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子どもの個性を伸ばす!「8つの知能」で我が子の強みを知ろう

この記事を書いた人

平尾しほ 平尾しほ

平尾しほ

  • 言語聴覚士

言語聴覚士免許を所有、児童発達支援センターでの勤務経験があります。

特に遊びの中でのことばの育ちを意識して個別療育を行っていました。

現在小学校2年生の息子がいます。

個別療育でのたくさんのご家族とのかかわりと子育ての経験を合わせて、皆様に分かりやすくお伝えしていきたいです。

「子どもの個性を伸ばすかかわりをしよう」

このような言葉が、教育や保育の場でよく聞かれるようになりました。

親としても、子どもの個性を伸ばすために、なにかしてあげたいと考える方も多いでしょう。

一方で、「この子の個性はなんだろう?」「そもそも、子どもの個性はどのように見つけたらよいのだろう?」と疑問に思うこともあるかもしれません。

この記事では、子どもの個性を見つける方法のひとつとして「多重知能理論」を紹介します。

簡単なチェックリストもつけていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

目次

1.子どもの個性とは?

個性という言葉はよく耳にしますが、そもそもどのようなものなのかを改めて考えてみましょう。

その上で、子どもの個性を見つけるために親は何ができるのかをみていきます。

 

1-1.子どもの個性とは「その子らしさ」

個性とは、その人だけがもつ性質や特徴のことを指します。

身体を動かすのがとにかく好き、細かく観察するのが得意など、子どもの言動を特徴づけるような「その子らしさ」ということができるでしょう。

「その子らしさ」には、生まれながらにもっている変わらない部分と、環境や家族など身近な人の影響で変化していく部分があると考えられています。

特に幼少期は、経験や周囲とのかかわりにより形成される部分も多いでしょう。

子どもの興味や好きで作られていく部分、ということもできますね。

 

1-2.子どもの個性を伸ばすために親ができること

子どもの個性を伸ばすには、まずその子の個性がどのようなものなのかを知る必要がありますね。

そしてそのためには、子どもの様子をよく観察する必要があります。

何をしているときがいきいきしているかという視点で、子どもを観察してみましょう。

自分から興味を持って動くのはどんなときか得意そうなのは何をしているときかをよく見てみます。

そして、子どもが関心を持っていそうなことについて、積極的にコミュニケーションをとることを意識してみてください。

たくさん会話をしながらかかわる中で、例えば、音楽が好きな子どもと一緒にカラオケに出かけるなど、興味があることに近付く機会を提案していくとよいでしょう。

 

2.子どもの個性の見つけ方―多重知能理論―

個性を見つけるには、その子の行動をよく観察し、興味や好きなことを見極めることが大切です。

さらに、子どもの個性を知る具体的な目安があれば、親にとっては分かりやすいですよね。

ここでは、子どもの個性を発見する方法のひとつである「多重知能理論」をご紹介します。

 

2-1.多重知能理論とは?

多重知能理論とは、ハーバード大学の心理学教授であるハワード・ガードナー氏が生み出した知能の考え方です。

従来、人間の知能は、IQを指標に測られてきました。

しかし、そもそも知能は複数の側面を持っているもの。

おもに学力に直結する部分を測るIQのみで人の知能が本当に分かるのか、という疑問から生まれたのが多重知能理論です。

多重知能理論では、人間の知能は、複数の知能で形成された集合体であると考えます。

複数の知能の強弱で、その人固有の知能が形成されるとしたのです。

つまり、人間の知能を学力に限らない様々な領域から「得意」「苦手」の度合いで捉える考え方です。

 

2-2.子どもの個性を8つの知能で捉える

ガードナーは多重知能理論の中で、人間の知能は主に8つの知能で構成されるとしています。

その8つの知能には人によって得意・不得意があり、その強弱が組み合わさって、1人の子どもの知能が形成されていると考えます。

そして、その「強」こそが、子どもの強みであり、その部分を見極め伸ばすことが、個性を伸ばすことにつながっていくのです。

ガードナーは、どんな人にも必ず強みがあると考えました。それは決してひとつとは限らず、8つの知能の中で複数あることもあるのです。

 

3.子どもの個性を見つける!8つの知能のチェックリスト

多重知能理論を用いると、子どもを多面的に見ることができ、個性を見つけやすくなります。

では、多重知能理論における8つの知能とはどのようなものなのかを、1つずつ詳しく見ていきましょう。

また、各項目の最後にはチェックリストも用意しました。

子どもの様子を見て当てはまるものが多いと、その知能がその子の個性と言えるかもしれません。

お子様の個性を知る目安にしてみてくださいね。

 

3-1.言語・語学的知能

言葉を理解したり、表現したりする知能です。

話すことが好きで、言葉を使ってなにかを表現したり目標を達成したりすることが得意です。

□ 人や者の名前を覚えるのが得意

□ 手紙などで自分の気持ちを伝えるのが好き

□ 本をよく読む 

□ 新しい言葉を覚えるのが好き

 

このような特徴のある子どもとは、しりとり、なぞなぞなど言葉を使った遊びを楽しむとよいでしょう。

絵本を読んだ感想を話したり、親子で交換日記をつけたりするのもおすすめです。

 

3-2.論理・数学的知能

論理的・数学的に考える知能です。

ものごとの規則性や関係性を発見する能力が高いです。

□ 計算に興味がある

□ 疑問に思うことがあれば、それについてもっと知りたいと思う

□ 説明書を見ながら、なにかを組み立てることが得意 

□ 理由などを質問することが多い

 

このような特徴のある子どもとは、買い物など身近なところで数や計算に触れる機会をもつとよいでしょう。

また、子どもが「なぜ?」と思うことを調べたり実験してみたりしながら一緒に解明していくと、好奇心が満たされます。

 

3-3.視覚・空間的知能

空間とその中にあるものをうまく認識する知能です。

絵や図を書いたり、空間内でものを操作するのが得意です。

□ 外見的な変化をすぐに見つけることができる

□ 絵や写真を鑑賞するのが好き

□ 地図を見るのが好き 

□ 積み木やパズル、迷路が好き

 

このような特徴のある子どもは、本は絵や写真の多いものを選ぶ、年齢に応じたパズルやブロックで遊べるようにするなどの準備をするとよいでしょう。

地図を見ながら散策や観光をするのも、楽しめるかもしれませんね。

 

3-4.博物的知能

身の回りの事象を分類したり見分けたりする知能です。

自然など様々なことに興味があり、観察して違いや共通点を見分けるのが上手です。

□ 動物と遊んだり世話をするのが好き

□ 植物や昆虫、魚の名前をたくさん知っている

□ 天気や地球のことに興味を持つ 

□ 図鑑を読むのが好き

 

このような特徴のある子どもとは、動物園や植物園、水族館などその子の興味関心を探求できるような場所へ足を運ぶとよいでしょう。

自然の中で、生物や植物をじっくり観察する時間をつくるのもいいですね。

 

3-5.音楽・リズム知能

音楽を認識したり作り出したりする知能です。

楽器を演奏したり歌ったりすること、そして鑑賞することも大好きです。

□ 歌をうたったり楽器を演奏することが好き

□ はじめて聞いた曲をすぐに覚えられる

□ 文を読むときにリズムが付く 

□ 曲に合わせて踊るのが好き

 

このような特徴のある子どもには、多くの音楽や楽器に触れる機会をつくりましょう。

一緒にコンサートに行く、楽器に触れる体験会などに積極的に足を運んでみるのもおすすめです。

 

3-6.身体・運動感覚知能

身体をうまく使ったり手先の作業をしたりする知能です。

身体を使って表現することが好きで、いわゆる「運動神経が良い」という言葉が当てはまります。

□ 身体を動かすことが好き

□ 平均台などバランスをとることが得意

□ 新しく始めた運動にもすぐ慣れることができる 

□ ボディランゲージが多い

 

このような特徴のある子どもには、外で思い切り身体を動かす遊びをするのはもちろん、ごっこ遊びや絵本の再現遊びなど、身体を使って表現する遊びをするのもよいでしょう。

 

3-7.対人的知能

他者の状態を認識したり、うまく関係を構築する知能です。

誰とでも仲良くなれたり、人の気持ちを汲み取ることが上手だったりします。

□ 友達や家族を楽しませるのが得意

□ 人になにかを教えるのが好き

□ 他者の表情や態度を見て、その人の気分を察することができる 

□ グループ活動が得意

 

このような特徴のある子どもには、ままごとやごっこ遊びなど人とのやりとりを楽しむ遊びをたくさんするとよいでしょう。

サッカーやバレーボールなど、チームで行うスポーツに参加するのもおすすめです。

 

3-8.内省的知能

自分自身について的確に把握し、それによって上手く生活する知能です。

自分の興味をつきつめ、自分のペースで過ごすことができます。

□ 自分で目標をたてて実行することができる

□ 感情のコントロールが得意

□ 人の意見に左右されない 

□ ひとりでも楽しめる

 

このような特徴のある子どもには、特にその子だけの時間を大切にすることを意識しましょう。

集中して本を読んだり考え事をしたりできる自分だけの場所を準備してあげるのもよいかもしれません。

 

4.多角的に子どもを見て、個性を発見しよう!

子どもの個性を伸ばすには、まずは子どもの個性を見極めることが大切です。

そのための方法のひとつとして、多重知能理論の考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

様々な視点で子どもを見て、どのようなことが得意なのかを捉えることが、個性の発見につながります。

そして、個性を大切に育むことでその部分はその子の強みとなり、今後の人生の基盤となっていくでしょう。

 

 

参考文献
公益社団法人 日本心理学会 心理学ってなんだろう「性格は遺伝で決まるって本当ですか?」
森下美和,有賀三夏,阪井和男,富田英司,原田康也「多重知能アンケート調査にもとづく学生の振り返り 」2020年度日本認知科学会第37回大会  29頁
有賀三夏「自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く~」

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