【0~3歳】手遊び・リズム遊びで運動能力を育もう!
この記事を書いた人
田中ケイコ
- 保育士
- 子育て支援員
芸術を通した児童の情操教育を専攻し保育士と博物館学芸員の資格を取得。
博物館に勤務したのち家族の仕事でカナダに3年滞在。
帰国後プリスクールに就職。
その後同スクールのネイティブ講師とともに幼児英語の親子クラスを担当し20年勤務。
子育て支援員にもなり、現在は職場にて0~1才の親子のための子育て支援(育児相談・ママ友作り・絵本・日本語や英語の手遊び紹介)の活動を開始しました。
「我が子には怪我をしにくい子に育ってほしい!」
「バランス感覚や集中力のある、器用な子になってほしい!」
「運動好きな元気な子になってくれたらいいな!」
というような願いを持つママも多いのではないでしょうか。
教室で子育て支援の会を運営する筆者も実際に
「自分が運動音痴だから子どもには運動が得意になってほしい、それを意識して今からできることはありますか?」
「ただやみくもに遊ぶのでなく、体の成長を意識した遊びを知りたい」
といったご相談を受けることがあります。
今回はそんなお悩みをお持ちのママに、0歳から3歳の運動能力の発達を踏まえて、運動能力の発達につながる、「おうちで楽しく遊べる手遊びやリズム遊び」をご紹介します。
外で遊ぶ、スポーツをするだけでなく、おうちでできる簡単な手遊び・リズム遊びでもお子さんの運動能力の土台を育むことができます。
英語のリズム遊びも紹介しているので、「おうちで英語に触れてみたい!」という方もぜひご覧ください。
目次
1.子どもの運動能力の発達と遊びの関係
そもそも子どもの運動能力はどのように発達していくのでしょうか。ものを握る、つかまるといった大人にとっては当たり前の動作を、子どもは遊びの中で身につけていきます。
まずは子どもの運動能力の発達と、その発達を支える日々の遊びの関係について説明します。
1-1.子どもの運動能力の発達
スキャモンの発達曲線によると、体に関する発育・神経型曲線は4〜5才までに80%決まり、6歳までにはある程度人間として動き、成長していくための基本的な部分の発達が完了するといわれています。
そのため幼児期のうちから様々な姿勢の変化やバランスの変化を経験し、運動能力の基礎を作ることが大切です。
体幹がしっかりしてくると支えなしで1人でお座りできるようになり、手を前につかなくてもひとりでお座りできる状態が長く続くようになるのは生後9~10ヵ月頃です。
それにより両手が自由になり、腕や指先の動きへの発達へ繋がり、手指の動きが運動能力の発達につながります。
自立して歩けるようになると、ずり這いやハイハイの頃と比べ腕や手を使った動きが減少していきます。
だんだんとつかまり立ちをする、1人で歩く、よじ登る、といった様々な動作ができるようになっていきますが、よじ登るといった大きな動き(粗大運動)は「つかむ」といった小さな筋肉を使った手の動き(微細運動)が育まれないと安定するようになりません。
そのため2歳から4歳くらいの子どもには特に手を使って動く機会を作ることが大切です。
この微細運動と粗大運動をしっかり経験しておくことで、バランスを取りやすくなったり、転びにくくなることにもつながるのです。
子どもはこれらの動きを考えて学ぶのではなく、日常生活の中で遊びながら自然に手や体を動かし習得していきます。
運動能力や運動神経と聞くと、スポーツなどを思い浮かべることもあると思いますが、幼児期は遊びを通じてまずはしっかりと手指の動きを育むことが大切なのです。
1-2.年齢別の発達特徴に合わせた動き
子どもの運動能力を育むうえで発達に合った動きを遊びに取り入れることが大切です。ここでは具体的に、何歳頃にどんな動きができるようになるのかを紹介していきます。
子どもの発達は個人差があるのであくまでも目安として参考にしてください。
0歳児
・小さなものをつまんだり、両手に持ったものを打ち合わせることができるようになります。
これにより手をパチパチとあわせたり、マラカスのようなおもちゃをふったりスカーフなどを引っ張ったりできます。
1歳児
・1人で立ったりしゃがんだり、歩いたりできるようになります。
・手を上下左右に動かしたりする。ぐるぐる円を描けるようになります。
・歌や音楽に合わせて体を動かせるようになり、手を大きく上下左右に動かして振りつけができます。
2歳児
・ものをねじったり引っ張ったりすることができるようになります。
・バランス感覚が育まれ、横歩きや後ろ歩きをしたり、つま先立ちや片足立ちができるようになります。
3歳児
・左右の手を交互に開いたり閉じたりすることができるようになります。
・両足で連続とびや片足とびができるようになります。
片足跳びができることは体のバランスを上手に取りながら動けるようになるということです。
発達年齢にあわせて子どもの成長を後押しする遊びを選んでみましょう。
2.子どもの運動能力を育む!手遊び・リズム遊びのメリットとは?
子どもの運動能力を育むには、まずはしっかりと手指の動きを育むことが大切だとわかりました。今回手指の動きを育む遊びとして紹介したいのが「手遊び・リズム遊び」です。
「手遊び・リズム遊び」の具体的なメリットをご紹介します。
2-1.バランス感覚や体幹が育まれる
手遊びやリズム遊びは、姿勢が良くなる・怪我をしにくくなる・日常の動きがしっかりできるといった、動くうえでの土台作りに役立ちます。
バランス感覚や体幹は、例えば曲に合わせて身体を大きくゆらす、かた足立ちをする、ジャンプする、くるくる回るといった不安定な動きを、姿勢を保ちながらリズムに合わせて行うことで育ちます。
不安定な動きには、手のひらや指を大きく広げてバランスを取ったり、何かにつかまったり、手で身体を支えたりという体制を整える動きが必要なのです。
0〜3歳向けの手遊びやリズム遊びにはこういった動作が沢山含まれているので、結果としてバランス感覚や体幹を鍛えることにつながるのです。
2-2.集中して遊ぶ力が育まれる
リズム遊びをするときには、保育士や親の動きを見ながらタイミングをあわせることが大切になります。そのため、子どもは一生懸命まねをしようと、動作やリズムに集中するので、結果として協調性や集中力が育つのです。
リズム遊びや手遊びは、子どもが聞き取りやすい音階を使って作られているものが多く、興味をひきやすく集中して楽しめるようになっています。
2-3.出来た達成感を味わいやすい
まねをしてできるようになる、という体験を繰り返して、できる喜びや達成感を感じ、次の遊びへの意欲も育まれます。
子どもは「知ってる!それできるよ!」という経験が大好きで、何度も同じ絵本を読んで欲しがったり、同じことをやりたがったりするのもこの経験を沢山したいからなのです。
2-4.親子で簡単に楽しめ、愛着形成にも役立つ
昔から歌い継がれてきたわらべうたや子ども向けの歌は色々ありますが、どれもリズミカルで緩急があり、自然に体が動いたりリズムをとりやすかったりするという特徴があります。
このような特徴のある歌は、子どもにとって聞き取りやすく、惹きつけられやすいため、特別な工夫をしなくても親子で簡単に楽しむことができます。
さらに、愛情を持って自分に接してくれる大人の優しい声かけや温かいまなざし、ボディータッチなどは、子どもとの愛着形成にも役立つのです。
3.0歳児におすすめ!手遊び・リズム遊び
0歳のうちは首がすわるまでのねんねの時期と、お座りがしっかりできる時期で、できることが違います。
お子さんの成長の様子を見ながら体の負担にならないようお楽しみください。
ねんねの時期はママが目の前でやって見せるか、赤ちゃんの手や足を持ってあげて簡単な無理のない動きで楽しんでみましょう。
3-1.Twinkle Twinkle Little Star・きらきら星
■含まれる動作
手のひらを握る開く・振る・掴むなどの動き
■おすすめポイント
英語でも日本語でも親しみがある曲です。
まずはママが歌いながらゆっくり目の前でグーパーグーパーを繰り返すのをみせるだけでも大丈夫です。
またエッグマラカス(小さな卵形の幼児用のマラカス)が握ることができる場合、曲に合わせて振るというリズム遊びもできます。
最初はその手をママが持って振ってあげるとシャカシャカ音がなることがわかって、子ども自身が振ってみようとする姿も見られるでしょう。
3-2.Row Row Row Your Boat
■含まれる動作
バランス・手や肩を動かす・つかまる・掴む・引っ張る
■おすすめポイント
子どもを膝の上に乗せて、ママが体をゆらし、ボートのように波の動きを小さくしたり、大きくしたりして動きます。
早く歌ったり、ゆっくり歌ったりしながらリズミカルに揺れの具合を変えてあげると、重心の変化を感じられるでしょう。
船を漕ぐ動きは、子どもに手を据えてあげると、まねしやすくなります。
歌に合わせて親子でスカーフやハンカチの両端を持って引っ張り合うと、掴む・引っ張るという指先の動きも体験できますよ。
3-3.てをたたききましょう
■含まれる動作
拍手・足踏み・手指を使った動きなど
0歳児から遊ぶことができますが、子どもが自分で動いて楽しめるのは1歳くらいからでしょう。
ママが目の前でやって見せているうちに子どもが自然とそれをまねるようになります。
4.1歳児におすすめ!手遊び・リズム遊び
1歳になると自分で手を動かしてまねができるようになります。最初はママがやって見せて、できたら褒めてあげましょう。上手にできることが目標ではなく、楽しみながら動くことを大切です。
立って自分で動ける月齢になるまでは座って指先の動き中心で楽しみ、立てるようであればバランスを崩して倒れないように気をつけながら遊んでみてくださいね。
4-1.Roly Poly
■含まれる動作
手をぐるぐる回す、上下左右に動かす・拍手などの動き
筆者が実際に子育て支援の会でママたちに紹介している手遊びです。目の前でやってみせると段々と手を上下左右に動かしたり拍手などの動きができるようになります。実際にママが歌いながら楽しむとさらに良いでしょう。
自分で立てるようになったら立って遊ぶのもバランス感覚の成長につながります。
4-2.Baby Shark
■含まれる動作
指先を合わせてつまむ・手を合わせて叩く・腕を大きく動かして手のひらを合わせて叩く・手をグーにするなどの動き
指先の動き、手を叩く動き、腕を大きく動かす動きが入っていて、小さな子でもまねがしやすい曲です。
今回紹介するBaby Sharkの動画は、メロディーを少しスローに歌っているので、小さなお子さんもまねしやすくおすすめです。
4-3.むすんでひらいて
■含まれる動作
手のひらをグーにして広げる・キラキラさせて動かす・手拍子・身体を触る
グー・パー・キラキラといった手のひらを動かす基本的な動作が含まれています。最初はゆっくりとやって見せて、まねがしやすいようにしてあげましょう。
上手だねと声をかけながら、上手にできたことを褒めてあげると子どもはママに褒められたよろこびでさらに楽しくできますよ。
5.2歳児におすすめ!手遊び・リズム遊び
2歳児になるとジャンプをしたり走ったりすることができるようになります。
ダイナミックな動きと、手や指をしっかり動かして楽しめる工夫をしましょう。
5-1.お船がぎっちらこ
■含まれる動作
しっかり捕まって・掴んで引っ張るなどの手のひらや指先の動き
向かいあって座り、手を引っぱりっこをしましょう。けがをしないようにほどよい力加減にすることが大切です。
タオルやスカーフを使う場合は「しっかり掴んでいてね」と声をかけてください。少しずつ引っ張る強さを変えたりして、体も動かせるとさらにいいですね。
5-2.Head Shoulders Knees and Toes
■含まれる動作
大きな動きのバランス・手や指先で触る・拍手などの動き
座った状態でも立って体全体を動かしながらでも遊ぶことができます。立って遊ぶ場合は体を大きく動かすのでバランスが大事になります。慣れてきたらスピードをあげて楽しんでみましょう。
自分の体でだけでなく家族でお互いに触りながらや、人形を使って楽しんでみるのもいいですね。
5-3.Wheels On The Bus
■含まれる動作
手をぐるぐる回す・手を上下左右に動かす・屈伸ほか
座った状態では上半身を使って、立った状態では体全体を使って遊ぶことができます。早いスピードの音源もあるので、必死にまねをすることでさらに面白さが増すでしょう。しぐさや表情も大袈裟にして楽しむのがおすすめです。
振り付けが上手にできるようになったら、お部屋の中を歩き回りながら歌ってみると全身を使った動きができます。
太鼓やマラカスで音楽に合わせて叩いたり振ったりして自由に楽しませてあげましょう。
5-4.Wheels On The Bus
■含まれる動作
手のひらを交互にグーパーする動き・指を1本ずつ上げていく動き
※動画の④参照
最初はゆっくりでいいので動きを大切にしながら遊びましょう。
手のひらを互い違いにグーパーしながらもう片方で包む動きには、ものを掴む動作が含まれているので、これが上手にできるようになってきたら、早く歌ってみるとさらに面白く遊べますよ。
6.3歳児におすすめ!手遊び・リズム遊び
3歳になると、複雑な動きや素早い動きも楽しめるようになります。バランス感覚を身につけられるよう、体も手も大きくしっかり動かしてたっぷり遊びましょう。
元気よく自由に動くことを楽しんでくださいね!
6-1.Reach For The Sky
■含まれる動作
手拍子・手で体に触る・回る・ジャンプする・指先を動かす・腕を広げてパタパタする・腕を高く上に伸ばす
体全体を大きく動かせる曲です。例えばジャンプをする動きは、体に軸をつくり転ばないようにしないといけないため、バランス感覚が重要です。
自分たちで歌う場合はスピードを変えながら数回繰り返して遊ぶと、かなりの運動量になります。
6-2.Clap Along With Me
■含まれる動作
手拍子・リズム遊び
ClapをのJumpなどの動詞に変え、飛び跳ねる遊びも加えると、さらにバランス感覚も鍛えることができます。
手や身体をたくさん動かせるよう工夫してみてくださいね。
6-3.のねずみ
■含まれる動作
指の本数を増やしカウントしていく・細かい指の動き・手のひらの動き
歌に合わせて、指の本数を増やしながら動かすことが必要になる遊びです。
紹介した遊びの中では少し難易度が高いですが、これを楽しみながらできるようになると指先の細かい動きや集中力も身についていきます。また、数唱や数量の理解にもつながるので、楽しく数を学ぶきっかけにもなるでしょう。
まずはゆっくり歌い、慣れてきたら早く歌ってみるとさらに楽しめますよ。
7.手遊びを一緒に楽しんで運動能力を育もう
音楽が流れると、子どもが自然に体を動かしたり、リズムにのっている様子を見たことはありませんか?その何気ない動きの中でも、実は色々な筋肉を動かしており、次への成長のステップになっているのです。
親子で手遊びやリズム遊びができると、ちょっとした待ち時間や雨の日の室内遊びとしても楽しむことができます。スキンシップをとりながら、一緒に身体の発育に合わせた基本的な運動力も育てられたらいいですね。
今回は発達段階に合わせ、運動神経の基礎を育む様々な筋肉の動きが体験できる楽しい手遊びやリズム遊びにをてご紹介しました。
ぜひお子様と一緒に楽しんでみてください!
主な参考文献
・赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育 第2巻
運動・遊び・音楽 中央法規
・山本秀人(2018)0.1.2歳児 発達をおさえた運動あそび
経験してほしい粗大運動・微細運動
・柳澤弘樹
(2021)0歳からの学力に劇的な差がつく 子どもの脳を育てる「運動遊び」
関連トピックをご紹介!
・外遊びのメリットやたくさんした子の特徴は?運動神経を伸ばす外遊び5選
・運動神経を伸ばす「お家遊び」5選!〜誰でも伸びる運動発育の黄金期とは?~