【小学1年生】元小学校教師が解説!子どもの忘れ物の原因と効果的な防止策
この記事を書いた人
yurinako
- 司書教諭
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 子育て支援員
小2と年長の娘のママ。
小学校教員として15年間勤め、小学1年生から6年生までの担任を経験し、
のべ1500人以上の子どもたちを指導してきました。
小学校教諭、幼稚園教諭、司書教諭、子育て支援員の資格を持っています。
親子で一緒に、本やダンス・料理を楽しんでいます!
小学生のお子さんを持つママ・パパのお悩みのひとつが、子どもの「忘れ物」です。「宿題をランドセルに入れ忘れている」「上履きを玄関に置いたまま…」なんてことはどのご家庭でもあるのではないかと思います。
小学校に入学すると、学習用具の準備や片付けなど「自分のことは自分で!」という指導があります。とはいえ、まだまだ幼い年頃の小学生。忘れ物は小学生の“あるある”だと言えます。
そして、忘れ物をするのは、子どもが自分で準備をしているという表れでもあります。また、何回同じことを話しても改善が見られないと、親だってイライラしてしまうことも…。そんなイライラには、実はある親心が隠れているかもしれません。
そこで今回は、元小学校の教員が、小学生の忘れ物について解説します。特に小学校低学年の子どもに焦点を当て、
- よくある忘れ物の原因
- 忘れ物の基本対策
- 子どもが自分で準備できるまでの3ステップ
- 子どもの忘れ物に対する、親の捉え方
について、ご紹介します。
目次
1.子どもが忘れ物をする主な3つの理由
一口に「忘れ物」と言っても、その理由はさまざまです。忘れ物の理由を明確にすることで、より適切な対策を講じることができます。
ここでは、小学校低学年程度の子どもが忘れ物をしやすい理由を3つご紹介します。
1-1.持ち物を理解していない
まず忘れ物が多い理由の1つとして、そもそも持ち物がわからないために持参できず、それを「忘れ物」と判断されるケースが挙げられます。
何を持っていくのかわからないことにも、実はいくつかのパターンがあります。
- 連絡帳に「メモしてくること」自体を忘れている
- 連絡帳やおたよりを見て「チェックすること」を忘れている
- 口頭での連絡を聞き漏らしている
- 学校での生活をあまり覚えておらず、イメージが膨らまない
このように、持ち物がわからない原因にもいくつかのパターンがありますので、お子さんはどのタイプにあてはまるか、考えてみましょう。
1-2.準備をする時間が足りない
2つ目の理由は、学校の準備をする時間が足りない場合が挙げられます。
低学年くらいの子どもにとって、学校の準備は時間がかかりますが、この準備にしっかりと時間をかけられない子どもが多いのです。
習い事や友だちとの遊びで時間が無くなってしまったり、おうちの方の勤務時間が遅いために学童から帰宅すると寝るまでノンストップだったりして、学校の準備は片手間にバタバタと行わなければいけないことがあります。
学校の準備を細分化すると、以下のような内容が考えられるでしょう。
- おうちの人におたよりを渡す
- 明日の持ち物を確認する
- 教科書やノート類を入れ替える
- 宿題を入れる
- えんぴつを削る
- 必要ないプリントを処分する
- ランチマットの準備
最近ではタブレットの充電作業などもあり、子どもにとってこなすべきタスクが多い傾向にあることが分かります。
これらを子どもが一つひとつ確実にやっていくにはとても時間がかかります。
また、学校からはよく、「前日のうちに準備をしておくように」と言われるのではないでしょうか。
しかし、検温カード・ハンカチ・ティッシュを入れるのは当日の朝にしかできません。
前日のうちにきちんと準備をしていても、焦って出かけてランドセルの真横に置いていた体育着を忘れることもあります。
そのため前日も、そして当日の朝にも、準備には時間のゆとりが必要です。
1-3.持ち物がどこにあるかわからない
忘れ物が多い理由の3つ目は、持ち物がどこにあるかわからないことが考えられます。
「明日は縄跳びを持っていくんだ!縄跳びはどこだっけ?」と探すのに時間がかかってしまうことはありませんか。
探しているうちに違う遊び道具に目移りしてしまい、探していたことすら忘れてしまうことも低学年ではよくあること。
なかには探し疲れて「面倒くさい!もういいや」と諦めてしまうこともあるでしょう。
2.忘れ物の基本対策3選
「忘れないでね」「〇〇はちゃんと持った?」と毎日チェックしなければいけない、声をかけても忘れ物を繰り返している、というご家庭も多いですよね。
そこで、基本的な忘れ物対策にもれがないか確認してみましょう。
2-1.持ち物をチェックする習慣をつける
まずは何を持っていくのか、子どもが自分でチェックすることが大切です。
時間割表や連絡帳、おたよりを見て、確認しながら準備する習慣をつけましょう。
入学当初は「ママ、何を持っていけばいいの?」と会話しながら準備をして慣れていくはずですが、徐々に自分で準備できるようにしていきたいですよね。
学校に必要な持ち物は、事前におたよりで示されていたり、子どもが毎日連絡帳に書いて帰ったりします。
低学年では、連絡帳に正しく書き取れたかどうか、担任の先生がチェックするのが一般的です。
口頭で伝えられた連絡事項や持ち物を、家に帰ってくるまで覚えておくのはなかなか難しいこと。
特に低学年では、聞き取ったことを覚えておく能力が未熟だからこそ、視覚化することや見て確認する習慣が大切です。
2-2.学校の準備をルーティンにする
1日のスケジュールの中に学校の準備の時間を組み込み、ルーティンにしましょう。
- 帰宅後すぐ
- 宿題の後
- 夕飯の前
- 寝る前
など、子どもの気持ちが疲れすぎないタイミングを考え、家庭の生活リズムに合わせながら設定していきましょう。
慣れるまではおうちの方が寄り添う必要がありますし、時間もかかるかもしれません。
しかし、一度ルーティン化してしまえば、一連の流れとして進められるようになるので、後が楽になります。
2-3.物の置き場を一緒に決める(整理整頓の習慣づけ)
普段から整理整頓をしておくことも、忘れ物対策のひとつです。
自分の物がどこにしまってあるか把握していると、物がどこにあるかわからないという事態を防げます。
お子さんが使うものは、お子さんと一緒に収納場所を決めましょう。
親にとって取り出しやすい場所と、子どもが取り出しやすい場所は同じとは限りません。また、自分で収納場所を考えることで、片付けもしやすいです。
特に、学校で使う可能性のあるものは、一カ所にまとまっていると良いです。
学校の準備をする際に子ども部屋とリビングを行き来するのは大変ですから、一カ所で完結できるようにしたいものです。
また、子どもの引き出しや整理ボックスが乱雑になっていると、「もう、こんなにぐちゃぐちゃ!」と整頓したくなってしまうママやパパもいますよね。
乱雑に見えるそれが、実は子どもなりの意図をもって積み重ねていることもあります。
勝手に片づけてしまって、子どもが「ママ、ここにあったおもちゃがないよー!」なんて困ることも。
子どものスペースは、子どもに片づけさせるようにしましょう。
3.自分で学校の準備ができるまでの3ステップ
忘れ物対策の基本を3つ紹介しましたが、「うちの子にはこれは難しいな」と感じることもあるのではないでしょうか。
実は子どもが自分で準備できるようになるまでには、いくつかのステップがあります。
その子に合わない方法を無理にやらせようとしても「もうやだ!」と拒否してしまうことも。
お子さんが今はどの段階にあるのか確認しながら、無理なく進めていきましょう。
3-1.持ち物の記載や予定表を読めない子には?
1年生の当初など、まだひらがなを習得していない段階では、持ち物や予定表の記載を読んでチェックすることができません。
そのため1年生の4月頃は、先生から保護者に向けて持ち物を知らせるのが一般的です。
この場合は以下の2つを意識します。
- 親が、持ち物や予定を読んであげましょう。
親が「明日は音楽があるから、音楽の教科書を入れるよ」と伝え、子どもがランドセルに入れます。 - 視覚化する際には、イラストと文字にしましょう。
毎日持って行くもの(筆箱、ハンカチ、ティッシュなど)まで口頭で全てやりとりしていたら、親も大変です。
子どもが分かる範囲で視覚化し、自分でチェックする準備をさせましょう。
最近は100円ショップでも「おしたくボード」などのアイテムが売られていたり、フリー素材からイラストを印刷したりできるので、絵を描くのが苦手な方でも安心です。
3-2.持ち物や予定表をある程度自分で読めるようになったら?
1年生では、ひらがなの学習がある程度進んだ頃から、連絡帳に時間割や持ち物を書くようになります。
また、予定の書かれたおたよりが配られる学校では、子どもが読めるようにひらがなで表記されます。
少しずつ学校での生活にも慣れ、「月曜日だから体育着を持っていかなきゃ」など持ち物を理解できるようになる子も多くなるでしょう。
このような場合は親が補助しながら、できるだけ自分で準備させましょう。
子どもが準備をするとき、大人は横で(声の届く・目の届く範囲で)寄り添います。
「ママ、これなんて読むの?」と質問したときにすぐ答えてもらえると、子どもは安心して準備ができます。
また、「“たいいくぎ”って自分で読めたね」など自分でできたことを認める声かけをするのがポイントです。
小さなことでも、「自分でできた!」という達成感をたくさん積み重ねることで、「今度は全部自分でやってみよう!」という気持ちにつながります。
そして、「国語の教科書は入れましたか?」「宿題は入れましたか?」と持ち物の最終チェックは一緒にやると効果的です。
3-3.学校の準備に慣れてきて「もう自分でできる!1人でやってみたい」と言うようになったら?
おうちの人と一緒に準備をする段階を重ねていくと、「もう1人でできる!」というお子さんが増えてきます。
これは自立への階段をひとつ上った証拠です。
自分でやりたい気持ちを十分に尊重してあげましょう。
1人で準備をさせるときには、「困ったらヘルプを出していいからね」と伝えておくと、お子さんも安心できます。
子どもですから、一生懸命準備しても忘れ物をしてしまうことがあります。
そんなときは、忘れ物があっても責めず、「自分でがんばった証拠だもんね」と、まずは自分でやろうとしたことを認めてあげましょう。
4.親も忘れ物に気をつけるためのコツ
子どもだけでなく、親も準備すべきものが多いのが小学校です。
特に、入学後や進級後はさまざまな書類を提出しなければなりません。
また、新しい学習用具に記名をしたり、図工や算数に使う箱などの廃材を用意したりすることも多いです。
一般的に親が準備する物については、保護者会や毎月のおたよりで連絡される傾向にあります。ここでは、親が忘れ物をしないための工夫について見ていきましょう。
4-1.紙ベースのおたよりから自分のチェックツールへ
小学校からの連絡は、メール配信なども増えてきていますが、まだまだ紙ベースがメインです。
普段ペーパーレスに慣れている方は、自分が使っているチェックツールに移すことで忘れ物を防ぎましょう。
最近ではスマホのカレンダー機能や家族共有アプリなどに、お子さんの持ち物をメモする方が多いようです。
4-2.家族全員が見えるように視覚化する
子どもが使うものなら「図工の材料」「運動会の衣装」といったように、お子さんにも見えるように視覚化しておくのがおすすめです。
家族全員が目にするカレンダーに記入しておいたり、連絡ボードに付箋で貼っておいたりすれば、お子さんも持参の締め切りを把握できます。
それに「ママ、図工の箱はもう揃ってる?」と言うお子さんは、持ち物と締め切りをきちんと理解できているということが分かります。
4-3.ママ友グループなどで声をかけ合う
物によっては、数か月前に連絡される持ち物もありますが、期間が空いてしまうと忘れてしまうので注意が必要です。
例えば、9月の図工で使う材料について、夏休みのうちに集めておく必要のあるものは、7月の保護者会で連絡があることも。
そこで、ママ友グループや、習い事が同じ知り合い同士などで「○○の準備、終わりましたか?」と声をかけ合うのもひとつの方法です。
5.ついつい忘れ物をしてしまう子どもとの向き合い方とは?
お子さんが忘れ物を繰り返すと、親も小言が多くならざるを得ず、イライラしてしまうこともありますよね。
でもそれは、「学校で困ることがないように、自分で準備ができるように」と思う親心の表れです。
ここでは、ついつい忘れ物をしてしまうお子さんとの向き合い方について、見ていきましょう。
5-1.ゆっくりと気長に見守ろう
持ち物の多い小学校生活。はじめは、重い荷物を背負って登下校するだけでも疲れてしまうような毎日ですよね。
自分で準備をする経験が浅いお子さんは、「忘れ物が多い」と感じることもあるかもしれませんが、ゆっくりと気長に見守っていきましょう。
経験を重ねることが、自分で準備するための練習の機会になります。
1年生のうちは親がしっかりとフォローし、2年生頃でも「これくらいの忘れ物はあるよね」とおおらかに受け止める心持ちでいられるとよいでしょう。
5-2.時間に余裕をもって準備させよう
同じ出来事だとしても、大人に時間や気持ちのゆとりがないと、イライラしてしまいがちです。
例えば、予定のない休日なら着替えに時間がかかっても大目に見ることができても、登校前の忙しい朝だと急かさなければならず、イライラしてしまう方も多いのではないでしょうか。
一方で時間のゆとりがあると、気持ちの余裕につながります。
そこで当日朝よりも、時間にゆとりがある前日のうちに学校の準備をするようにしましょう。
5-3.「子どもの忘れ物=親のミス」ではない
「我が子が失敗したとき、自分が失敗したように感じる」「我が子が叱られたとき、自分が叱られたように感じる」という経験はありませんか。
このような経験のある方は、お子さんが忘れ物をしたときに「自分が持たせそびれてしまった」と自分のミスのように感じるかもしれません。
しかし、子どもと親は別の人間です。お子さんの忘れ物は親のミスではありませんので、自分を責める必要はありません。
お子さんの失敗は、お子さんが自立に向かうまでのステップを上っている過程です。
親は、お子さんがひとつずつステップを上る様子を見守り、時には支えてあげましょう。
6.「一緒に」から「見守る」へ!親子で一緒に忘れ物0を目指そう
忘れ物なくしっかりと準備をして、学校で困ることなく過ごしてほしいというのが親の思いでしょう。
しかし、いきなり完璧に準備できる子どもはそういません。
まずは、大人と一緒に準備する経験を重ねて、慣れていきましょう。慣れてきて「自分でやる!」という意欲が出てきたら、見守りながら自分でやらせてみましょう。
自分でやるからこそ、忘れ物をしてしまうことがありますが、そんなときでも「自分で準備した」という点を認めながら、継続していきましょう。
失敗もありながら、経験させていくことが大切です。
1年、2年と繰り返しているうちにふと気づいたら、「最近、持ち物のこと言わなくても自分でできるようになったね」と感じるようになるはずです。
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