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「大人が大勢いると恥ずかしい!」行事が苦手な子どもの心理と対応法

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たなかれいこ たなかれいこ

たなかれいこ

  • 心理カウンセラー
  • 保育士
  • ペアレントトレーナー
  • カラーセラピスト

子どもと関わる仕事がしたいと、保育士資格を取得しました。

障害児者福祉に5年ほど関わる中で、保護者さんの大変さを実感し、現在はペアレントトレーニングをはじめとする子育て支援の事業を行っています。

プライベートでは小2の娘と暮らすシングルマザーです。

娘と一緒にいろいろな体験やお出かけをするのが楽しみです。

「恥ずかしがり」「人見知り」そのような性格のお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

人が集まる場や、自分に視線が集まる場で緊張することは誰しもあることですが、なかなか保護者さんから離れられなかったり、大泣き、癇癪を起してしまう場合は保護者の方も心配になってしまいますよね。

CONOBASのお悩み相談フォームにも、「沢山の人が集まる幼稚園の行事が苦手で、大泣きしてしまう」というお悩みをお寄せいただきました。

今回は保育士、心理カウンセラーの資格を持ち、現在はペアレントトレーナーとして子育て支援の場で活躍されている、たなかれいこさんにお話を伺いました。

子どもの「恥ずかしい」のことばに隠された気持ちや、子どもへの接し方、保護者の方に向けた少しでも心が軽くなる考え方のポイントなどをご紹介します。

(CONOBAS 編集部)

 

知らない人が多く集まる場所や行事、注目されることが苦手…「恥ずかしい」

3歳から保育園、4歳から幼稚園に通っていますが知らない大人が沢山集まると緊張?と恥ずかしいという気持ちが出てしまうようで行事ごとがとても苦手です。

人混みが苦手というのは感じた事がないのですが、大人の人が沢山いて自分が注目されるような事が苦手の様でそのような場になると「ママ抱っこ!」となってしまい、離れるようなことになれば大泣きして癇癪を起こしてしまいます…。

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何がいやなのか聞いても「恥ずかしい」と答えるだけで他に先生などがお話しをしても全然耳に入ってる感じはしていません。

お友達が声をかけてくれても同じです。たまに集まる親戚の集まりなども同じです。

幼稚園の行事に比べると人数も少ないですし顔馴染みも少しはあるので10〜20分ほどで落ち着いて遊びはじめられますが幼稚園の行事だと1時間ぐらいは泣いたりを繰り返します。

これから行事が増えていきますが親としても行きたくないと思ってしまいます。

幼稚園の夏祭りがあったので数日前から「沢山のパパ、ママが幼稚園に来るからね。でもみんな自分の子供たちを見に来てるから大丈夫だよ」と伝えていたのですが効果はなく大泣き癇癪でした。

同じような子は見当たらなくて勝手に比べてしまい、なぜ楽しめないのだろうと焦ってイラついて強く言ってしまって後悔しての繰り返しです。

どのように接すればよいのでしょうか。

他の子は楽しめているのに…と思うと余計に寂しく感じてしまいますよね。

 

相談者様は、「他の子は楽しんでいるのに、どうして我が子はみんなと同じように楽しめないの?」とお悩みとのことです。

どうして子どもは「恥ずかしい」と言って、みんなと同じように楽しめないのでしょうか。

子どもの「恥ずかしい」に隠された気持ちを読み解きながら、どのように対応すればいいかを一緒に考えていきましょう。

 

目次

 
 

1.どうして「恥ずかしい」の?「恥ずかしい」に込められた子どもの心理

相談者様のお話から、お子さんの「恥ずかしい」という言葉にはいろいろな気持ちが込められている可能性が考えられます。

ここでは、お子さんの「恥ずかしい」に込められた気持ちとその理由を考えていきましょう。

1-1.子どもの「恥ずかしい」に込められた気持ち

「恥」の感情は2〜3歳ごろから発達するといわれています。
そもそも「恥ずかしい」というのはどのような感情なのでしょうか。

「恥ずかしい」を辞書で引くと次のように書かれています。
1.自分の欠点・過失などを自覚して体裁悪く感じるさま。面目ない。
2.人目につきたくない思いである。気詰まりである。てれくさい。
3.相手がすぐれていて気おくれするさま。立派である。
(引用:デジタル大辞泉 )

今回の相談者様のお子さんの場合は「人目につきたくない思い」から「恥ずかしい」という言葉が出たとが考えられます。

さらに、お母さんから離れたくないという行動や、泣いてしまうといった行動もみられていますね。

ある研究では、恥ずかしさを感じると人はその場から逃げ出したい衝動にかられたり、苦痛やストレス反応をもたらしたりすることが分かっています。

これらのことからお子さんの気持ちを考えると、その場から逃げ出したい思いや、ストレス反応から不安になっていると考えられます。

「ママ抱っこ」という言葉も、不安だからこそ出てきた言葉なのでしょう。

 

1-2.子どもが「恥ずかしい」と言う理由

お子さんに「何が嫌だったのか」を聞いても「恥ずかしい」としか言わない状況にはいくつかの理由が考えられます。

■混乱してうまく説明できない

お子さんが、先生やお友達に話しかけられても「恥ずかしい」としか言わないのは混乱しているからという可能性があります。

「よく知らない人に声をかけられて恥ずかしい」「恥ずかしくてここにいたくない」「ママ、ここにいたくない」など、いろいろな感情が沸き起こり、次々に沸き起こる感情に気持ちがおいつかず、その結果混乱してしまうのでしょう。

4歳頃だと、他に自分の感情を上手に説明できる言葉を知らず、「恥ずかしい」としか言えないことも理由と考えられます。

 

■慣れていない人や場所に不安がある

お子さんは普段から恥ずかしがり屋さんですか?

例えば、大人が1人や2人のときの様子はどうですか?

恥ずかしいけれども、行事の時のように混乱することはありますか?

大人が1人や2人の時は混乱することがないのであれば、行事との違いは何かを考えてみましょう。

「知っている場所や人がいつもと雰囲気が違う」、「知らない人や慣れていない人に沢山声をかけられる」、「突然声をかけられる」などが考えられます。

これらのことが重なって、不安に感じてしまうことがあります。

 

■過去の経験がトラウマになっている

過去に大勢の人がいる所で何か不安な思いや怖い思いをしたことがあったりしませんか?

その記憶が残っていて、大勢の人がいると不安になってしまうことも考えられます。

 

■子どもの気質や個性

人にはそれぞれ性格や個性があります。

親と子、同じ親から生まれた兄弟でも性格や個性はそれぞれ違います。

お子さんは、周囲の変化に敏感で、その変化に対応するのに時間がかかるタイプという可能性もあります。

これは決して悪いことではなく、周囲の変化によく気が付くという利点でもありますよ。

 

お子さんの気持ちをまとめてみます。

 
 

2.「恥ずかしい」という子どもに親ができる対処法

お子さんはの「恥ずかしい」気持ちの裏側には、混乱からおこる不安があるということがわかりました。

それではお子さんが不安なとき、親御さんはどのように対処すればいいかを考えていきましょう。

 

2-1.不安な子どもの気持ちに寄り添う

「恥ずかしい」と感じたとき、お子さんは不安な気持ちでいっぱいです。そんなときは何を言われても耳に入ってきませんよね。

まず親ができることは子どもの気持ちに寄り添うことです。

「気持ちに寄り添う」とは、子どもの気持ちを否定しないで受け止めることです。「そうだね。恥ずかしいね」と子どもの気持ちを受け止めてあげることが大事です。

すぐに子どもが落ち着くことはないかもしれません。

しかし、気持ちを受け止めてもらえた子どもは「自分の事を分かってくれる。ママといれば大丈夫」と感じられるようになります。それが子どもの自信を育てることにもなりますよ。

 

2-2.子どもを安心させてあげる

「ママ抱っこ」という言葉からも安心を求めていることが分かります。

大勢の人がいるところが怖いのであれば、少しその場を離れて子どもの様子を見ましょう。
そして子どもを抱っこして「ママと一緒だから大丈夫だよ」とやさしく声をかけてあげましょう。

まずは安心する場所があることが大切です。

何か不安なこと、怖いことがあったときに逃げられる場所や守ってくれる場所や人がいるのは安心できることです。逃げられる場所、安心できる場所や人がいると人は安心して新しい環境に踏み出すことができます。

お母さんという安心できる場所があることで、子どもも少しずつがんばる勇気が出てくるのです。

実際に安定した愛着の形成が「ありのままの自分を認める」ことや「安定した対人関係を結ぶことができる」という自信を高めたり、「人から見られる自分への自信のなさや不安」を軽減するといった研究結果もあります。(森下・三原 2015)

また、子どもを安心させるためには事前に説明しておくことも大切です。

相談者様はすでに実行していますね。とてもいいことです!

ただ、相談者様は「説明しても効果がなかった」ともおっしゃっています。考えられる原因は、お子さんの想像する力がまだ未熟である、ということです。これは、経験が少ないので仕方のないことです。

事前に伝えておくことは多少なりとも安心感を与えるものなので、お話をすることはぜひ続けてくださいね。

もうひとつアドバイスするとすれば、「こんな楽しそうなことがあるよ」という何かワクワクするようなことも伝えると良いですね。

幼稚園の夏祭りであれば「先生たちがお店を出すんだって。どんなお店があるのかな?○○ちゃんはなにがしてみたい?」などはどうでしょうか。

ポイントは、子どもがワクワクすることを考えて、不安な気持ちをそらせるようにすることです。

楽しいことを想像できるような声掛けを続けたり、実際に楽しい経験を重ねることで、お子さんの想像力も育まれていきます。

 

2-3.恥ずかしがる子どもに無理強いしない

幼稚園の行事や親戚の集まりでは、ある程度時間が経てば慣れてくるとありました。

慣れてくると、その後の様子はどうでしょうか?普段と同じように楽しめていますか?

楽しめているようであれば、違う雰囲気に慣れるのに時間がかかる気質である可能性があります。

そういった場合は、それもお子さんの特徴だと受け止めお子さんのペースを大事にしてあげましょう。

無理をさせると嫌な気持ちが強く残ってしまい、お子さんが行事に対して嫌な印象しか持たなくなってしまう恐れがあります。

先ほども述べましたが、ある状況に嫌な印象を持ってしまうことは、次に似たようなシチュエーションになったときに再びネガティブな感情を引き起こすことにつながってしまいます。

 
 

3.「うちの子だけ…」焦ってイライラ…。心が楽になる、子どもとの接し方のヒント

「みんなと同じように楽しんでほしい」と願うことは、多くのお母さん、お父さんが考えることでしょう。

しかし、子育てはなかなか思うようにならないですよね。ここでは、無理せず子どもと接するコツを紹介します。

 

3-1.「まぁいっか」という気持ちがあってもOK

子どもを落ち着かせようと思っても、時には上手くいかない事もありますよね。そんな時は「まぁいっか」と声に出してみましょう

子どもは、今は自分の気持ちをコントロールする練習をしているところです。たまに、うまくコントロールできなくて失敗してしまうこともあります。

親も同じように子どもとの関わりを模索している途中です。上手くいかない事もあります。

つまり親も子どもも一緒にがんばっている途中なのです。それでも、がんばりすぎると疲れてしまいますよね。

そんな時はひと休みしても大丈夫です。親が落ち着いていると、いつの間にか子どもも落ち着いてきたりすることもあります。

相談者様が、頑張っているご自身を認めて、たまには「まぁいっか」と気持ちを落ち着けられるといいですね。

 

3-2.人を頼ってみる

「親としても行きたくないと思ってしまいます。」という気持ち、とても共感します。イヤイヤ言っている子どもをなだめるのは大変ですよね。

「他の子は楽しめてるのに、うちの子はなんで楽しめないの?」
「楽しい行事を企画してくれた先生方にも申し訳ない」
相談者様も、辛い思いをするくらいなら行きたくないと感じるのも不思議ではありません。

そんな時は、人に頼ってみましょう。

相談者様の代わりを親族や旦那様など、誰かに頼むのもよいですね。
とはいえ、頼める相手がいなかったり、いつも相談者様の代わりを誰かに頼むわけにはいかないかと思います。

誰かに代わりをお願いできないときは、事前に周囲の人に相談をしてみましょう。

園の行事であれば、事前に担任の先生に相談されるのが1番です。

理由は、「子どもの事を普段から見て理解している」「今までも色々な子どもを見ているので適切な対応ができる」からです。

相談者様が「どうしてうちの子だけ?」「私も行きたくない!」と思っている気持ちを伝えても大丈夫ですよ。

親族の集まりであれば「うちの子は恥ずかしがり屋なんです」と伝えておけば、「そうなんだね」と理解してくれたり、事前に伝えることで相談者様の不安を軽減したりすることもできるでしょう。

子育て中は悩みが尽きないものです。ひとりで悩んでいると辛くなってしまいますよね。

不安な時は、遠慮なく人に頼ってください。

 

3-3.みんなと同じじゃなくてもいいと考える

「同じような子は見当たらなくて勝手に比べてしまい、なぜ楽しめないのだろうと焦ってイラついて強く言ってしまって後悔しての繰り返しです」とあったように他の子と比べるのはよくないと分かっていても、つい比べてしまいますよね。

筆者は比べること自体はそれほど悪いこととは思いません。

比べることで「良い悪い」と判断することに問題があります。

相談者さんは「他の子は行事でも楽しんでいていいな。それなのに、うちの子は…」と感じていると思います。知らず知らずのうちに、「行事は楽しむべきもの」という気持ちがあるのだと思います。

もちろん、行事を楽しめたら準備した先生方もうれしいと思います。でも、強制するものではありません。行事を楽しめるからいい子、行事を楽しめないから悪い子というわけでもありませんよね。

行事に関わらずみんなと同じように、何かをできなければいけないわけではありませんよね。

「他の子は行事でも楽しんでいていいな。うちの子は苦手だからしょうがない!まぁいっか!」と考えてみませんか。

 

3-4.我が子の良いところを見る

普段のお子さんの様子はどうですか?

お絵かきが上手だったり、積み木が上手だったり、お友達と元気に外で遊んだりと楽しく遊んでいると思います。

お子さんはたまたま、大勢の大人がいるところが苦手なだけ、という場合もあります。お子さんには苦手なこともあるけど、得意なこともあると思います。

できること、できないことがあって当たり前と考えてみましょう。

また、「苦手な行事でも、慣れてくれば落ち着いて遊ぶこともある」のですね。落ち着くまでお子さん自身は、その環境に適応しようとがんばっているのです。

「子どもに楽しんでほしい気持ちもあるけど、今この子はがんばってるんだ!」と考え、その頑張りを認めてあげましょう。

そして「ママ抱っこ」というのであれば、ぎゅっと抱きしめて子どもががんばれる力を貸してあげましょう。

時間がかかることもあるかもしれませんが、子どものがんばりを受け止めて、親は見守ってあげられたら良いですね

 

3-5.子どもの気持ちを考えてみる

ここまで、うまくできないときにお母さんの気持ちが少しでも楽になる考え方のポイントをお話しました。

一方で、子育てで何か困りごとが起きたときに解決したいと思う気持ちは当然起こるものですよね。

根本的な問題を解決するために大切なポイントを最後にお伝えします。

 

親が望むことと、子どもが望むことがいつもおなじとは限りません。

親子でも、同じ親から生まれた兄弟でも考え方や感じ方は違うのです。

そのことを理解したうえで、「子どもは何を感じているんだろう」、「子どもはどう思っているんだろう」と考えてみましょう。

イライラしていると、そこまで頭が働かないこともあります。落ち着いてからでも大丈夫です。

「あのとき、子どもはなにを感じてたのかな」と考えてみましょう。

 

子どもの気持ちを考えるポイントは、その状況の前後を見て何が子どもに影響していたかを考えると分かりやすいです。

その場での対応も大切ですが、子どもの気持ちを理解することで根本的な問題が分かり、子どもへの対応方法も見えてきますよ。
勿論1人で考えるのが難しいこともありますよね。

そんなときは先生や専門家に相談してみるのも1つの手です。

そのとき大切なのが子どもの様子を記録しておくということです。

どんな出来事があり子どもがどんな様子だったのかを記録しておくことで、原因や解決法を探ることができますし、今後の子どもの変化や成長もわかりやすくなりますよ。

 
 

4.ありのままの子どもを見つめよう

筆者は放課後等デイサービスで勤務していました。

放課後等デイサービスには小学生から高校生まで、様々な困りごとをもった子どもたちがやってきます。

自分で着替えができない子、集団活動が苦手な子、ひとりで食事が出来ない子、歌が大好きな子、お絵描きが上手な子、泣いているお友達に「大丈夫?」と声をかけてあげられる子、元気に挨拶してくれる子。

発達がゆっくりと言われる子どもが多いですが、間違いなく日々成長しているのを感じました。

子どもたちは困りごとの程度や障がいのあるなしにかかわらず、日々成長しています。今はできなくても、去年よりも出来ることはたくさんあります。

そして、みんなと同じように成長する必要はないです。それぞれのペースで、少しづつ成長していけば大丈夫ですよ。

今がんばっている子どもを認めて、子どもの成長を見守ることができるといいですね。

今の「困った」が、将来の思い出となるよう応援しています。

 

主な参考文献
・森下正康 三原まどか(2015)親しい人との愛着関係が対人不安に与える影響 : 内的作業モデルと自己受容を媒介として 発達教育学研究 : 京都女子大学大学院発達教育学研究科博士後期課程研究紀要 009 31-42
・小尻 美奈(2020)ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント 翔泳社
・久崎 孝浩(2010)恥の個人差の発達的要因を探る 心理学評論 53巻 1号 62-76
・高橋靖子 野々部友香(2018)母親の養育態度と乳児期の気質が幼児の不安傾向に及ぼす影響:家庭の雰囲気を媒介要因として 愛知教育大学研究報告 教育科学編 67(1) 167-174
・久崎 孝浩(2005)幼児の恥と罪悪感に関連する行動に及ぼす発達的要因の影響 心理学研究 76(4) 327-335

 

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