【体験談】モンテッソーリ園ってどんなところ?~モンテッソーリ園に通って感じた子どもの成長~
この記事を書いた人
mon
- 保育士
妊娠中に保育士資格を取得。
フリーの保育士としても働いており、モンテッソーリ園への勤務経験もあります。
2人姉妹(2歳と7歳)の子育てをしながら、心理分野の知識を深めるべく、幼児心理・メンタルケアの分野についての勉強を進めています。
全力で子どもと遊ぶのが得意です!
子どもにより良い園を選ぼうとするがゆえに、幼稚園や保育園選びは悩んでしまうものですよね。
幼稚園・保育園選びの1つのポイントとして、それぞれの園が取り入れているメソッドに注目する方も多いのではないでしょうか。
筆者の娘が通っていた園は、モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園(以下モンテッソーリ園)でした。
今回は実際にモンテッソーリ園での勤務経験もある筆者が、娘をモンテッソーリ園に通わせて、得られたと感じる子どものチカラや成長について、体験談をご紹介します。
目次
1.モンテッソーリ園を選んだ理由
国内外含め著名人にモンテッソーリ教育を受けた方が多いのは有名な話ですよね。
筆者がモンテッソーリ園に決めた大きな理由は、棋士の藤井聡太さんがモンテッソーリ園の出身者だと知ったからです。
将棋における、何手も先のことを想像し、相手の行動を何パターンも考えられる能力の高さに驚いたかたも多いのではないでしょうか。
その根底にモンテッソーリ教育があるとしたら、子どものあらゆるチカラを引き出すのに、かなりの効果があるのではないかと考えました。
そんな安易な理由でモンテッソーリ園に決めましたが、結果、モンテッソーリ園を選んで良かったと感じています。
まずは、そもそもモンテッソーリ園とはどんなところなのか、実際に娘が通っていたモンテッソーリ園を例にあげながら特徴をご紹介します。
2.モンテッソーリ園ってどんなところ?
一言でモンテッソーリ園と言っても、それぞれの園に違った特徴があります。
ここでは、娘の通っていたモンテッソーリ園を例にご紹介していきます。
2-1. モンテッソーリ園の基本情報
娘の通っていたモンテッソーリ園はカトリック系の幼稚園でした。
料金については、保育料無償化に伴って娘の園でも保育料は無料でした。
一般的な園と違っていたところは、
・モンテッソーリ教材費が別途徴収される
・保護者会費の中から先生方のモンテッソーリ教育研修費という項目で支出がある
この2つくらいだったと思います。
モンテッソーリ園だからと言って莫大な保育料がかかることはありませんでした。
モンテッソーリ園と一般的な園との大きな違いは、これからご紹介する3点です。
2-2.「おしごと」と呼ばれる活動がある
モンテッソーリ教育では、園での様々な活動を「おしごと」と呼びます。
「おしごと」というのは、子どもの成長や発達に必要な活動を指す言葉で、大人でいう生活に必要な「仕事」と同様にそう呼ばれています。
例えば、積む、切る、縫う、つまむなどの手や指先を使った活動や、写し文字や数の計算など学習の基盤になるような活動、花の水やりやクッキングといった実生活に通じる活動もすべて「おしごと」と呼びます。
ちなみに、モンテッソーリ園だからと言って一日中「おしごと」をしているわけではなく、もちろん自由に外遊びをする時間や運動や体操の時間もあるのでご安心ください。
2-3.縦割り活動がある
一般的な園が同年齢の子どもで同じクラスを構成する横割り活動なのに対し、モンテッソーリ園は異年齢の子どもで1つのクラスを構成する横割り活動を行うことが特徴です。
年少から年長までが同じクラスに入って活動します。
ただ、成長段階が大きく影響する運動や体操の時間、絵や木工などの活動は同年齢のみの横割り活動なので、ついていけないのでは?という心配はありませんでした。
2-4.園での活動では「本物」を使用する
園で使用するものは、実生活で大人が使用しているのと同じ「本物」です。
例えば、水を入れるピッチャーやグラス、ぬいさし(縫い物)という「おしごと」で使う針や糸、穴をあけるピックなどすべて、子ども用に作られたプラスチック製品ではなく、「本物」を使います。
落としたら割れるものや、危ないのでは?と思うような道具も積極的に使わせます。
これはモノを慎重に、大切に扱う意識を持たせることや、力加減の習得を目的としています。
例えばハサミはプラスチック刃ではなく、ステンレスやセラミックなど、大人のはさみと同じ種類のものを使用します。
しかし大人が使う大きなハサミを与えてしまったら、子どもには使いづらくケガをする危険性も否めませんよね。
まずは子どもの手に合ったサイズのハサミを使用することで「慎重に使う」という意識を持ちながら正しい使い方を習得することができます。
子どものサイズにあったモノであることも大切なポイントです。
一般的な園との違いを交えながらご紹介しましたが、モンテッソーリ園について少しイメージできたでしょうか。
続いては、「おしごと」、縦割り活動、「本物」を使用した活動、この3点から成長を感じた部分を具体的にご紹介していきます。
3.「おしごと」から得られたチカラとは?
モンテッソーリ教育の大きな特徴である「おしごと」
まずは「おしごと」を通じて得られたと感じる2つのチカラをご紹介します。
3-1. 自分で選択するチカラ
モンテッソーリ教育は自発的な活動を大切にし、子ども自身が「選択する」ことに重きを置いています。
子どもたちが毎日行う「おしごと」もそうです。
先生は一度も「これをやってみては?」と教具を促すことはしません。
子どもがやりたい「おしごと」を自分で選びます。
自分で「選択する」ことは、満足感や達成感を味わう上で大切なステップです。
そのため小さいうちから「選択する」習慣ができたことはとてもよかったと思います。
娘をみていると、自分で選ぶからこそ、「今日はここまでしかできなかったから明日はもう少し進めるように頑張ろう!」と意欲的に思えているのだと感じました。
3-2.興味関心を前向きに広げるチカラ
「おしごと」にはたくさん種類があります。
教具を使うものの中にも、簡単なものから難しいものまで様々です。
子どもにも得意不得意はありますし、教具もすべてがクラス全員分の数が用意されているわけではありません。
誰かが使っていたら、別の「おしごと」をすることも多いでしょう。
娘は毎日、
「今日は〇〇ちゃんがあのおしごとをしてたから、私は明日やるんだ!」
「今日初めて○○っておしごとをしたけど難しかった!もっとできるようになりたい!」
と目を輝かせながらその日に行った「おしごと」について話してくれました。
そんな様子を見て、できる・できないだけではなく、挑戦すること自体を楽しんでいたように感じたとともに、興味関心をどんどん前向きに広げ、自分を成長させることを学んでいるんだなぁと嬉しくなりました。
また、1つの「おしごと」だけでなく、子どもが
「あれはどうやって使うものなんだろう?やってみたい!」
とさまざまな「おしごと」に興味を持ち、意欲的に取り組むことができる環境が用意されていることがモンテッソーリ園の魅力だと感じました。
4.縦割り活動を通じて感じた成長とは?
縦割り活動もモンテッソーリ園の特徴的な保育方法と言えるでしょう。
モンテッソーリ教育に縦割り活動が取り入れられている理由は、異年齢の子どもと共に活動することで互いに刺激し合い、協調性や社会性を学ぶことができるからです。
筆者自身は横割りの園出身だったので、最初は大丈夫なの?と半信半疑でした。
ですが、今思えばとてもメリットの多い活動だったと思います。
ここでは縦割り活動を通じて子どもの成長を感じた2つのポイントをご紹介します
4-1. 年上の子への憧れが意欲につながる
縦割り活動のメリットには、年上の子を見習うことができるということがあります。
娘が年少だったある日、年長だった同じクラスの女の子からお手紙をもらってきました。
そこには可愛らしい絵と「〇〇ちゃんだいすきだよ♡またあそぼうね!」というメッセージが書かれていました。
年長でこんなに文字が書けるのか!と驚いたのですが、それ以上に娘が「私もお返事書きたい」と言い出したのには衝撃を受けました。
年長さんからのお手紙に尊敬と憧れを感じ、娘は自分から文字に興味を持ちました。
子どもが自分でやりたいと思ったことの成長の速さには目を見張るものがありました。
あっという間にひらがなをマスターし、その年長さんが卒園するまでには簡単なお返事が書けるようになったのです。
他にも、年長になると木工や刺繍の活動が始まるのですが、年中になると「年長さんになったら刺繍があるの!だから年少さんのうちから縫いさしのおしごとをたくさん練習しておくんだ!毎日1つは仕上げるよ!」と意気込んでいたのを覚えています。
年上の子への憧れが大きな意欲、そして成長に繋がっていくと感じました。
4-2.年下の子への関わり方が自然と身に付く
縦割り活動を通じて、技術的なことだけではなく年下の子への関わり方が身に付いたとも感じます。
年中、年長と学年が上がるにつれ、自分より年下の子がクラスに入ってきます。
どのように下の子に接するのがいいのか、どう手助けしてあげればいいのか、そのようなことを娘から相談されたことがありません。
教えてはいませんが、小さい子と話すとき娘は自然としゃがみ目線を合わせていました。
下の子から何かを聞かれた時も、娘はやり方を見せてあげて、すべてやってあげるようなことはしません。
上の子や先生が見せてくれていたこと、やってくれていたことを自然と身に付けていたのだと思います。
その子にとって、どのような関わり方が大切かというのを感覚的に学べたことは、縦割り活動の賜物だと感じました。
5.「本物」を使用することで得られたチカラとは?
そばで見ていないと危ない、失敗すると後の掃除が大変になるといった大人の都合で、我が家では「本物」の道具をあまり使わせていませんでした。
園での「本物」を使用した活動は、娘にとっても初めてで貴重な体験でしたし、親にとっても学びが多くありました。
「本物」を使った活動によって得られたと感じる2つのチカラをご紹介します。
5-1. 予測や加減するチカラ
例えば、ピッチャーでグラスに水を注ぐという活動では「本物」のガラスのピッチャーとグラスを使います。
落としたら割れるかもしれないし、ピッチャーを傾けすぎるとグラスから水がこぼれてしまうかもしれません。
「本物」を使うことで、そういったことを予測し、加減しながらゆっくり少しずつ注ぐことを身に付けます。
最初はもちろんこぼします。
それでも何度かやっている内に、上手に注ぐ感覚を身に付けていきました。
他にも、花を生ける花瓶もガラスや陶器のものを使います。
最初はお水を換えるのも、見ている親がヒヤヒヤしたのですが「本物」を使わせることで、手触りや重み、特徴を捉えて、子どもなりに「これは慎重に扱わないといけないものだ」と知り、大事に扱うようになっていきました。
予測すること、加減の仕方、大切に扱うこと、これらは「本物」を使ったからこそ身に付いた能力だと感じました。
5-2.実生活でも役立つ能力
本物を使う活動のおかげで、実生活でも役立つことが多くなりました。
例えば、料理やご飯の支度を手伝ってもらうときにその効果を感じます。
年少の中頃には、家族のお茶を入れたり、お皿やお茶碗の準備をしたり、進んでお手伝いをするようになりました。
それまではプラスチックの子ども用食器を使っていましたが、大人と同じく陶器の物に替えたのもこの頃です。
年中では少しレベルアップさせて、子ども用サイズの包丁とまな板を与えました。
手を切らないように気を付けながら、上手に食材を切ってくれます。
自宅でも「本物」を使うようにしたことで、食に対する興味も格段に上がったように感じます。
6.モンテッソーリ園に通わせてみて
ここまで、モンテッソーリ園での活動を通じて感じた子どもの成長についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したことは、モンテッソーリ園で得られたことのほんの一部ですが、娘の成長を大きく感じた部分でもあります。
娘の性格に合っていたこともあって、モンテッソーリ園を選んだことはとても良かったと思っています。
お子さまに合った幼稚園・保育園選びができますよう、この体験談がお役に立てれば嬉しいです。
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