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学習カードを子育てに活用しよう!どんなメリットが?おすすめもご紹介

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米澤駿 米澤駿

米澤駿

  • 公認心理師
  • 臨床心理士

公認心理師・臨床心理士として、子どもやご家族のこころや発達の支援に約10年間携わってきました。

学童や放課後等デイサービスの指導員、乳幼児健診の発達相談員、スクールカウンセラーなど幅広い現場で、発達段階に応じた対応や保護者支援を経験しています。

自分自身も一児の父として、毎日の子育てに奮闘中。

心理学の専門知識と現場経験、そして親の目線も大切にしながら、皆さまのお役に立てる情報を分かりやすく丁寧な言葉でお伝えできるよう心がけています。

「挨拶や順番待ちがなかなか身につかない」「毎日繰り返し伝えているのに、どうしてうまく伝わらないのだろう」…そんなお悩みを抱えながら、日々子育てに奮闘していませんか?

特に3〜5歳は、生活習慣やマナーの基礎を形成する大切な時期と言われていますが、その時期に「子どもが集団生活でつまずいている」「言葉で伝えても理解してくれない」と感じると、不安になりますよね。

そんなときに活用したいのが「学習カード」です。

「学習カード」は、シンプルな絵や写真を通して情報を視覚的に伝え、子どもの理解をサポートするツールであり、発達障害やグレーゾーンのお子さん向けの支援法としても活用されています。

この記事では、学習カードのメリットや効果的な使い方はもちろん、目的別のおすすめカードや手作りカードの作り方までご紹介します。

 

目次

 

1.学習カードとは?その特徴とメリット

学習カードという言葉は聞いたことがあっても、実際にどのようなものか、どんなメリットがあるのか詳しく知らない方も多いかもしれません。

ここでは学習カードの種類や、特に発達障害・グレーゾーンの子どもにもおすすめできる理由を解説します。

 

1-1.学習カードの特徴と種類

学習カードとは、絵や写真、文字などを使って子どもに情報を伝える教材のことです。

幼児向けの学習カードは、視覚的に情報を伝えることで理解を助け、楽しみながら学習できる工夫がされています。

学習カードは、大きく分けて以下の種類があります。

  • ルール・マナーカード
    順番を待つ・挨拶をするなどの社会的行動やルールを学ぶためのカード
  • ことばカード
    言葉やその発音を学ぶためのカード
  • 数カード
    数や算数を学ぶためのカード
  • 気持ちカード
    喜び・悲しみなどの感情表現を示したカード
  • 知育カード
    思考力や推理力などを育むためのカード

 

1-2.学習カードのメリット│発達障害・グレーゾーンの子にもおすすめの理由

学習カードの最大のメリットは、なんといっても「視覚的に情報を伝えられる」という点です。言葉での説明だけでは理解しづらい子どもでも、視覚情報として「見える化」することで理解しやすくなります。

「ご飯を食べたら、歯を磨こう」など、やることを言葉で言われるより、具体的な絵や写真を並べて示すことで、「何をすればいいのか」が明確になります。

その日の親の気分や状況によって伝え方が変わることなく、いつも同じ情報を一貫して伝えられるのもカードの良いところです。

カードを見ることで、「これから何をするのか」「何が正しい行動なのか」がひと目で分かり、子どもにとっての安心感につながります。

 

▶ 特に、発達障害のある子どもは、耳で聞いた情報(聴覚情報)よりも目で見た情報(視覚情報)の方が理解しやすいケースが多いと言われています。

また、言葉は話した瞬間に消えてしまいますが、カードは目の前に残るため、何度でも確認できます。これは、記憶や注意に課題がある子どもにとって、理解への大きな助けになります。

 

2.家庭で実践!学習カードの上手な使い方

せっかく学習カードを用意しても、使い方次第で効果は大きく変わってきます。

ここでは、遊びながら楽しく学ぶためのポイントや、使用時の注意点についてご紹介します。

 

2-1.遊びながら学ぶためのポイント

勉強や学習というニュアンスではなく、自然に遊びの中で学んでもらうためには、まずは「子どものペースを尊重する」ことが大切です。興味を示さないカードは無理に使わず、子どもが関心を持つテーマから始めましょう。

┗例えば…乗り物が好きな子なら、乗り物のイラストが使われているカードから始める!

また、何かを学ばせたいという場面では、特に「肯定的な声かけ」を心がけてみてください。「できない」ことを指摘するのではなく、「できた」ことに注目して褒めましょう。

┗例えば…「カードを上手に並べられたね!」「自分でカードをお片付けできたね!」

 

2-2.学習カードを使うときの注意点

学習カードを使うときに一番注意してほしいことは、カードを叱るためのツールに使わないということです。

子どもが気になる行動をした時、つい「レッドカード」のようにカードを使って、やめさせたくなってしまうことがあります。ですが、そのような使い方が続くと、子どもはカードを見るだけでネガティブな感情を抱いてしまいます。

学習カードは、注意や禁止のためではなく、「どうすればいいか」を示すポジティブなツールであることを意識して活用しましょう。

┗例えば…これはNG:順番を守れないたびに「順番待ちカード」を叱るように見せる

┗例えば…これはOK:「次はお友達の番だよ。待っている間はこうやって(カードを見せながら)静かに待とうね」

 

また、学習カードの視覚情報だけに頼りすぎないように注意してください。

カードを見せるだけでなく、声かけも一緒に行いましょう。視覚情報と聴覚情報の両方を組み合わせることで、子どもの理解が深まり、徐々に言葉だけでも理解できる力が育まれます。

子どもの成長に合わせて、少しずつカードへの依存度を下げていくことも大切です。

┗例えば…これはNG:カードを無言で見せながら、子どもに指示する

┗例えば…これはOK:カードを見せながら「歯磨きの順番は、まずは前歯からやってみよう」と説明する

 

3.目的別:おすすめ学習カード10選

学習カードには様々な種類があり、子どもの興味や発達に合わせて選ぶことが大切です。

ここでは、生活習慣から数の学習まで、目的別におすすめのカードをご紹介します。

 

3-1.生活・ルール・マナーが学べるカード3選

■ 絵カード⑥ルール・約束


集団生活で必要なルールや約束が、シンプルなイラストで表現されています。

「順番を守る」「お片付けをする」など、集団生活で必要なスキルが視覚的に理解できます。

 

■ このつぎなにする?!カード


生活習慣やマナーをパズル感覚で学べるカードです。

「手洗い」「歯磨き」などの日常動作を順番に並べる遊びを通して、生活の流れが自然に身につきます。

 

■どっちがカッコイイ?


適切な行動とそうではない行動を比較して考えるカードです。

「かっこいい」「かっこわるい」という子どもが理解しやすい基準で作られているため、自分で考えて判断する力も自然と育まれます。

 

3-2.ことば・考える力・数が学べるカード4選

【ことばが学べるカード】

■絵をみてまねっこ! いっしょにできたね おしゃべりカード


言語聴覚士が実践していることばの練習を、家庭でも取り入れられるようにカード化したものです。

分かりやすいイラストと丁寧な解説が付いているので、誰でも楽しく取り組めます。

 

■ことばを育てる オノマトペカード


ことばの発達に効果的な“オノマトペ”に注目したカードです。

カルタ遊びとしても楽しめるので、ゲーム感覚で取り組むことができます。

 

【考える力が身につくカード】

■モンテッソーリ式カード おはなしづくり


イラストカードを時系列に並べかえて、おはなしを作るカードです。

時系列の理解を深め、思考力と表現力が育まれます。

 

【数が学べるカード】

■100てんキッズ かずカード


数の概念や算数を学べるカードです。

数字と具体物を結びつけて理解できるよう工夫されており、算数の基礎となる「数」の概念が自然に身につきます。

 

3-3.ちょっと変わった面白カード3選

■絵合わせカード


同じ絵柄のカードを合わせるマッチングゲームです。

絵合わせカードは、様々なテーマのもの(例:乗り物・キャラクター)が販売されています。

子どもの興味に合わせたカードを用意すれば、楽しみながら物の名前を覚えることができます。

 

■えらんで きめて つたえるゲーム すきなのどっち?


「自分で選び」、「自分で決める」、「自分の思いを伝える」ことが体験できるカードゲームです。

「好きなほうを選ぶ」というシンプルなルールながら、自己表現や自己決定の力が育まれます。

 

■あいうえおポーズかるた


カードに描かれたイラストと同じポーズをするカードゲームです。

まねっこ遊びを通して、ボディイメージの発達や親子でのコミュニケーションにもつながります。

 

4.我が子にぴったり!手作り学習カードのススメ

工作道具

市販のカードも便利ですが、わが子の生活や好みを反映できるのが手作りカードの魅力です。

手作りすることで、子どものやる気や理解度のアップにもつながります。

 

4-1.手作りカードのメリット

手作りカードは、「うちの玄関での靴の脱ぎ方」のように、実際の生活に合わせた内容にできるのが魅力です。

作成する際は、イラストではなく「実際の写真(自宅の玄関や子どもの靴)」を使うのがおすすめです。見慣れた風景や自分の持ち物を写真で見せることで、子どもは内容をよりスムーズに理解できるようになります。

また、市販品では対応しきれない、わが子特有の悩みや好みに合わせて自由にカスタマイズできるのも、手作りならではの大きなメリットです。

例えば、苦手なことでも「大好きなキャラクターがお手本を見せている」ようなカードにすれば、子どもは受け入れやすくなり、より効果的な支援につながります。

成長や習得状況に応じて、随時更新・追加できるのも良い点ですね。できるようになったことは卒業し、新しい課題は追加していくことができます。

 

4-1.手作りカードの活用アイデア│カードを効果的に使ってみよう!

まずは、朝の準備・帰宅後のやること・寝る前の準備など、家庭のルーティンをカードにしてみてください。

例えば、学校や園から帰ってきたら…「ぼうしをとる」「かばんをおく」「手を洗う」など、やることを順番に並べられるようなカードを作ってみましょう。

次に、「どう行動すればいいのか分からない」「感情のコントロールがうまくいかない」など、悩ましい特定の場面への解決策が考えられるカードを作ってみましょう。

例えば……「お友達のおもちゃを借りるときの言い方」「怒りそうになったときの対処法」など

▶ 発達障害・グレーゾーンの傾向のあるお子さんには、行事・イベント準備カードの作成もおすすめです。

子どもが「今から〇〇をやるんだ(〇〇に行くんだ)」と理解し、安心できるように、実際に行く場所の写真カード(例:「〇〇動物園」)を作っておくとよいでしょう。

また、行事やイベント以外にも、普段よく行く場所(例:近所のスーパー・かかりつけの病院)も写真カードにしておくと、外出時の安心材料になります。

 

4-2.手作りカードの作り方ガイド

◆ 材料・準備

  • 画用紙または厚紙
  • はさみ
  • のり
  • カラーペン・色鉛筆
  • ラミネートフィルム(あれば)
  • プリントアウトしたカード素材(イラストまたは写真)

※イラストが描けない…写真は大変という方は、フリーイラストやAIの活用が便利です。

こちらもご活用してみてください>>シンプルで伝わりやすいフリーイラスト「ドロップス」

◆ 作り方

  1.  画用紙または厚紙を、カードの形に均等に切る(名刺サイズにカットすると扱いやすい)
    ※100均で売っている長方形の厚紙もおすすめです
  2.  カットしたカードに、プリントアウトしたカード素材をのりで貼り付ける(カードに直接手描きしてもOK)
  3.  カードをラミネート加工する(角を丸くカットすると安全)
    ※必要に応じて、カードに穴を開けてリングでまとめると、カードブックとして活用できます。

 

5.見える化の力!学習カードで「わかった」と「できた」の積み重ね

子どもが生活習慣やルールをなかなか身につけられないとき、「どうすれば分かってもらえるのだろう」と悩むのは、多くの保護者が経験することです。

そんなとき、学習カードは視覚的に分かりやすく、繰り返し楽しく学べる心強い味方になります。

特に、発達障害やグレーゾーンのお子さんには、「見てわかる」という安心感と「できた」という自信が育まれます。

学習カードは単なる教材ではなく、親子のコミュニケーションを円滑にする架け橋です。既製品でも手作りでも、「わが子とのコミュニケーションツール」として活用することで、お子さんの新しい気づきや成長がきっと見えてくるでしょう。

ぜひ楽しく活用してみてくださいね!
 

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