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完璧主義の子どもの特徴は?子どもの気が和らぐ対応法や原因もご紹介

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CONOBAS編集部 緑川 CONOBAS編集部 緑川

CONOBAS編集部 緑川

  • 養護教諭

「何よりも大切なのは健康」そんな思いから養護教諭を目指し、約7年間公立小・中学校の保健室で勤務していました。

子どもの心に寄り添うことを大切に、学生時代から子どもと触れ合うボランティアに参加してきた経験があります。

現在は、1歳半の子どもの子育てに奮闘中です!

「少しの失敗で大きく落ち込んでしまう」「上手くできないと癇癪を起してしまう」

このような行動のみられるお子さんは、完璧主義の傾向があります。

完璧主義とは、物事に対し、過度に完璧を求めてしまうことをいいます。

完璧主義の子どもは物事に真面目に取り組める、責任感が強いなど良いところがある反面、少しのミスで落ち込みやすいなどの特徴があります。

今回は、そんな完璧主義ゆえに苦しんでいるお子さんをもっと楽にしてあげるための対応法を詳しくご紹介します。

完璧主義になる原因や癇癪への対応法もご説明するので、完璧主義のお子さんの対応にお困りの方や、完璧主義のお子さんをより良く成長させたいという方はぜひ参考にしてみてください!

 

目次

 

1.完璧主義の子どもにみられる特徴

「ピアノの課題曲が上手く弾けないと泣きながら何度も練習し、しまいにはピアノを叩いて癇癪を起こす」

このような行動にもみられるように、完璧主義の子どもには次のような特徴があります。

  • 真面目で物事に一生懸命取り組む反面、小さなミスをしただけでも落ち込んでしまう
  • 落ち込んだりイライラしたりすると、なかなか気持ちを切り替えられない
  • 癇癪を起してしまうこともある

 

完璧主義の子どもは物事に取り組むとき、必要以上に高いレベルで達成したがります。

そして、自分の思ったように物事が達成できないと、落ち込んだりイライラしたりしてしまうのです。

子どもがこのような完璧主義になる原因は、主に3つ挙げられます。次で確認してみましょう。

 

2.子どもが完璧主義になる3つの原因

子どもが完璧主義になる原因には、遺伝・環境・発達段階の3つが関わっていると考えられます。

それぞれの項目について、確認してみましょう。

2-1.子どもが生まれ持った気質(遺伝)

父親や母親の完璧主義が子どもに遺伝し、子どもにも完璧主義の気質が見られることがあります。

気質とは、主に遺伝によって子どもが生まれつき持っている個性であるため、変えることはできないものです。

また、HSCの特徴のひとつにも完璧主義があります。 HSCとは「Highly Sensitive Child」の略で、ひといちばい繊細な気質をもった子どものことをいいます。

 

 

こうした気質が原因の場合、子どもの個性として完璧主義と付き合っていく必要があります。

後ほどご紹介する、子どもの気持ちが楽になる対応法などを参考に、上手に付き合っていけると良いですね。

 

2-2.主な養育者が完璧主義(環境)

子どもは、周囲の人たちが自分に完璧を期待していると感じると、完璧であろうとします。

とくにお母さんなど、主な養育者が子どもに完璧を期待している場合、その様子を感じ取った子どもは完璧主義になりやすいという研究結果もあります。

子どもに完璧を求めがちなお母さんは、自分に対しても完璧を求める傾向があるはずです。

自分も子どもも、完璧でなくても大丈夫!と肩の力を抜くことも意識してみましょう。

 

2-2.完璧を求める年頃である(発達段階)

「無謀な目標を設定し、それを達成しようとする」のは完璧主義の特徴です。

実は、これに似た「高目標設定」という行動が3~4歳頃によく見られるという研究結果があります。

自分ができるレベルよりも高い目標を設定してしまう行動は、子どもの発達段階によって現れやすい時期があるのです。

お子さんに完璧主義の傾向が見られる場合、そうした発達段階の過程もあることを頭に入れておくと良いかもしれません。

 

3.完璧主義の子どもの気持ちを和らげる接し方

「完璧主義の子どもがミスをするたび落ち込んでしまうのを、何とかしてあげたい…」

そんな思いをお持ちの方は、多いのではないでしょうか。

落ち込む以外にも、失敗したり負けたりするのが嫌でやりたがらない、少しの失敗で怒ってやらないといったといったお悩みもCONOBASに寄せられています。

ここからは、そんなお悩みをお持ちの方におすすめの、子どもが失敗したり落ち込んだりしたときの対応法をご紹介します。

お子さんが癇癪を起したときの対応法も解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

3-1.小さな失敗に対しても叱らない

「子どもが食事中に飲み物をこぼしてしまった」

日常でよく見られるシーンですが、このような小さな失敗に対しても怒ったり叱ったりしないことが大切です。

子どもは失敗から学び、物事を器用にできてくる過程にあります。

失敗に対し保護者の方が寛大でなければ、子どもは失敗を恐れるようになり、挑戦することに消極的になったり嘘や言い訳でごまかしたりするようになることもあります。

例えば飲み物をこぼした際は、「こぼれちゃったね。布巾で拭こうね」などと声をかけましょう。

このように、状況とその解決策を伝えることで子どもは失敗しても大丈夫なんだと認識できるようになります。

「何をしているの!」とつい失敗を責めてしまいがちですが、失敗は子どもの学びのチャンスととらえ、許容してあげられると良いですね。

 

3-2.取り組みの姿勢や過程に注目する

完璧主義の子どもは、物事の結果ばかりに捉われている傾向があります。

そのため、取り組みの過程に注目した声掛けをすることで、子どもの視点を変えてあげることが大切です。

例えば子どもがテストで100点をとった場合には、「100点をとれるくらいお勉強を頑張ったんだね!」などと結果が出るまでの努力を褒めるようにしましょう。

保護者の方のこうした対応により、子どもは結果よりもそれまでの過程が大切なことに気がつきます。

たとえ100点をとれなかったとしても、頑張ったことに意義がある、と自分の失敗を受け入れられるようになることでしょう。

 

3-3.子どもが得意なことを褒めて伸ばす

「ピアノの発表会で演奏を失敗してしまった」

例えばこんなときは、子どもがよくできていた点を探し、褒めてあげましょう。

「気持ちがこもった演奏だった」「人前でも緊張せず弾けていた」「堂々とした態度でお辞儀ができた」など、完璧な演奏よりも素晴らしかった点は必ずあるはずです。

完璧主義の子どもは自分に自信がないことが多く、高い目標を設定してしまいがちです。

子どもが得意なことを褒めることで、自分の能力を認識し、自己肯定感を高めることにつながります。

 

3-4.癇癪を起こしたときの接し方

完璧主義の子どもが癇癪を起こしたときは、子どもの話を聞き、落ち着いてきたら気持ちの切り替えを促しましょう。

まず、「上手くできない」「もう嫌だ」などと子どもが発言したら、それを代弁するように「〇〇が上手にできなくて嫌だったんだね」などと繰り返しながら話を聞きます。

この際「そんなこと言わないの」などと言って、子どもの気持ちや発言を否定するのはNGです。子どもの主張を受け止め、代弁することで子どもは自分の気持ちを分かってもらえたと認識し、安心できるためです。

こうした対応を繰り返すことで、子どもは親を信頼するようになり、親子関係も培われていきますよ。

次に、子どもの気持ちを和らげる声掛けをしながら、子どもの気持ちの切り替えをはかりましょう。

完璧主義の子どもは癇癪を起こしているとき、「上手くできない」「失敗してしまった」という結果に捉われ苦しんでいます。

そんなときは、「何度も練習していて、すごいね」などと結果に至るまでの過程に注目した声掛けをして、子どもの視点を切り替えてあげましょう。

結果的には失敗だとしても、取り組みの過程でよくできていた部分に注目することで子どもは自分の能力を認識できます。

子どもが落ち着いた後は、「静かなところだと落ちつくよね」「お話したら、すっきりしたかな?」などと声をかけると、癇癪を起こす以外の方法を子どもが認識するきっかけにもなります。

 

4.完璧主義の子どもの長所を伸ばそう!

完璧主義のお子さんは、完璧を求めるあまり少しのミスで落ち込んでしまったりイライラしてしまったりしがちです。

こうした行動により苦しんでいるお子さんの気持ちを和らげるには、失敗を容認したり取り組みの過程を賞賛したりする声掛けが有効です。

また、お子さんの完璧主義は遺伝・環境・発達段階の3つの要因が考えられることもわかりました。

とくに、主な養育者が完璧主義だと子どもはその影響を受けやすいので、お母さん自身が「完璧ではなくても良いんだ」という認識を持つことは大切です。

真面目で責任感が強いなど、良い面もたくさんあるのが完璧主義のお子さんの特徴です。

こちらの記事でご紹介した内容を、お子さんのより良い成長にぜひ役立てていただけたら幸いです。

 

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参考文献
西元直美(2016)幼児の完全主義に関する縦断的検討─発達的変化および気質との関連について─ 関西福祉科学大学紀要, 19, p. 1-11, 2016-01-20
桜井茂男(2004)子どもと親における完全主義の関係 筑波大学心理学研究, 巻 28, p. 37-42,
峯恵美子 古賀靖之(2006)親の心理特性に対する子どもの認知とその影響に関する一考察-完全主義について- 永原学園西九州大学・佐賀短期大学紀要 【第37号 平成18年度】

 

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