子どもの好き嫌いにどう対応すればいいの?原因や寄り添い方を解説
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
多くの子どもにあり、親の悩みの種になりやすい食べ物の好き嫌い。子どもが好き嫌いをしているところを見て、「育て方が悪かったのかな」と心配になることもあるでしょう。
子どもに好き嫌いがあるのは自然なことであり、親の育て方とは関係ありません。また、子どもに寄り添いながら工夫を重ねることで、少しずつ改善できますよ。
この記事では、子どもの好き嫌いの原因や子どもへの寄り添い方を紹介します。好き嫌いをなくす工夫も解説するので、子どもの好き嫌いについて悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
1.子どもの好き嫌いはいつから?なぜ始まるの?
個人差はあるものの、子どもの好き嫌いは1歳半~2歳ごろに始まる傾向にあります。主に以下の3点が、好き嫌いの原因とされています。
1-1.危険を察知する本能が働くから
好き嫌いの原因は、身体に害を及ぼすものを排除しようとする本能が働くからだと言われています。
特に苦味や酸味は、腐ったものや身体に悪いものと味が似ています。子どもは食べても問題ない食材か否かを判断する経験を積んでいないため、苦味や酸味のある食材を危険なものと感じ、食べたがらないのです。
1-2.子どもの味覚は大人より敏感だから
子どもの味覚が敏感であることも、好き嫌いの原因のひとつとされています。子どもの味覚感度は、大人の3倍敏感であると言われており、苦味や酸味といった味も大人の3倍強く感じてしまうのです。
それゆえに、大人であれば問題なく食べられる食材であっても、子どもにとっては癖が強く、食べにくい食材だと判断するのも自然なことでしょう。
1-3.嫌な経験をしたから
嫌な思いをしたことにより、好き嫌いが始まることがあります。「この食べ物を食べると嫌な思いをする」という記憶が刻まれてしまい、特定の食べ物が苦手になってしまうのです。
具体例としては、以下のような場合があります。
- 魚を食べていたら骨が喉に刺さった
- 牛乳を飲んだら次の日おなかを壊した
- 食べられずに残したら叱られた
このように、食材の味が原因でなく、食べた時の経験が原因で特定の食材が嫌いになってしまう場合もあるでしょう。
なお、「偏食」と「好き嫌い」は似ていますが、以下の違いがあります。
- 偏食…ほとんどの食材・メニューを食べず、一部の食材・メニューしか口にしない
- 好き嫌い…特定の食材・メニューだけ食べず、他のものは食べる
2.無理やり食べさせるべき?好き嫌いと親の寄り添い方
子どもが好き嫌いをした場合に、無理やり食べさせるのはNGです。
無理やり食べさせられると、その食材が余計嫌いになり、大人になっても嫌いなままになってしまう恐れがあるからです。それどころか、食卓を苦痛に感じてしまい、食事そのものを忌避してしまうリスクすらあります。
無理やり食べさせるのではなく、以下3点の寄り添い方を参考に、子どもの好き嫌いに向き合ってみてください。
2-1.子どもの気持ちを受け止める
まずは、子どもの「この食べ物が嫌い」という気持ちを受け止めてあげてください。「そうなんだ、○○君はピーマンが苦手なんだね」と共感の言葉を掛けてもらうことで、子どもは安心し、食事を嫌いになることを防げます。
受け止めてもらえた安心感が土台になって、「がんばって食べてみようかな」という気持ちになることもありますよ。
2-2.他の食材から栄養を摂る
子どもが好き嫌いをすると、「栄養が偏ってしまうのでは…」と心配になってしまうこともあるでしょう。
しかし、特定の食材に含まれる栄養は、他の食材からも摂取できます。「食べさせないと栄養が偏る」と焦る必要はありませんよ。子どもが食べられない食材がある場合は、他の食材から栄養を摂るように検討しましょう。
例えば「トマトが食べられないなら、スイカを食べればいいや」とおおらかな気持ちで見守ってくださいね。
※スイカには、トマトに含まれる「リコピン」が多く含まれています。
2-3.自分を責めない
子どもが好き嫌いをしたとしても、自分を責めないでくださいね。
子どもの好き嫌いを親のせいだと思って、思いつめてしまうこともあるでしょう。しかし、前述の通り、子どもに好き嫌いがあるのは自然なことであり、自分を責める必要はありません。
好き嫌いをなくそうと焦るあまりに、子どもに厳しくすることで、かえって子どもの好き嫌いを増長させてしまう恐れもあります。
「子どもに好き嫌いがあるのは当たり前」と気持ちを楽にして、楽しく食事することを心掛けましょう。
3.好き嫌いをなくす方法5選
子どもに好き嫌いがあるのは自然なことですが、親としては、やはり多くの食材を食べて欲しいと思うのではないでしょうか。ここでは、好き嫌いをなくす工夫を5つ紹介していきます。
3-1.楽しく食事をする
好き嫌いをなくす基本は、楽しい食事にあります。食事は楽しいものだと思えるように工夫しましょう。
食事を楽しくする工夫の具体例は、以下の通りです。
- 今日の楽しかったできごとを話しながら食べる
- おべんとうの歌を歌いながら、「ニンジンさん」と歌った時にニンジンをぱくっと食べる
- 「このまえ読んだ絵本で見た通り、ちいさい種がいっぱい入ってるね」と絵本で見た食材の話をする
- 「こんにちは!ぼくはピーマンだよ!お口に入れてくれる?」と演技する
また、大人が美味しそうに食べる姿を見せることで、子どもの「食べたい」気持ちを育てることもあります。ただし、子どもが嫌いだと思っている気持ちは尊重し、「こんなにおいしいのに」と意見を押し付けることは控えましょう。
3-2.味付けや調理法を変えて食卓に出し続ける
好き嫌いをなくすためには、子どもが食べなかったとしても、味付けや調理法を変えて食卓に出し続けることが大切です。
好き嫌いをなくすためには、食材の味に親しむことが重要だからです。変化をつけるには、以下の方法があります。
- 調理方法…煮る、蒸す、炒める、揚げるなど
- 味付け…カレー、みそ汁、ケチャップ、マヨネーズなど
- 見た目…野菜の型抜き、ブロッコリーツリーなど
出した食材を子どもが食べなかったとしても一喜一憂せず、いろいろな方法で試してみてくださいね。
3-3.嫌いなものも食べるべき理由を説明する
ある程度大きくなったら、なぜ嫌いなものも食べるべきかを説明してあげてもいいでしょう。子ども自身が納得することで、自ら嫌いな食材を食べようとすることもあります。
子どもに説明する際は、以下のように、子どもに分かりやすい言葉で説明してあげてください。
- 「大きくなるためのの栄養がたくさん入ってるよ」
- 「風邪をひかなくなるには野菜がいいんだって」
子ども自身が納得できるように、「どうして食べないといけないんだと思う?」とクイズ形式にして、自分で考えさせるのもおすすめですよ。
3-4.子どもと一緒にご飯の支度をする
ご飯の支度を子どもと一緒に行うことも、好き嫌いをなくす有効な方法のひとつです。
苦手な食材に親しみを覚えたり、興味をもつきっかけになったりするからです。また、「お手伝いができた」という達成感が、「次は食べることに挑戦しよう」という意欲を育てることもあります。
一緒に調理する時間がない場合は、買い物や盛り付けを一緒に行うだけでも効果的ですよ。
3-5.苦手な野菜を育ててみる
食材に親しみや興味を持たせるきっかけとして、実際に野菜を育ててみるのもおすすめです。
実際、保育園でもトマトやナスを育てたり、サツマイモの収穫をしたりしていました。子どもたちは、「早く大きくならないかな」「食べるのが楽しみだね」と興味深く植物の成長を見守っていましたよ。
3-6.【番外編】集団生活の中で食べるようになることも
家では食べない食材も、集団生活をするうちに園や学校で自然と食べるようになることもあります。園や学校では、「みんなが食べてるんだから食べなきゃだめだ」という心理が働きやすいからです。
また、環境の変化で気分が変わり、なんとなく食べてみようという気持ちになることもありますよ。
4.楽しく食卓を囲みながら成長を見守ろう!
食事は毎日のことなので、時には好き嫌いをする子どもを見て、ついイライラしてしまう瞬間もあるでしょう。
しかし、子どもの好き嫌いは自然なことです。「トータルで栄養がとれたらOK」とおおらかな気持ちで構えつつ、子どもの「嫌い」という気持ちを受け止めてあげてください。
また、調理法を変えたり一緒に調理をしたりと工夫をすることで、子どもの好き嫌いに寄り添えるはずです。子どもと囲む食卓を楽しみながら、長い目で子どもを見守ってあげてくださいね。
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