自分でできるのに「ママやって」と甘えてきたらどうする?子どもの心理と対応法
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「ママが食べさせて!」「ママやって!」園では自分でできているのに、家では、食事や着替え・片付けなど何でもすぐに親に頼ってくる我が子。
「ママやって」と言われると、どこまで甘やかせていいものか、どこまで手助けすべきか悩んでしまう方もいるでしょう。
子どもが「ママやって」と言うとき、子どもは言葉にできない気持ちを抱えているものです。
この記事では、子どもが「ママやって!」と言う原因や、子どもの気持ちに寄り添った対応法を具体的に紹介します。
子どもの「ママやって」攻撃に困っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.どうして自分でできるのに「ママやって」と言うの?
子どもが「ママやって」と言う理由は、大きく分けて以下の2つです。
1-1.身体的な原因
「仕事がハードで疲れてしまった」「最近睡眠不足でぼうっとする」
このような場合は、大人でもさまざまなことが億劫に感じることがありませんか。
子どもも同じで、遠足があってクタクタになってしまったり、夜遅くまで起きていて眠くなったりしている場合、普段はできることでも面倒に思ってしまいがちです。そのため、「ママやって」と親に手伝ってもらいたがるのです。
1-2.心理的な原因
心理的な原因から「ママやって」と言う場合、その背後には以下の気持ちが隠れていると考えられます。
■甘えたい(赤ちゃん返り)場合
子どもは親に甘えたい・構ってもらいたい気持ちを「ママやって」という言葉で表すことがあります。自立心が育っていくこの時期、子どもが少し不安を感じて親に甘えたくなるのはよくあることです。
進級・進学などで新しい生活が始まるタイミングには、さらに不安を感じやすくなっているでしょう。親から手助けしてもらったり、くっついたりすることで「親は自分の味方である」と感じたくなり、「ママやって」と言うのです。
また、下にきょうだいが生まれたときに、上の子が「ママやって」と盛んに言うようになることもあります。下の子にママの愛情や関心が移ってしまったように感じてしまい、「ママやって」と言うことで、親の愛情を確認しようとするのです。
赤ちゃん返りについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
上の子の赤ちゃん返りいつまで続く?特徴と原因、困った行動のシーン別対応法
■親と一緒に遊びたい場合・自信がない場合
親と一緒に遊びたい場合にも、「ママやって」と言うことがあります。 また、お絵描きや積み木遊びをしているときに「ママやって」と言って、すべて親にやってもらいたがる場合は、親が作品を完成させる過程を見るのを楽しんでいることもあります。
子どもが親と一緒に遊びたがるのは自然なことであり、親子が良い関係を築けている証拠です。ただし、中には子どもが「自信がない」「自分には無理」と感じて「ママやって」と言う場合もあるので、注意が必要です。
■親が先回りする場合
親が子どもの行動を先回りして手出し・口出しをすることが多い場合にも、子どもは「ママやって」と言うようになる可能性があります。
子どもが自分で考えるより先に「こうしなさい」「あれは禁止」と親が答えを与えてしまうと、子どもは親の指示を待つようになる傾向があります。その結果、事あるごとに「ママやって」と言って、正解を待つようになってしまうのです。
2.「ママやって」と言われたら?原因ごとの対応法
ここからは、「ママやって」と言われた場合の対応法を、原因別に紹介していきます。
2-1.身体的な原因がある場合
子どもが疲れていたり、体調を崩していたりするときに「ママやって」と言われた場合は、手伝ってあげても大丈夫です。「あまり手伝いすぎると子どもが自立しなくなるかも…」と過度に心配する必要はありません。
子どもは本来自分で何でもやりたがるものです。体調が戻って元気になれば、すぐに自分でやるようになるでしょう。
2-2.心理的な原因がある場合
心理的な原因があって子どもが「ママやって」という場合は、子どもの気持ちに寄り添いながら対応を変えていきましょう。
■甘えたい(赤ちゃん返り)場合
この場合は、「もちろん!大好きな○○ちゃんのお世話ができて嬉しいよ!」など愛情を言葉にした上で、子どもの望み通り手伝ってあげてください。子どもは甘えたい気持ちを「ママやって」という言葉で示しているのです。まずはたっぷりの愛情を伝えてあげましょう。
前述の通り、子どもは好奇心旺盛で、さまざまなことに自分でチャレンジしていきたいものです。親の愛情で満たされた後は、「次は自分でやろう」という気持ちになれるはずですよ。
「ママやって」と子どもが言うときは、子どもが甘えたいタイミングを教えてくれているとも言えます。甘えたいときに子どもが望む方法で甘えさせることで、子どもの満足感を大きくしてあげてくださいね。
■親と一緒に遊びたい場合・自信がない場合
子どもが親と一緒に遊びたい気持ちを込めて「ママやって」と言っている場合は、何も問題はありません。できる範囲で楽しく遊んであげてください。
一方、自信がないため「ママやって」と言っている場合は、別の対応が必要です。
子どもが全く手を出さないまま親が工作などを完成させてしまうと、「やっぱり私にはできない」と子どもはさらに自信を失ってしまいます。
この場合は、「○○くんも一緒にやろうよ」と子どもを誘い、「前よりうまくなってるね」と褒めたり、「お絵描きって描いてるときが一番楽しいね」とプロセスを楽しんでみたりしましょう。「ママも昔はお絵描き苦手だったんだよ。でもたくさん描いて上手になったんだ」と親の昔話をしてあげてもいいですね。
工作の完成度だけでなく、作っている過程を楽しむことや、頑張っていることも大切だと思えるようになれば、少しずつ自分でもチャレンジするようになっていくでしょう。
■親が先回りする場合
子どもが何も考えずに「ママやって」と言っていると感じた場合は、無意識に手出し・口出しが多くなっていないか考えてみてください。
子どもに失敗をさせたくないあまりに、親が先回りして正解を教えたり危険を遠ざけたりしたくなる気持ちはよく分かります。
しかし、親が先回りばかりしていると、子どもが自ら考える機会や、粘り強く挑戦する時間がなくなってしまいます。この状態が続くと、子どもの主体性や挑戦する気持ち、自己肯定感を奪ってしまいかねません。
子どもが正解を求めて「ママやって」と言われたときも、親が代わりにやってあげるのではなく、子どもにやらせてみてください。その際は、あまり手出し・口出しせず、子どもに試行錯誤させてあげましょう。
自分でやり遂げた経験はチャレンジ精神を育て、「次も自分で頑張ろう」という気持ちにさせてくれますよ。
3.「ママやって」と言われたときのNG対応法
子どもが「ママやって」と言ってきたときに、「自分でやりなさい!」などと怒るのはNGです。
「ママやって」と言ったときに怒られると、子どもは「怒られないようにしなくては」と思い、自分の気持ちを隠すようになってしまう恐れがあります。
一方で、甘えたくて「ママやって」と言ってくる場合は、怒られる=注目してもらえると感じ、行為がエスカレートする可能性もあります。
忙しい毎日を送る中で「ママやって」と言われ続けると、イライラすることもあるでしょう。そのようなときこそ深呼吸などで心を落ち着かせ、冷静に対応してあげてくださいね。
4.「ママやって」に応えられない場合はどうするの?
家事や仕事で余裕がなく、「ママやって」に応えられない場合でも、一度子どもに目を向けてあげてください。そして「ママに手伝ってもらいたいのね。でも今は忙しいからご飯食べた後でやってあげるね」と子どもの気持ちを受け止め、親の状況を説明してみましょう。
一度受け止めてもらえることで、子どもの気持ちが少しだけ落ち着きますよ。
どうしても余裕がなく、子どもに応えられなかった場合は、落ち着いた後で「さっきはごめんね。我慢してくれてありがとう」などと声をかけてあげてください。
子どもは自分が親にきちんと見てもらえてると感じられ、安心できるでしょう。
5.「ママやって」に込められた子どもの気持ちを読み取ろう
「ママやって」「ママがお着替えさせて」とねだってくる子どもを見ていると、愛情が足りてないのかと不安になることもあるでしょう。 しかし、子どもが「ママやって」と言ってくるのはママが大好きだという気持ちの表れでもあります。
「ママやって」に込められた子どもの気持ちを読み取り、子どもに寄り添ってあげてくださいね。
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