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アドラー子育ての勇気づけとは?中間反抗期に効果的な声かけの方法

この記事を書いた人

ヨウコ ヨウコ

ヨウコ

  • 養護教諭
  • 公認心理師

40代主婦、3人の子育て中です。

小学校の養護教諭として15年間勤務。

退職後は公認心理師の資格を取得し、スクールカウンセラーとして従事しました。

アドラー心理学の知識を活かし、子どもや保護者の気持ちに寄り添った関わりを大切にしています。

好きなことは人の話を聴くことと、絵本の読み聞かせです。

「学校や習い事の用意をさせたいけれど、口答えばかりでやってくれない」
「褒めても叱っても反抗的な態度をとり、どうすればいいかわからない」
こんなお悩みはありませんか?

特に、幼稚園年長から小学校低学年の中間反抗期は「自分で決めたい」「自分だけの力でやりたい」といった気持ちが高まります。

子どもが干渉を嫌がるので、親子のコミュニケーションが上手くいかない方も多いのではないでしょうか。

そんなお悩みをお持ちの方には、アドラー子育ての勇気づけがおすすめです。

この記事では、「叱る・褒める」以外の声かけを知りたい方に、アドラー子育ての特徴と子どもを勇気づける方法を紹介します。

中間反抗期に効果的な理由も解説するので、ぜひ参考にしてください。

「親子関係を良くするにはどうしたらいいの?」「親としてどんな心構えが必要?」といった視点で、アドラー子育ての勇気づけを説明しています。

子どもを上手に勇気づけて、幸せな親子の時間を過ごしましょう。

 

目次

1.アドラー子育ての勇気づけとは?

アドラー子育ての勇気づけとは、アドラー心理学に基づいた子育て法の1つです。

教育や育児に強い関心を寄せていたアルフレッドアドラーが創始した、アドラー心理学がベースとなっています。

アドラー心理学における子育ての目標は、以下の4つです。

・自立すること
・社会と調和して暮らすこと
・自分には能力があると思えること
・周囲の人々は自分の仲間だと思えること

これらの目標に向かって子どもを援助する方法を、アドラー心理学では「勇気づけ」と定義しています。

勇気づけを実践するには、子どもに対する親の心構えが大切です。

アドラー子育てでは「信頼」が重視されており、親子は対等な関係であるべきだと説かれています。

つまり、親の心構えが上下関係のまま勇気づけをしても、子どもにとっては悪影響になる可能性があるのです。

子どもと対等な関係を築くのは難しいイメージが強く、受け入れにくい方もいるかもしれません。しかし、アドラーが提案している勇気づけはとてもシンプルです。特別なテクニックは必要ありません。

親子関係を良くするために、子どもとの対等なコミュニケーションを念頭に置きながら、気軽に実践してみてください。

 

2.アドラー子育てが「中間反抗期」に効果的な理由

アドラー子育ての勇気づけは、中間反抗期の子どもに非常に効果的です。

子どもの自立をうながし、自信を持って社会に出ていける土台を形成できるからです。

中間反抗期とは、5~8歳頃に見られる自我の発達による成長期を指します。

口答えをしたり、親のアドバイスを素直に聞かなくなったりして困らせる行動が特徴的です。

中間反抗期の子どもは、自分を客観的に見られるようになり、自立への第1歩を踏み出します。

「自分は何でもできる」「1人でやりたい」といった感情が芽生え、周りの手を借りずにチャレンジしようとする時期です。

自分で何でもやりたい気持ちは強くても、行動の予測はまだ不十分なため、失敗も多く経験します。

この時期には、ありのままの子どもの姿を応援し、困った時にフォローできる関わりが大切です。しかし、すべてを受け入れる心の広さを持つのは簡単ではありません。

そこで、アドラー子育ての勇気づけが効果を発揮するのです。

 

3.アドラー子育て|子どもを勇気づける方法

アドラー子育てにおける勇気づけの基本的な方法を5つ紹介します。

いずれの方法も、子どもの行動を叱らない、褒めない点が重要です。

「すごいね」「えらいね」といった声かけではなく「頑張ったね」「ありがとう」「〇〇の部分が良いと思うよ」など子どもを認める視点を大切にします。

子どもとの対等な関係を意識して実践してみてください。

 

3-1.子どもの良い面に注目する

子どもの行動をよく観察し、良い面を探し出しましょう。

子どもと過ごしていると悪い面はすぐに分かるのですが、良い行動は見逃しがちです。
悪いと思っていた行動の中にも、良い面が必ず存在します。

性格上の長所や才能に焦点をあてた声かけも効果的です。
子どもの姿をよく観察し、意識して良い面を見つけてみてください。

 

3-2.結果よりも過程を重視する

子どもに声をかける時は、結果よりも努力したプロセスを重視しましょう。

頑張ったのに結果が出ない悔しさは、子どもにとって乗り越えなければならない壁です。

結果だけに注目すると「成功しないのなら意味がない」といった挑戦を嫌がる傾向が強くなります。
たとえ満足いく結果ではなくても、頑張った過程を一緒に分かち合う声かけが大切です

子どもが何かにチャレンジする時は、結果だけでなく努力している姿にも目を向けてみてください。

 

3-3.子どもの成長を認める

子どもの成長は目に見えにくいですが、確実に大きくなっている面を認めてあげましょう。

子どもの成長と親の期待のズレは、子育てにおいて悩みやすい点です。

「もっと字をうまく書いて欲しい」「計算が速くなって欲しい」といった期待を持つ方も多いのではないでしょうか。

子どもは確実に毎日成長しています。それが親の望むレベルまで達していなくても「以前よりできるようになったこと」に注目してあげましょう。

 

3-4.周りと比較しない

周りの子どもと比較しない点も、勇気づけには非常に大切です。

子どもには、それぞれ自分だけの特別な個性があります

勉強が得意な子、絵が得意な子、運動が得意な子、優しくて誰からも好かれる子、それぞれが大切な「自分自身」なのです。

周りと比較しても、子どものためにはなりません。
子どもが自分らしく成長していく過程を支えるのが、勇気づけの大切なポイントです。

 

3-5.子どもの味方でいる

子どもに何かあった時に支えられる親になるためには、普段から子どもの味方でいる必要があります。
子どもと良い関係を保てるように努力することが大切です。

小さい頃から親を仲間だと感じている子どもは、思春期になっても周りに悩みを打ち明けられる人間に育ちやすいです。

親を困らせる行動をしたとしても、良い面に注目し、過程や成長を見つめながら、子どもの視点で考えてあげましょう。

何があっても味方でいる姿勢は、子どもの心を深く勇気づける結果につながります

 

4.アドラー子育て|勇気づけの具体例を紹介!

この章では、わが家で実際に勇気づけを実践し、効果があった具体例を3つ紹介します。

  1. 幼稚園年長(5歳)がお風呂を嫌がった時
  2. 小学校1年生(7歳)が門限に遅れた時
  3. 小学校1年生から勇気づけをした子どもが中学生になって

それぞれの場面について、詳しく説明していきます。

 

4-1.幼稚園年長がお風呂を嫌がった時

5歳の娘はお風呂が嫌いです。どんなに汗をかいて帰ってきても、お風呂に入ろうとしません。

自分でやりたい思いが強いので、服を脱がそうとすると怒ります。
忙しい夕方に子どものイヤイヤが始まると、どうしても親はイライラしてしまいますよね。

そこで、勇気づけを実践!

思い返せば、娘は4歳の頃、脱衣所の床に転がって長時間泣き続けていました。
激しく抵抗するのを叱りつけながら、無理やりお風呂に入れていたのです。

今では泣きながらも服を脱ぎ、お風呂の中へ入っていくようになりました。
そんな1年間の成長を娘にまっすぐに伝えました。

「4歳の頃はもっと激しく泣いて床に転がっていたのに、今は自分で服を脱げるようになったね。泣いててもお風呂に入ってくれるし助かるよ。すごく大きくなったんだね。ゆっくり成長したらいいよ。ママはいつでも見守っているよ。」

その時の娘の嬉しそうな顔は忘れられません。

その日から、泣く回数がグッと減り、誇らしげにお風呂に向かう様子が見られるようになりました。

 

4-2.小学校1年生が門限に遅れた時

小学生になると、放課後に遊びに行く機会が増えます。
小学校1年生の娘も、近所の公園へ友達と行くようになりました。

門限は夕方の5時と決めてあり、公園のチャイムが鳴ったら帰ってくるように伝えてあります。
しかし、門限を過ぎてもなかなか帰ってこない日々が続きました。

急いで帰ってきて「だって間に合わないんだもん!」と反抗的。
迎えに行くのを提案しても「自分で帰れる!」と取り合おうとしません。

勇気づけのチャンス!と私は思いました。

約束を守れなかった面を指摘するのではなく、間に合うように一生懸命走って帰って来た姿に注目するのです

「急いで帰ってきてくれたんだね。ありがとう。」

と声をかけるだけで、娘は「次は間に合うように気をつけよう」と感じたようです。

次の日から、きちんと時間を守って帰ってくるようになりました。

 

4-3.小学校1年生から勇気づけをした子どもが中学生になって

中学生の長女が小学1年生の時に勇気づけを始めました。
ちょうど中間反抗期だった娘と毎日のように言い争っていたからです。

勇気づけを実践するにあたって大切にしたのは、子どもとの信頼関係です

「あなたなら大丈夫」と声かけをし、子どもが辛い時に親に助けを求められるように「何か困ったことがあれば言ってね」のメッセージを送り続けました。

勇気づけを実践していくうちに、子どもの良い面が自然と見えるようになり、言い争う場面も減りました。

子どもが自分に自信を持って挑戦する姿を、上手に見守れるようになったのが大きな収穫です

口出しをして失敗もしましたが、思春期を迎えた現在も困った時は必ず相談してくれる関係を築けています。

あの時、勇気づけを始めていなかったら、反抗期にもっと悩んでいたかもしれません。

 

5.子どもを勇気づけて幸せな親子関係を築いていこう

この記事では、「叱る・褒める」以外の声かけを知りたい方に、アドラー子育ての特徴と子どもを勇気づける方法を紹介しました。

アドラー子育ての勇気づけは、子どもとの関係を良くしたい、言い争いを減らしたい、と思っている方にぜひ試して欲しい方法です。

親を困らせる行動が増える中間反抗期の子どもにも効果があります。

勇気づけによって作られた信頼関係は、その後の第二次反抗期を乗り越えるための大きな力になります。

良い親子関係を築き、子どもが幸せな人生を歩んでいくためにも、アドラー子育ての勇気づけを実践してみましょう。

 

参考文献
・『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』岸見一郎 著
・『アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために』岸見一郎 著

 

 

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