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粘り強い子どもは「できた!」が増える〜親子で取り組む「忍耐力」を育てる5つのコツ〜

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

難しいことに直面すると「できない」と諦めてしまう、手間のかかることとなると「めんどくさい」と投げ出してしまう……

そんなわが子を見ると「我慢強さが足りないのでは?」「もっと忍耐力を付けて欲しい」と不安に感じるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。

子どものうちに身につけて欲しい「忍耐力」は、お母さん・お父さんの関わりによって伸ばしてあげることができます。

今回は、忍耐力の重要性を明らかにし、無理なく自発的に忍耐力が身につくような取り組みのコツをご紹介します。

親子で一緒に忍耐力を育み、子どもの自信や自己肯定感を伸ばしてあげましょう!
 

目次

 

1.子どもに身につけさせたい「忍耐力」とは

「忍耐力」「我慢」と言いかえることができますが、ただ「欲求を抑えて自制する」という意味だけではありません。

子どものうちに育てたい「忍耐力(我慢)」は、「粘り強さ」と考えてみましょう。

忍耐力をもって粘り強く取り組める子どもは、「できた!」の体験がどんどん増えていきます。

 

1-1.それって、いい我慢?悪い我慢?

「忍耐力」「我慢」と聞いて、どのようなイメージを持たれますか?

一般的に「我慢する」は、つらい環境や状況に耐える、理不尽なことがあってもグッと堪える、というように、ネガティブな意味で使われることが多いかもしれません。

大人になるとそのような場面に直面することも多いので、ついつい子どもにも「納得できなくても、我慢できるようになってほしい」と思ってしまいますよね。

しかし、子どものうちに伸ばしたい「忍耐力」は、このように抑圧されて仕方なくする「悪い我慢」ではなく、自分のために自発的に選び取る「いい我慢」であることを、確認しておきましょう。

例えば、 列ができているブランコに「順番を待って乗ろう」と考えて並ぶ 、お菓子を食べたくても「もうすぐご飯だから」と言われたから待つ 、というように目的のために自分で進んでする我慢が「いい我慢」にあたります。

このような「いい我慢」は、発展すると 「難しいけれど、もう少し頑張ってみよう」「時間はかかりそうだけど、続けてやってみよう」 といったような目標を達成するために長い視点で物事を見通せる「忍耐力」につながります。

一方、子どものうちから「悪い我慢」を習慣づけてしまうと、自己主張が出来なくなったり、困難な状況でも「もうこのままでいいや」と諦め癖が出たりします。

学校や社会に出てから、理不尽な圧力に対抗する気持ちがなくなると、いじめやパワハラといった事態につながりかねないので、注意が必要です。

自分を犠牲にするように強制された「悪い我慢」ではなく、自分の目標達成のために前向きにする「いい我慢」を伸ばせるよう、親として気をつけていきたいですね。

 

1-2.「忍耐力」を鍛えるのは4歳頃から

なるべく早く身につけて欲しい「忍耐力」。

日々の小さな我慢はできるようになってきたけれど、何かを頑張るときに、もっと粘り強く取り組める子どもになってほしい、と思いますよね。

「忍耐力」は子どもの発達状況によって身につくタイミングがあると言われています。

その目安は、だいたい4歳頃です。 おおむね3歳頃になると自制心が育ち始めるので、自分の思いを我慢して周りの状況やルールに合わせた行動ができるようになります。

そして4歳頃になると、認知力や言語力がより発達し、目の前の状況や言葉をより深く多面的に理解できるようになります。

未来を想像する力や、「〇〇したら、こうなる」といった抽象的なイメージをする力も育つので、自分の希望や達成したいことに向けて我慢したり、頑張って取り組んだりすることができるようになります。

ものごとを判断し、想像し、自制できるようになる4歳頃から「忍耐力」を育てる関わりをはじめてみましょう。

それまでの年齢では、日々のルール、例えば公園で順番を守る、ご飯は座って食べるなどを中心に、目の前の「我慢しなければならないこと」を根気強く伝えていきましょう。

後々、この我慢できる力がベースとなり、子どもの「できた!」を大きく伸ばす「忍耐力」へとステップアップしていきます。

 

2.生涯の財産!子どものうちに「忍耐力」を身につける3つのメリット

忍耐力のある子どもは「できた!」の経験をたくさん積み重ねて、物事に前向きに取り組めるようになります。

今、目の前にあることだけでなく、長い目で見たときに子どもに必要な力を身につけさせたいですよね。

子どものうちに忍耐力を身につけることのメリットを、順番に見てみましょう。

 

2-1.自己肯定感が育まれる

忍耐力がある子どもは、達成できるまで粘り強く取り組めるので、より多くの「できた!」を経験できます。

「頑張って取り組んだら達成できた」という経験は自信につながり、この自信の積み重ねによって、ありのままの自分を大切だと思える「自己肯定感」が育まれていきます。

そして、自信と自己肯定感をもとに「もっと挑戦してみよう!」という気持ちが芽生え、子どものチャレンジと達成が良いサイクルの中でより発展していくのです。

一方、忍耐力がなくすぐに投げ出してしまうと「またできなかった」とネガティブな感情だけが残り、「自分は何をやってもダメなんだ」という自己否定的な感覚に陥ります。

「めんどくさいからやらない」を繰り返していることも、「続けられない自分」への否定的な自己イメージにつながります。

親として、子どもが良いサイクルの中で前向きに物事に取り組めるよう、サポートしていきたいですね。

 

2-2.失敗に強くなる

何かに取り組むときにつきものなのが、「失敗」です。

取り組んでいることが必ずしもいい結果につながることばかりではないので、多少の失敗に対してめげない心・失敗への耐性は、子どものうちに身につけてほしいですよね。

忍耐力があると、物事を達成するまでの道のりを長期的な視点で考えられるようになります。

結果はすぐに得られるわけではないことを体験的に知っているので、壁に当たったときもそれを「結果」と捉えず、ひとつの「通過点」と考えることができます。

失敗を恐れて尻込みすることなく、「ダメだったら他の方法でチャレンジしてみよう」と建設的に考えて取り組めるので、結果的に「できた!」の経験につながるチャンスとなります。

 

2-3.前向きな気持ちで努力をすることができる

「忍耐力」と聞くと、つらいことに耐えるようなイメージをしがちですが、目標を持って前向きに取り組んでいるとき、必ずしもネガティブな感情に支配されることばかりではありません。

これは大人にも言えることですが、人に強いられて続ける我慢と、自主的に行う我慢は、取り組んでいるときの心持ちも違うものです。

とくに、子どものうちに忍耐力をつけておくと、これから先、年齢が上がって勉強やスポーツなどに取り組むときにも大きな強みとなります。

頑張らなければならないとき・気が進まなくても取り組まなければならないときは、今後必ずやってきます。

そんなときも努力を苦痛と感じず、理想の姿にワクワク感を持って取り組めたら、理想的ですよね。

先の目標にフォーカスできるようになれば、今後新しいことに取り組むときのフットワークも軽くなるでしょう。

その結果として、「できた!」の経験を積み重ねることにつながります。

 

3.子どもの忍耐力を育てる5つのコツ

忍耐力を育てるためには、身近にいるお母さん・お父さんのサポートが必要不可欠です。

「我慢しなさい」「もうちょっと粘ってごらん」と口で伝えただけでは、過剰な我慢を強いる可能性もあり、本末転倒です。

子どもの忍耐力は自発的に、自然に伸ばすことを目指しましょう

そのために親として意識したい関わりのコツを5つご紹介します。

 

3-1.目標を作らせる

忍耐力は、続けられた経験自体が自信につながります。

まずは子どもと一緒に、ひとつのことを続ける目標を考えてみましょう。 「毎朝、お花に水をあげる」「1日1冊本を読む」など。

突然大きな目標を作って取り組むのは難しいので、まずは「次もやってみよう」と思える小さな目標を設定するのがオススメです。

「今日もできた。明日も頑張ろう!」とお子さんが思えたら、大成功です。

 

3-2.達成感を味わわせる

忍耐力を育む上で重要なのが、達成感を味わう経験を積み重ねることです。

達成感が子どもにわかりやすいように、最初は形に残るようなものに取り組んで「できた!」という喜びを味わわせてあげましょう。

例えば、少し集中力を必要とする折り紙やパズルなどがオススメです。

完成を目で見て確認できるので、ゴールもわかりやすく、達成感を感じやすいでしょう。

簡単なものから難しいものまで、子どもに合ったものを選べるので、ステップアップしやすいのも魅力です。

 

3-3.集中できる環境をつくる

子どもが集中して何かに取り組んでいると、ついつい声を掛けたくなってしまいますよね。

「何してるの?」 「あら、すごいじゃない!」 こんな風に声を掛けてしまうと、残念ながら子どもの集中力は途切れてしまいます。

「途中で投げ出してしまった」「続きを再開するのがめんどうになってしまった」とならないように、子どもが集中しているときはそっとしておきましょう。

時間をたっぷり設けたり、集中しやすい静かな空間や、お母さん・お父さんが近くにいて安心できる空間、座りやすい椅子や手元が見えやすい明るさなど、子どもに合った環境を作って集中力をサポートしてあげるのも有効です。

集中力が途切れずに最後までやり遂げられると、子どもの自信は大きく育ちます。

 

3-4.うまくいかないときはフォローする

何かに取り組んでいると、うまくいくことばかりではありません。

失敗したり行き詰まってしまったときに、一人で乗り越えるのがまだまだ難しいので、お父さん・お母さんさんがどう声をかけるか、どうフォローするかがカギとなります。

「大丈夫、大丈夫!」「もう一度やってみたら、うまくいくかもしれないよ?」「こっちのやり方はどうかな?」と前向きに声を掛けてあげましょう。

お母さん・お父さんの温かい声掛けによって子どもは気分を切り替え、もう一度チャレンジしたい気持ちが湧き上がってくるでしょう。

子どもが諦めそうなときや、飽きてしまったときは「一緒にやってみようか!」と誘うのも効果的です。

「できないから、やめた」「飽きちゃったから、もういいや」とすぐに投げ出さず、色々な解決策や手段、楽しみ方を一緒に体験する中で教えてあげられるといいですね。

 

3-5.親も一緒に忍耐力をつける努力をする

子どもに忍耐力をつけさせたいとき、重要なのが「忍耐力のある親の姿」を見せることです。

実は、子どもの忍耐力のなさに親の言動が影響している可能性があると言われています。

時間に追われるあまり、子どもが自分で身支度するのを待ってあげられない、満足するまでやりたいことをやらせてあげられないなど、思い当たることもあるかもしれません。

子どもの忍耐力を育てるためには、まずは親自身が忍耐力をつけることを目指してみましょう。

まだまだ未熟な子どもは日々同じ失敗を繰り返し、お母さん・お父さんは何度も注意しなければならない場面も多いかと思います。

そんなときも根気強く、前向きな言葉を選んでコミュニケーションをとりましょう。親の背中を見せることが、子どもにとって一番のお手本となります。

 

4.親子で忍耐力を身に着けて、子どもの自己肯定感を伸ばそう!

子どもの忍耐力を育てるには、一番身近にいるお母さん・お父さんのサポートが必要不可欠です。

我慢することを無理強いするのではなく、自発的に忍耐力を身につけられるよう、日々の暮らしの中でコツを取り入れてみましょう。

この取り組みによって、子どもの忍耐力が養われるだけでなく、お父さん・お母さんにも良い変化が表れ、忍耐力を必要とする子育てが少しでもラクになれば幸いです。

 

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