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怖がりすぎる子どもが心配!保育士が考える原因と克服法をご紹介

この記事を書いた人

工藤りえ 工藤りえ

工藤りえ

  • 幼稚園教諭
  • 保育士

幼稚園・こども園にて12年勤務。主にクラス担任と障害児保育を経験してきました。

特に障害児保育に関心を持ち、子どもの自己肯定感を高める関わり方を勉強しています。

小1・2歳の兄弟がおり現在は、ママ向けWebマガジンや保育メディアなどで記事執筆を行っています。

得意なことは、ダンス、歌遊び、読み聞かせ、リトミックです。

おばけや暗い場所、鬼など、怖がる子どもは多いですよね。

その中でも「うちの子は他の子より怖がる頻度が多い」「こんな物も怖がるの?」と、我が子の怖がり方が心配なママもいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、子どもが怖がる原因や親ができること、怖がる子への対応事例をご紹介します。

「なぜこんなに怖がるの?」「同じように怖がる子はどうしてる?」といったお悩みに寄り添った内容をお届けしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
 

目次

1.子どもが怖がるのはなぜ?

他の子は平然としているのに、我が子だけがなぜ怖がるのか、わからなくて不安になるママもいらっしゃるでしょう。まだ何が怖いのか、説明できないお子さんもいますよね。

子どもが「怖い」と明確に感じられるようになるのは、だいたい3歳頃からといわれています。

子どもは、生まれた直後から恐怖心があるわけではありません。3歳頃になると、今までの経験から想像力や見通しを持つ力が身につきます。例えば、暗い=怖い物が見えるかもしれない、おばけ=得体の知れない怖いもの、といった知識が植えつけられていきます。

生きていくうえで、想像力や見通しを持つ力が育つのは、成長の証です。それでも、いきなり怖がることが増えるとママも驚きますよね。ここでは、怖がる子に多い理由をお伝えします。

 

1-1.トラウマになっている

3歳頃から、記憶力が著しく発達します。子どもにとって怖いと感じた記憶が、トラウマになっていることは非常に多いでしょう。

例えば「お友だちがおばけを見て怖がった」「悪いことをすると鬼が来るよと大人から言われた」など、元々怖いと感じていなかったものを、周りの反応を見て怖いという感情が芽生え、心に根づくことが考えられます。

特に、身近な大人である親が何気なく言った一言が、子どもの恐怖心を掻き立てていることもありますよ。

 

1-2.生まれ持った気質

子どもは、生まれながらに個々の気質が異なります。好奇心旺盛で何事もまず試してみたい子がいれば、慎重で未経験のことは石橋を叩いて渡るような子もいるでしょう。

怖がりな子は元々繊細で慎重な気質の子が多く、人見知りや場所見知りが強い子は、怖がる場面が多いようです。

また、極度の怖がり方(泣き叫んで逃げようとする、なだめても泣き止まない等)をする子の中には、発達障害の子もいます。

怖がり方は人それぞれなので一概には言えませんが、発達障害の子は感覚過敏や見通しが見えない不安から、怖いと感じることが多いようです。

 

2.怖がりな子どもに親ができること

怖がりな我が子に親はどんなことができるのか?ママとしては、子どもが怖がりを克服できる方法があればやってあげたい!という方が多いでしょう。

ここでは、怖がりな子へお家でできる関わり方をご紹介します。

 

2-1.怖い気持ちに共感する

怖がる子にまず実践していただきたいのが、共感することです。

子どもは、恐怖心でいっぱいのときに寄り添い理解してくれることに安心感を覚えます。

1番身近な存在であるママが怖い気持ちをわかってくれたら、子どもの恐怖心も和いていくでしょう。

子どもが怖がったら「怖かったんだね」と一声掛けて抱きしめてあげてください。

特に「大丈夫だよ」というママの言葉は、子どもにとって魔法の言葉です。ママの共感で子どもは心から安心できるので、怖がるときはとことん寄り添ってあげてくださいね。

 

2-2.怖い理由をよく聞く

子どもによっては、怖い理由を話せる子もいるでしょう。子どもが怖がったときや、怯えが治まった直後に、何が怖いのか理由を聞いてみるのも解決につながりやすくなりますよ。

大人にとっては、そんな理由なの?ということもあるかもしれません。それでも、子どもの怖がる理由に寄り添い共感することが、恐怖の克服には大切なことです。

「だって怖かったから」といった抽象的な理由も多いでしょう。それでも否定せず、理由として受け止めてあげることで子どもは安心しますよ。

 

2-3.スキンシップをとる

怖がりの子は、ママとのスキンシップが効果的な場合があります。手をつなぐ、抱っこをする、隣に座るなど、親子のスキンシップの形はたくさんあります。

子どもは、ママと触れているときの方が1人きりのときより怖がることが減る傾向があります。いつも怖がる場面になる、というときは意識してスキンシップをとると良いでしょう。

普段からたくさんのスキンシップが、子どもの自己肯定感を育み、初めての活動にも挑戦する心の成長を促します。

ママがついているから大丈夫!と自信がつくと、恐怖心を克服できるようになることがありますよ。

 

2-4.育児に「怖い」を取り入れない

怖がりな子に対してママやパパにしてほしくないことがあります。

それは、恐怖心を掻き立てることを毎日の育児に取り入れないことです。

例えば「悪いことをしたら鬼が来るよ」「おばけが来るかもよ」「ダメな子はよその子になってね」など、大人からすると冗談や子育てを円滑にしたいがための発言でも、子どもにとっては一大事!

大好きな家族に怖いことを言われると、心に恐怖心を植えつけてしまいますよ。

怖がらせる方法が効果的な子もいるかもしれません。しかし、怖がりな子には逆効果で恐怖心を増強させてしまうため、育児に「怖い」を取り入れるのはやめた方が良いでしょう。

 

3.怖がりな子どもへの対応事例

ママはおそらく「うちの子のように怖がりな子って他にもいるの?」という不安があるでしょう。怖がりな子は、どの保育施設にもいるといっても過言ではありません。

子どもによって怖がる対象は異なりますが、保育者は個々に合った怖がりな子への対応を実践しています。

ここでは、筆者が実際に保育現場で携わった怖がりな子への対応事例をご紹介しますね。

 

3-1.男の先生が怖い年少Aちゃん

年少Aちゃんはママと離れるのがいつも不安で人見知りが強い女の子です。入園後は、担任に慣れるまで丁寧に関わりを持つよう職員間で共有しました。

Aちゃんはパパ以外の男性に恐怖心を抱いており、男の先生がいると「怖い」と担任の後ろに隠れていました。たまたま近くにいるときも、男の先生から隠れて避けていたのです。

そこで実践したのが、Aちゃんと信頼関係を築いた担任が、男の先生の良いところをAちゃんに伝え続ける方法です。「サッカーが上手なんだよ」「Aちゃんと同じ食べ物が好きなんだって」など、Aちゃんの恐怖心が和らぐよう伝え続けました。

信頼している先生が言うならばと、Aちゃんもやがて男の先生に近付けるようになり、卒園する頃にはすっかり仲良しになりました。

信頼している人の言葉は、恐怖を克服してくれる効果があるのです。

 

3-2.虫を見ると怖くて大泣きする年少Bくん

年少のBくんは、虫が大の苦手な男の子です。虫の中でも、特に生きているアリを見ると泣き叫んでいました。園庭にいくとほぼ必ずいるアリを怖がり外遊びを嫌がるため、職員間で克服法を考えました。

Bくんに実践したのは、アリを1匹虫かごに入れて幼稚園の玄関で飼育する方法です。はじめは嫌がっていたBくんも、虫かごから出てくることがないと理解し、少しずつ近づいて観察できるようになりました。

また、絵本や紙芝居でアリが出てくるお話を読み聞かせ、怖いイメージを拭うよう促しました。少しずつアリに対する恐怖心が減り、Bくんはアリの生態に興味を持つようになりました。

実践して2ヶ月ほどで、Bくんは外遊びができるようになり、アリを見ても泣き叫ぶことはなくなりました。

触れたことがないアリにもかかわらず先入観から恐怖心を抱いていたBくんは、実態を知ることで克服できたのでした。

 

3-3.初めての活動前に怖がる年中Cちゃん

年中のCちゃんは、初めての活動をいつも「怖い。やりたくない」と拒否の姿勢を見せていた女の子です。例えば、初めての絵の具や、初めての遠足など、経験がない遊びや場所に強い抵抗を見せていました。

年中になると、会話が上手になり理由を言えるようになってきます。Cちゃんは、少しずつ明確な理由を伝えてくれるようになっていきました。そこで、どんな理由であれCちゃんの気持ちに寄り添い共感しようと職員間で共有しました。

どの先生が接しても「怖かったんだね。大丈夫だよ。教えてくれてありがとう」とCちゃんに伝え、寄り添うよう心掛けました。

先生に理解してもらった安心の積み重ねから、初めての活動にも少しずつ参加できるようになりました。

Cちゃんにとっては、寄り添ってくれる安心感が恐怖を克服するきっかけとなったのです。

 

4.怖がりの子どもはココが優れている

ここまでは、怖がりな子への対応方法や克服事例をお話させていただきました。

しかし、怖がりの子には優れているところがあります。

ここでは3つご紹介しますね。

 

4-1.やさしい

怖がる子は、不安や恐怖、悲しみなどの感情をしっかり理解している子が多いです。

怖いことを人にすることが少なく、思いやりに溢れていますよ。

やさしい子だとわかると、怖がる我が子を見ても「この子はやさしいから怖がっているんだ」と思える機会が増えるでしょう。

ママも気持ちが楽になり、怖がることへの不安が減る傾向にあります。

 

4-2.感受性が強い

「怖い」という感情は、感受性が強いからこそ心に宿る感情です。

感受性が強い子は、相手の気持ちを理解しようとする思いやりの心が育っている子です。

感受性が強いと、相手の気持ちを受け止められるコミュニケーション能力が高い傾向にありますよ。

自分の気持ちを通して相手の気持ちを考えられるのは、万人にできることではありません。ママにも、子ども自身にも、ぜひ自信を持っていただきたいです。

 

4-3.想像力が豊か

怖がりの子は、想像力が豊かな子が多いです。

「これがこうなったらどうなるのかな?」など、頭の中でたくさんのイメージを膨らませるのが得意なことが多く、想像力が豊かなことで恐怖へのイメージが鮮明に浮かんでしまうのが原因なこともありますよ。

想像力が豊かな子は、たくさんの遊びを楽しみ経験を積めます。時には、想像を形にしようと挑戦することもあるでしょう。

想像力は遊びを豊かにして、お友だちとの遊びの世界をどんどん広げていく、なくてはならない能力の1つです。

 

5.「怖い」気持ちを受け止めて関わろう

子どもが怖がる姿を見ると「こんなに怖がってうちの子は大丈夫だろうか」と不安になることもあるかと思います。しかし、怖がる子は決して少なくありません。やさしくて想像力豊かな子に怖がりが多いことから、相手を思いやれる子になる傾向がありますよ。

怖い気持ちをママが受け止めて、たくさんの共感と安心感を与えてあげてくださいね。

お子さんの怖がりが和らぎ、ママの気持ちが少しでも楽になることを願っています。
 

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主な参考文献
・三重大学教育学部 2015年度卒業論文『幼児はお化けをどのように認識しているのか?』再分析者:富田 昌平(三重大学教育学部),小澤 瑞希(津市立立誠保育園)

 

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