっかり育み、高めていくことができます。

 

2-4.協調性や社会性が身につく

多くの幼児教室では、少人数のグループでレッスンが行われています。それぞれが異なる取り組みをしていても、周りのお子さんの様子が目に入りますし、関わりが出てきます。

初めて集団の中に入る経験をするというお子さんも多く、最初は泣いたり戸惑ったりするお子さんもたくさんいます。しかし、他のお子さんの様子を見て学びになったり、自分の気持ちを他の子の前で表現する経験、複数人でコミュニケーションをとる機会を通じて、自然に協調性や社会性が養われていきます。

 

2-5.子育ての悩みを相談できたり、様々な情報が得られる

幼児教室は、お子さんへの教育だけでなく、保護者の方の様々な育児相談にも応じています。

お子さんの成長は十人十色です。今の状況で大丈夫なのだろうか、将来に向けてどのようにサポートしていけばよいのか、と子育てに関する悩みは尽きません。

講師は、保護者の方が安心して育児が行えるように、専門的な知識や情報を提供し、悩みに対する相談にのっています。また、他の保護者の方と情報交換ができたり、悩みを言い合えたりするので、安心感につながります。

 

3.幼児教育に通う際の注意点(費用や効果など)

様々なメリットがある幼児教室ですが、ここでは注意点をいくつかお伝えします。

特に費用や効果について、悩みを持つ方が多いようです。幼児教室に通う前に、注意点を知って、楽しく有意義に通えるようにしたいですね。

 

3-1.費用面で負担がかかる

幼児教室には様々な種類がありますので、費用も個々に大きく違います。思いがけず経済的負担が大きくなり、続けたいのに続けられなくなってしまうことのないように、事前に調べておきましょう。

以下に目安となるレッスン料を記します。あくまでも一般的な価格帯であり、目安です。教室によっては入会金や教材費等もかかりますので、正確な費用を調べてから教室に通いましょう。

【知育系】 10,000円前後~30,000円程度

【学習系】 1,000円~10,000円程度(受講科目数にもよります)

【語学系】 3,000円程度~40,000円程度(保育型の方が高額の傾向です)

【スポーツ系】 3,000円~20,000程度

【音楽・芸術系】 3,000円~20,000円程度

【小学校受験系】 30,000円程度~(授業内容、受講頻度により大きく変わります)

 

 

3-2.効果の感じ方は個人差があり、時間がかかる場合もある

お子さんの成長速度は個々に異なり、幼児教室に通ってすぐに効果を感じる方ばかりではありません。効果を感じるまでに時間がかかる場合もあり、効果の現れ方も様々です。

例えば、知識や技術の上達のような目に見える成果もあれば、心の成長といった目に見えない変化もあります。効果を感じるタイミングや感じ方は個人差が大きいため、焦らず長い目で見守りましょう。

 

3-3.子どもにとってストレスになる可能性もある

幼児教室に通う場合、保護者の判断が影響します。お子さんに合っていなかったり、たくさんの教室に通いすぎてストレスになってしまうこともあるので、お子さんの様子をよく観察して、楽しんで通える幼児教室選びをしましょう。

 

4.幼児教室の選び方

幼児教室にたくさんの種類があるのはわかったけれど、どうやって選べばよいのだろうとお考えの方も多いことでしょう。

ここでは、親子ともに楽しく満足のいく教室選びができるように、幼児教室を選ぶ際のポイントを紹介します。

 

4-1.幼児教室に通う目的をはっきりさせる

幼児教室に通う場合は、なぜ幼児教室に通うのか、目的をはっきりさせておくと満足のいく教室選びができます。

主に以下のような目的で幼児教室に通われる方が多いようです。幼児教室を選ぶ際の参考にしてみてください。

  • 子育てのアドバイスがほしい
  • 子どもの潜在能力を引き出したい、将来の可能性を広げたい
  • 子どもの心身の発達を促したい
  • 就学前に学習の基礎を身につけさせたい
  • 語学を自然に習得させたい
  • 専門知識・技術を習得させたい
  • 小学校受験対策をしたい

 

4-2.必ず体験レッスンを受ける:4つの確認項目

幼児教室に通う前には必ず体験レッスンを受けましょう。体験レッスンでお子さんの様子を見たり、疑問点は質問して解消してから、安心して通えるようにすると良いですね。特に以下の4点は大切ですので、体験レッスン時に必ず確認しておきましょう。

①教室の教育方針
幼児教室はお子さんの健やかな成長を願って、それぞれ教育方針を明確にしています。自分の考えや求めるものと教育方針が合っているか確認しておきましょう。

疑問に思ったことをそのままにしておくと、あとになって悩みの種になってしまうこともあるので、体験レッスンの時に質問して、疑問は解消しておきましょう。

②教室や講師の雰囲気
楽しく通うためには、教室や講師の雰囲気も重要です。お子さんに合った雰囲気かどうか確かめておくことをおすすめします。

体験レッスン時に、お子さんが初めから大泣きしてしまってレッスンができない場合もあります。人見知りの時期であったり、家族以外の人とあまり接したことがない場合はよくあることです。レッスンができなくても、講師が話しかけたり、様々に対応してくれますので、その雰囲気も教室を決める際の参考になります。

③子どもの興味の示し方
体験レッスンを受けたときのお子さんの様子をよく観察してください。お子さんがあまり興味を示していない場合は、お子さんに合っていないか、まだ年齢的に興味を示せないのかもしれません。もしお子さんがママにしがみついてしまって何もしなくても、びっくりしたような目で講師のやることをじっとみつめているようであれば大丈夫です。お子さんはとても興味を示してくれています。

大泣きしたり、ずっとママにくっついて離れず体験レッスンができなかったのに、2回目に来たときにはすんなりレッスンに入れるお子さんもたくさんいます。

④費用
幼児教室に通う際の注意点でもお伝えしましたが、費用にはレッスン料以外にも入会金や教材費など、その他の費用がかかる場合があります。体験レッスンの時には、具体的な内容と金額をしっかり確認しておきましょう。

パンフレットに記載されていなくても、教室の発表会や検定試験が必須で、別料金がかかることもあります。1年を通してどんな費用がかかるのかを確かめておくといいですね。

 

5.幼児教室の取り組み例と生徒の様子

ここでは、筆者が接したお子さんの取り組み例をご紹介します。幼児教室はどんなところかを知る参考になれば幸いです。

 

5-1.2歳児クラス「ひも通し遊び」

大・中・小、各6色のくまさんをひもに通して遊びました。

手は「第2の脳」と言われるように、手指を器用に動かすことは、脳の発達と大きく関わっています。小さなくまをひもに通してつなげていくことで、手指の巧緻性を高めるトレーニングになります。

最初は、Mちゃんはあまり興味を示さず、くまさんを触っているだけでした。そこで、「赤いくまさんはどれかな?赤いくまさんを最初にひもに通してあげましょう。」「こんどは、青いくまさんが赤いくまさん待って~と追いかけてきたよ」というようにお話をしながらひも通しを見せていったところ、興味を持ち始めました。徐々に自分で「赤」「青」と色の区別や「大きい」「小さい」と大きさの区別をしながら、集中して取り組めるようになりました。

Mちゃんは指先のトレーニングを行いながら、色・形の概念や言葉もしっかり学んでくれました

 

5-2.3歳児クラス「タングラム遊び」

三角や四角のタングラムを組み合わせて別の形を作る遊びをしました。「三角はどれかな?」「四角はどれかな?」と形の概念を確認しながら、タングラムを一つひとつ手に取ってみます。次は、三角と三角を合わせて大きな三角や四角を作る遊びをします。

みんなあっという間にできてしまうので、少しお話しを作りながら自由に組み合わせた形を作って遊びます。すると、あちこちから「先生、山が2つできた!」「蝶々ができた!」と楽しそうな声が上がり盛り上がっています。

Sくんが「先生、つのができた!」と言うのでみんなが注目すると、Sくんは鼻の上に三角のタングラムをのせて意気揚々としています。

このような「タングラム遊び」は、図形認識力が高まるだけではなく、想像力や表現力も養われます。子どもたちは自分の発想で形を組み立て、その楽しさを通じて学びを深めていくのですね。

 

5-3.4歳児クラス「キューブ遊び」

年中から教室に入ったNくんは、キューブ遊びに戸惑っているようでした。みんなと同じようにキューブを積んだり並べたりすることができず、ママは少し困り顔でした。

教室では、いつも同じキューブを使うのではなく、色や大きさが毎回違うものを使っていました。

ある時、色や手触りがNくんの好みに合ったキューブを見つけたようで、「かっこいい!」と言って、急に取り組みを始めました。3個・4個・5個…と数を増やしても講師と同じ形に並べたり、カードの図と同じように並べられるようになりました。

毎回キューブ遊びをしながら、正面から見えないキューブがどこにあるのか、全部で何個か確かめながら遊びます。Nくんも、自分で並べられるようになると、プリントに書かれた立方体の数も正しく数えられるようになりました。

空間認知力や正面から見えないキューブを推測する力がしっかりと身につき、Nくんは自信を持って積極的にキューブ遊びに参加するようになりました。

 

6.【保護者の不安を解消!】幼児教室の疑問Q&A

実際に幼児教室に通い始めて、最初は想像していなかった不安が出てくる場合があります。ここでは、幼児教室でよく寄せられる質問についてお答えします。

 

6-1.子どもが椅子に座らず動き回ってしまいます、どうすればよいですか?

技術を身につけたり、受験指導を受ける場合は別ですが、乳幼児のお子さんが動き回るのは普通のことで、教室内にいられるようであればあまり気にしない方が良いでしょう。

お子さんは、興味があるものに目がいったり、能動的に考えているからこそ動き回るのです。レッスンに慣れてきて今何をする時間か、次にどんなことをするかの予測ができるようになると、椅子に座ってレッスンを受けられるようになります。

叱るのではなく、レッスンに興味を移せるように言葉で誘導してあげましょう。「わぁ楽しそう!」「これは何かな?」「先生は何をしているのかな?」などの声かけをしてあげると良いですね。

 

6-2.子どもに成長が見られなければ教室を変えた方がいいですか?

成長のスピードや様子はお子さんによって様々です。お子さんが楽しそうにレッスンを受けているのであれば、成長を感じられなくても長い目で見守ってあげましょう。

特に学年別のクラスでレッスンしている場合、「言葉が遅い」「みんなと同じことができない」といった悩みを持つ方が多くいます。しかし、乳幼児では月齢による発達の差が大きく、成長の進み方も本当に様々です。

「言葉が遅い」と感じられるお子さんが、外に向かって言葉を発しない場合でも、レッスンで聞いた言葉を自分の中にたくさん蓄えています。ある時から急におしゃべりするようになって、「どこで覚えたの?」というような難しい言葉が出てきてびっくりされる保護者の方もたくさんいます。

 

6-3.子どもが「やめたい」と言ったときどうすればいいですか?

お子さんが「やめたい」と言うときには、いくつかの理由が考えられます。「レッスンに興味を持てない」「他のことに興味がある」「今やっていることをやりたくない」などです。

多くの場合、「今やっていることをやりたくない」というのが主な理由であり、他の教材に切り替えたり、別の日に来ると、また楽しんでレッスンを受けることが多いようです。一時的なものである可能性が高いため、少し様子を見てみると良いでしょう。

しばらく経っても、やめたいと言い続けるようであればやめることを検討しましょう。「やめたい」と言ったからとすぐにやめてしまうと、継続力が身につかない可能性があります。「この学年が終わるまで続ける」「次の級に受かるまで頑張る」といった目標や期限を決めて続けてみることも1つの方法です。目標までやりきったと親子共に納得してやめると、次の成長にもつながりますよ

 

7.幼児教室で様々な体験を楽しんで、子どもの可能性を広げよう

幼児教室は、お子さんの中の様々な潜在能力に働きかけ、能力を引き出すお手伝いをします。

お子さんは好奇心にあふれ、楽しいことが大好きです。幼児教室での楽しい経験を通じて、自分の好きなことを見つけたり、もっとやりたいという気持ちが生まれて、ますます能力を伸ばしていきます。

大切なのは、お子さんの興味や関心を第一に考えて、お子さんが楽しめる教室を選ぶことです。様々な活動を楽しみながら、お子さんの成長と将来の可能性を大きく広げていきましょう。

 

 

参考文献
国立スポーツ科学センター(図3)スキャモンの発育型

 

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