子どもが親に八つ当たりする心理とは?対応法も紹介
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
園や学校から帰ってくるなり、親やきょうだいにイライラをぶつけて八つ当たり…
そのような子どもと毎日を過ごしているうちに、親までイライラして親子で負のスパイラルに陥ってしまい、なんとか状況を改善したいと思っている方もいるのではないでしょうか。
子どもが八つ当たりするのは、親を信頼している証拠です。
この記事では、子どもが親に八つ当たりする理由や具体的な対応法・気をつけたいポイントを紹介します。
子どもの八つ当たりに困っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.子どもが親に八つ当たりする3つの理由
子どもが親に八つ当たりするのには、主に以下の3つの理由があります。
1-1.園や学校でためたイライラを発散している
園や学校でたまったイライラを発散するために、親に八つ当たりすることがあります。
子どもは大人ほど感情をコントロールできないため、不安やイライラした気持ちをうまく処理できません。
また、上手にストレスを発散する方法を持っていないことがほとんどです。そのため、親やきょうだいなどの身近な人に当たり散らしてしまうことがあります。
1-2.親に甘えている
親に甘えているのも、子どもが親に八つ当たりする理由です。
子どもは親に対し、「ママなら自分の気持ちを受け止めてくれるだろう」と信頼を抱いています。そのため、ストレスや不満をありのまま親にぶつけてしまうことがあります。
また、親からの愛情や関心を確かめるために、わざと八つ当たりすることもあるでしょう。
1-3.言葉で表せない
子どもが親に八つ当たりするのは、言葉で気持ちをうまく表せないことも理由になります。
子どもは言語能力が十分に発達していないため、イライラしたり不安を感じたりした時に、うまく言葉で伝えられません。
代わりに行動で気持ちを表し、場合によっては八つ当たりのような攻撃的な態度になることがあります。
2.八つ当たりする子どもへの対応法4選
ここからは、八つ当たりする子どもへの具体的な対応法を4つ紹介します。
2-1.子どもの気持ちを受け止める
子どもから理不尽な八つ当たりをされたとしても、まずは子どもの感情を受け止め、共感してあげてください。
「嫌だったね」「悔しいね」と親が共感することで、子どものイライラした心が落ち着きます。「ママは私のことを考えてくれてるんだな」と、親子の信頼関係も深まりますよ。
子どもに共感する方法が分からないと悩む方は、以下の点を意識しながら子どもの話を聞くのがおすすめです。
- 子どもと目線を合わせる
- あいづちをうちながら子どもの話を聞く
- 子どもの感情を言葉にして返す
マイナスな言葉や荒れた態度も全部ひっくるめて、丸ごと子どもを受け止めてあげましょう。
2-2.子どもの気持ちを代弁する
子どもの気持ちを言葉にしてあげるのも、子どもの八つ当たり対策として有効です。
子どもは自分の気持ちをうまく言葉で表現することが難しく、イライラした気持ちが高ぶると、八つ当たりなどの行動で発散してしまうことがあります。
「眠たいからイライラしてるのかな?」「宿題が分からなくて嫌になっちゃったの?」など、子どもの気持ちを代弁してあげてください。この際、子どもの気持ちを決めつけないように注意しましょう。
子どもが「これは『悔しい』という気持ちなんだ」などと、自らの感情を言葉で理解すれば、相手に言語で伝えられるようになり、ストレスをためにくくなります。
また、「待ち時間が長いからイライラした」といったように、細かい感情の働きを言葉で表現できるようになれば、八つ当たりの原因が分かってきます。
そのため、同じような場面に再び遭遇した時に、「待ち時間に暇をつぶせる本を持っていこう」などと、イライラしないための予防法や対処法を考えられるようになるでしょう。
「八つ当たりしないために、どうしたらいいかな?」と、子どもと一緒に対処法を考えてもいいですね。
2-3.生活習慣を整える
子どもが親に八つ当たりをする場合、生活習慣を見直すことも効果的です。
子どもの八つ当たりには、睡眠不足や生活リズムの乱れが関係していることもあります。
夜は早めに寝る・食事の時間を決めるなどの基本的な生活習慣を整えることで、子どものストレスが緩和され、八つ当たりも減っていくでしょう。
2-4.スキンシップをとる
積極的に子どもとスキンシップをとることも、子どもの八つ当たり対策におすすめです。
スキンシップにより、愛情ホルモンであるオキシトシンが分泌され、子どものストレスが緩和されます。さらに、子どもはスキンシップによって心を開き、八つ当たりの原因を話しやすくなるでしょう。
桜美林大学の山口教授によれば、夕方以降にスキンシップをとると効果が高まると言われています。
頭をなでる・玄関を出る時に「いってらっしゃい」と言いながら背中をポンと触るなどのスキンシップを意識してみてはいかがでしょうか。
3.こんな時はどうするの?ケースごとの対応法
ここでは、子どもの八つ当たりに関するケースごとの対応法を紹介します。
3-1.物を投げる・壊す
子どもが八つ当たりで物を投げたり壊したりする場合は、まず子どもの安全を確保しましょう。
その際、強い言葉で「やめなさい」と制止するのではなく、手をつなぐ・抱きしめるなどの行動で制限し、同時にスキンシップをとって安心させてあげてください。
子どもが落ち着いたら、子どもの気持ちに共感しながら話を聞き、次にイライラした時はどうしたらいいのか一緒に考えます。
対処法は親が決めるのではなく、「次にイライラしたらママに教えるのと、クッションをたたくの、どっちがいい?」と選択肢を与えるなどして、子どもに決めさせましょう。
対処法を自分で決めることで、子どもに責任感が生じますよ。物が壊れてしまったら、子どもと一緒に直したり後片付けをしたりすることで、子どもが自分の行動に向き合う機会を作るのもいいですね。
3-2.きょうだい(下の子)に八つ当たりする
きょうだい(下の子)への八つ当たりには、ママを取られてしまった寂しさや不安な気持ちが隠れていることが多い傾向があります。
上の子を優先したり、親と上の子2人きりの時間を作ったりして、これまで以上に上の子を意識してあげてください。
別のストレスがあって八つ当たりしているような場合も、上の子のために時間をとってしっかり話を聞くことで、ストレスの原因を把握して心のケアができますよ。
その上で、「下の子は○○君にたたかれて悲しい思いをしてるよ」と教えてあげてください。
たっぷり親に受け止めてもらえたことで、上の子に親の言葉を受け止める余裕が生まれるでしょう。
4.子どもが八つ当たりしてきた時に気をつけたいポイント
最後に、子どもが八つ当たりしてきた時に気をつけたいポイントを紹介します。
4-1.怒鳴らない
子どもに八つ当たりされて親がイライラしてしまった時も、怒鳴るのはNGです。
怒鳴られると、子どもは親を恐れるようになり、親に心を開くことが難しくなる可能性があります。
また、八つ当たりの原因を解消できず、同じことを繰り返す可能性が高くなってしまいます。
怒鳴りそうになってしまった時は、深呼吸をし、息を吐ききってから話すようにしてみてください。息を吐ききった後は大きな声を出しづらくなるため、自然に冷静な声で話せるようになりますよ。
4-2.子どものペースにあわせない
子どものペースに引きずられて、親も一緒に心を乱さないよう注意してください。
脳にはミラーニューロンという神経細胞があり、ほかの人の動作や感情を模倣する働きをすると言われています。そのため、子どもの八つ当たりによって親が感情的になると、子どもはさらに取り乱してしまう可能性があります。
親が感情的になってしまった場合は、子どもの安全を確認した上でその場を離れるなど工夫しつつ、冷静に八つ当たりの対応をしていきましょう。
5.子どもが八つ当たりするのは、親を信頼している証拠
原因を突き止めて子どもの八つ当たりを止めてあげたいと思いつつも、実際子どもに八つ当たりされると、イライラしたり悲しくなったりしてしまうことも多いでしょう。
しかし、子どもが親に八つ当たりするのは、親を信頼している証拠でもあります。
子どもの気持ちを受け止めながら冷静に対応し、子どもが八つ当たりの原因を解消できるように導いてあげてくださいね。
参考文献
・『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子 著
・山口創『手の治癒力』(草思社)
・山口創『皮膚という「脳」』(東京書籍)
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