女の子とばかり遊ぶ男の子…このままでも大丈夫?子どもの気持ちと見守り方を解説
この記事を書いた人
中川さくら
- 保育士
- 児童指導員
学生時代に障害児福祉を学び、小学校の特別支援教育支援員や療育施設の保育士、学童保育、小学校などで、子どもたちやそのご家族と関わる仕事を約10年ほど経験しました。
今は、保育園に通う1歳の息子がいます。
昔バックパッカーだったので、いつか家族で世界を旅することが夢です。
お子さんが遊んでいるのは、いつも異性のお友だちばかり。そんな様子に「これでいいのかな」と不安になった経験はありませんか?
CONOBASにも、4歳の男の子のママから「男の子なのに、女の子とばかり遊んでいる」というお悩みをお寄せいただきました。
男の子だけど、女の子とばかり遊んでいる…
4歳男の子 ママからのご相談
うちの子は男の子ですが、いつも女の子と遊んでいます。
本当に良いのか気になります。
相談者様のお子さんのように「女の子とばかり遊ぶ男の子」もいれば、「戦いごっこよりおままごとが好きな男の子」もしくは「青色よりピンク色の物が好きな男の子」もいますよね。
その逆で、「男の子とばかり遊ぶ女の子」や、「戦隊モノや乗り物が好きな女の子」もいるでしょう。
男女平等やジェンダーフリーな考えが広まっている今だからこそ、 「周りの人には相談しにくい」 「『だめ』なわけじゃないし…」 「本音を言えば、同性のお友だちとも遊んでほしい」
そんなモヤモヤした思いを抱えている親御さんは、相談者様だけではありません。
ママやパパの感じる不安は、どんな心配事が根本にあるのかを整理して、お子さんの気持ちと見守り方を考えていきましょう。
目次
1.女の子とばかり遊ぶ男の子の気持ちとは?
男の子が女の子とばかり遊ぶのは、決して悪いことやおかしなことではなく、過度に心配する必要はありません。
まずは、男の子のお子さんが女の子と遊ぶのはなぜか、3つの理由から想像してみましょう。
その逆で、男の子とばかり遊ぶ女の子や、おままごとよりも戦いごっこなどが好きな女の子のママパパも参考にしてみてください。
1-1.女の子の好きな遊びが好き
1つ目は、「おままごとや人形遊びが好き」という理由です。
それらの遊びは、一般的には「女の子が好きな遊び」という印象を持つ人が多いでしょう。しかし、おままごとが好きな男の子も、電車やミニカー遊びが好きな女の子も、実はたくさんいます。
本人としては好きな遊びをしているだけなのですが、女の子が多い遊びのため、結果として「女の子とばかり遊んでいる」と周囲の目に映っている可能性があります。
4歳くらいのお子さんは、「これは男(女)の子の遊び」と意識しているわけではありません。
多くの男の子が好む「戦いごっこ」など、激しい遊びが苦手な男の子もいますし、電車や車などの乗り物に興味がない男の子もいます。
遊びの好みは、お兄ちゃんやお姉ちゃんなどのきょうだいの影響を受けることがあります。
1-2.女の子の中に気が合う子がいる
2つ目は、「女の子の中に気が合うお友だちがいる」という理由です。
幼くても、波長が合ったり性格が似ていたりすると、一緒にいると心地よさを感じるものです。
同じ遊びが好きだと仲良くなるのも自然なことです。
男の子といえば、やんちゃで活発なイメージを持つ人が多いかもしれません。ですが、物静かでおとなしい男の子ももちろんいます。
やんちゃな男の子が怖い、騒がしい声が苦手などの理由で、男の子の集団に入らないお子さんもいるでしょう。
自分らしくいられる、居心地の良い人と一緒に過ごすことは、とても大切なことですね。
1-3. 異性の概念がまだない
3つ目は、「異性という概念がまだない」という理由です。
個人差はありますが、3〜4歳くらいになると「男と女がいること」や「自分の性別がどちらなのか」がわかるようになり、周囲からの影響なども受けながら自身の性別を自覚していきます。
しかしそれは「同性・異性」という概念ではないのです。
子どもたちは「友だちと遊んでいる」のであって、「女友だち(男友だち)と遊んでいる」と意識しているわけではありません。
2.異性とばかり遊ぶことを心配してしまう理由
きっと多くのママやパパは、子どもたちが男女関係なく遊ぶのは良いことだと思っているでしょう。
ただその一方で、異性と遊ぶ我が子が心配なのはなぜでしょうか。
不安やモヤモヤした気持ちの根本にある心配事を、整理してみましょう。
2-1. 周りの子にからかわれないか心配
「周りの子にからかわれてしまうかもしれない」という心配は、多くの方が抱えやすい悩みの1つです。
幼いうちはいいけれど、年長さんや小学生になったら「女の子とばかり遊んでいること」や「女の子が好きな遊びをしていること」で、周囲から心無いことを言われたり、仲間はずれにされたりしないかと心配になる方もいるでしょう。
「嫌な思いをしてほしくない。いじめられたり、傷つけられたりしないで、楽しく過ごしてほしい」
いつでも我が子にそう願うのは親心ですよね。
2-2.周囲の目が気になる
周囲からの目が気になってしまうことも、抱えやすいお悩みの1つとして挙げられます。
その根本には、 「他の子と違うから、『あの子は変』と思われているんじゃないかな」 「幼稚園や保育園のママ友から、陰で何か言われていないかな」 というような、ママやパパの気持ちがあるかもしれませんね。
どんなに「うちの子はうちの子」と思うようにしても、集団生活や社会の中で生活している限り、周りからの視線や評価を「まったく気にしない」のは難しいことです。
まずはご自身の気持ちを自覚し、「そうか、だから私は不安だったんだ」と、受け止めてあげることがおすすめです。
2-3.大きくなったらどうなるのか不安
このまま大きくなったらお子さんはどうなるのだろうと、漠然と不安に感じることもあるでしょう。
「これから先も異性とばかり一緒にいるのだろうか。思春期が来てもこのままで大丈夫なんだろうか。」と交友関係を不安に思う方もいれば、LGBTである可能性を考える方もいらっしゃるかもしれません。
どちらも、お子さんの未来を想像して「楽しい人生を送ってほしい」と願うからこその不安ですよね。
先述したように、この時期はまだ「異性」という概念が身についていない段階です。しかし、成長と共に交友関係は変化していきます。
また、もしお子さんがこの先も異性の友人とばかり過ごしていたり、LGBTだったとしても、そのこと自体は決して悪いことではなく、不安に思う必要もありません。
ありのままの自分を大切に思える力を育むことが、お子さんの明るい未来に繋がる基盤になります。
3.異性と遊ぶことのメリット
心配事の中で、ご自身の気持ちに当てはまるものはありましたか?
大切なお子さんのことですから、心配に思う気持ちはありますよね。ですが、男女関係なく遊べることは良い面もあります。
異性と遊べるお子さんだからこそ持っている、良いところに目を向けてみましょう。
3-1.男女差別のない価値観が育つ
性別にとらわれずに遊ぶ経験を通して、子どもたちは男女差別のない価値観を育むことができます。
自分自身が異性と遊んでいるので、「女(男)の子なのに、そんなの変」など他者に対しても言わないでしょう。
近年では、あえて性別での区別を無くしている園が増えています。
例えば、制服をスカートかズボンか選べる幼稚園もあれば、「男の子は青のカゴ、女の子はピンクのカゴ」と性別をイメージづける色分けをしないよう意識している保育園もあります。
これらはジェンダーフリー教育とも呼ばれ、性別関係なく自分らしさを大切にする気持ちを育みます。
周囲の人の生き方を尊重し、多様性のある社会を生きていく強みになるとも言えます。
子どもは遊びを通して、このように人として大切なことを学ぶので、大人が必要以上に交友関係や遊びに介入してしまうと、お子さんの「性別に対する価値観」に影響を及ぼす可能性があります。
こんなに素敵な経験ができるお子さんを、もしからかわれてしまうことがあれば、それは間違っていますよね。
将来必要な価値観の基礎を育てている大切な時期だと、ママやパパが自信を持ってお子さんの味方になり、貴重な経験を守ってあげたいですね。
3-2.性別を気にせず遊べるのは小さい頃の特権
「女の子とばかり遊んで…」と性別を意識しているのは、実は大人だけです。
年齢が上がるにつれて、子どもたちの交友関係は変化し、同性の友だちが増える子も多くいます。
「これから先はどうなるのだろう」と、先のことをあまり心配しすぎずに「性別にこだわらず遊べるのは今だけの特権」だと捉えると、今より少し気が楽になれる気がしませんか?
3-3.お人形遊びは心を育てる
男の子でも、赤ちゃんを抱っこしたりままごとで料理をしたりするのが好きな子はたくさんいます。
中でも「お人形遊び」は、子どもの心の発達に優れた効果があると明らかにした研究があります。
そこでは、お人形を使ったごっこ遊びによって、思いやりの気持ちや他者の感情を理解しようという気持ち、感情の共有をしようとする心の発達が促され、創造性、協調性を伸ばす可能性が示されました。
また、言語能力の発達にも良い影響を与えるそうです。
おままごともお人形遊びも、男女関係なく楽しめます。大人が「女の子だから…男の子だから…」という理由で遊びの幅を狭めて、成長の機会を減らしてしまうのはもったいないですね。
参考:『メルちゃん』遊びによるお子様へ与える影響の研究~お人形遊びで育つ大事な心と言葉の発達
4. 女の子とばかり遊んだってOK!我が子の味方になろう
今回は、お子さんが異性とばかり遊ぶ、もしくは異性の好きな遊びを好む理由と、ママやパパの心配事を整理し、1つずつ解説していきました。
好きなことを見つけること、性別問わずお友だちを作ることは、誰にでもできることではありませんし、きっと人生において大きな財産になるでしょう。
未来の心配もあるかもしれませんが、今はただ「好きな遊びなんだね」「大事なお友だちがいるんだね」と、そのままの姿を理解するだけで十分なのだと思います。
お子さんが年齢や成長と共に、自分のことを理解していく、成長していく過程のありのままを見守ってもらえたら、お子さんは自信を持って自分の人生を選択していける人になるでしょう。
大好きなママやパパに味方になってもらえたら、きっと心強いですね。
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