社交的な子どもの特徴や子どもの社交性を高める方法を解説
この記事を書いた人
みき
- 司書教諭
- 中学校教諭
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高校の国語講師として約8年勤務していました。
中学、高校の教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を持っています。
現在は3人の子育てに奮闘中。
知識や経験を活かせるライターを目指し、勉強中です。
「子どもには社交的に育ってほしい」と願う保護者の方は多いでしょう。
その期待に反して、子どもが恥ずかしがり屋で引っ込み思案な性格だと、「小学校に入ってから友達ができるかしら」と心配になりますよね。
この記事では、5〜6歳のお子さんを育てる保護者の方に向けて、社交性とは何か、子どもの社交性を育むメリットや家庭で子どもの社交性を育む方法について紹介します。
目次
1.社交性とは?外向性、協調性、社会性との違い
まずは社交性の意味や、外向性・協調性・社会性など社交性と似た意味を持つ言葉との違いについて解説します。
1-1.社交性とは
『岩波国語辞典第5版』によると、社交性とは
①人との付き合いを好む、または人とうまく付き合っていける性質
②社会を形作ろうとする人間の特性
のことを指します。私たちが「社交性」という言葉を使う時には、「①」の意味を指していることが多いですね。
社交性とは、誰とでもすぐに打ち解けられる性質のことで、人付き合いを円滑にする特徴と言えるでしょう。
1-2.外向性・協調性・社会性との違い
社交性と似た言葉で、外向性・協調性・社会性の意味は次のとおりです。
・外向性:内向性の対義語で「性格として、外部の物事に関心を示し、社交的・集団的な傾向」を指し、より外に関心を持つ性格のこと
・協調性:性格・考え方などの異なったもの同士が、お互いにゆずりあって調和していこうとすること
・社会性:①広く社会に通用するような性質、②社会集団の一員であるのに相応しい性質
(参考:『岩波国語辞典第5版』)
外向性は、興味や関心が外界に向けられる傾向のことを指します。協調性は他人の意見に耳を傾け、周りに合わせた行動ができることを表す言葉です。
社会性は社交性・協調性・責任感・社会的なマナーやモラルなど、社会に適応するための態度や行動を指します。
2.社交性が高い子どもの特徴
社交性が高い子どもにはどんな特徴があるのでしょうか。ここでは、社交性が高い子どもに見られる7つの特徴をお伝えします。お子さんの様子と照らし合わせながら、読み進めてみてくださいね。
2-1.いつも笑顔で明るい
社交性が高い子どもは、笑顔で明るく、親しみやすい印象があります。普段からニコニコしている子どもの周りには、自然と人が集まります。
学校の先生や身近な大人にも顔や名前を覚えてもらいやすく、社会に出てからも強みとなります。
2-2.人への興味が強く、おしゃべりが好き
社交性が高い子どもは、人への関心が強く、自分から積極的に話しかけることが多いです。人と関わることが好きなので、自然とコミュニケーション能力が養われていきます。
2-3.人の話を聞くことができる
社交性が高い子どもは、人の話を上手に聞くことができます。一方的に話すだけなく、相手の話にも耳を傾けながら会話のキャッチボールができるため、居心地の良い印象を与えることができます。
聞き上手な子どもを育てるためには、まず自分の話を熱心に聞いてもらう経験が欠かせません。大好きなママやパパに話を聞いてもらえると、子どもには自信や信頼感、安心感が育まれ、相手の話を聞く姿勢が身についていきます。
2-4.相手の気持ちを読み取ることができる
社交性が高い子どもは、相手の気持ちを読み取るのことが得意です。相手の表情や言葉から気持ちを想像し、思いやりのある行動が取ることができます。
2-5.何事にも積極的で行動力がある
社交性が高い子どもは、好奇心旺盛で、いろんな物事に興味を持ちます。行動力があり、新しい物事にも物怖じせずに積極的に取り組む傾向があります。
2-6.人の長所を見つけるのが得意
社交性の高い子どもは、人の長所を見つけるのが得意です。人間は誰しも褒められるのが好きなので、小さい頃から友達の長所を見つけられる子どもは、円滑な人間関係を育むことにつながります。
友達のマイナスの部分だけでなく、プラスの部分に目を見つけることができると、子ども自身も前向きに生きやすくなりますね。
2-7.視野が広く、気配りができる
社交性の高い子どもは、人との交流を通して、多様な考えや価値観に触れる中で、視野を広げていきます。
周りの小さな変化に気が付きやすく、気配り上手な子どもが多いでしょう。
多様な視点で物事を考えられるようになると、周囲に対して寛容になり、より良い人間関係を築きやすくなります。
3.子どもの社交性を育むメリット
続いて、子どもの社交性を育むメリットを4つ紹介します。
3-1.仲間を作りやすい
社交性の高い子どもは親しみやすく、自然と人が集まります。人と協力することで得られる喜びや、1人では成し遂げられない成功体験を積むこともできるでしょう。
また、トラブルに遭遇した際も、仲間に助けてもらいやすくなります。
3-2.自分の成果を上手にアピールできる
社交性の高い子どもは、自分の成果を素直にアピールすることが得意です。自慢するのではなく、成果をしっかり説明することができるからです。
【体験談】教師目線で感じる、社交性の高い子どものメリットとは?
筆者は高校教師の勤務経験があります。当時は「なるべくどんな生徒さんにも平等に接すること」を心がけていましたが、それでも「先生、これができたよ!」と嬉しそうに話しかけてくれる生徒さんは、印象に残ることが多かったです。
積極的に話しかけてくる生徒さんには、「次はこれをやってみたら?」と勉強のやり方についてアドバイスをしやすく、学力が伸びることが多かったと感じています。
3-3.人との距離感や接し方が上手くなる
社交性の高い子どもは、たくさんの人と接する経験を通して、人との適切な距離感や接し方が身についていきます。そのスキルは、大人になってからも円滑な人間関係を築く上で役に立ちます。
3-4.多角的に物事を見られるようになる
社交性の高い子どもには、たくさんの人や情報が集まってきます。多くの人と関わりを通して多様な価値観を柔軟に受け入れ、物事を多角的に見る力が身につきます。
社会に出ると、柔軟な対応や判断が求められることが増えていきます。子どもの社交性を引き出すことは、広い世界で生きていくためのサポートにもつながでしょう。
4.子どもの社交性を育むために家庭でできること
良好な人間関係を築き、社会に順応するためにも、子どもには社交性をぜひ身につけてほしいと考える保護者の方も多いでしょう。
子どもの社交性は、日常生活のちょっとした心がけで育むことができます。家庭でできることから始めてみてくださいね。
4-1.挨拶をする
日常生活ですぐに実践できるのが、挨拶です。挨拶の習慣には、子どもの社交性を育むだけでなく、近所の人に「子どもの存在」を認知してもらえるメリットもあります。
筆者の家庭では、子どもが小さい頃から親が積極的に近所の方に挨拶をするようにしてきました。すると子どもも挨拶をしているようで、近所の方に褒められたことがあります。
挨拶はコミュニケーションの基本です。まずは毎朝、「おはよう!」と親子で元気な挨拶することから始めてみてくださいね。
4-2.マナーやモラルを教える
子どもの社交性を育むためには、マナーやモラルを教えることが大切です。相手の気分が悪くなるような行動や言葉の癖は、その都度、注意するようにしましょう。
基本的なマナーやモラルが身についている子どもは、何かトラブルが起きたときにも適切な対応ができます。相手との関係性に合わせた失礼のない振る舞いをすることにもつながり、人間関係が円滑に進みます。
4-3.習い事をする
新しいことにチャレンジして、そこで新しい仲間を得ることは、貴重な体験になります。子どもの興味があることはやらせてみると自信にもつながるでしょう。
特にスポーツは社交的な人格形成に影響を与えることがあると言われています。(※1)
4-4.初対面の人と関わる機会を作る
人見知りが心配ということであれば、初対面の人と触れ合う機会を作ってみましょう。子育て支援の集会や習い事の体験など、同世代の子どもが集まる場所に連れて行くのもおすすめです。
ママやパパも一緒なら、子どもも安心して過ごせるでしょう。無理やり子どもだけで遊ばせるのではなく、お子さんの気持ちやタイミングをじっくり待ち、急かさないことも大切です。
4-5.親が人と交流する姿を見せる
子どもは親のことをよく見ています。ママやパパが人と交流する姿を見せることも、子どもの社交性を育むことにつながります。人付き合いが苦手な方は、近所の人に挨拶をすることから始めてみるといいでしょう。
5.子どものペースで少しずつ社交性を身につけよう
子どもの社交性は、一朝一夕には身につきません。まずは学校の先生や友達、近所の方と気持ちの良い挨拶をするなど、無理のない目標から一歩ずつ進めていきます。子どものペースで焦らずゆっくりと社交性を身につけていけるといいですね。
参考文献
※1:中島 悠輔,『スポーツが人格形成に与える影響』,p.5
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