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小1の行き渋りの原因と「学校に行きたくない」への対応のコツ

この記事を書いた人

みき みき

みき

  • 高等学校教諭
  • 司書教諭
  • 中学校教諭

高校の国語講師として約8年勤務していました。

中学、高校の教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を持っています。

現在は3人の子育てに奮闘中。

知識や経験を活かせるライターを目指し、勉強中です。

小学校に入学した当初は、毎日楽しそうに学校に通っていたのに、子どもが急に「学校に行きたくない」と言い出したら、心配になりますよね。

ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休みが明けるタイミングで、行き渋りが始まる子どもは多くいます。

「学校に行きたくない」と訴える子どもに対して、どう対応したら良いのでしょうか。

この記事では、小学1年生の子どもが学校に行きたくない理由と、行き渋りへの親の対応のコツを紹介します。

 

目次

 

1.小1ならではの行き渋りの原因

子どもの行き渋りの原因は、学年ごとに少しずつ変わってきます。

ここでは、小学1年生ならではの行き渋りの理由について解説します。

お子さんに思い当たることがあるかどうか、確認しながら読み進めてみてくださいね。

 

1-1.友達との関係

未就学児の頃は、先生や親など大人の目が行き届きやすい環境です。

幼稚園や保育園への送迎などで親同士も知り合いになることが多く、子どもの行動や交友関係を把握しやすい状況でした。

しかし小学校に入学すると、子どもたちが自ら友達関係を広げるようになります。

幼稚園や保育園ではトイレ休憩や休み時間も先生が見守っていますが、小学校の休憩時間は子どもだけで過ごすようになります。

登下校も子どもだけというケースが多く、大人の目が届く範囲が減っていきます

筆者の体験談

筆者の子どもは小1の頃、「下校時に友達が走って追いかけてくるのが怖い」と訴えていた時期がありました。そこで筆者は、学校にも相談しながら、以下のアドバイスをしました。

  1. 友達に「やめて」とはっきり伝えること
  2. 友達が追いかけてきても、逃げずに歩くこと

その結果、しばらくして友達から追いかけられることはなくなっていったようです。

小学校に入学すると、大人の介入が減る分、子どもが自分で考え、トラブルを解決しなければならない場面が増えていきます

そうした経験は子どもの成長につながりますが、ストレスや疲れを感じることも増え、「学校に行きたくない」と訴えることもあるでしょう。

「仲が良い友達とケンカした」「自分とはタイプの合わない友達が同じクラスにいる」など、大人からすればちょっとしたことでも、子どもにはストレスとなり、体の不調として現れることも少なくありません。

 

1-2.先生との関係

学校の先生にもいろんなタイプの方がいます。「先生が怖い」「先生が冷たい」などの理由で、行き渋りが始まることもあります。

筆者の子どもは、幼稚園で女の先生ばかりだったため、小学校に入学してしばらくは男の先生に抵抗があったようです。

体育会系で、声が大きく、威圧的な態度を取る先生は、子どもたちから怖いと思われることも多いです。

また、小学校低学年の子どもは、大人の言うことを守る中で、善悪についての理解と判断ができるようになる時期です。

学校でも「集団や社会のルールを守る態度など、善悪の判断 や規範意識の基礎の形成(※1)」が、小学校低学年の子どもの発達において重視すべき課題として挙げられています。

子どもの中には、担任の先生の言うことをしっかり聞いて、一生懸命に守ろうとするあまり、疲れてしまう子どももいます。

 

1-3.学校のシステムになじめない

小1プロブレムという言葉を聞いたことはありますか。

小学校に入学直後の1年生が、新しい生活様式やルールに適応しきれず、問題行動を起こしてしまう現象のことで、近年、社会問題となっています。

幼稚園や保育園の頃は、遊びが中心だったのに対して、小学校は時間割が決まっていて、みんなで同じことを同じように進めることが求められます。45分前後の授業をじっと静かに座って、先生の話を聞かなければなりません。

集団行動に慣れていない子どもは、学校のシステムにうまく馴染めず、行き渋りにつながることもあります。

 

1-4.勉強がわからない

学校の授業は一律で進みますので、授業の内容が難しくてわからないと感じる子どももいます。

小学1年生の勉強は、学力の土台となります。1年生で「勉強が苦手だ」と思うと、学年が上がるごとに授業についていけなくなり、勉強嫌いになる可能性もあります。

何をしているのかわからない授業を受けるのは、大人でも苦痛ですよね。その結果、苦手な科目があると「学校に行きたくない気持ち」が強くなる子どももいます。

 

1-5.よくわからない不安

2020年の文部科学省のデータによると、小学生の不登校原因の1位は「無気力・不安」となっています(※2)。

学校や家庭での小さなストレスが積み重なって、朝、家から出る時になんとなく不安で「行きたくない」と感じる子どももいます。自分でも「学校に行きたくない理由が」はっきりわからないので、そのこと自体がストレスになることもあります。

また小学校低学年では、ママと離れることに強い不安を感じる(母子分離不安)子どももいます。不安や恐怖を感じやすく、就学前に「登園しぶり」を経験している子が多いです。

このタイプのお子さんは、ママと一緒だと情緒が安定して登校できることもあります。

 

2.子どもの行き渋り、親の対応のコツ


子どもの行き渋りが続くと、親は「なんとか学校に行かせないと…」と焦ってしまいますよね。

しかし学校に行けないことで一番悩んでいるのは、子ども本人です。

学校に行かなくてはいけないのに行けないという状況は、子どもにとって大きなストレスとなります。

親は過度に不安になりすぎず、落ち着いた対応を心がけることで、子どもも安心できます。

 

2-1.子どもの話をゆっくり聞く

子どもの話をゆっくり聞きましょう。子どもは親に自分の話を満足するまで聞いてもらえると、安心感が得られます

学校に行きたくない理由を聞き出すのではなく、友達や勉強の話など、子どもが話したいことを自由に話してもらいましょう。

大人からすれば何が面白いのかよくわからない話であっても、否定せずに共感しながら聞くことが大切です。

家事や仕事で忙しいと、つい子どもの話は「あとでね」と適当に受け流してしまいがちですが、普段から親子の会話を大切にすることで、子どもの心が安定していきますよ。

 

2-2.一緒に登校する

行き渋りの理由がはっきりと分からなくても、親が一緒に登校すると学校に行ける子どももいます。

「1-5」で紹介した事例のように、「学校に行きたいけどなんとなく不安」という子どもには有効なことが多いです。

お子さんが「学校に行きたくない」と言ったら、「ママが一緒なら学校に行けそうかな?」と尋ねてみましょう。子どもが前向きな返事をしたら、一緒に登校します。

「他の子は子どもだけで通学してるのに」と周りを気にしすぎることはありません。

小学校に入学したばかりの頃は、親と一緒に登校する子どもも意外と多くいます。

小学校によっては安全面を考慮して、子どもが登下校に慣れるまで親の付き添いを推奨するところもあります。

手をつないだり、楽しくおしゃべりしたりしながら、親子の時間を大切にしてくださいね。

 

2-3.担任の先生にも相談する

行き渋りが長く続く場合は、担任の先生にも相談しましょう。

まずは自宅での子どもの様子を伝え、「学校に行きたくない」ということがあることを相談します。学校での子どもの様子を聞き、気にかけてもらえるようにお願いしましょう。

家庭と学校で子どもを見守る形が取れるといいですね。

特に相談した方がいいケースは、特定の友達と揉めている場合です。

友達関係のトラブルは、「親に告げ口したから先生に叱られた」という形になると、状況が悪化する恐れもあるので注意が必要です。

先生が直接トラブルを見聞きした時に注意してもらったり、個人を特定せず全体指導してもらったりするなどの配慮してもらうといいでしょう。

 

2-4.兄弟に様子を見てもらう

兄弟が同じ小学校にいる場合は、休み時間などに子どもの様子を見に行ってもらうといいでしょう。

行き渋っている子どもだけでなく、親の安心にもつながります。

兄弟の負担にならないように配慮しながら、移動教室の途中や休み時間の帰りなど、無理のない範囲で様子を見てもらいます。

 

2-5.家庭を安心できる居場所にする

家庭では、お子さんが親に甘えられる時間を作ることも大切です。

小学1年生は、本格的に学習が始まり、人間関係も大きく変化する時期です。小さな体で、日々の変化に一生懸命対応しています。子ども本人でも気づかない間にストレスを抱えていることもあります。

「家では甘えられる」とわかると、子どもは「家=自分の安心できる居場所」として認識できます。

子どもが話しかけてきたり、スキンシップを求めているときは、なるべく家事の手を休めて、甘えさせてあげましょう。

着替えや片付けなど今までできていたことを「ママがやって!」という場合にも、「小学生なんだから自分でやりなさい」と突き放すのではなく、「靴下だけ手伝ってあげるね」「一緒に片付けよう!」など、子どもの甘えたい気持ちに寄り添った対応を心がけます。

特に下校直後はお子さんも疲れていますので、意識的に「子どもと向き合う時間」を確保するといいでしょう。

 

3.行き渋る子どもを無理やり学校に連れて行くのは…

「学校に行きたくない」と泣き出す子どもの対応に困る親御さんも多いでしょう。

「休みグセがついて不登校になってしまったら…」と心配して、少し無理やりでも学校に行かせたほうがいいと考える方もいるかもしれません。

しかし「学校に行きたくない」という子どもを無理やり連れて行くのはおすすめしません。

子どもの気持ちを受け止めることなく、無理に学校へ行かせてしまうと、子どもは「ママやパパは自分の気持ちを理解してくれない」とマイナスの感情が膨らみます。学校にも、家にも居場所がないと感じる子どももいます。

無理やり学校へ行かせても、子どもが学校へ行きたくないと感じる原因を取り除いてあげないと、再び行き渋りを繰り返す可能性が高いです。

朝の忙しい時間に行き渋りが始まると、「大丈夫だから、行っておいで」と送り出したくなる親御さんの気持ちもわかりますが、まずはお子さんの気持ちに寄り添う姿勢を見せましょう。

「学校に行きたくない」と言ったら、「そうなんだ、〇〇ちゃんは学校へ行きたくないんだね」と子どもの言葉を受け止めるようにオウム返しします。

「学校に行きたくない」という気持ちを肯定してあげると、「一人では行けないけど、ママと一緒なら行けるかもしれない」「給食の前までなら、頑張って行ってみようかな」など、自分ができる範囲で前向きな解決策を導けるようになってくることが多いです。

 

4.小1の行き渋りは子どもの不安を取り除くことから

子どもから「学校へ行きたくない」と言われると、親は「どうやったら学校に行けるか」という視点で考えがちです。

しかしその気持ちが強すぎると子どもと敵対関係になってしまいます。

子どもの気持ちに寄り添いながら、「ママやパパはあなたの味方だよ」というメッセージを子どもにも伝えましょう。

「学校に行きたくない」という子どもの気持ちをそのまま受け止めるのは、親にとっても大変なことかもしれませんが、子どもが「今の自分のままでもいいんだ」と安心できるよう環境を作っていけるといいですね。

 

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参考文献
※1:文部科学省,子どもの徳育に関する懇談会(第11回) 配付資料
※2:文部科学省初等中等教育局児童生徒課,令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

 

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