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いつから話す?0~4歳児の「言葉・発語」の発達段階、男女差や個人差について

「うちの子もう2歳になるけど、まだ言葉を話さない」

「1歳だけど、”ぶーぶー”や”がたごと”から進まないな」など。

うちの子って、言葉の発達が遅いのかな?と、心配そうな親御さんの話をよく耳にします。

一方で、「3歳になって突然、話すようになった」「男の子は話しだすのが遅い」など、個人差や男女差についてもよく話題になるのではないでしょうか。

今回は、0〜4歳に焦点をあてて、幼児期の「言葉・発語」の発達順序の目安について詳しく分かりやすく見ていきます。

(文責:CONOBAS編集部)

 

目次

 

1.言葉・発語の発達段階・話し言葉が出てくる順序(0~4歳)

子どもの成長において、言葉の発達はとても大切です。

0歳から4歳までの間に、子どもはどのように言葉を習得していくのでしょうか。言葉の発達段階がどのように進むのかついて詳しくお話します。

 

1-1.赤ちゃんが話すのはいつから?「音」から「意味」へ(0~10カ月頃)

ここでは喉から音を出す(音声)の段階から、音声が意味をもちはじめるまでについて解説します。

赤ちゃんは、まず言葉の意味ではなく、イントネーションやリズムでその音を聞き分けて言葉の区切り(単語)を学びます。

 

以下は、0〜10カ月の赤ちゃんの発語の大まかな成長過程を表にしたものです。

「0〜10カ月の発語の成長過程」

 

それでは、以下から詳しく見ていきましょう。

 

◆ 誕生~2か月頃~反射・泣く~

この頃は、不快を感じて泣いたり、げっぷやせきなどの反射音といわれる音を出します。口の中や鼻の中などの声を出す部分が発達していないことから話すことはできません。

一方で、誕生直後の乳児でも人間の声とそれ以外の音や、母親の声を区別して反応できると言われています。

乳児は誕生時から、すぐに人間の顔や声に関心を示し, いろいろな顔のしぐさや音を見て聞いて模倣します。

例えば、新生児の赤ちゃんは、言葉として話すことはできませんが、大人が「ばぁ」といったとき、赤ちゃんの口が開くなど、口の動きなどで音声を真似ていることが分かっています。

 

◆ 2~4カ月頃~笑い声とクーイング~

頭や首などが急速に発達して、いろいろな音が出せるようになってくる時期です。

泣き声は減って、呼びかけに対して意味を持った反応を返してくれます。

心地の良いときなどには「アーアー」「ウーウー」というようなクーイング(※1)が見られます。3カ月頃からは、くすぐりや息の吹きかけ、くしゃみのまねなどに声をあげて笑う姿が見られます。

この頃の赤ちゃんは、大人をよく観察しまねしながら、コミュニケーションをうまく続けたり、嫌な時には避けることができます。しかし、意図的ではなく、「嫌だ」「心地よい」といった感情を表しています。

(※1)クーイングとは、ハトが出す音に似た “oooh” というような音をクーイングと呼ぶ。g(グ), k(ク) のような音を含むこともある。

 

◆ 4~6カ月~音で遊ぶ:クーイングから喃語へ~

クーイングから喃語(なんご)(※2)への移行期です。

「キーキー」と高音を出したり、「うーうー」とうなったり、いろいろな高さや長さの音を出して、音で遊びながら音声をテストしています。

伸ばした母音(※3)「あー」「いー」「うー」や、子音(※4)+母音「かぁ」「たぁ」「はぁ」「まぁ」などの基礎となる音のまとまりを発しはじめます。

クーイングや喃語が見られると同時に、手や足の動きがみられます。

動きは、発語と連動して一定のリズムがあるようです。赤ちゃんは体全体をつかって、言葉の流れを感じています。

(※2)喃語とは、まだ言葉が話せない赤ちゃんが発する意味をもたない声のこと。
(※3)母音とは、舌を使わずに出す音で、日本語ではア・イ・ウ・エ・オが母音。
(※4)子音とは、舌や歯、唇、声帯の締め付けなどで調整して出す音(p、 b、 t、 dなど)のこと。

 

◆ 6カ月~ばぶばぶ、ばばば・規準喃語の登場~

「ばぶばぶ」などといった、赤ちゃん特有のかわいい話し方が現れます。

これまでの発声や音遊びがなくなり、「ばぁばぁばぁ」「あぶぅあぶぅ」のような「母音と子音」の組み合わせが出てきます。これは「規準喃語(きじゅんなんご)」と呼ばれます。

規準喃語には、子音+母音1つの「重複喃語(「だぁだぁだぁ」など)」と、いろいろな子音+母音を組み合わせた「多様喃語(「まぁくぅぶぅ」など)」に分けられます。

「あれ?もしかして今、言葉を話した?」と思ってしまうこともありますが、この時期は、発する音に意味があるとは考えられていません。

また、喃語(なんご)の音のパターンは、初めに話す言葉のパターンに影響するといわれています。

例えば、「ぶぅぶぅぶぅ」=「ぶーぶー(車)」、「まぁんまぁんまぁん」=「ママ、まんま」など、喃語で子どもが好んだ音が初期の語に用いられることが近年の研究で示されています。

 

◆ 9・10カ月~喃語から意味のある言葉へ~言葉の第一段階

子どもの発する音が言葉として意味をもっていく第一段階です。

「ぶぶぶばぁぶ」「あむむむあぁ」など、会話しているようなイントネーションや音のつながりのあるジャーゴン(会話様喃語)と呼ばれる発語がみられます。また、喃語で発している音声を使って、大人の言っている言葉をまねて「まんま」「ぶーぶー」などと言うことができます。

それから徐々に、まねた音に意味をのせて、「まんま」=「ご飯」と認識するようになります。ここではじめて、意味をもった「言葉」が現れます。

ただし、この時点では大人が言ったことをまねする模倣発語にとどまります。

例えば、「まんま食べる?」と言われたとき「まんま」と返すことはできますが、ご飯を食べたくて「まんま」と言うなど自発的な言葉の使用はできません。

また、この頃は、「大人、子ども、物」の三項関係が成立する段階です。

もっているおもちゃをママに見せる(共同注意)や、大人が見ているものに目を向ける(追随凝視)など大人と赤ちゃんの社会的相互作用(※5)によって積極的なコミュニケーションが行われます。

(※5)社会的相互作用とは、相手の行動や物の事象に意味を持たせたり、解釈したりすること。言葉だけでなく、表情や身振りなどさまざまな方法で行う社会行為のこと。

 

1-2.一語文から語彙爆発、二語文、三語文の複文へ(12~36・48カ月頃)

子どもの発する音が言葉として意味をもっていくには、三つの段階があるとされています。第一段階は先に述べた「9・10カ月」、第二段階は「12・13カ月」、第三段階は「16〜18カ月」といわれています。

 

以下は、12~36・48カ月の発語の大まかな成長過程を表にしたものです。

「12~36・48カ月の発語の成長過程」

 

ここでは、言葉への意味付けが加速し、発語が増えていく三つの段階を詳しく見ていきましょう。

 

◆ 12~13カ月頃(1歳前後)~幼児語(赤ちゃん言葉)・あいさつなどの社会的な言葉~

言葉への意味づけが発達する第二段階です。

物や人や動物などに名前があることを知り始め、「わんわん」「ブーブー」など、一語文で物や事を表しだします。そのため、この時期は命名期ともいわれています。

この頃には、環境から刺激をうけて、子どもから自発的にコミュニケーションをとろうとします。

空を飛ぶ飛行機を指さして、「ひこーち」というなど、指さしで共有することもでてきます。言葉は、子どもの関心や大人との関わりとともに発達していきます。

子どもの発語の多さは、大人や環境からの刺激へどれだけ興味をもつかといったモチベーション面が大切であるといわれています。

[発達する言葉の種類]

〇話しはじめの言葉

「ママ」「パパ」「ワンワン」など人や動物の名称

「ネンネ」「マンマ」などの幼児語(赤ちゃん言葉)

「バイバイ」「はい」などのあいさつなど社会的な言葉

「ブーブー」「にゃんにゃん」などのオノマトペ(※6)

(※6)オノマトペとは、キラキラ、グルグル、ドキドキなど、物や動き、感覚などの音を文字で表現する言葉のこと。

 

◆ 16~18カ月頃(1歳半前後)~急速な言葉の発達・「して」などお願い語の表出~

言葉への意味づけが急速に発達する第三段階です。

それまでは、犬をみて「ワンワン」、電車をみて「でんちゃ」と一対一の対応で、少しずつ学んでいましたが、1歳半をこえた辺りから言葉の理解がグンッと高まります。

新しい言葉を急激に覚え、言葉で表現することが多くなる現象を心理学では、「語彙爆発(ごいばくはつ)」や「命名爆発」と言います。

語彙爆発には、新しい言葉を話さないプラトーという停滞時期があることもよく知られています。

1日に新しい言葉を覚える目安は、16カ月児で18語、18カ月児では33語程度と、徐々に新しい言葉を覚えるスピードが速くなっています。

言葉が急増する時期であることは確かですが、一方で、そのような急激な言葉の理解(語彙爆発)ではなく、少しずつ言葉を獲得していくことが示される研究結果も存在します。

しかし、この頃はまだ言葉を完全に理解しているわけではなく、話す相手の表情や状況から総合的に理解しています。いわば、意味を理解しようと試行錯誤しながら新しい言葉を学んでいる状態です。

この時期はまだ「一語文」で話す子が大半です。また、1歳終わりごろから2歳にかけては、その時言いたいことをうまく説明する言葉をみつけることが、まだ難しいといいます。そんなとき子どもは、動作や感情にあった「オノマトペ」を使用するといいます。

[発達する言葉の種類]

〇18カ月頃から

「して」「みて」「やって」など、要求や依頼の終助詞である「て」

「した」「みた」「やった」など経験を表す「た」

 

◆ 24カ月頃(2歳~3歳)~文をつくってお話、一語文から二語・三語文へ~

2歳を迎えるころには、多くの子どもが「二語文」を話すようになります。

一般的には、知っている言葉(語彙数)が50語〜100語程になると、2つの語をつなげられるようになるといわれています。

最初は「ママ だっこ」「まんま たべる」など、単語をつなげただけの組み合わせですが、二語文を習得するとすぐに三語、四語とつなげた文法での発語がみられるようになります。

文法とは、言葉を作り出し、意味を変えるためのルールです。
子どもたちはこのルールに従って、一語文から二語文へと移行していきます。例えば、「食べる」という単語は、「食べ」という動詞の語幹と「る」という動詞の終止形がつながってできています。

このように、子どもは単語がどのように構成されているかを学びながら、文法のルールに従って話し方を変化させていきます。

2歳半くらいになると、「でんしゃにのっておでかけする」や「おばあちゃんにもらったほんよむ」のような、名詞(でんしゃ、ほん)を説明する言葉が入った複文を話すようになります。

また、毎朝起きてから朝ごはんを食べ、歯を磨いて保育園に行くというような生活リズムのパターンを理解できるようになり、「おやつたべて、ねんね」などといった順序を表す言葉を話すようになります。

[発達する言葉の種類]

〇21か月頃

「私の」などの所有を表す「の」、「僕が」などの行為者の「が」

〇24か月頃

「公園にいく」などの前置詞「に」

接続助詞「りんごとバナナ」の「と」、「おなか、いたいたいって」などの「って」

「おにぎりだ」などの、モノや状態などの事実を表す肯定の助動詞「だ」

「ワンワンじゃない」など、そうではないことを表す否定の助動詞「ない」

〇27か月頃

「公園であそぶ」などの場所を示す助詞「で」

「ごはんたべてからおやつ」などの原因や理由をもった流れを表す接続助詞 「から」

「ありがとうございます」などの敬語の助動詞「ます」

「あそぼう」「たべよう」などの、自分の考えや気持ちを相手に伝えたり、相手に何かを勧めたりする「う音便」

 

◆ 36・48カ月頃(3~4歳)~「◎◎して、××になった」出来事の理解~

3歳後半から4歳前半にかけては、一連の出来事の流れを言葉で話すことができます。また、多くの言葉が理解できるようになり、表現力も豊かになります。

言葉を理解する上で、「心の理論」の発達は重要です。

「心の理論」とは「思う、考える、信じる」など、相手のさまざまな心の働きを推測する能力のことです。心の理論が発達することで、物語や会話の意味をより深く理解できるようになります。

一般的には4歳頃になると、人が間違った情報を信じていることを理解できるようになるとされています。

例えば、おばけの話をするときに、妹が怖がることを理解して、妹の前では話さないなど。人が何を考え、何を感じているかを推測することができるようになり、話の中で起こることがどのような意味を持つのかをより正しく分かるようになります。

[発達する言葉の種類]

〇3歳以降

「食べれる」などの可能形の助動詞「れる」

「食べられる」などの 受身形の助動詞「られる」

「食べさせる」「言わせる」などの相手にしてもらう・させることを表す使役形の助動詞「せる」「させる」

〇3-4歳児で使用の多い言い回し

対人的調整の終助詞「そうだよ」などの 主張を表す「よ」

「そうだね」などの共感を表す「ね」

「ちがうの」などの訴えを表す「の」

「空に向かって」などの目標を表す格助詞「に」

 

2.発語の個人差・男女差について

言葉の発達研究によると、子どもたちが言葉を学ぶスピードはそれぞれ異なります。

乳幼児期の子どもを育てている人にとって、我が子の言葉の発達はとても気になるところです。ここでは、言葉の発達の個人差についてみていきましょう。

 

2-1.個人差が生じる原因

子どもの言語の発達には、「子ども自身」と「親や家族(保育者)」の要因が影響します。

まず、子ども自身の要因として、「気質」の差があります。

言語発達が遅い子どもは、人前で話すことが苦手で、新しい環境に慣れるまで時間がかかる傾向があるといいます。一方で、周りの状況をよく観察する、理解力が高いなどのプラス面ももっています。

また、子どもの「好み」によって言葉の学びに個人差がでてきます。

物をいじることが好きな子どもは、「ボール」や「車」といった名詞を多く覚え、ママやパパ、保育士など大人に注意を向く子どもは「こんにちは」や「ありがとう」といった社会語が多くなる傾向があります。

子どもは大人と話す中で言葉を学んでいくため、「親や家族(保育者)」の要因も重要です。

子どもは、大人の話す言葉から単語を抜き出して学びます。例えば、ママが「おもちゃを取って」と言ったとき、子どもは「おもちゃ」という単語を覚えます。

そのため、複雑な言い回しや早口の話し方だと、子どもが単語を聞き取ることが難しくなり、言葉の発達が停滞してしまう可能性があります。

 

2-2.男女差

男の子と女の子の言語発達には共通点もありますが、それぞれの性別間の差も大きいことがわかっています。

研究によると、女の子は男の子よりも言語能力が高く、1・2か月先行して発達しています。しかし、全体的には差が小さく、年齢ごとに見ると男女差は見られていません。

女の子が言語発達で優れている理由として、脳が男の子よりも早く成熟することや、親が女の子に多く話しかけることなどが挙げられています。また、文化的な違いや話し方による性差なども影響している可能性があります。

 

2-3.一人っ子やきょうだいでの差

一人っ子や第一子は家族から注目を集め、話しかけられることが多くなります。

そのため、言葉の発達が早く、物事を指示するタイプの言葉が多い傾向があります。例えば、「コップとって」「机に置いて」というような言葉です。

一方、兄弟がいる環境では、子どもが大人と話す時間が全体として少なくなることから、第二子以降は子ども同士での会話や、途中から会話に入ることが上手になるといわれています。

 

3.言葉の発達は段階を踏んで伸びていく!

子どもたちの言葉の発達は、一歩一歩確実に進んでいきます。

それぞれの子どもが持つ個性やペースに合わせて、親御さんや周りの大人たちがサポートしてあげることで、子どもたちは自信を持って言葉を使いこなすようになります。

言葉は子どもたちが豊かな人間関係を築く上でも欠かせません。子どもたちが健やかに成長していくために、言葉の発達を大切にしてあげましょう。

 

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主な参考文献
・書籍:小椋たみ子,小山正,水野久美,乳幼児期のことばの発達とその遅れ 保育・発達を学ぶ人のための基礎知識,ミルヴァ書房,2015
・書籍:今井むつみ,ことばの発達の謎を解く,筑摩書房,2013
・書籍:岩立志津夫,小椋たみ子,よくわかる言語発達[改訂新版],ミルヴァ書房,2017
・小椋たみ子,日本の子どもの初期の語彙発達,言語研究132:29-53,2007
・今福理博,乳児期における音声模倣のメカニズムとその発達過程. 京都大学大学院教育学研究科紀要 2015, 61: 229-241,2015
・星山由布,子どもの言語発達に関する研究―身振りと語彙理解・語彙表出との関連性について―,東京女子大学言語文化研究(Studies in Language and Culture)20(2011)pp.88-104,2011

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