幼児の朝学習!メリットと習慣化のコツ、おすすめの教材を元幼児教室講師が紹介
この記事を書いた人
白山七衣
- 心理カウンセラー
- 幼児教室講師
メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。
幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。
現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。
お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。
休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!
多くの方が朝学習の良さを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
小学校に入ると、授業前に朝活の時間を設けて、読書や学習時間に充てる学校も増えています。朝学習には様々なメリットや効果があると考えられているからです。
しかし、「幼児期に朝学習を取り入れるメリットはあるのかな」「幼児期に朝学習をするならどのようにすればよいのだろう」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、幼児期から朝学習を始めるメリット、朝学習を習慣化させるコツをお伝えします。
また、元幼児教室講師の筆者が、実際に接していた生徒さんの事例やおすすめの教材についても詳しく紹介していきます。
幼児期から朝学習を始める際の参考にしていただければ幸いです。
目次
1.幼児期から朝学習を始めるメリット
幼児期に、朝から勉強するのは抵抗があると感じる方もいらっしゃるかもしれません。幼児期から始める朝学習は、一般的な勉強とは分けて考えましょう。
ここでは、幼児期から朝学習を始めるメリットについてお伝えします。 朝学習を取り入れて、朝の時間をより有意義なものにしていきましょう。
1-1.生活リズムが整う
朝学習を取り入れるために、起床時間をしっかりと決めて実行すると、生活リズムを整えやすくなります。
人の体は、朝目が覚めて太陽の光を浴びたら、約14時間後に眠気を感じ始めるように体内時計が備わっていると言われています。
朝起きる時間を決めることで、自然に夜眠る時間も決まってきます。
例えば、夜8時に就寝したい場合は、朝6時に起きて朝学習を続けることで、自然に夜は8時には眠くなってくるので、生活リズムが整い、早寝早起きの習慣が身につくでしょう。
1-2.集中力がアップし、切り替えが上手くなる
朝学習を短時間で行うと集中力がアップします。
朝は限られた時間の中で次々とやることがあるので、さっと集中して、素早く次の作業に移るという切り替えも上手くなります。
次のような工夫でさらに集中力を高めると、朝学習の効果を得やすくなります。
■プリントを1枚仕上げる、本を2ページ読むなど、スモールゴールをはっきりさせる。
■ストップウォッチやタイマーを使って時間を意識する。
1-3.学ぶ楽しさを発見でき、学習意欲が高まる
朝学習を上手に取り入れることで、お子さんは学ぶことの楽しさを見つけ、学習意欲が高まります。
お子さんがやりたいと思うこと、明日もやりたいと楽しみに思うことを選ぶようにしましょう。
1-4.小学校に向けて学習習慣が身につく
朝学習は、短時間で行え、毎日決まった時間に実施できることから、習慣化しやすい学習方法です。
スモールゴールの達成を積み重ねることで自信がつき、積極的な学習意欲が育まれ、学習習慣が身につきます。
小学生になって自主的に学習に取り組む姿勢を養うためにも、幼児期から朝学習を習慣化することをおすすめします。
2.幼児期の朝学習のやり方
まだ完全に1人ですべてをできない幼児期には、どのように朝学習を進めるとよいのでしょうか。忙しい朝の時間帯に、無理なく朝学習ができるやり方をお伝えします。
2-1.脳の働きを活かす
朝学習は、脳の働きを活かせる学習法です。
脳は夜寝ている間に記憶の整理をすると言われています。朝起きたときは、整理が済んでスッキリとした頭で、新しことを覚えたり、創造的な活動をするのに向いています。
朝の光を浴びると、セロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは、人間の基本的な機能と高度な機能を担う前頭葉をつないでくれる神経伝達物質です。朝、セロトニンの分泌を高めて知的活動をすることは、脳の働きにおいても理にかなっていると言えるでしょう。
しっかり睡眠をとり、朝の光を浴びて、朝学習を進めましょう。
2-2.朝のルーティンに組み込む
朝学習は朝のルーティンの1つとして組み込んでしまうと良いでしょう。
朝は、1日の活動の起点であり、最も規則正しく行動する時間帯ではないでしょうか。日によって予定が変わることがほとんどなく、毎朝同じ時間に起きて、朝食をとり、登園するという流れを繰り返します。
各ご家庭で決まった流れの中に朝学習を組み込むことで、自然に朝学習に取り組むことができるようになりす。
2-3.時間は5分~15分の短時間で
朝学習は5分~15分程度の短時間で行うと効果的です。時間を決めて短時間で行うと集中力がアップします。
また時間が短くて、少し物足りないかな、もう少しやりたいなと思うくらいの量だと、毎日のやりたい気持ちが持続しやすくなります。
2-4.基本は1人で!丸つけや見守りで応援
朝学習は、基本的にはお子さんが1人で行うことをおすすめします。保護者は丸つけや、見守りで応援してあげましょう。
お子さんが自発的に学習に取り組む習慣を身につけ、自主性を育てる手助けとなります。小学生になったら完全に1人で学習を進めるための準備にもなります。
例えば、朝食の準備をしているときに、親の目が届く場所でお子さんがやりたいことを自主的に取り組めるようにサポートしてあげると良いでしょう。 ぴったりそばについてやるよりも、少し離れて見守るスタンスの方がお子さんの自主性を伸ばしてあげられます。
できたときに、「できた!」と嬉しい気持ちをすぐ報告できれば、お子さんのやる気も高まります。
3.朝学習を習慣化するコツ
朝学習は、たくさんのメリットや効果をもたらしてくれます。
ここでは朝学習を習慣化するためのコツをお伝えします。
3-1.好きなことを学習する
朝学習は、お子さんが好きなことをする方が、効果が高まり、習慣化しやすくなります。ただ、限られた時間ですので、短時間で仕上げられて、1回ごとに達成感を感じられるものの方が向いています。
保護者が大枠を決めて、お子さんに好きなものを選択させると良いでしょう。
例えば、プリントは朝学習に取り入れやすいものですが、読み書きや計算のようないかにも「勉強」というものにすると、お子さんが楽しめず続かないかもしれません。
楽しみながらできるもの、お子さんの興味を引くテーマのプリントを探して、好きなものを選ばせるのも良いでしょう。
3-2.達成感を見える化する
お子さんは達成感を味わうと、自信をつけさらに意欲が引き出されます。達成したことを目に見える形で表して、達成感を強く感じられるように工夫してみましょう。
<例>
- プリントに花丸をつける
- 達成表を作って色を塗る、シールを貼る
- カレンダーに印をつける
- 折り紙など工作を朝学習にしていたら、作品を並べていく
3-3.たくさん褒める
出来上がったら、すぐに褒めてあげましょう。ハイタッチをしたり、ぎゅっと抱きしめたりするのも気持ちが満たされます。
お子さんの頑張った様子、毎日続けている姿勢をたくさん褒めると、お子さんは自分が認められたことで自信がつき、自己肯定感が高まります。自己肯定感が高まると、やる気が上がり、新しいことに挑戦する柔軟な心も養われます。
【朝学習のポイント】
学習の1番の目的は「勉強ができるようになること」ではなく、「学ぶ楽しさを知ること」「朝の学習時間を習慣化すること」です。
「勉強しなくてはいけない」と身構えてしまうと、学習することが楽しくなくなってしまいます。また学習に入るまでに時間がかかったり、学習を始めてもなかなか集中できなかったりすることがあります。
朝学習は短時間で達成できて、お子さんが好きなもの、楽しめるものを選ぶようにしましょう。
4.朝学習におすすめの教材
朝学習には、夕方のたっぷり時間があるときとは異なるメリットがあります。短時間で集中できる時間帯だからこそ効果の上がるものにはどんなものがあるでしょうか。
ここでは、朝学習に適した教材例をいくつか紹介します。お子さんの興味に合ったものを選んでみてください。
4-1.運筆・文字書き
文字書きに興味を持ち始める年齢は、お子さんによって様々です。文字書きに興味を持ってもらおうと、いきなり「あいうえお」のなぞり書きから始めてもなかなかうまくいきません。
塗り絵や線描きプリントなどを利用して、まずはペンを持って書く楽しさから経験させてあげましょう。
<教材例>
■七田式・知力ドリル【2・3歳】えんぴつ 七田厚 (監修)
迷路や絵を描くのを楽しみながら、筆圧の調整や、運筆力が身につきます。
文字を書くのを始める前のおけいこプリントとしておすすめです。
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4-2.かず・計算
かず・計算、時計、お金などのプリントは、朝学習に取り入れやすい教材です。短時間で毎日反復を続けることで力がついていきます。
お子さんが興味を持っている場合は、ぜひ朝学習で続けていただきたいです。
<教材例>
■4~6歳 かず かたち すいり (学研の頭脳開発) 学研の幼児ワーク編集部 (編集), 入澤宣幸 (著)
日本数学検定協会の協力により編集されたこのワークブックは、シルバー・ゴールド検定に出てくるような問題が掲載されています。
数検10級は、小学校1、2年を対象としていますが、その前段階となるシルバー検定・ゴールド検定は、幼児でも挑戦できます。
かずやかたちに親しんで、小学校の算数に向けた準備が行えますよ。
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4-3.折り紙・積み木・パズル(空間認知力・図形認識力)
折り紙、積み木、パズルなどを朝学習に取り入れることで、空間認知力・図形認識力を高めることができます。
折り紙、積み木、パズルなどの知育玩具はじっくり取り組むものが多いです。朝学習に取り入れる場合は、短時間で仕上げられるものを選ぶようにすると良いでしょう。1日1つ作るなどのルールを決めておくのがおすすめです。
<教材例>
■100てんキッズ ステップタングラム NEW ニュー 幻冬舎
正方形を7つに切り分けた形を使って、様々な形を作ることで、図形認識力が育まれます。
こちらのタングラムは、77問のお題が載っているワークブックがついていて、魚や風車などのシルエットの上にピースを並べて形を作ります。
最後は正方形に戻して、お片付けするところまでやってちょうど5~15分くらいになります。
3歳頃から取り組める内容ですので、幼児の朝学習にピッタリです。
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4-4.将棋・囲碁(思考力)
思考力を伸ばすためには、算数の問題を解くだけでなく、知育玩具や外遊びなど様々な体験が役に立ちます。
将棋や囲碁も楽しみながら思考力を伸ばすのに最適です。戦法の本や、詰将棋のような本を読むのも良いですし、以下に紹介する手を動かしながら考えるパズルもおすすめです。朝学習で毎日1題挑戦するというのも効果的ですよ。
<教材例>
■囲碁パズル よんろのご 新装版 幻冬舎
プロ棋士が4歳のお子さん向けに考案したこの囲碁パズルは、石の代わりにリンゴを取ったり並べたりするものです。
問題集がついていて、幼児のお子さんでも1人で考えながら遊べます。
4-5.本・図鑑(知識・興味)
朝学習で、本や図鑑、興味を持つもののカタログなどを読むのも良いですね。
細かい数値が書かれた図鑑や本、カタログを隅から隅まで読むのが大好きなお子さんもいます。細かいデータを熱心に読んでしっかり記憶しています。
1日何ページといったルールを決めて、朝学習に取り入れるのもいいですね。
探究心が刺激され、学習の入り口になります。
<教材例>
■ [新版]くらべる図鑑 (小学館の図鑑 NEO+プラス) 加藤 由子 (監修), 小松 義夫 (監修)
図鑑ブームがこの本から始まったとも言われている人気の図鑑です。
「動物」「のりもの」などのカテゴリーを決めず、身近な物から宇宙までありとあらゆるものを、大きさ、重さ、速さなど様々な視点から比べています。
子どもの知的好奇心を伸ばせます。
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4-6.国旗・地図(記憶力)
朝学習は、短い時間で集中できるので、記憶力を伸ばす取り組みも効果的です。
国旗・地図など興味のあるものを、毎日少しずつ覚えると良いでしょう。
<教材例>
■るるぶ 都道府県いちばんかるた (かるた読み上げ音声つき) しみず だいすけ (著)
都道府県ごとに1枚のカルタになっていて、都道府県の形や特徴を楽しみながら覚えることができます。
都道府県の形はイメージを膨らませると覚えやすく、お子さんはすぐに覚えてしまいます。
まずは、都道府県のシルエットクイズから取り組むと良いでしょう。
日本全国の鉄道網を描いたポスターもついているので、鉄道好きのお子さんにもおすすめです。
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4-7.英語
小学校でも英語が必修科目となり、英語教育をどのように進めればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
幼児の間は、文字や文法にはこだわらず、英語の音に親しむことがおすすめです。英語の聞き流しで歌を覚えたり、絵本を読んだりするのは朝学習に取り入れやすいので、試してみてはいかがでしょうか。
<教材例>
■Oxford Reading Tree STAGE 1+ FIRST SENTENCES PACK (CD PACK) Roderick Hunt (著), Alex Brychta (著)
イギリスの小学校の教科書として使われていることでも有名な教材です。
1パック6冊ほど入っていて、STAGE1から少しずつレベルアップしていけます。
少年キッパーと犬のフロッピーを中心に、子どもたちの楽しい日常が短い文で描かれており、1冊1分もかからず読み終えられます。
日本限定版で日本語ガイドとCDがついているので便利ですよ。
>>Oxford Reading Tree STAGE 1+ FIRST SENTENCES PACK (CD PACK) Amazon販売ページ
5.朝学習をしている子どもの事例紹介
ここでは、筆者が実際に接していた生徒さんで朝学習を取り入れていた例を紹介します。
事例を参考に、ぜひ各ご家庭に合った朝学習を実践してみてください。
5-1.文字書きができるようになった年少Mちゃん
Mちゃんは、年少クラスの文字書きの練習では、クレヨンで文字をなぞるのがなかなかうまくできませんでした。
そこで朝学習を取り入れるときに、塗り絵や線描きプリントをしていました。可愛い絵の色をぬったり、面白い形をなぞったりするのがとても楽しかったようです。
毎日1枚仕上げて、できるとお母さんに見せて花丸をつけてもらっていました。毎日やっているうちに、ペンを持つことにも慣れ、筆圧もついてきました。
お友達とのお手紙交換にも憧れていたそうで、少しずつ文字に興味が出てきて、年中さんになると、短いお手紙が書けるようになっていました。
5-2.年中で将棋に興味を持ったR君
R君は、お父さんに将棋を教えてもらって、将棋が楽しくなってきているところでした。 そんなとき、漫画入りの将棋の戦法解説本を買ってもらって大喜びしていました。
朝起きると、将棋盤の前に正座して将棋本とにらめっこしながら、戦法として紹介されている駒の配置を真似して置いていたそうです。
漫画が入っていてわかりやすく、「戦法」ということで、アニメヒーローの「戦い」を連想させるのも興味を引いたようでした。
朝学習で、毎日少しずつ戦法を覚えて、お父さんも知らない戦法をたくさん覚えました。
また、休日ご両親がいつもより遅く起きると、R君はすでに起きて正座して将棋盤とにらめっこしているそうです。朝学習がすっかり習慣化したのですね。
5-3.英語に興味を持った年中Sちゃん
「アナ雪」が大好きで、毎日のように「Let It Go」の曲を聞いていたそうです。すると聞いていただけなのに、ほぼ完璧に歌を覚えてしまってお母さんは驚いたそうです。
そこで、朝学習に英語の歌のCDを流すようになりました。その時は、Sちゃんは英語の文字には興味がなかったので、お気に入りの英語の歌を聞きながら絵を描いていました。
英語の歌をたくさん歌えるようになった頃に文字にも興味がでてきたので、英語のプリントに取り組み始めました。
Sちゃんの好奇心が、楽しい英語の歌から文字へとつながり、自発的に学ぶ姿勢が育まれたのでしょう。
5-4.150か国以上の国旗を覚えた年長K君
K君は、色とりどりの国旗に興味津々でした。年長さんで文字も読めるようになっていたので、朝学習に国旗カルタを取り入れていました。
1日目は5~6枚の国旗カードを最初は表裏ひっくり返しながら覚えたそうです。次の日は、文字の方を伏せて、お母さんが言った国名をカルタのように取って遊んでいました。国名を書いた表を作って、覚えたら好きな色を塗っていくということをやっていました。
あっという間に覚えた数が増えて、最終的には市販のカードの国旗は全て覚えてしまって、自作のカードも作って楽しんでいました。
6.忙しい毎日だからこそ効果の上がる朝学習!習慣化して学ぶ意欲を引き出そう
朝は忙しくて学習時間をとる余裕はないとお考えの方も多いかもしれません。しかし、朝の5~15分程度なら、少し早起きして時間をとることができるのではないでしょうか。
ここまでお伝えしてきたように、朝学習は短時間でこそ効果的です。
朝のルーティンに組み込むことで、自然な流れの中で朝学習を進めることができますし、保護者がピッタリついていられないことも、かえってお子さんの自主性を育むメリットとなります。
朝学習を習慣化して、お子さんの自ら学ぶ意欲を高めていきましょう。
参考文献
生活習慣病予防のための健康情報サイト 体内時計,厚生労働省
脳と心の発達メカニズム 文教大学教育学部特別支援教育専修 教授 成田 奈緒子,東京都教育委員会
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