子どもに「習い事をやめたい」と言われたときの対応法と注意点
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「らくらく連絡網」を運営する株式会社イオレが2017年に行った調査*によると、未就学児の6割以上が習い事を始めていることが判明しました。
一方で、習い事を継続しているかの質問に対し、約8%の親が「いいえ」と回答しており、一定数の子どもが習い事をやめていることがうかがえます。
*『子どもの習い事に関するアンケート』 出典:株式会社イオレ
子どもが習い事をやめることは珍しくありませんが、子どもから「習い事をやめたい」と言われると、戸惑ってしまうこともあるでしょう。
子どもが習い事をやめたがっている際は、理由によって対応を考えるのがおすすめです。
この記事では、子どもに「習い事をやめたい」と言われたときの対応法ややめたい理由、親が気をつけたい注意点を紹介します。
子どもに「習い事をやめたい」と言われて悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
習い事をやめたいと言われた際に取るべき行動を知っておくことで、子どもと一緒に適切な選択ができるようになりますよ。
目次
1.「習い事をやめたい」と言われたら、まず子どもの話を聞いてみよう
子どもに習い事をやめたいと言われた際は、しっかりと子どもの話を聞き、やめたい理由を聞いてあげましょう。
やめたい理由によって、その後の対応法が異なるからです。
また5歳前後になれば、子どもは自分の気持ちを文章の形で言葉にできるようになってくるので、やめたい理由をある程度詳しく聞けるでしょう。
子どもから話を聞く際は、子どもの気持ちを受け止め、共感しながら聞いてあげてください。
子どもの気持ちに寄り添って話を聞くことで、子どもは「ママは僕のことを分かってくれる」と安心でき、本音で話しやすくなるでしょう。
「話の聞き方」についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。
子どもの自己肯定感は「傾聴」で伸ばそう!効果的な話の聞き方と6つのポイントをご紹介!
2.子どもが習い事をやめたい理由
子どもが習い事をやめたいと言い出す理由は、主に以下の7つであると考えられます。
2-1.人間関係がうまくいっていない
習い事の先生や、一緒に学ぶ仲間との折り合いが悪いことは、子どもが習い事をやめたいと思う大きな理由になり得ます。
先生との相性が良ければ、子どもは習い事を好きになりやすいでしょう。
一方で、先生が怖かったり苦手だったりすると、習い事に行きたくないと思ってしまう可能性があります。
また先生との相性が良かったとしても、仲が悪かったり意地悪をしてくる友だちがいたりする場合は、習い事を嫌がってしまうでしょう。
2-2.スケジュールが過密で体力が追いつかない
毎日のスケジュールが過密で、体力的に辛くなってしまった場合も、子どもは習い事をやめたくなることがあります。
特に小学校に入って自由な時間が少なくなった場合や、複数の習い事を掛け持ちしている場合は、子どもが疲れやすいため注意が必要です。
2-3.想像と異なっていた
実際に習い事をしてみたものの、自分の想像と異なり、「やめたい」と言い出す子どももいるでしょう。
子どもは大人以上に自分に向いている習い事が予測できず、実際にやってみないと向き不向きを判断できないからです。
2-4.練習や宿題が面倒
ピアノの練習や、学習系習い事の宿題などを面倒に感じ、習い事をやめたくなる子どももいます。
子どもが熱中できるのは、好きなことや楽しいことをしている時です。
地道な作業が多い練習や宿題は、子どもにとって「楽しくない」と感じることが多く、面倒になってしまう可能性があります。
2-5.技術が追いつかない
習い事のレベルが高すぎて、子どもの技術が追いつかなくなってしまった場合も同様です。
「なかなか次のステップに進めない」「周りはできるのに自分だけできない」などと自信をなくし、習い事をやめたくなってしまうのです。
2-6.他にやりたいことができた
他にやりたいことができた時や、興味の対象が変わった時に、習い事をやめたいという子どももいるでしょう。
興味の幅が広がることは、好奇心が旺盛な証拠でもあります。
2-7.プレッシャーが辛い
親や先生からのプレッシャーを感じてしまい、習い事が辛くなってしまうこともあります。
特に、親やコーチが子どもに過大な期待を寄せている場合、プレッシャーがストレスとなってしまうことが多い傾向です。
3.「習い事をやめたい」と言われたときの対応法【理由別】
ここからは、習い事をやめたいと言われた場合の対応法を、やめたい理由ごとに紹介していきます。
3-1.人間関係に原因がある場合
人間関係に原因がある場合は、一過性の問題であるのか、根深い問題であるのか見極めることが大切です。
「友だちと小さなケンカをしてしまった」「コーチに軽く注意された」など、すぐに解決できそうな場合は、子どもの話をしっかり聞いてあげることで気持ちが変わることもあります。
一方で、「先生に苦手意識がついてしまった」「友だちに意地悪をされ続けている」など問題が長期化しそうな場合は、先生に相談したり、習い事の曜日やチームを変えたりして対応することを検討しましょう。
一過性の問題であるのか根深い問題であるのか見極めるためには、習い事の様子を見に行ったり先生に話を聞いたりしながら、子どもの様子を注意深く見守ることが大切です。
習い事自体がトラウマになってしまっているような場合は、子どもの気持ちを受け止め、やめる決断をしてあげることも必要です。
3-2.スケジュールが過密で体力が追いつかない場合
スケジュールが過密で子どもが疲れてしまっている場合は、子どもの負担にならないようなスケジュールに変えてあげましょう。
その際は、「火曜日はお友だちと遊ぶ日にしたい」「サッカーは好きだからやめたくない」「練習時間を10分にしてほしい」など、子どもの気持ちを聞いた上でスケジュールを組んであげてください。
自分で決める経験を積むことで、自己決定力や責任感を育めますよ。
3-3.想像と異なっていた場合
習い事が子どもの想像と異なっていた場合は、思い切ってやめてしまうのもいいでしょう。
不満を抱きながらしぶしぶ習い事を続けるよりも、新たに熱中できる習い事を始めた方が、子どもの能力は伸びるものです。
体験レッスンや無料キャンペーンなどを上手に活用し、子どもが楽しめる習い事を一緒に探してあげてくださいね。
3-4.練習や宿題が面倒な場合
練習や宿題が面倒でやめたいと言っている場合は、習い事自体は嫌いになっていない可能性が高い傾向です。
この場合は、子どものやる気を引き出すような働きかけをしつつ、様子を見るのがいいでしょう。
やる気を引き出す働きかけの具体例は、次の通りです。
- 小さなことでもたくさん褒めてあげる
- 細かく目標を立て、クリアすることで達成感を味わうように促してあげる
- つまずいていたり、苦手な部分があったりしたら、一緒に解決法を考える
3-5.技術が追いつかない場合
習い事のレベルが高すぎて技術が追いつかない場合は、子どものレベルに合った内容に変更してあげることをおすすめします。
レベルの合った習い事をして、小さな達成感を積み重ねていくことで、やる気や自己肯定感が回復する可能性があるからです。
また、基礎力がつき後伸びすることもあるでしょう。ただし、習い事自体が苦痛になってしまっている場合は、休会や退会も選択肢に入れてあげてください。
3-6.他にやりたいことができた場合
他にやりたいことができ、現在の習い事に興味がなくなってしまった場合は、思い切ってやめてしまうことも検討してみる価値があります。
やりたくないものを我慢して継続することで、ストレスや不満がたまり、ますます習い事が嫌いになってしまう恐れがあるからです。
「子どもは好奇心が旺盛なんだから、目移りするのは当たり前だ」とおおらかに構えて、子どものやりたいことを優先させてあげてください。
3-7.プレッシャーやストレスが辛い場合
子どもがプレッシャーやストレスが原因で習い事をやめたいと言ってきたら、勇気を持って自分の行動を振り返ってみてください。
子どもの技術や能力が伸びないことにイライラしてしまう場合は、子どもに期待をかけすぎている可能性があります。
親から過大な期待をされた子どもは、自己肯定感を低下させてしまったり、成長の過程で激しく反発するようになったりする恐れがあります。
「習い事は、子どもの興味の幅を広げるためにやっている」と考え方を変え、子どもの気持ちや興味・関心を大切にしてあげてください。
また、先生やコーチからのプレッシャーが大きいと感じた場合は、教室やチームを変えることも考慮するといいでしょう。
なお、子どもが「やめたい」と言い出さなくても、子どもが習い事を苦痛に感じている場合は、習い事をやめた方が良い場合もあります。
特に自分の気持ちをうまく説明できない場合は、「おなかが痛い」「気持ちが悪い」と別の形で訴えることもあるでしょう。
やめることに抵抗があれば、「一時休会」という選択肢もあります。子どもに無理を強いることがないよう、注意して子どもを見てあげてくださいね。
4.「習い事をやめたい」と言われたときに親が気をつけたいこと
ここからは、子どもに「習い事をやめたい」と言われたときに、親が気をつけたいことを3点紹介します。
4-1.頭ごなしに反対しない
子どもが習い事をやめることに反対であったとしても、頭ごなしに叱ったり反対したりするのはおすすめできません。
子どもの話を聞かないままに親の考え方を優先すると、「ママは私の話なんて聞いてくれないんだ」と子どもは親に不信感を抱くようになってしまいます。
まずは子どもの気持ちを受け入れ、共感した上で、親の気持ちを伝えるようにしましょう。
4-2.親の気持ちを押しつけていないか確認する
子どもが習い事を嫌がった際は、自分の成功体験や叶えられなかった夢を押しつけていないかを一度考えてみてください。
子どもは自分とは別の人格であるため、親の成功体験が当てはまらない場合もあります。
また、親の願望を押しつけることによって、親子ともにストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
習い事をするのは、あくまでも子ども自身です。子どもの意思を第一に考えて結論を出してあげてください。
4-3.落ち着いて考える時間を与える
子どもが習い事をやめたいと言った場合でも、その場で継続するか否かを決定する必要はありません。
子どもは一時の感情で「やめたい」と言ったり、本当の気持ちが分からない状態になっていたりする可能性があるからです。
子どもに考える時間を与え、落ち着いて判断するように促してあげてください。
その際は、子どもの話をよく聞いたり、質問したりすることで、子どもの気持ちの整理をサポートしてあげるといいでしょう。
5.親の不安を解消!「習い事やめたい」Q&A
ここからは、子どもに「習い事をやめたい」と言われた際に生じる疑問に答えていきます。
5-1.習い事をやめるとやめ癖がつく?
習い事をやめたとしても、やめ癖がつくと心配する必要はないでしょう。
むしろ、やめ癖がつくことを恐れて無理やり習い事を続けると、子どもに悪影響を及ぼす恐れもあります。
どうしてもやめ癖が気になる場合は、「5級に合格したらやめる」「幼稚園を卒園したらやめる」など、目標や区切りを設定するのがおすすめです。
終わりが見えることで、子どもは「もうちょっとがんばろう」と再度やる気を出せます。
また、目標を達成することで「最後までできた」という成功体験も味わえるでしょう。
5-2.習い事を無理やり続けさせるとどんな悪影響がある?
前述の通り、子どもに習い事を無理やり続けさせるとさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。
無理やり続けている習い事は楽しくなく、モチベーションが低い状態で行うことになるでしょう。すると、なかなか上達できず、自信や自己肯定感を失ってしまう可能性があります。
嫌なことが続くことでストレスがたまり、イライラしやすくなったり嘔吐や腹痛を繰り返したりと、心身に影響が出ることもあるでしょう。
6.習い事をやめたいと言われたらやめさせても大丈夫!子どもの気持ちを優先しよう
子どもが習い事をやめたいと言ってきた場合には、まずはその理由をよく聞いてあげることが大切です。
理由が明確でない場合には、子どもに考える時間を与えることで、自分の気持ちを整理するように促してあげましょう。
子どもの気持ちに寄り添いながら続けるかどうかを一緒に考えることで、子どもの将来の選択肢を広げることができます。
「習い事はやめさせてあげても問題はない」と考え、子どもの気持ちを優先してあげてくださいね。
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