【実例あり】よその子を叱るのは難しい?叱る基準やポイント、注意点を紹介
この記事を書いた人
猪狩はな
- 司書教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 保育士
2児ママ× 現役国語科教員×ライター!
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
・国語科(専門は古典文学)
・私立中高一貫校講師、公立中学校フルタイム教員を経て私立高校講師として勤務
・3歳と5歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。
「よその子を注意するとき、どのような言い方をすればいいかわからない」 「よその子にどこまで注意していいのか判断に悩んでしまう……」
そんなふうにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
子育てをしていると、公園や友達の家など、自分の子ども以外の子どもと関わる機会が増えます。それに伴い「よその子を叱るのは難しい」「注意していいのか悩む」と感じる場面に直面することも多くなりますよね。
そこでこの記事では、「よその子を叱るときのコツ」をご紹介します。
よその子を叱るときについためらってしまう方はもちろん、他の保護者や子どもたちとどのように関わればいいのか悩んでいる方も、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.よその子を叱るのが難しいのはなぜ?
そもそも、なぜよその子を叱ることに難しさを感じてしまうのでしょうか?
ここでは、その理由を3つにまとめました。よその子と関わっている場面を思い出しながら読み進めてみてください。
1-1.家庭によってルールが違う
まず、家庭によってルールが違うことが挙げられます。
例えば、ある家庭では食事中にテレビを見ることを許可していても、別の家庭ではNGというルールを設けているかもしれません。
このように、家庭によって子育ての方針やルールが異なるため、よその子の行動が注意すべきことなのかどうか判断しにくいのです。
1-2.人間関係に影響しそうでためらわれる
よその子を叱ることで、ママ友・パパ友、子ども同士の関係に影響が出そうで叱りにくい、ということもあるでしょう。
せっかく築いた友好関係を壊してしまうのではないか、叱られた子どもが自分の子どもと仲良くしてくれなくなるのではないか、と不安に思ってしまうのです。
1-3.どういう言い方で伝えればいいのか悩んでしまう
注意するとしても、どのような言い方で伝えればいいのか悩んでしまうこともあるかもしれません。
叱り方が強すぎたり、言葉選びが適切でなかったりすると、子どもを傷つけてしまったり、親御さんとの関係が悪化したりする可能性があるからです。
2.よその子を叱ってもいい?~叱る基準2つ~
よその子を叱ってもいいのか、叱るとしてもどんなときに叱るべきか、迷ってしまうこともあるでしょう。
結論から言うと、よその子であっても、状況によっては叱っても大丈夫です。
叱るべきか悩みがちな方は、叱る場合の基準を自分の中にもっておくとよいでしょう。
例えば、以下の2つのポイントを「叱るライン」として参考にしてみてください。
2-1.誰かを傷つける行為をしているとき
基準の1つは、誰かを傷つける行為をしているときです。
- 危険な行為
- 人を傷つけるような発言
- 大きなケンカになりそうなやりとり
- 暴力行為がある
など、放っておくとさらに状況が悪化しそうな場合も含め、躊躇せずに注意しましょう。
2-2.「我が家」のボーダーラインを越える行為
もう1つの基準は、「我が家」のボーダーラインを越える行為です。
ルールは家庭ごとに異なるため、よその子には注意しにくいものです。だからこそ、「我が家ではそれはダメなんだ」と伝えて注意するのがよいでしょう。
例えば、
- 人の家の冷蔵庫を勝手に開けてジュースを取る
- 食事中に立ち歩く
- プライベートな部屋に入ってモノをいじる
など、「我が家」としてはやめてほしい行為の場合は、ルールを守ってもらう必要があります。
家庭ごとのルールの違いを理解してもらい、自分の家では守ってほしいことをしっかり伝えることが大切です。
3.よその子を叱るときのポイント
よその子を叱る際は感情的にならず、冷静さを保ちながら的確に伝えることが重要です。
以下、押さえておきたいポイントをご紹介していくので、ぜひ確認してみてください。
3-1.「怒る」のではなく「説明する」
よその子を叱るときは、「怒る」のではなく「説明する」ことを心がけましょう。
怒鳴ったり、感情的になったりせず、冷静に対応することが大切です。
「今のはよくないね。〇〇すると、こんな危険があるからね」と、具体的に伝えることで子どもも納得し、次回以降の行動を改めてくれるかもしれません。
3-2.何がいけないのかを端的に伝える
何がいけないのかを端的に伝えましょう。
よその子だからこそ説明が長くなりがちですが、実は長々とお説教するのは逆効果です。
子どもの集中力は長く続きませんし、肝心なポイントが伝わりにくくなってしまいます。
「今の行動は危ないよ」「そういう言葉づかいはよくないね」など、シンプルに要点をまとめましょう。
3-3.その瞬間に注意し、時間をおかない
注意するタイミングも重要です。注意すべきことをしている「その瞬間」に注意するようにしましょう。
時間が経ってから「さっきあれはダメだったよ」と言っても、子どもはなんのことか分からないこともあるでしょう。
ただ「怒られた」「注意された」印象だけが子どもの中に残って終わってしまう恐れもあるため、タイムリーに「今」の行動を指摘できるよう心がけてみてください。
3-4.親や本人の人格を否定しない
親御さんや子ども本人の人格を否定しないよう、注意しましょう。
「あなたは悪い子だ」「親の育て方が悪い」などと言ってしまうと、関係性が悪化する恐れがあります。
あくまでも問題になった行動や事実をベースにし「今のその行動はよくないよ」と指摘するようにしてください。
3-5.なるべく相手の親御さんに報告する
伝えることができる間柄の場合、注意したことを報告しておくと、親御さんも安心します。
子どもからの報告だけでは、誤解が生じることがあるかもしれません。
何か問題があれば、その場で話し合うこともできます。
「こういう状況で、このように注意しました」と簡単にでも伝えておくと、トラブルを防げるでしょう。
4.普段から取り入れたい!よその子との関わり方
普段から我が子の友達とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことが大切です。
子ども同士が仲良くなると、自然と一緒に遊ぶ機会も増えてきます。
そんなとき、相手の子とある程度の関係性ができていると、いざというときに注意もしやすくなるでしょう。
具体的には、以下のような関わり方がオススメです。
4-1.ルールは事前に伝える
自宅に友達を招く場合は、我が家ではこれはNGだよとルールを事前に伝えておきましょう。
「お家の中では走らないでね」「おもちゃは使った後に片付けようね」「大きな声を出しすぎないようにしようね」というように、具体的なルールを挙げて伝え、約束事を明確にします。
また、「もし約束が守れなかったら、遊びをやめてもらうからね」と、ルールが守れない場合の対応もあわせて説明しておくのもいいでしょう。
一方的に命令するのではなく、「みんなが楽しく遊ぶために、守ってほしいな」という思いを込めて伝えるのがポイントです。
4-2.親御さんとボーダーラインの認識をすり合わせる
子ども同士が仲良くなってくると、それぞれの家庭でのルールやしつけ方針の違いが見えてくることがあります。子どもの行動に対する許容範囲も、家庭によって異なるでしょう。
そこで、事前に相手の親御さんと「ボーダーラインの認識」をすり合わせておけると安心です。
可能であれば。「うちでは、こういったことは厳しく注意しているんです」「お宅では、この点についてはどのように考えていますか?」と、率直に意見交換をできるとなおよいですね。
4-3.相手の子とも信頼関係を作っておく
できれば、相手の子本人とも信頼関係を築いておきましょう。
例えば、子どもが友達を家に連れてきたときや、一緒に遊んでいる場面では、積極的に話しかけてみましょう。
「こんにちは!○○くんだね。△△ちゃんのお友達なんだって?」と笑顔で挨拶をするところからスタートしてみてください。
相手の子との距離を縮めておくことで、トラブルが起きたときも冷静に状況を聞き、適切な対応がしやすくなります。
5.我が家で実践している「よその子を叱る」ときの工夫
5歳と3歳の2人の男の子を育児中の我が家でも、だんだんと子ども同士の交友関係が広がってきました。そしてそれに伴い、よその子と関わる場面も増えています。
ここでは、筆者が普段から心がけている「叱るときの工夫」を4つご紹介します。少しでも参考になれば幸いです。
5-1.優しく指摘し、お願いする
よその子を注意する際、「叱る」というよりは「指摘する」「お願いする」ような言い方をするように心がけています。
例えば、公園から出て行こうとしていた場合「そっちはダメ!危ないでしょ!」と怒鳴るのではなく、「□□くん、そっちは危ないよ。こっちで遊ぼうよ」と諭すようなイメージです。
親以外の大人からいきなり厳しい言い方をされると、子どもたちも萎縮してしまい、逆効果になる場合もあるでしょう。
「優しく教えてもらった」と受け止められるような、落ち着いた対応ができるようにしています。
5-2.理由もセットで伝える
注意をする際は、単に「ダメ」と言うのではなく、そうしてほしい理由もセットで伝えるようにしています。
当時1歳だった次男と滑り台で遊んでいたときのことです。少し年上のよその子がやってきて、次男の背中を思い切り押して滑らせようとしたことがありました。
怒りたい気持ちをぐっとこらえて、「後ろから押すのはやめてね。うちの子はまだ小さいから、押されると怖いんだ。優しく声をかけてくれると嬉しいよ」と具体的な理由を添えて伝えたら、わかってくれました。
相手が納得できるように伝えることで、叱ったあとのトラブルも避けることができるでしょう。
5-3.相手の親御さんがどんな風に注意しているのかを見ておく
相手の親御さんが普段どのようなタイミングで、どんな言葉かけで注意しているのかを観察しておくと、注意しなくてはならないときの参考になります。
ボーダーラインを合わせることで、トラブル回避にもなる上に、相手の子にとっても受け止めやすくなるでしょう。
5-4.相手の親御さんが我が子を叱ってくれたときには、感謝を伝える
相手の親御さんが自分の子どもを叱ってくれたときには、状況を確認したあとに子ども自身に「ごめんなさい」をきちんと言う場面を作ります。
そのうえで、こちらからも親御さんに対しての謝罪と感謝の気持ちを伝えています。
私たちが「よその子を注意してもいいのかな?」と悩むように、相手の親御さんも、よその子どもを叱ることに勇気がいったはずです。
「今日は、うちの子がご迷惑をおかけしてすみません。注意していただいてありがとうございました」となるべく直接話すことを心がけています。
6.よその子を叱れる信頼関係を作っておこう
よその子を叱るというのは、簡単ではありませんよね。しかしそうはいっても、時と場合によっては注意しなければいけないこともあるでしょう。
そのためにも、普段から相手の親御さんと信頼関係を築き、お互いの家庭のルールを理解し合っておくことが大切です。
そうすることで、よその子を叱らなければいけない場面でも、トラブルなくスムーズにやりとりできるでしょう。
子ども同士の交流は、親にとっても学びの機会です。それぞれの家庭の考え方を尊重しつつ、協力して子育てをしていく。そんな温かい関係性を築いていけたら素敵ですね。
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