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3歳・4歳「カ行・サ行が言えない」発音の悩み【言語聴覚士に聞く】

「カ行がうまく発音できず、タ行に聞こえる」「サ行がうまく言えない」などお子さんの発音で悩んでいませんか?

舌足らずな話し方は子ども特有の可愛らしさがある一方で、成長とともにおしゃべりが増えてくると、うまく発音できない言葉が目立ってくることもありますよね。

幼稚園の年中・年長さんになっても、カ行やサ行が習得できないと、友達にからかわれないか心配になることもあるでしょう。

今回は、「カ行・サ行が言えない」というお悩みについて、言語聴覚士の島袋綾子先生・田中くみ先生のおふたりに話を伺いました。

(文責:CONOBAS編集部)

 

目次

1.「カ行・サ行が言えない」子どもの発音獲得ステップとは?

–−実際に、「3歳だけどカ行が言えずア行やタ行になる」「4歳だけどサ行が言えない」「カ行とサ行がうまくしゃべり分けられていない」といったお悩みを抱えている保護者もいるようです。子どもはどんな順番で発音を獲得していくのでしょうか。

田中 くみ先生(以下、くみ先生):一般的に言われているのは、1、2歳が母音(アイウエオ)、唇を合わせて音を出す「パ行、バ行、マ行」、それから「やゆよ」を言えるようになる子もいます。

2・3歳だと、舌で弾くように音を出す「タ行、ダ行、ナ行」、それから「じゃじゅじょ」「ちゃちゅちょ」が言えるようになっていきます。

3・4歳で「カ行、ガ行」など、舌の奥の方を使った発音ですね。

4・5歳で「サ行、ザ行、ラ行」が正しく言えるようになるって言われているんですが、これもすごく個人差があります。

子どもの発音の悩みとして多いのは、「かきくけこ」「がぎぐげご」「さしすせそ」「ざじずぜぞ」「はひふへほ」「らりるれろ」などですね。

これらの音は舌を繊細に使うので、口腔器官の発達が未熟だったり、誤った発音を学習してしまう場合があるんですね。

 

2.「カ行・サ行が言えない」いつになったら心配すればいいの?

–−発達の目安はあっても、発音の獲得は個人差が大きいのですね。焦らなくて大丈夫なケースや、専門医に相談した方がいいケースについて、何か指針はありますか?

くみ先生:3・4歳に関しては、「ちぇんちぇー」など赤ちゃん言葉のような感覚で、心配される保護者の方も少ないと思います。先ほども言ったとおりで、幼児期はまだ体全体の発達が未熟ですし、個人差があるので、正しく発音できない原因はさまざまなんですよね。

誤った発音の考えられる原因の例は、主に以下のようなものがあります。

1.共鳴に異常がある

例:発声するのに必要な空気が誤った場所へ流れる、抜けてしまう

2.正しい音を並べることが難しい

例:「とうもろこし」を「とうころもし」と言い間違う

3.舌の動きが誤って学習されている

例:サ行が、一貫してタ行になる

 

誤って発音している原因はさまざまで、3・4歳の段階で判断するのは難しい場合が多いのです。

 

構音訓練を受ける前に確認したいこと

島袋 綾子先生(以下、あや先生):「発音の練習に行ったほうがいいですよ」となるのが6歳頃、年長さんの後半ぐらいと言われています。

5歳ぐらいになって「まだ発音がはっきりしないな」とか「気になるな」という場合は、一度、言語聴覚士(またはかかりつけ医)に相談してみてもいいかもしれません。

その際は、「座って30分程度なら集中できるか」「指示の理解がちゃんとできるか」などが、構音訓練できる条件(※1)になってきます。

お子さんの年齢と、理解力や集中力を考慮した上で、5・6歳を目安に言語聴覚士に相談する、というのを一つの目安にしていただければと思います。

(※1)条件は施設によって異なります。

 

 編集部コラム 

~構音訓練とは?~

構音(発音)とは、言葉の音を作り出すことです。構音の獲得にはいくつかの段階があり、日本語の音をすべて正しく言えるようになるのは、6歳頃と言われています。子どもの年齢から考えて、構音できるであろう音を誤って構音している、または聞き手が不明瞭・不自然に感じる構音状態の場合は、言語聴覚士の指導のもと、舌など発音に関与する器官の運動能力を高め、正しい発音が行えるように練習をします。このことを「構音訓練」といいます。

 

3.「カ行・サ行が言えない」発音訓練はどのようにやっているの?

–−実際の発音訓練ではどのようなことをするのでしょうか。

3-1. 子どもの自覚具合、困り度をしっかりと確認する

くみ先生:発音の訓練を専門家の元で受ける場合は、まずは子ども自身に誤りの自覚があるかどうかを確かめる必要があると思います。

例えば「さかな」と「たかな」の音の違いに気づくことが重要です。本人が音の誤りに気づけていないのに訓練をしてしまうと、効果が得られない、さらに誤った発音を学習してしまう、話すことが嫌になってしまう、などの影響が考えられます。

その子が発音を治したいと思っているかどうか、困り感を確認することが大切ですね。

保護者の方からは「早く治したほうがいいのでは」と相談される場合もありますが、お子さんの年齢や自覚具合をしっかり見極めることが不可欠です。

 

3-2. 就学前のタイミングで言語聴覚士のサポートを受けることも

あや先生:そもそも言語聴覚士に「言葉が出ない」と相談にくる子の発音は、目に見えた変化がすぐに出ないのが実情です。

言語聴覚士にかかるのは4〜6歳の子が多いですが、言葉の発達年齢は2・3歳、という場合もあります。

そういうお子さんに関しては、言語聴覚士にもかかったことなく、就学前相談で、市の言語聴覚士から指摘されて、「そういえば、カ行がハ行になってる」とママが気づいて、就学前後からリハビリや「ことばの教室」に通いはじめることがあります。

–−未就学児が通う「ことばの教室」では、どんなことをするのですか?

くみ先生:各地域や自治体によって支援の流れや内容はさまざまですが、小学校入学前に発音が気になるお子さんについて、指導員や言語聴覚士の相談・支援が受けられます。

あや先生:「ことばの教室」では例えば、歌やリズム遊びを通して声を出す練習(発声)や、音を弁別する練習をします。また、筋力や可動域の向上、舌の細かな動きを習得するために、口腔器官(主に舌や頬、顎)の体操などもおこないます。

––不安を抱えているママパパは、専門家の考えや意見を聞ける場にもなりますね。

 

4.「カ行・サ行が言えない」悩みは、お子さんの困り度をしっかり確認して!

<編集後記>

子どもの発音には音声によって獲得の順番が異なること、年齢に応じた発達の目安はあるものの、習得には個人差が大きいことがわかりました。

「カ行」や「サ行」がうまく発音できないと、コミュニケーションに支障を来すこともあるでしょう。

また、つい、周りのお子さんと比べて、心配になる保護者の方も多いと思います。子どもの様子をしっかりと見極め、発音についての自覚具合や、困り度を確認することも大事なようです。
 

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お話をうかがった先生方

島袋 綾子(しまぶくろ あやこ)

・たねまき協会 ことばのたねまき代表(2020年〜)
Instagram公式LINEを中心に乳幼児期の言葉の発達、愛着形成に関する情報を発信しています。
ママが発達に関する知識や関わり方を身につけるための講座や個別相談などのオンラインサポートを実施しています。
・乳幼児言語発達アドバイザーの育成もしています。
・年少、年長の2児を子育て真っ最中!
・言語聴覚士

田中 くみ(たなか くみ)

・たねまき協会 吃音緩和のたねまき代表(2020年〜)
吃音のある子のママをオンラインでサポート。
Instagram公式LINEで吃音の情報を配信しています。
・吃音緩和アドバイザー
吃音に特化した専門家。我が子の吃音に対するスキルを学べる基礎講座、資格を取れる講座を開催中。
・吃音絵本『ぼ、ぼ、ぼくのはなしかた』制作者
・言語聴覚士

たねまき協会  https://www.tanemaki.group/

あや先生、くみ先生たちが代表を務める団体。
「ママが生きやすい世界をつくる。」という目標を掲げて、言葉の発達でお悩みのママへ向けた、オンライン支援、言葉の教材開発などを実施しています。

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