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怒られているときに笑う子どもの心理とは?OK対応とNG対応も紹介

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白山七衣 白山七衣

白山七衣

  • 心理カウンセラー
  • 幼児教室講師

メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。

幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。

現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。

お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。

休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!

怒っているときに、子どもが笑ったりふざけたりするのを見て、さらに怒ってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

怒られているのに笑う子どもは、ママやパパの話を聞いていないのでしょうか。

今回は、子どもが怒られているときに笑う理由を年齢別に解説します。

また、効果的な対応法とNGな対応法も紹介しますので、怒られているのに笑ったりふざけたりする子どもにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

1.【年齢別】子どもが怒られているときに笑う理由

国語力とは

怒られているときに子どもが笑ったりふざけたりする理由は、年齢や発達段階によって異なります。

ここでは年齢別に、子どもが怒られているときに笑う理由について説明します。

 

1-1.2~3歳

2~3歳の子どもは親の言葉の意味をすべて理解することが難しく、なぜ親が怒っているのかよくわからずに、楽しそうに笑ったり、ふざけたりすることがあります。

■構ってもらえて嬉しい

自分の行動によってママやパパが反応してくれることを楽しいと感じたり、構ってもらえて嬉しいと感じている場合があります。

そのため、親が怒ることをさらにやろうとします。 「スプーンを投げてはダメだよ」と怒ると、面白がって何度も投げられて困った経験のある方も多いのではないでしょうか。

■ママに笑ってほしいというメッセージ

子どもはママやパパの笑顔が大好きです。怒って怖い顔をしているママやパパに、笑顔になってほしいという気持ちから、子どもの方から笑顔を作る働きかけをしていることがあります。

赤ちゃんの頃、大人から働きかけて子どもを笑わせていた段階から、子ども自身が笑顔を作って笑いを作り出す段階へ成長しているともいえますね。

 

1-2.4~5歳

4~5歳の子どもは相手の気持ちを理解し、共感できるようになってきていますが、自分の感情をうまくコントロールして表現する力はまだ未熟です。

防衛反応(傷つかないように自分を守ろうとしている)

笑いは脳内のエンドルフィンという物質を出してストレスを軽減し、リラックスさせる効果があることが知られています。

怒られて不安や緊張を感じている子どもは、無意識のうちに笑いで自分の心を守ろうとしています。 自分の心が傷つかないようにしたいという防衛本能から、不安な気持ちを笑いでごまかそうとしているのですね。

どう対応していいかわからずその場を取り繕うとしている

怒っている親にどう対応すればよいかわからず、笑ったりふざけたりしてその場を取り繕うとすることがあります。

 

1-3.5歳半~6歳

5歳半~6歳頃になると、相手の感情を理解し、自分なりに考えた行動がとれるようになります。

みんなの前で怒られるのが恥ずかしい

5歳半頃になると、相手の感情を理解する力が進むと同時に、ネガティブな感情をそのまま表に出さず、隠すという対応がとれるようになります。

怒られたときには、怒りの感情がしっかりとわかり、みんなの前で怒られるのが恥ずかしいと感じています。その恥ずかしさを隠して、居心地の悪い状況から逃れたいという思いから笑ってごまかすことがあります。

大人でも、バツの悪い思いをしたときに笑ってごまかすことはよくありますよね。

怒っている人をなだめて、その場を明るくしたい

子どもは親の怒っている状況を居心地の悪いものと感じ、それを明るい雰囲気に変えようと考えることがあります。

怒っている親をなだめよう、笑顔にして楽しくしようと考えた結果、怒られているのにもかかわらず、笑うという行動をとってしまうことがあります。

怒っている側からすると、ふざけているように見えるかもしれませんが、子どもなりに感情を理解し、調整しようとした結果なのです。

 

 

2.怒られているときに笑う子どもの特徴

親が怒っているのに、笑ったりふざけたりする反応を返す子どもは、繊細で傷つきやすかったり、感受性が豊かな場合が多く見受けられます。

繊細で傷つきやすい子、感受性が豊かな子は、怒られて恥ずかしいと感じたり、不安や恐怖を強く感じる傾向があります。そのため、自分の心を守ろうとする防衛本能が働きやすくなります。

また、親の気持ちに敏感なので、親に笑ってほしい、いつもの優しい状態に戻ってほしいという気持ちを強く抱いていることもあります。

親としては怒っているのになぜ笑うのだろうと、戸惑うかもしれませんが、笑う反応の裏には子どもの不安な気持ちや優しい気持ちが隠れていることにも目を向けてあげたいですね。

 

 

3.怒られたときに笑う子どもにどう対応する?【OK対応】

怒られているにもかかわらず笑う子どもに対して、どのように対応すればよいのでしょうか。

ここでは、怒られているときに笑う子どもへの適切な対応方法をお伝えします。

 

3-1.2人だけのときに怒る

子どもを怒るときは、他の人がいない2人だけの場所で対応すると良いでしょう。

子どもは、他の人の前で怒られることに恥ずかしさを感じることがあります。また、他の子どもや兄弟と比較されているように感じることもあります。

うわべでは、笑ってなんとも思っていないように見えても、自尊心を傷つけてしまうことがあるので気をつけたいですね。

危険な行為など、その場ですぐに注意が必要な場合は別として、じっくり言って聞かせたいとき、行動をしっかり改めてほしいときなどは、2人だけの静かな空間で対応するのが良いでしょう。

 

3-2.怒る前に許した状況を作る(受け止める)

親は怒っているとき、子どもが笑ったりふざけたりすることなく、真剣に話を聞いてしっかり反省してほしいと思うものです。

子どもに反省を促すためには、まず子どもの気持ちを受け止めて、怒るより前に許した状況を作ると効果的です。

例えば、「どうして弟をたたいたの?何か嫌なことがあったの?」と、まずは理由を聞いて、子どもの視点や感情に耳を傾けることが大切です。

その後、「わかったよ。○○が嫌だったんだね」と、子どもの気持ちを受け止めて理解を示してあげるとよいでしょう。

子どもは、怒られる前に自分が受け入れられ、許されたと感じるので、「怒られる」と身構えて、自分の心を守ろうとする状況がなくなります。

その上で、「たたくのは良くないね」「嫌なことがあったらどうすればいいと思う?」と具体的な問いかけをすると、子どもは笑ってごまかすことなく、自分の行動に向き合うことができるでしょう。

 

3-3.落ち着いた声で目を見て伝える

怒られているのに笑う子どもを叱るときには、今話していることは、真剣なことだと伝える必要があります。子どもは、それを言葉だけではなく、表情や雰囲気からも感じ取ります。

落ち着いた声で、子どもの目を見てしっかり話すことで、子どもは笑っていてはいけないことを理解し、親と同じように真剣な態度で聞くべきだと認識します。

 

3-4.ダメな理由をわかりやすく伝える

特に2~3歳の子どもは、怒られている理由が理解できていない場合があります。そのため、なぜ怒られているのかをわかりやすく伝えることが大切です。

例えば、「スプーンを投げたら危ないよ」「スプーンは食べ物を口に運ぶためのものだよ」と落ち着いた声で具体的に注意しましょう。

ダメな理由をわかりやすく伝えることで、子どもは怒られていることに納得できます。納得できれば、次からは自分で行動を気をつける自己コントロール力を徐々に身につけることができるでしょう。

 

 

4.怒られたときに笑う子どもにどう対応する?【NG対応】

怒られているのに笑う子どもに対して誤った対応をとると、状況が悪化することがあります。

ここでは、怒られたときに笑う子どもへのNGな対応法をご紹介していきます。

 

4-1.感情に任せて大きな声で怒鳴る

怒られているのに子どもが笑っているのを見ると、親は子どもがふざけているのだと思い込んで、一層強く怒ってしまうことがあります。

しかし、これまでにお伝えしたように、子どもが怒られているときに笑うのには様々な理由があります。感情に任せて大きな声で怒るのは避けましょう。

親が感情に任せて大きな声で怒鳴ってしまうと、子どもは混乱したり、自分の気持ちを理解してもらえないと無力感を感じることがあります。

子どもの気持ちを理解せずに大きな声で怒鳴っても、子どもは受け入れることができず、適切な行動に改めることが難しくなります

怒られる原因になった行動をした理由など、子どもの気持ちをしっかり聞いてあげましょう。

親子でお互いの考えを正しく理解すると、子どもの感情表現や行動を適切な方向に導くことができます。

 

4-2.反省するまでしつこく言い続ける

子どもが笑ったりふざけたりすると、親は子どもが話を理解していない、真剣に聞いていないと思い、反省の様子を見せるまでしつこく言い続けてしまうことがあります。

しかし、長時間怒り続けると、子どもは注意力がなくなって、何を怒られているのかもわからなくなってしまいます。何がいけなかったのか理解できるように、注意したいポイントを絞って伝えると良いでしょう。

例えば友達のおもちゃを取って泣かせてしまったとき、「そんなことしちゃダメでしょ。この間も××してたよね・・・」などと続くと、子どもはだんだん他のことへ意識が移ってしまいます。

その結果、怒られていたことも忘れて他の楽しいことを考え出すので、怒られているのに楽しそうにしていたり、ふざけていたりという反応につながってしまうことがあります。

怒るときは、今注意したい内容に集中して伝えましょう。なぜ怒られる原因となる行動をとったかを聞いた上で、「それは間違っていたね」「おもちゃを○○ちゃんに返して、謝ろうね」など、子どもがどのように行動すれば良いか伝えてあげるといいですね。

子どもはどう行動すれば良いかがわかれば、笑ってごまかしたりする必要がなくなるでしょう。

 

4-3.ママとパパが2人で一緒に叱る

怒られているのに笑う子どもを、ママとパパが2人で一緒に叱るのは避けましょう。

子どもは追い込まれて気持ちの逃げ場がなくなってしまい、深く傷ついてしまうことがあります。

ママが怒っているときには、パパは子どもを抱いて一緒に話を聞くなど、子どもに寄り添ってあげると良いでしょう。

怒られていても、一方が寄り添っていることで子どもは安心し、素直に話を聞くことができます

 

5.子どもの感情のコントロールと表現力を育む方法

怒られているときに笑う子どもは、自分の感情をコントロールしてうまく表現することが難しい場合があります。

ここでは、子どもの感情のコントロールや表現力を育む方法について紹介します。

 

5-1.親子のコミュニケーションを大切にする

日頃から、親子のコミュニケーションを大切にして、気持ちを表現する機会を作りましょう。

怒ったときでも、その後そのままにしておくのではなく、親子でコミュニケーションをとることを心がけましょう。

少し時間をおいて落ち着いたら、子どもの考えをしっかり聞いて、子どもが自己表現する力をつけられるようにサポートすると良いですね。

叱りすぎたと思ったときには、親自身も素直に謝って気持ちを伝えましょう。子どもにとって感情表現のお手本になります。

落ち着いて叱るのは親にとっても大変なことですが、叱られることは子どもにとってストレスがかかることです。

叱られた後、リラックスした雰囲気の中で不安な気持ちを話せるといいですね。

抱っこするなどスキンシップを取りながら話せば、子どもも安心して自分の気持ちを話しやすくなるでしょう。

 

5-2.家族以外の人と触れ合う経験を増やす

自我が芽生え、自分の気持ちを表現できるようになるのは2~3歳頃です。

そこから言葉や表情を通して相手の感情に気づいたり、その場の状況から感情を推測したりする力を少しずつ身につけていきます。

また、様々な経験や失敗を通じて、「自分の気持ちをどうやってコントロールしよう」「こういう場合どのように表現すればいいのだろう」と試行錯誤を重ねながら成長していきます。

家族は普段から接しているため、気持ちを読み取りやすく、状況をとらえやすいですね。

家族以外の人との交流は、予想外の反応に出会ったり、初めて感じる気持ちがあったりと様々な経験ができます。

家族以外の人と触れ合う経験を増やすことで、子どもの感情のコントロールや表現力の成長を促すことができるでしょう。

 

5-3.子どもができた正しい行動を褒める

子どもに適切な感情表現や行動を促したいときは、ダメなことをとりあげて怒るよりも、適切にできたことを褒める方が効果的です。

子どもは褒められることで自己肯定感が高まり、これからも正しい行動をして褒められたいと意欲的になります。

また、どのような行動が適切なのかがわかるので、次も正しい行動をとれるようになっていくでしょう。

 

5-4.絵本を読んで学ぶ

日常生活のトラブルや友達、親子関係を描いた絵本を読むと、相手の気持ちや様々な決まりごとを自然に学ぶことができます。

絵本を読むと、子どもは主人公に感情移入し、感情を客観的に考えられるようになります。

主人公の気持ちになったり、主人公の取った行動について考えたりするうちに、状況に合った適切な感情表現ができるようになっていくでしょう。

 

6.怒られているときに笑う理由を理解し、子どもの成長をサポートしよう

今回の記事では、怒られているときに子どもが笑う理由と対応法をお伝えしました。

年齢によって笑う理由は少しずつ異なりますが、大きな要因となっているのは感情のコントロールや表現力の未熟さです。

子どもは様々な経験を通じて成長し、次第に感情のコントロールもできるようになっていきます。

怒られているときに子どもが笑う理由に目を向けて、おおらかな気持ちで成長を見守っていきましょう。

 

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参考文献
・溝川  藍『幼児期における感情表出の調整に関する理解の発達』京都大学大学院教育学研究科紀要 第57号 2011
・久保 ゆかり『幼児期における情動調整の発達』東洋大学

 

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