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【3歳・4歳】子どもが話を聞かない!?〜叱る回数がグンと減る「伝え方」7つのコツ〜

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

何度話しても言うことを聞いてくれないわが子…
ちゃんと聞いているの?
返事はしているけれど、しっかりわかっているの?

子どもとのやり取りに、困り果てている親御さんも多いのではないでしょうか?

まだまだ手がかかる3〜4歳。
この時期の子どもに言い聞かせたいときは、成長に合った「伝え方」をする必要があります。
子どもにわかりやすい「伝え方」をすることで、話をしっかり聞ける子どもに育ち、叱る場面がグンと減ります。

今回は、発達段階の観点から、話を聞いてくれない子どもへの「伝え方」のコツをご紹介します。

 

目次

1.「子どもが話を聞かない」その理由はなぜ?

 

「子どもが話を聞いてくれない」場面は日常にあふれています。

その原因を探ることで、どう対処したらよいのかが見えてきます。 ここでは「あるある」のお悩みシーンごとに、その原因を探ってみましょう。

 

1-1.「話を聞いてくれない!」よくある困りごと

日々の生活の中で、こんなシーンはありませんか?

夕方、公園で「帰るわよ〜」と子どもに声を掛けます。
子どもはブランコに夢中で、こちらを見ません。

聞こえていないのかな?と思い、先程よりも大きな声で呼びかけます。
「〇〇ちゃん、帰るわよ!もうおしまいにして!」

聞こえているはずなのに、子どもは一向にブランコから降りません。

また、あるときは家の中で。

「このおもちゃ、ずっと出しっぱなしだけどどうするの?いつ片付けるつもり? 早くおもちゃ箱にしまって、手を洗ってきなさい。夕ご飯にするわよ」

返事はするものの、子どもはいつまで経ってもおもちゃを片付けず、食卓にも来ません。

「もう!捨てちゃうわよ!」と強く言うと、「ヤダー!!!」と大きな返事。
やっと片付けるのかと思いきや、おもちゃは素通りして食卓につきます。
結局、いつものようにお母さんが片付ける羽目に。

このような場面は日常にたくさん転がっていて、親御さんのストレスになっていることでしょう。
その原因はいくつか考えられます。詳しく見てみましょう。

 

1-2.子どもが話を聞いてくれない原因とは?

「子どもが話を聞いてくれない」原因として、次のようなことが考えられます。

・夢中になっていて親の声が耳に届いていない
・内容が複雑で理解できない
・やらなくてもいいや、という思いがある
・理解できているが、わざとやっている

公園のシーンでは、子どもは遠くからの呼びかけに気づいていないのかもしれません。

夢中になると周りが見えなくなってしまうこの時期。
大人からすれば「聞こえているはず」と思っても、子どもには聞こえていないことがあります。

もしくは、帰りたくなくて聞こえないふりをしていることもあるでしょう。

家の中のシーンでは、子どもが「やらなくてもいいや」と思っている可能性があります。

声掛けの内容も複雑なので、「片付け」と「手洗い」というタスクを拾うことが難しいのも一因かもしれません。

「捨てちゃうわよ」の言葉にも、子どもは「本当はお母さんはそんなことしない」とお見通し。
いつも最後はお母さんが片付けてくれるので、口だけの返事が出てしまうのです。

いずれにせよ、お母さんが一生懸命子どもに伝えているつもりでも、子どもが親の言葉に耳を傾けていなければ、重要な情報として届かないのです。

 

2.【3〜4歳】の特徴:夢中になるとまだまだ「自分が中心」!

理解できる言葉が増え、意思疎通がどんどんラクになる3歳児は、「自我」がさらに強くなります。

「やりたいこと」と「やりたくないこと」がはっきりしてくるので、声を掛けても一筋縄ではいきません

自分の気持ちを我慢する自制心も芽生え始めますが、まだまだ自分の欲求が最優先。
夢中になっているときは、大人が思っている以上に「自分の世界」が中心なので、こちらの声掛けが耳に届かないことも多いのです。

4歳頃になると、認知能力が大幅に向上し、他人の気持ちを理解できるようになります。

言語能力もさらに発達するので、言葉でのコミュニケーションも一段とスムーズになるでしょう。

しかし、それと同時に他者からの指示を嫌がるようになり、大人の言うことを理解した上で反抗的な態度をとることも出てきます

親からすると「怒ってばっかりでうんざりしてしまう……」ということも少なくなく、赤ちゃんだった頃とは違った大変さが感じられるかもしれません。

 

3.子どもへの「伝え方」が大事な理由とは?

3〜4歳の発達状況からもわかるとおり、子どもの「話を聞く力」はまだまだ未熟。大人が子どもの成長度合いに合わせて伝え方を工夫する必要があります。

子どもへの「伝え方」を変えると、「話を聞いてくれるようになる」だけではない、良い影響が子どもに起こります。

 

3-1.子どもの「聞く力」が育つ

子どもへの伝え方を工夫すると、子どもの「聞く力」が育ちます。

子育てをしていく中で、子どもに伝えたいことは数え切れないほどありますよね。

何度言ってもわかってくれないとき、言ったことを心に刻んでほしいとき、どうしてもガミガミ、クドクド言ってしまいがちです。

しかし、それを子どもはどう受け止めているでしょうか?全てを受け止めているでしょうか?

残念ながら、子どもに伝わらない話し方をしていると、子どもは親から言われた言葉を処理しきれず、聞き流してしまいます。

聞き流すことがクセになってしまうと、何度大きな声で伝えても、もう子どもの耳には届きません。

子どもが親からの言葉を「聞き流して良い騒音」として認識してしまう前に、「伝わる話し方」を取り入れましょう
子どもとの対話の中で言語能力や認知能力が育ち、「聞く力」がさらに鍛えられるでしょう。

 

3-2.子どもの「伝える力」が育つ

子どもの言語能力は、身近な存在である親からの影響を強く受けます。

親がわかりやすい「伝え方」で子どもとコミュニケーションをはかることで、子どもの「伝える力」が育まれます

自己を表現する場が増えてきている昨今、「伝える力」の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。

とくに教育現場では、従来の受動的な教育法では、テクノロジーの発展が著しい社会で求められる資質や能力を身につけることが難しいと言われるようになりました。

今後は「主体的で、対話的な深い学び」を目的とした教育法である「アクティブ・ラーニング」への移行が推進されており、生徒間、教員・生徒間での積極的な意見のやり取りがより求められることは確実です。

双方向のコミュニケーションがますます必須となる今後の社会において、「伝える力」のベースは幼いうちから身につけておきたい能力の1つと言えるでしょう。

 

4.子どもにしっかり伝わる!「伝え方」7つのコツ

 

ここからは、子どもの心にしっかり届く「伝え方」のコツを7つご紹介します!

どれも難しいテクニックは必要ありません。
日々の声掛けの中で、少しだけ意識したいポイントをお伝えします。

 

4-1.手を止めて伝える

毎日の忙しさの中、子どもに声を掛けるときに、ついつい「〇〇しながら」になってしまうときもあるかもしれません。

子どもにしっかりと伝えたいのであれば、一度手を止めて意識を「伝える」ことに絞りましょう

声を掛けたときに、もしかしたら子どもはお母さんの方に目を移したかもしれません。

しかし、お母さんが何か他の作業をしていたとなれば、子どもは話の重要性を感じとることができないでしょう。

言うことを聞いてくれずに何度も声を掛け続けるのは、お母さんにとっても負担が大きいはず。
一旦作業の手を止めてでも、一度でスッキリ子どもに伝えるのがイライラしないコツにもなります。

 

4-2.目線を合わせて伝える

子どもと目線を合わせて伝えることも重要なポイントです。

子どもは何かに夢中になっているとき、手元や外の景色、画面など、目線の先にほとんどの注意が注がれています。

そのような状況で声を掛けても、子どもの頭には入りません。

こちらに注意を向けてくれるよう、しっかりと目を合わせるのが重要です
子どもはお母さんの声色・仕草・表情の全てから話の情報を得ているので、話の内容も心に届きやすいでしょう。

 

4-3.具体的な言葉で伝える

子どもに伝えたいことがあるときは、具体的な言葉を選ぶのがオススメです。

たとえば、「時間に間に合うようにしっかりやってね」「電車の中ではちゃんとするのよ」と伝えても、子どもはどのような状態が「しっかり」なのか「ちゃんと」なのか、わからないのです。

言ったことが伝わらず「さっきも言ったでしょう!」となる前に、「9時までに服に着替えてね」「電車の中では静かにしようね」と、具体的なワードを使って伝えましょう

 

4-4.伝えたいことは1〜2個に絞る

言葉でのコミュニケーションがスムーズになってくる時期ですが、大切なことは端的な言葉で、ポイントを絞って伝えましょう。

子どもに伝えているうちに、次から次へと伝えたいことが増えてきて、気づいたら長くなってしまうことも多いですよね。

子どもが一度に記憶できる情報はわずかなので、せっかくたくさん伝えても最後の1個しか覚えていなかった!なんてことも
伝えたいことは1個、多くても2個に絞るのがベストでしょう

 

4-5.「〇〇しよう」と理想形を伝える

4歳頃になると、反抗期に突入し、人からの指示を嫌がる子どもも見られます。

言われたことに対して理解できていないのではなく、わざと言うことを聞かない、わざと怒らせるようなことをする……そんな「4歳の壁」に辟易している親御さんも多いかもしれません。

「ここでは走っちゃダメ」「お店の品物は触らないようにね」と禁止されることで、反抗心や興味がより強く出てしまうこともあります。

そんなときは、「ここでは歩こうね」「お店の品物は見るだけにしようね」と理想の形を伝えることで乗り切りましょう

 

4-6.理由もつけ加える

様々なことに興味が出てくる3〜4歳は、「なぜ?」「どうして?」が増える時期でもあります。

言われたことに対して「どうして?」と聞くのは、大人からすれば反抗的な態度に見えることもあるかもしれませんが、子どもは純粋にその理由が知りたいだけかもしれません。

先回りして「病院は具合の悪い人が来ているから、静かにしようね」と理由まで伝えましょう。

理由がわかると子どもも納得しやすく、その後も心に残りやすくなります

 

4-7.脅さずに伝える

何度言っても分かってもらえないとき、最終手段として使ってしまいがちな脅し文句。

もちろん本気ではないし、避けたい手段だとは思っていても、こちらの本気度を伝えたい思いも相まって、ついつい使ってしまいますよね。

何度も続けていると、懸念した通り、子どもは慣れてしまいます。

子どもも一瞬ドキッとはするものの、その後、結局どうにかしてくれた・どうにかなったという印象が強く残り、普通の伝え方では効かなくなってしまうリスクが大きいのが難点です
親にとっても罪悪感やイライラが残るので、控えるのがベストです。

 

5.【1〜2歳】から取り入れたい「伝え方」

 

今回は3〜4歳にフォーカスして「伝え方」を深堀りしてきましたが、実はその前段階、1〜2歳の時期の取り組みも「聞く力」のベースを育むためには非常に有効なのです。

「まだまだ言葉なんて理解できないから」と思わず、1〜2歳に合わせた「伝え方」を取り入れてみましょう。

1〜2歳は3〜4歳よりもさらに言葉を短く、時には身体の動きを止めるような方法で伝えることが必要です

例えば本をやぶこうとしたとき、「ダメよ!そんなことしたら!」と口で言うだけではなく、「やめようね。本が読めなくなっちゃうよ」とそっと手を制止しましょう。

親としてはなかなか「わかってくれた!」と手応えが感じられない時期になりますが、この時期の積み重ねがその後の「聞く力」のベースを作る、と前向きに捉えられたらいいですね。

 

6.「伝え方」を大切にして、「伝える力・聞く力」を育もう!

 

「どうしたらわかってくれるのかしら……」というときこそ、いつもの声掛けにひと工夫するだけで、より子どもに伝わる話し方になります。

何もかも先回りして、子どもの意思を無視することは避けなければなりませんが、1度で子どもが伝えたいことを聞いてくれるようになると、子どもを叱る面はグンと少なくなるでしょう。

親の思いが子どもに伝われば、子どもは「行動」や「返事」「意見」としてレスポンスを返してくれるようになり、親子のコミュニケーションはもっと充実します。

こちらの声掛けが子どもに伝わらないと不安になってしまうこともあるかと思いますが、その子、その子の発達に合わせた「伝え方」を大切にしながら、子どもの成長を見守っていきましょう。

 

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参考文献
新しい学習指導要領の考え方 -中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-

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