子どもが食事中に座っていられない理由とは?立ち歩き対策と食事の工夫【体験談あり】
この記事を書いた人
猪狩はな
- 司書教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 保育士
2児ママ× 現役国語科教員×ライター!
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
・国語科(専門は古典文学)
・私立中高一貫校講師、公立中学校フルタイム教員を経て私立高校講師として勤務
・3歳と5歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。
「子どもが食事中立ち歩いてしまい、ご飯が進まない」
「毎回の食事が憂鬱……」
「どう声掛けしたらいいか、対応の仕方を知りたい」
そんなふうにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
この記事では、2~3歳の子どもの「食事中の立ち歩き」についてまとめています。
なぜ立ち歩いてしまうのか、どのように対応したらいいのか、発達段階に合わせた具体的なアプローチ法をご紹介します。
5歳と3歳の男の子を育てる筆者の体験談も紹介しますので、子どもの食事のマナーについて悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.2~3歳の子どもの食事に関する発達について
まず、2~3歳の子どもの発達段階について確認していきましょう。
実際のお子さんの様子を思い浮かべながら読んでみてください。
1-1.食欲が落ち着いてくる
2~3歳になると、1歳までと比べて成長のペースが穏やかになります。そのため、食欲も落ち着いてきて、食べる量が減ることがあります。
今までの感覚で食事を用意すると、多すぎたり食べきれないという子どもも出てきます。
「今までより食べていない」と感じる方もいるかもしれません。
1-2.自我が出てくる
2~3歳は「イヤイヤ期」に入り、子ども自身の自我が大きく発達する時期です。
「これは食べたくない」「これは嫌!」と、食べ方にムラが出てくることがあります。
「今は遊びたい気分だからご飯は食べたくない」という気持ちや「気になるものを見つけた!」という好奇心から、食事の時間になっても席に座らず、遊んでしまう場合もあるでしょう。
イヤイヤ期については、下記記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
・「魔の2歳児」対応のコツとは?現役保育士がイヤイヤ期との上手な付き合い方を紹介
1-3.集中力は20分が限度である
子どもの集中力の限界は20分程度だと知っておきましょう。
食事の時間をそれ以上引き延ばしても、ダラダラ食べ、遊び食べにつながることがあります。
保育園の給食時間も20~30分程度で切り上げることが多いので、参考にしてみてください。
2.食事中に座っていられず、立ち歩いてしまうのはなぜ?
では、食事の時間に座っていられずに立ち歩いてしまうのはなぜなのでしょうか?
ここでは、3つの理由について解説していきます。
2-1.他に興味を引くものがあるから
ご飯を食べること以上に興味を引くものがあるパターンです。
- 遊びたいおもちゃがある
- 気になるものが目に入った
- 歩き回りたい気分になった
子どもの好奇心はとにかく旺盛です。ご飯を後回しにしても「今やりたい!」と思うことがあるのかもしれません。
2-2.お腹が空いていないから
お腹が空いていないので、食欲がないタイミングなのかもしれません。
2~3歳頃の子どもは、イヤイヤ期も相まって気持ちを汲み取るのが難しい場面も多いですよね。
その日のスケジュールや食事の時間、排泄の有無などを振り替えってみてください。
2-3.食べたくないものがあるから
食事のメニューに食べたくないものがあり、席から離れてしまう可能性もあります。
普段は好んで食べているものであっても、「今は食べたくない」「他のものがよかった」と気分が移り変わることも多いので注意が必要です。
3.ご飯を座って食べられるようになるためのアプローチ法
2~3歳頃の子どもがご飯を座って食べられるようになるには、どのようなアプローチをすればよいのでしょうか?
以下、4つの視点から対策をご紹介していきます。お子さんに合いそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。
3-1.環境を整える
ご飯以外に興味が逸れないよう、食事の環境を見直す方法です。
- おもちゃや本など、気になってしまうものを視界に入れない
- テーブルの上はご飯だけになるように片づける
など、食事をスタートする前に子どもの視界に入る範囲を整えておくとよいでしょう。
3-2.食事前後のルール作り
食事前後のルールをルーティン化し、仕組みを作る方法です。
「席について、エプロンをつけて、いただきますをする」といった食事のスタートがわかるルーティンを作ると、「今はご飯の時間だ!」と子どもの意識が切り替わることがあります。
「ご飯を食べ終わるまで席を立たない」と言葉で伝えても難しい場合は、
- 立ち上がったらお皿を下げる
- 食事時間を決めて、その時間を過ぎたらお皿を片付ける
など、食べ終わりがはっきりわかるようなルールを伝えておくのも1つの手段です。
3-3.ご飯の工夫
子どもの興味が食事に向くような工夫を、無理のない範囲で取り入れてみるのもよいでしょう。
- 子どもが好きなおかずを用意する
- ひとくちサイズに切っておく
- 好きなキャラクターのグッズを使う
- デザートから食べてもいいことにする
など、ご家庭で実践しやすく、子どもが食べてくれそうなメニューや工夫を試してみてくださいね。
3-4.声掛けの工夫
食事中の声掛けも、いろいろなバリエーションを持っておくと対応の幅が広がります。
■座って食べられたらとにかく褒める
「立ち歩いたら叱る」パターンになってしまっていませんか?
できたことを褒める、プラスの声掛けを意識すると、子どもの自己肯定感が上がります。
■親も一緒に食卓で食べ、子どもと会話をする
子どもが食べている間に他の家事をしたり、食べさせることに集中してしまい、自分は別の時間にご飯を食べるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
可能であれば、子どもと一緒に食卓を囲んで、会話を楽しむ時間を意識してみてください。
親子のコミュニケーションが深まり、子どもが食事に集中しやすくなることが期待できます。
4.【体験談】我が家で実践している食事中の対策5つ
筆者は5歳・3歳の男児兄弟を育児中のママです。
特に、現在5歳の長男が2~3歳の頃は、立ち歩き食べがひどく、毎日とても苦労していました。毎回の食事の時間があまりにもつらく、「立食パーティ」と呼んでいた時期もあったほどです。
そんな我が家が手を替え品を替え、さまざまな方法で立ち歩きの対策をしてきた体験談をお伝えします。
長男は「食事に興味がない、遊んでいるほうが楽しい」という性格だったので、食事の時間にもエンターテインメント要素を増やせないか?と試行錯誤しました。
現在「座ってご飯を食べてくれない」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
4-1.食べ終わると好きなキャラクターが出てくるお皿を使う
かわいいイラストがついている子ども用のプレートを買ってきて、イラストが見えなくなるようにご飯を盛りつけます。
一口食べさせるごとに「あれ?なにか見えてきたぞ?」「リスさんがかくれんぼしているね!」など声を掛け、ゲーム性を持たせました。
次男は今でもこのゲームが好きで、よくやっています。
4-2.お弁当箱に詰めてキャンプ風ご飯にする
ご飯をお弁当風にし、部屋に簡易テントを広げてキャンプごっこをしていました。
テントの中での食事は新鮮だったようで、最後まで座って食べきってくれていた思い出があります。
また、この他にも、食事の時間に特別な名前をつける作戦は今でもよくやります。
- ピザパーティ
- 手巻き寿司祭り
- おにぎり屋さん
- オムライスレストラン
- パパのラーメン屋さん
- 〇〇くんのサンドイッチカフェ
普段の変わらないご飯でも、イベント名をつけるだけでちょっと盛り上るのでオススメです。
4-3.見た目で引き付ける
キャラ弁やデコご飯などを、毎回の食事で取り入れるのは大変ですよね。しかも、イヤイヤ期の子ども相手では、手間をかけても食べてくれるかもわかりません。
そこで、手軽に見た目を華やかにできるグッズを活用しています。我が家は2人とも男児なので、例えば以下のようなものを使っています。
■ウルトラマンや動物の形をした海苔
キャラクターの形にカットされた海苔を買ってきて、本人に飾り付けしてもらっていました。キャラクターが印刷されているふりかけやデコもよく使っています。
■恐竜や電車の形をしたピック
100円ショップでお弁当用のピックを買ってきて、普段のご飯のときに使います。
「オムライスの山に恐竜たちがやってきた!」 「卵焼きの上を電車が走っているよ~!」 など、ストーリーをつけてあげると喜んで席にやってきます。
対象年齢によっては誤飲や遊び食べに繋がりやすい点にはご注意ください。
■マインクラフトおにぎり
青のりを混ぜて四角く成形し、海苔を少し貼るだけでも、よく食べてくれます。
4-4.ご飯作りをお手伝いしてもらう
我が家では、子どもたちにご飯作りのお手伝いをしてもらっています。
<2~3歳頃の子どもでも取り入れやすいお手伝いの例>
- しめじを手でほぐす
- 卵を混ぜる
- 粉や調味料をボウルに入れる
- 材料を鍋に入れる
- きゅうりなどを塩もみにする
- おにぎりをにぎる
- パンと具を用意してサンドイッチを作る
「自分で作ったものだから全部食べるか」と言われると、そうでない場合もあるのですが、楽しそうに手伝ってくれる姿は親にとっても食事作りの励みになります。食育にもつながるのでオススメです。
4-5.床に足がつくように台を用意する
保育園の先生が給食の時間に行っていた方法を、家でも取り入れていました。
床に足の裏がピタッとつくことで姿勢が安定して、立ち歩きが少なくなります。
本人も「足の裏ピタッ!としたから、立ち歩かないで食べるぞ」と意識づけできたようで、立ち歩きがかなり減りました。
体験談まとめ
タイマーをつけて「この時間までは座って食べよう!」と決めたり、ルーティンを作ったりと、さまざまな方法を試してきましたが、うまくいかないことも多かったです。
あまり自分を追い込んでしまうと、食事の時間が憂鬱になってしまうこともあるでしょう。
「体が栄養を欲すれば、自分から食べる!無理に食べなくてもいいや!」といった前向きな気持ちで一度諦めてみるのも、1つの選択肢としてありかもしれません。
どんな方法が響くのかはお子さんによると思うので、ぜひいろいろ試してみてください。
5.まずは子どもとの「食事の時間」を楽しもう
立ち歩くお子さんの対応に追われていると、食事の時間が大変で憂鬱に感じてしまうことも多いかと思います。
しかし、まずは「食事を家族で楽しむ」というスタート地点に立ち返ってみてください。
「ご飯の時間は楽しいものだ」と感じられることが、なによりの食育につながります。
今回ご紹介した方法も、ぜひ試してみてくださいね。
参考文献
・『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~ 』厚生労働省
・『幼児教育の基本となる乳幼児の発達と遊びと学びの特徴』文部科学省
・『保育所における食事の提供ガイドライン』こども家庭庁
関連トピックをご紹介!
・ご飯を食べずにお菓子ばかり欲しがる!子どもへの影響と対処法を紹介
・子どもの好き嫌いにどう対応すればいいの?原因や寄り添い方を解説
・忙しいママも簡単!社会性や心身を育む「おうち食育」今日から親子で始めてみよう