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【4歳・5歳】元教師がひらがなの教え方を紹介!家庭でできる5つのアプローチとは?

この記事を書いた人

みかんママ みかんママ

みかんママ

  • 特別支援学校教諭
  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭

特別支援学校・小学校にて14年間勤務。

主に低学年の担任を経験してきました。

特別支援教育・初等教育が専門で、そのほか、“心”へのアプローチを中心とした子どもとの関わり方を勉強しています。

特別支援学校教諭、小学校教諭、幼稚園教諭の資格をもっています。

6歳(年長)の子どもがおり、得意なことは絵本の読み聞かせ、歌遊び、楽器演奏です!

「うちの子、もう4歳を過ぎたけど、まだひらがなが書けない」、「お友達の◯◯ちゃんは書いていたのに、うちの子はまだ全然書けない」、「ひらがなの書き方って、どんなふうに教えたらいいんだろう?」こんなお悩みはないですか?

ひらがなが読めるようになると、次に気になるのが、ひらがなの「書き」ですよね。
自分の子どもと同年代のお子さまが、ひらがなを書き始めると、どうしても焦ってしまうもの。

でも安心してください。

子どもの発達段階を知り、その段階に合ったアプローチすることで、子どもはひらがなを書くことができるようになります。

この記事では、「ひらがなを書き始める4歳・5歳児の発達段階」、「ひらがなの『書き』を身につける流れ」をふまえて「家庭でできるひらがなの『書き』の教え方」をご紹介します。

 

 

目次

 

1.ひらがなを書けるようになる時期には個人差がある

ひらがなが書けるようになるのは大体どのくらいの年齢なのでしょうか。

文部科学省によると、「自分の名前をひらがなで書ける」子どもは、年中児(4歳)の男の子77.4%、女の子94.1%、年長児(5歳)の男の子96.5%、女の子98.8%であるという結果が出ています。

 

 

この結果から見てわかるように、「自分の名前をひらがなで書ける」ようになるには、個人差・男女差があるのですね。

ひらがなはいきなり書けるようになるものではなく、いくつか段階を踏んで書けるようになるものです。

筆者が関わった子どもの中には、小学1年生になってから、スムーズにひらがなを習得した子もいました。

子どもの発達段階や、いまひらがなを書くうえでどのようなステップにいるかを理解して、子どもに合わせたアプローチをしていくことが何より大切です!

 

2.4歳・5歳はどんな時期?

~子どもの発達段階を理解し、ひらがな学習に繋げよう~

 

少しずつひらがなを書くことができるようになってくる4歳・5歳頃。

それぞれの年齢で「どんなことができるようになるのか」を理解することで、子どもへ適切なアプローチができるようになります。

 

2-1.4歳の発達段階

それでは、4歳児の発達段階をご紹介していきます。

4歳になると、歯磨きや排せつなど、身の回りのことが一人でできるようになってきます。

ママ・パパのお手伝いもほとんど必要ないお子さまもいることでしょう。

また、言語能力が格段に成長し、自分の気持ちやその日あった出来事などを話すことができるようになります。

手指の発達も目覚ましく、はさみや鉛筆、ペン、箸の持ち方・使い方が上手になる時期です。

工作やお絵描きなど、想像力を働かせる活動を十分楽しむことができます。

また、多くの子どもが文字へ興味をもち、読むことを楽しみ始めるのもこの時期です。

 

2-2.5歳の発達段階

続いて、5歳児の発達段階をみていきましょう。

5歳になると、着替えや排せつ、衣服を畳む、マナーを意識した食事など、「身の回りのこと」は、ほぼ自立します。

言語面も大きく発達し、1つの話題をテーマに友達との会話を楽しんだり、自分の言葉で気持ちを表現したりすることもできるようになります。

手指もますます器用になり、はさみで曲線を器用に切ったり、ホチキスやのり、両面テープなど、いろいろな道具を上手に使ったりすることができます。

「丸、三角、四角などの図形を描く、人間を描く、自分の体験を絵にする」などの、「描く力」もどんどん身についてくる時期です。

また多くの子どもが、ひらがなを「読む」ことを楽しみ、「書くこと」に興味をもち始める頃です。

 

まとめ

4歳~5歳は手指の発達が目覚ましく、自分の意図した通りにものを動かす事が出来るようになっていきます。

また工作やお絵描きのなどの遊びを通じて、多くの物の形を認識していきます。

これらは自分の力を調節しながら鉛筆を握って何かを書いたり、文字の形を認識して真似をするなど

ひらがなを書くのに欠かせない土台が作られている時期なのです。

お子さまが今どのようなことができる状態なのかを把握して、適切なアプローチをしていきましょう!

 

3.子どもはどうやってひらがなを書けるようになるの?

 

ここからは、子どもがひらがなの「書き方」を身につける流れをご紹介します。

ひらがなが書けるようになるにはいくつかのステップがあります。

この流れを知っていると、ママ・パパもお子様が「今、どの時期なのか?」がわかるので、「見通し」をもつことができますよ!

 

3-1.なぐり描き、お絵描き、ぬり絵を楽しむ時期

1歳頃から始まる初めてクレヨンやペンをもって描く時期が、まず「書き」につながる第1歩です。

なぐり描きやお絵描き、ぬり絵など、「クレヨンをもって描く」ことを十分楽しませてあげたい時期です。

ここで「楽しい!」と思えると、クレヨンから鉛筆へと使うものが変わり、「お絵描き」から「文字を書く」段階へスムーズに移行できます。

 

3-2.ひらがなのなぞり書きができるようになる時期

クレヨンをもって、「描くこと」を十分楽しんだ頃には、「見る力」もどんどん育っています。

個人差がありますが、3歳頃からは、直線のなぞり書きができるようになっていきます。

直線のなぞり書きをたくさん経験させてあげつつ、慣れてきたら、波線など少し難しい線のなぞり書きも取り入れていくと良いですよ。

たくさんなぞり書きをすることで、「見る力」、「書く力」を養うことができます。

4歳頃には、手指もかなり器用になっているので、ひらがなのなぞり書きができるお子さまもいるかもしれません。

いろいろな線のなぞり書きが上手になったら、ひらがなのなぞり書きにも挑戦していきましょう。

 

3-3.ひらがなの視写ができるようになる時期

視写とは、「お手本の文字や文章を見て、視線を自分の手元に移動させて書く」、「見た文字を頭の中でイメージしながら書く」ことを言います。

お手本の線からはみ出さなくなったら、なぞり書きから視写へ移行していきます。

なぞり書きは、自分の手元を見ながら書けますが、視写になると「視線を移動させる力」「記憶する力」も必要になります。

この力は、経験を重ねたり、補助点・補助線を活用したりすることで、次第に身についていきます!

補助点・補助線は、この後の「家庭でできるひらがなの教え方」で具体的に説明しています!

 

3-4.ひらがなを自分で書けるようになる時期

たくさん描いて、たくさんなぞり書きをして、たくさん視写したお子さまは、自分でひらがなを書けるようになります。

それは、ここまでの流れで「文字の形を認識」し、それを「イメージしながら書く」ことができるようになっているからなのです。

 

ここまでひらがなの「書き」を身につける流れをご説明しました。

お子さまは今どの段階でしょうか?

なぞり書きができるようになったら視写へ…と焦らず一つずつ段階を踏んでいくことが大切です。

では、ひらがなが書けるようになるために、具体的にはどのように教えればいいのでしょうか?

次にご家庭でできる子どもへの5つのアプローチをご紹介します。

 

4.家庭でできるひらがなの教え方~5つのアプローチ~

 

ここではちょうど4歳・5歳のお子さまが経験する「なぞり書き」「視書」のステップでできる教え方をご紹介します。

 

4-1.いろいろな線をなぞり書きする

ママやパパが、紙にお手本となる縦線や横線を書き、子どもはそれをなぞります。

波線やぐるぐる、曲線、階段状の線など、子どもが楽しめる線のなぞり書きをどんどん経験させてあげてください。

初めはクレヨンなどで楽しみ、3歳・4歳頃からは鉛筆に変えて、なぞり書きを経験させてあげると良いですよ。

息子は、はさみや箸を無理なく使えるようになったのが4歳頃だったので、鉛筆デビューもその頃でした。

この経験で、手指の動かし方、見る力、集中力、書く力が、どんどん育っていきます。

焦らずたっぷり経験させてあげてください!

 

4-2.自分の名前のひらがなをなぞり書きする

いろいろな線のなぞり書きで、お手本の線からはみ出さなくなってきたら、自分の名前のなぞり書きをしてみましょう。

自分の名前は、子どもにとって「一番身近な文字」ですよね。

筆者も、これまで関わってきたお子さまや息子へのアプローチで、ひらがなを初めてなぞるときは、「自分の名前」を活用していました。

子どもにとっても自分の名前は愛着があるので、大変効果的な教え方でした。

繰り返すことで、「文字の形を認識」できるようになり、視写へ移行できます。

50音のひらがなのなぞり書きが上手にできるようになったら、視写に挑戦しましょう。

 

4-3.書きやすいひらがなからなぞり書きする

「自分の名前」はちょっとなぞりにくいなぁ…という場合は、「書きやすいひらがなのなぞり書き」から始めてみましょう。

例えば、“い”、“こ”、“く”、“へ”などは、線が交差しないため書きやすいひらがなです。

初めは書きやすいひらがなを練習して、少しずつ難しくしていくと良いですね。

こちらも、50音のひらがなのなぞり書きが、お手本からはみ出さずに書けるようになったら、視写に移行していきましょう。

 

4-4.好きなものの名前に使われているひらがなのなぞり書きをする

子どもが好きなもので、文字の練習をするのも大変効果があります。

息子の場合は、果物が好きだったので、果物をたくさん活用しました。

例えば、紙に“りんご”のイラストを描いて、イラストの上に“りんご”と書きます。息子は、“りんご”の文字をなぞり書きします。

同じように、“みかん”、“ばなな”バージョンなども作りました。この方法で、たくさんのひらがなが書けるようになりましたよ。

好きなものは、あまり苦労なく覚えられるものですよね。

子どもの「好き」を活用して、書けるひらがなを増やしてみませんか?

 

4-5.補助点、補助線を活用する

なぞり書きが出来るようになったら視写に移行していきますが、ここでつまずく子どもは少なくありません。

特に「文字の書き始め」や「交差のある文字」は、なぞり書きができても、視写は難しい場合があるのです。

そこでおすすめなのが「補助点、補助線の活用」です。

筆者も「なぞり書き」から「視写」への移行期のお子さまにひらがなを教える際にはいつも取り入れていました。

■補助点の活用

・赤部分:パパ・ママが書きます

・グレー部分:お子さまが自分で書きます

 

「文字の書き始め」には、補助点を活用します。

本当に小さな点で良いので、目印をつけてあげると、「書き始め」がわかります。

 

■補助線の活用

・赤部分:パパ・ママが書きます

・グレー部分:お子さまが自分で書きます

 

“あ”や“め”など、「交差のある文字」には、補助線を活用します。

交差のするところまで補助線を引いて、交差後は補助線なしです。

お子さまは、補助線があるところまではなぞり書きをして、補助線なしの部分は視写する練習方法になります。

補助点や補助線を徐々になくして、「視写」へ移行していくと、とてもスムーズです。

 

さて、ここまで家庭でできる、「ひらがなが書けるようになる」5つの教え方をご紹介してきました。

でも、自我の芽生えた4歳・5歳のお子さまは、ママ・パパのサポートをすんなり受け入れてくれないこともあるのではないでしょうか?

ここからは、子どもが「書きたい!」という前向きな気持ちをもちながら、練習を続けていくためのアプローチのコツをお伝えしていきます。

 

 

5.子どもがひらがなを書きたくなる!教え方の3つのコツとは?

 

自我の芽生えた子どもは「やりたい」「やりたくない」がはっきりし、自分一人でやりたい気持ちが強い物事に関しては、手助けを拒んだりすることもあるかもしれません。

ひらがなの習得において、子どもの「書きたい!書いてみたい!」の気持ちを尊重しつつ、適切なアプローチをすることが大切です。

その結果お子さまもスムーズにママ・パパのアプローチを受け入れて前向きに練習を続けていくことができます。

ここからは、ひらがなの「練習前」「練習中」「練習後」の3つの段階に分けて教え方のコツをご紹介します。

 

5-1.ひらがなの練習をする前は「見通し」をもてるような関わりを

子どもに何かを身につけてもらいたいとき、大事にしたいことは「見通し」です。

いきなり物事を教えるのではなく、流れや次にやることを説明したり、振り返りをしたりすることが大切です。

「見通し」があると、「次はこうするんだな」「困った時はこうすればいいんだな」と理解でき、子どもは安心してアプローチを受け入れることができます。

「見通し」には、いろいろな方法があります。

・練習の流れを文字やイラストで提示
・「困ったときは、“お願い”って言ってね」などの声かけ
・「“お”の書き方で、気をつけるのは、どんなことだったかな?」などの声かけ

お子さまに合った「見通し」のもち方があると思いますので、お子さまを観察し、実際にいろいろ試してみてください。

 

5-2.ひらがなの練習中は「見守り」と必要に応じて「声かけ」をする

「見通し」をもった後は、実際にひらがなの練習をしていきます。

このときは、「そばにいて見守る」ことを意識することが大切です。

ここで「そうじゃないよ。」、「こうだったでしょ。」などの声かけが続くと、子どもの意欲が下がってしまうので、できるだけ「見守る」ようにしてみてください。

お子さまが上手く書けずに困っているときは、「上手に書けないときは、どうしたら良かったかな?」と声かけしてあげましょう。

ここで、「教えて」や「お願い」が言えたら、十分褒めた上で、書き方を教えてあげてくださいね。

 

5-3.ひらがなの練習を頑張った後は十分褒める

練習を頑張ったら、十分褒めてあげましょう。

「困ったときに“教えて”って言えて、偉かったね。」、「“こ”が、この前より上手に書けたね。」など、子どもの頑張りを具体的に褒めてあげると、次への意欲づけにもなります!

お子さまが書いたひらがなに、大きな花丸を描いてあげると、さらに「書くこと」へのやる気が高まることでしょう。

 

ご紹介した3つのアプローチのコツを意識して、お子さまのひらがなの練習をサポートしてあげてください。

子どもも安心して取り組めますし、ママ・パパもイライラすることが少なく、落ち着いてサポートできるはずです。

 

6.ひらがなの書き方の習得には子どもの発達段階に合った教え方が大切!

 

ひらがなの書き方の習得は個人差が大変大きいものです。

周りの同年代のお子さまがひらがなを書き始めていると、焦ることもあるかもしれません。

でも、焦らなくても大丈夫です。

ひらがなは段階を踏んで読み、書けるようになっていくものです。

子どもの発達段階に合ったアプローチを継続していくことで、子どもにとっての「そのとき」がやってきます。

大事なことは、発達段階に合った教え方を用いて、ひらがなを書けるようになる下準備を整えてあげることです。

ぜひ、この記事でご紹介した方法を試してみてください!
 

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参考文献
歌代 萌子,橋本 創一,林 安紀子(2015) 健常幼児のひらがな獲得に関する研究 : 獲得の現況と不安定さに着目して 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系 66(2), 397-402
文部科学省 教育課程部会 教育課程企画特別部会(第6回)(2018年4月)「資料3-1 関係データ集(幼児教育・幼少接続について)」

 

 

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