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「あきらめ癖」のある子どものチャレンジ精神を育む関わり方

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

成長とともにどんどん色濃くなるのが、”その子らしさ” 。

いいところは思いっきり伸ばしてあげたい反面、心配な部分・気になる部分は早め早めの対処でサポートしてあげたいのが親心ですよね。

今回は多くの親御さんが気になっている「あきらめ癖」や「チャレンジ精神のなさ」をピックアップしました。

対応のヒントは、エリクソンの「発達理論」に登場する課題、そして「自己肯定感」や「主体性」を伸ばすことにありました。

お子さんの短所だと思っていたところも、活かし方次第で長所になるかもしれませんよ。

             

「すぐに諦めてしまって、なかなか達成までたどり着けない」

「自信がないのか、そもそもチャレンジしようとしない」

             

そんなお悩みをお持ちの方は必見です。学年が上がるにつれて必要になってくるこれらのスキルを、幼児期から大きく育んであげましょう。

 

目次

 

1.「あきらめ癖」とは?

何かに挑戦してもすぐ諦めてしまう、そもそも挑戦する前から尻込みしてしまう「あきらめ癖」。心配されている方も多いのではないでしょうか?

このような “思考の癖” は、大人になってから克服しようとしてもなかなか難しいもの。

柔軟な脳と親御さんのサポートがある子どものうちに、たくさん失敗しながら身につけてほしいですよね。

 

1-1.子どもは「あきらめ癖」がつきやすい?

まずは、発達心理学者であるエリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」の視点から「あきらめ癖」についてみてみましょう。

エリクソンは発達段階では、それぞれの年齢で心の成長のために乗り越えるべき葛藤と課題を挙げています。

これによると、6〜12歳の児童期は「劣等感」という課題と向き合い、物事に対してあきらめずに頑張る「勤勉性」を身に着ける時期です。

「他人との差」に気づいて劣等感を抱きやすくなりますが、その一方で心が大きく成長していく時期でもあります。

「あきらめ癖」がつきやすいこの時期は、親御さんの関わりが欠かせません。

  • 「やらない・逃げる」といった諦め:チャレンジ精神を引き出すサポートをする
  • 「物事が続かない・自信をなくしてしまう」といった諦め:飽きっぽさや失敗への恐怖心を乗り越えるサポートをする

など、お子さんの諦めのタイプに合わせたサポートを心がけましょう。

 

また、その前段階にあたる3歳〜6歳の幼児期のうちに自己肯定感を育て、「心の土台」を作っておくことも重要です。

この時期は自己主張が強くなる頃で、様々な反抗を繰り返します。

このときに周りの大人や友達から否定されたり、できないことが多かったりすると、自己肯定感が低下し、小学生になるにつれて「あきらめ癖」のマイナス面が目立つようになってしまいます。

エリクソンの発達段階から見ても、3〜6歳の時期は親御さんとの関わりが重要な役割を果たします。

その後に続く「劣等感と勤勉性」という大きな課題を乗り越えるために、子どもの自己肯定感のベースを大きく育てていきましょう。

 

1-2.「あきらめ癖」は「切り替えの早さ」ともいえる!

心の発達段階から見ても、学童期は「あきらめ癖」がつきやすい時期である一方で、もともとの気質として「熱しやすく冷めやすい」タイプの子が存在するというのも見逃せません。

このようなタイプの子は、“幸せホルモン” である「ドーパミン」の分泌に特徴があるといわれています。そのメカニズムを見てみましょう。

人は楽しいときや目標を達成したとき、褒められたときなどにドーパミンが分泌されて「楽しい! 嬉しい!」といった快感が得られます。

その快感を求めて「また同じ行動を繰り返す=継続」できます。

熱しやすく冷めやすい子は、初回の経験でドーパミンが大量に分泌されるという傾向があるようです。

こうなると2回目以降は、初回ほどの快感を得られず、結果として「継続できない=あきらめ癖」がついているように見えることがあります。

一見すると短所に思えますが、「継続できない子」は、実は切り替えの早さに優れている子です。

いい部分にスポットライトを当て、子どもの短所も長所に変えていきましょう。

『「諦める」ことの心理学的機能』を考察した研究では、「あきらめ」には状況を受け入れ、乗り越え、その生を楽しむという積極的な姿勢が含まれていることが示されています。

短所と長所は表裏一体です。様々な経験を重ねているうちに「切り替えの早さ」や「乗り越えて楽しむ積極的な姿勢」といった長所が活かされ、自分の熱中する分野を見つけることができるかもしれません。

幼いうちはお子さんの思考や行動をよい方向に導きつつ、本来もっている “良さ” に目を向けて活かす姿勢も大切にしていきたいですね。

さて、ここからはそんな「チャレンジ精神」を伸ばす対応についてご紹介します。まずは原則を確認しましょう。

 

2.あきらめ癖を打破!「チャレンジ精神」を育む原則とは?

少々のことが起きてもあきらめない力・へこたれない力の源は、「チャレンジ精神」です。

今後社会に出てからも支えとなる重要なスキルなので、ぜひ身につけさせたいですよね。

そんなチャレンジ精神のベースとなるものは、以下の2つです。

  • 自分を大切に思える感覚「自己肯定感」
  • 自らの意思と判断によって行動をコントロールする「主体性」

これらを育むためのヒントが太田・福田・出村(2014年)の論文『自己肯定感・主体性を育む保育・育児についての考察』に示されているので、見てみましょう。

“自分の存在は尊重されている、保障されていると感じられる時、人は自ら課題に向き合おうという思いを持つことができ、課題を克服しながら、成長することができる”
引用:引用元

たとえば子どもが嫌なことを言葉や表情、泣くなどの態度で表現したときに、親御さんが「能動的な聞き方」で受け止めることが重要です。

また、自分と他者を区別する心の境界線である「バウンダリー」を明確にすることも大切だといいます。

「バウンダリー」には「自分を保護する、自己の存在が外部から脅かされないようにする」という機能があり、これによって自分と他者との境界線が明確になります。

お互いに自立した人格である感覚を持てることが「自分を変えていけるのは自分だけ」という感覚をつくり、「頑張ろう!」というチャレンジ精神につながっていくのです。

チャレンジ精神は「頑張って! チャレンジするのが大事よ!」と言うだけでは伸びません。

まずはベースである「自己肯定感」と「主体性」に目を向けた対応を心がけましょう。

 

3.子どものチャレンジ精神を育む対応のコツ

では、チャレンジ精神を育むためには、どのようなことを心がければよいのでしょうか。ここからは対応のコツを見てみましょう。

ひと口に「チャレンジ精神がない・すぐ諦めてしまう」といっても、そのタイプは様々です。

ここではお子さんのタイプ別に対処法をご紹介します。

 

3-1.「エンジンがかかりにくい子」はやる気を刺激!

そもそも行動に移すことが苦手な「エンジンがかかりにくい子」。

このタイプのお子さんは、親御さんがスタートをサポートするのが有効です。

たとえば毎日の勉強を習慣にしたいのであれば、最初は隣に座って一緒に手を動かしてみませんか?

親御さんと一緒なら取り組めるお子さんも多いので、スムーズに導入できるでしょう。

ひとたびエンジンがかかれば徐々にひとりで取り組めるようになり、自信も生まれます。

まずは子どもが「おもしろそう! 簡単そう!」と思うような取り掛かりやすい問題を先回りで用意してみましょう。

 

3-2.「自信がなくてチャレンジできない子」には小さな達成感を!

お次は「自信がなくてチャレンジできない子」。

このタイプのお子さんは失敗を恐れていることが多いので、スモールステップの目標設定が有効です。

小さなゴールを設けて達成感を重ね、自信をつけられるようサポートしましょう。

また、「勝った負けた・できたできない」で評価しない点もしっかり伝えるのがポイントです。

日頃からチャレンジしていること自体を褒め、自己肯定感を伸ばしましょう。

 

3-3.「続けるのが難しい子」には “褒め” を活用!

「あきらめ癖」の中でも多いのが「続けるのが難しい子」。

このタイプのお子さんには、小さな成功もしっかりと言葉にして褒めましょう。

大好きな親御さんからのエールは大きなモチベーションになります。ときにはご褒美を活用するのも手ですよ。

その一方で、続けること自体に価値があると伝えるのも重要です。

成功だけがゴールでない価値観を身につけることで、成果がでなくても立ち向かう強さが身につくでしょう。

 

3-4.「すぐに親を頼ってしまう子」は自分で考える力を!

最後は「すぐに親を頼ってしまう子」。このタイプのお子さんはベースに自信のなさが関係しています。

対応の原則部分でもお話しましたが、この時期は「バウンダリー」を身につけるためにも重要な時期です。

「これは自分の問題なんだ」と子どもが気付けるよう、まずは口も手も出さずに見守ってみましょう。

そのうえで、成果の出来・不出来ではなくチャレンジしている姿勢そのものを褒めるのがポイントです。

 

子どもは親に見守られている安心感を得られ、外の世界に自ら飛び出すことができるようになります。

「あきらめ癖がついているように思う」「チャレンジ精神がない気がする」…… このようなときは主体性と自己肯定感を育むのを原則にしつつ、お子さんのタイプをもとに対応してみましょう。

1から4に向けて段階的に進むお子さんもいるので、1つずつクリアしていく感覚でサポートするのもいいですね。

 

4.子どもの「あきらめ癖」を「チャレンジ精神」に変えよう!

幼児期〜小学校低学年頃は、物事を頑張り抜く「勤勉性」が発達途上のため、「あきらめ癖」がつきやすい時期です。

そんな過渡期は、子どもの自己肯定感と主体性を育む関わりで、チャレンジ精神を身につけるサポートをしましょう。

内側から湧き上がる粘り強さやチャレンジ精神があれば、子どもの可能性は無限に広がります。

今後年齢を重ねるにつれ、継続することでしか得られない成果も出てくるので、親も一緒に粘り強く応援していきたいですね。
 

・非認知能力がどうして大事なの?効果は?

・情報を知ることがどうして大切なの?

こちらで詳しく解説中です!

 

主な参考文献
・菅沼 慎一郎,「諦める」ことの心理学的機能 ―建設的側面の臨床的応用を目指して―,博士論文,2015
・太田 雅子氏,福田 充男氏.出村 るり子氏,自己肯定感・主体性を育む保育・育児についての考察―キリスト教保育の視点から―,聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 No.12,2014

 

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