「早くして!」と言わずに済む!親も子もスムーズに動けるようになるコツ
この記事を書いた人
猪狩はな
- 司書教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 保育士
2児ママ× 現役国語科教員×ライター!
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
・国語科(専門は古典文学)
・私立中高一貫校講師、公立中学校フルタイム教員を経て私立高校講師として勤務
・3歳と5歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。
「ついつい子どもに対して『早くして!』と急かしてしまう」
「時間通りに動かないといけないときに限って、なかなか動き出してくれない」
そんなお悩みをお持ちの保護者の方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「早くして!」と言わなくても子どもがスムーズに動けるようになるコツをお伝えします。
4歳と2歳兄弟の母であり、教員の経験もある私が実践するテクニックもまとめているので、ぜひチェックしてみてください!
目次
1.「早くして!」と子どもを急かすデメリット
ついつい言ってしまう「早くして!」という言葉は、子どもの発達にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
1-1.指示がないとなにもできなくなる
親からの指示を受けてから動くのがクセになり、自分で考えて行動することが苦手になる可能性があります。
つまり、指示がないとなにもできない「指示待ち人間」になる恐れがあるのです。
「時間に間に合うように」と良かれと思って出している指示出しで、子どもの思考力を奪ってしまっているかもしれません。
1-2.相手を待てなくなる
自分が親に「早くして!」と言われてきたぶん、子ども自身も相手を待てない、何事も自分のペースで進まないと気が済まないと感じるようになります。
親からすると時間通りに進めるため、遅刻しないために「早くして!」と声かけをしているつもりでも、子どもにとっては「自分のペースを乱されている」「親のタイミングで中断されている」と感じてしまうのです。
1-3.自己肯定感が低下する
自分のペースで何かをやっていたのに周りに中断されるという経験を繰り返す、「早くして!」と強い言葉で言われ続けることで、自己肯定感が低下する恐れがあります。
いつも急かされてばかりいる、自分の意思通りに物事が進まないという経験は、子どもの精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があると言えるでしょう。
2.「早くして!」の代わりに!声かけのコツ
時間に遅れられない場面、急いでいるときに限って、子どもの動きが遅くてやきもきしてしまうこともありますよね。
そんなときに「早くして!」と急かすのではなく、代わりに使える声かけのコツを4つご紹介します。
2-1.早くしないといけない理由を伝える
どうしてその時間までに出発しないといけないのか、なぜ急ぐ必要があるのか、「早くしないといけない理由」を伝える方法です。
4~5歳ごろの子どもは、見通しを立てて考える力はまだまだ発達段階です。
「早くしなさい!」とだけ言われても、なぜ急ぐ必要があるのか、時間に遅れるとどうなるのかまで考えが及ばない場合も多いのです。
理由もセットで伝えることで、次の行動を起こすきっかけになります。
2-2.今やってほしいことを1つだけ伝える
たとえば
「朝起きて、トイレに行き、朝ごはんを食べて、歯みがきをして、着替えて、幼稚園バスに乗る」
という朝の流れがあった場合、今行うべき行動にフォーカスして指示を出すことが大切です。
「トイレに行こう」
「朝ごはんを食べよう」
「歯みがきをしよう」
「靴下を履こう」
といったイメージです。
あれをやって、これをやって……と一度にたくさんの指示を出すと、子どもは混乱してしまいます。
「1つの文のなかに1つの指示」を意識してみてください。
2-3.具体的な時間も伝える
時計を読める子どもの場合には、具体的な時間を伝えます。
まだ時計を読めない子どもには、「着替えは、短い針が8、長い針が12のところへくるまでに済ませようね」といったように、アナログ時計を見ながら指示をしてみましょう。
時間を具体的に伝えることで、時間の概念が身につきやすくなります。
また、自分で計画を立てて行動することにもつながるので、少しずつでも取り入れてみてください。
時計の読み方については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
幼児期からできる時計の勉強!自然に時計が読めるようになる教え方
2-4.子どもが楽しんでできる方法を伝える
子どもが頑張って取り組むことによって、楽しみなことが待っているような仕掛けを用意してみましょう。
たとえば以下のようなものです。
■朝ごはんに子どもが好きなフルーツを用意する
→「起きたら、朝ごはんにバナナがあるよ」
■ご飯のプレートの柄を子どもが好きなキャラクターのものにする
→「頑張って食べ終えたら〇〇に会えるよ!」
■早く準備が終わったら、好きな遊びをしていいと約束する
→「35分までに終わったら、出発の時間までおもちゃで遊んでいいよ」
3.「早くして!」と言わずに済む!習慣化のコツ
親からの声かけがなくても、子ども自身が考えて動けるよう促していきたいですよね。
声かけの次のステップとして、どのように行動を習慣にするかのコツをご紹介します。
3-1.スケジュールをイラストのカードで示す
1日の過ごし方や、朝晩の決まった行動スケジュールを「見える化」する方法です。
イラスト入りのカードや文字の入ったマグネットを用意し、ホワイトボードなどに貼ります。
「おはよう」
「トイレに行く」
「朝ごはんを食べる」
「歯みがきをする」
「着替えをする」
「持ち物を用意する」
「出発」
のように、1行動ごとにわけたものを順番に並べ、「次は〇〇だね」と確認しながら進めます。
だんだんと子どもが自分でスケジュールを見て動けるようになっていきますよ。
3-2.過ごし方をルーティン化する
毎日必ず行う動作は、順番を固定してルーティン化するのがおすすめです。
たとえば、寝かしつけ前の動きは、
お風呂に入る→パジャマを着る→歯みがきをする→水を飲む→絵本を読む→布団に入る
という順番で固定して、毎日必ずこの順番で行うように意識します。
そうすることで子どもは「パジャマを着たから次は歯みがきだ」といったように、自分から次の行動を起こせるようになっていきます。
この方法は、イラストカードがまだわからない年齢のお子さんにも効果的です。
3-3.できたことを認める、褒める
親が子どもの環境を整えること以上に重要なのは、「できたことを認める、褒める」というプロセスです。
声かけやスケジュールの見える化、ルーティン化で子どもが時間通りに行動できたり、自分から動けたときにはたくさん認めて、褒めてあげてください。
「認めて、褒める」を繰り返すことで子どもに自信を持たせ、自発的に動く力を養うことができます。
やる気も高まり、次も頑張ろうという気持ちも持ちやすくなりますよ。
4.「早くして!」なしで!我が家で実践している方法を紹介
4歳と2歳の男の子兄弟を育児中の我が家。マイペースボーイズに毎日てんてこ舞いで、「早くして!」と言いたくなる場面も多いのが現状です。
そんな私が普段取り入れている方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
4-1.次の予定を可視化
長男と一緒に、そのあとの予定をチェックしていきます。
メモ帳に「きがえる→いえをでる→スーパーにいく→ねんどをかう」と書いていくようなイメージです。
お出かけ先でもメモ帳を見ながら「次はねんどだよ、ママ!」と指示を出してくれることもあり、母である私が案内してもらう場面もあるほどです。
「お兄さん心」を刺激してくれる手法として、長男が乗ってくれる日には取り入れています。
4-2.タイマーで時間を可視化
「何分経ったら〇〇しよう」と子どもと約束し、タイマーをセットして、タイマーが鳴ったら次の行動に移るという区切りをつくります。
■実感タイマー(時っ感タイマー)
卓上のタイマーでおすすめなのは「実感タイマー」です。
実感タイマーとは時間の経過を視覚的に表してくれるタイマーで、小さな子どもでも、親でも、残り時間がわかりやすいです。
つまみで簡単に操作できるので、子ども本人が設定することもできます。
■ねずみタイマー
アプリでおすすめなのは、「ねずみタイマー」です。
時間が「りんご」の数で表示され、その「りんご」をねずみが食べることで時間の経過がわかるようになっています。
このアプリは、動物が好きな長男のお気に入りで、自分から「ねずみつけて!」と言ってくれることもあります。
りんごがなくなったら終わり、という仕組みは次男にもわかりやすいようで、兄弟共通で時間を知らせたいときに使っています!
■アレクサのタイマー
毎日使っているのは、アレクサのタイマーです。
アレクサとはAmazonが開発しているAI音声認識サービスで、声でタイマーを設定することができます。
とても便利で、なにかにつけて「アレクサ、5分のタイマーつけて!」とお願いしています。
最近は長男の指示も通るようになり、長男がタイマーをつけることもあります。
私がどうしても手が離せずに「3分だけ待ってて!」と言うと、長男が「アレクサ、3分のタイマーつけて!」と言ってくれることもあります。
4-3.タイマーが鳴る前に「あと〇分だよ」と一声
いくら可視化していても、目の前のことに夢中になっていると「えっ!もう時間!?」「もっと遊びたかったのに!」となるのが子どもというものです。
そこで、なるべくタイマーが鳴る前のタイミングで一度声をかけるようにしています。
「あと〇分だよ」「タイマー見てね」と軽く予告しておくことで、パニックを防ぐ作戦です。
予告していても「まだ!」となることもありますが、ワンクッションあるかないかは大きいと思っています。
5.「早くして!」の代わりに、子どもの行動を促す声かけを意識しよう
「早くして」と子どもを急かすことによる悪影響や、急かさないで済む対策をお伝えしました。
子育てには、予め準備をしていても、時には急いで行動しなければならない場面があります。
「早くして」以外にどんな言い方をすれば子どもに伝わるのかを事前に知っておくと、いざというときの手札になりますよ。
ぜひ取り入れやすいものから実践してみてくださいね。
主な参考文献
・『子どもに見えてる世界を』共有するデザイン 国立研究開発法人 科学技術振興機構
・『0歳から5歳児 行動の意味とその対応』今井和子(著) 小学館
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